INTERVIEW

ねお×きいた×アベラヒデノブ

Text by 石角友香
Photo by 小笠原孝一

     

映像ディレクター集団「BABEL LABEL」のオリジナル映画プロジェクト「BABEL FILM」の第1作目となるオムニバス映画『LAPSE(ラプス)』が2月16日より公開される。

近未来を舞台に異なるテイストの3作品からなる『LAPSE』の中から、今回はクローン人間の失敗作であることに絶望する主人公と、その後の行動を描いた『失敗人間ヒトシジュニア』の主演も務めるアベラヒデノブ監督、そしてクローン製造会社のマスコットキャラクターを演じるねお、クローンを演じるきいたの3人で対談を実施。

ねおはYouTuber、そしてTikTokで動画を配信する現役高校生クリエーターで、昨年は雑誌「Popteen」専属モデルや、WEBドラマ『恋のはじまりは放課後のチャイムから』で、より認知度をアップ。きいたはインスタグラムに現役高校生の日常をアップしたところ人気急上昇。現在フォロワー9万人以上を誇り、芸能界入り。昨年はAbemaTVの恋愛リアリティショー『太陽とオオカミくんには騙されない』に出演した。

まさに今の時代の情報発信を行うティーンの二人は、どんな未来を作りたいのか、そして未来のために何ができるのか? を映画『失敗人間ヒトシジュニア』とSNSでの発信を軸に考えてもらった。

Interview:『失敗人間 ヒトシジュニア』
アベラヒデノブ×ねお×きいた

アベラヒデノブ監督とねお&きいたが映画『LAPSE』から紐解く、SNS世代の未来について interview190130_lapse_1-1200x800

――アベラさんは『失敗人間ヒトシジュニア』をどういう未来を想像しながら作られたんでしょうか。

アベラヒデノブ(以下、アベラ) まず、子供の頃から見てた「ドラえもん」のような「なんでも可能になってそうな未来」と、少し先の未来で現実に起こりそうなことを題材にしていこうというのはありました。現実の中にすでにクローンが可能になっていてお猿さんのクローンとか仕上がってる。で、都市伝説かリアルかわかんないですけど、人間のクローンも技術的に可能で、この世の中に存在してるんじゃないか?と言われていて。

きいた この世界に?

アベラ 偉人の方がクローンになってて、目が醒めるのを待ってる可能性もある。そんなこともあるって話を風の噂やネットの記事で見てて、今回、クローンを取り上げたんですね。かといって普通のクローンをやってもしょうがないので、僕自身のルックスに対するコンプレックスとミックスして、「失敗したクローン」「ミスってしまったクローン」、しかもクローンであることを隠されてて、「お前はクローンなんだよ」って言われた瞬間の恐怖みたいなものも取り入れて、今回の作品を考えました。

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――ねおさんときいたさんは今回この作品に出演されて、そういう未来をどう感じましたか?

きいた 発展というのはすごくいいことだと思うんですけど、「クローンだから」ってすぐに殺されちゃったりするのはあんまりいい印象ではないので、発展に伴って、考え方をいい方向に持っていけば、もっといい世界が作れるんじゃないかな?と思うんですけど。

――いろんな科学技術を?

きいた いいことも悪いこともいっぱいあるので。いいことだけに使いたいですね。

――この作品の未来の設定は、すでにクローンがいて、しかも失敗したクローンと判断されると国によって回収されて破棄されちゃうわけで。

ねお ホントにそういうのが始まってくるといいこともあったり悪いこともあったりなので、自分ができることがあったら少しでも協力して、クローン人間も含め良い時代を作れたらなと思います。でも、クローン人間がいることによっていつもと違う日常ができたりとかってあるのでいいのかなとも思います。

――例えば?

ねお 自分とちょっと違うクローン人間が作れたとしたら、自分に足りないところをクローン人間にやっていただきたいなと思います(笑)。

――ポジティヴに考えると自分は一つって決めなくてもいい?

アベラ 今の自分と全く同じ自分がもう一人現れちゃうと困るし気持ち悪いんですけど(苦笑)。自分の欠点を遺伝子操作で補った完璧なクローンを作れるよ、っていうのがこの映画の世界観ではあるんです。

――題材としてディストピアというか、あまりポジティヴな未来ではないじゃないですか。この物語自体をどう感じましたか?

ねお 難しい話だけど、色々考えさせられる映画だなと思って。(発展の過程で)何かを変えたら映画の中で起こったようにはならなかったかもしれないなと思ったので、やっぱり考えて行動することも大事なのかなと。自分もちゃんと考えて行動するようになったので、すごく考えさせられる映画だなと思いました。

――何を間違えたら人間はクローンを作ってしまうのか、もしくは作って人間扱いするのかしないのか、その境目ってなんなんでしょうね?

きいた 一つの命っていうものをちゃんと大事にするっていうことですね。便利っていう気持ちでクローンを作ったらいけない気がする。

――確かに。ねおさんときいたさんは今、SNS上でフォロワーもたくさんいて、今の時代のインフルエンサーなわけですけど、お二人はどうやって情報収集をして発信していますか?

ねお とにかくSNS見ることが好きなので、空き時間ずっと携帯電話を見ています。海外で流行ってるものをいち早く取り入れることにも力を入れていて。韓国からの流行りも最近の傾向だと思っています。最新の情報をゲットして自分が紹介したいなと思うものがあったらいち早く取り入れてみて、自分なりに試してみて自分が感じたことを発信しています。

――そもそもYouTuberになったり、いろんなことを発信しようと思ったきっかけはなんなんですか?

ねお YouTube始めたきっかけは、「ミックスチャンネル」をやってたんですけど、その時は声を出したことがなくて。自分の声でものを紹介してみようとYouTubeを始めてみました。「毎日メイク」やったり、質問コーナーでもファンの方と交流したりして始めたのがきっかけですね。

――きいたさんは最初、Instagramだったと思うんですけど、始めたきっかけは?

きいた 僕、もともとSNSをやってなくて。高校生活が始まった時らみんなやってて、「取り残される!」と思って始めました。その時の内容は男子高校生の日常をずっと撮っていまいたね。

――乗り遅れるってどんな部分だったんですか?

きいた やってないと完全に話についていけなくて。やっぱりSNSには情報があふれているなと。

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――今の時代らしい発信の仕方をしてる二人をアベラさんから見てどうですか?

アベラ や、純粋にすごいなって思います。でもやっぱりお二人をフォローしてる方の数だけ、実際にSNSやってる若い子たちがいて、おんなじように工夫して発信してますけど、実際に多くのフォロワーを得る方は限られるじゃないですか。やっぱりそこは、若くてルックス良くてとか、そんな単純なものじゃないと思う。お二人の工夫――きいたくんならきいたくんで、日常をあげてるけど、その日常のユニークさが、もしかしたらフォローされる理由なんじゃないかと思います。ルックスだけでフォローされるほど甘くないですからね。

ねお・きいた ははは。

アベラ 僕がSNSのなんなんだって話になってきますけど(笑)。SNSを好きで見ているだけなんですけど、そんな甘くないというか。その中できっと人の心を大げさじゃなく何かしら震わせたからこそ、この人をフォローしたいなと思うし、追いかけられる立場になったお二人を純粋に尊敬します。で、それでいて若さには驚愕します(笑)。

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――お二人はそういう自覚はありますか?今、SNSから世の中に出て行く人がたくさんいるので。

ねお SNSがなかったら今のねおはいなかったです。普通に学校行って、家で動画撮ってあげていただけなのに、たくさんのファンがついて来てくれて。賛同してくれる声が多くなると自分のやらなきゃいけないってことが見えてきて。SNSがあってよかったなって今は思っています。

きいた そうですね。わかります。

――今はまさに渦中にいらっしゃいますが、これからどうなっていくと思いますか?

ねお ああ、でも流行ってるものっていつ終わるかわかんないし、いつ次に何が来るかわかんないので、常に気は抜けないなぁとは思います。一回気抜いちゃうと時代に遅れちゃって、もう終わっちゃうのかなっていうのはあるので、どれだけファンの方を飽きさせないかっていうのを常に考えて投稿してます。

――TikTokの良さってねおさんから見てなんだと思いますか?

ねお 15秒の動画を、携帯電話ひとつで撮って、携帯電話ひとつであげれる、手軽さですかね。誰でもちょっと動画を工夫したりしたら、みんなに見てもらえますし。

アベラ すごいなと思うのはディレクターで映像を撮ってる時に、ああいうテンポ感のいい映像、例えば自分で回して、自分で揺らしたり。あれってホントだったらカメラマンがやったり、結構技術が必要だったりする手法なんです。で、映像的に確かに面白くて、それを今、みんな実践できてて、ディレクターとしてはある意味、面白い映像作るのこれからやばいな、みたいな気持ちもあります。アプリでボタン一個で加工できて、音楽とセンス良く合わせてるじゃないですか。映画撮ってるからプロなんや、とかじゃない。今、スマホでも撮れるしね。センスの時代やなと、ホント安い言葉じゃなくて思います。

――その辺は希望でもあり脅威でもありっていう?

アベラ うん、確かに。そもそもYouTuberさんがみんな編集ソフト持ってやってらっしゃるじゃないですか。あれ、今まではプロのエディターさんが使ってた機材を今、皆さん普通に使いこなしてますから。でもYouTuberさんもプロなんで、ホントその境目ははっきりしなくなってきていて。プロとアマの境目を考えると、ディレクターである自分たちは、より頑張らな、なって思います。

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――今回のオムニバス映画には「未来」というキーワードがありますけど、皆さんが「未来」と聞いた時、どんな世の中や人、ファッションやライフスタイルを想像をしますか?

ねお 今ってもうロボットが受付するホテルがあったりするので、未来になるともっとホントの人間みたいなロボットがいるホテルがあったりするのかなと思ったりします。

アベラ コンビニも自動で無人で袋だけ渡されて、「こちらでお会計」みたいな、自動化されてきそうですよね。ちなみに僕からするとスマートフォンもすごい未来の機器、っていうとおかしいですけど、僕が例えば高校生の頃はパカパカ・ケータイだったんですけど。

きいた ガラパゴス・ケータイですよね?

アベラ はい。お二人は携帯電話を初めて持った時はすでにスマホでした?

きいた いや、僕は小学校5年からでその時はパカパカ。

ねお パカパカです。で、小六からスマホです(笑)。

アベラ 小六からスマホ! じゃあスマホに変わった時の喜びはありましたか?

きいた でもすでにiPod Touchがあって液晶画面だったので、結構慣れてましたね。なのでスマホに変わったところでもそんなに違和感なかったかも。

アベラ だから未来、どうなっていくんやろ?って考えた時に身の回りのものもどこまでが変わっていくのかとか想像しません?

きいた 携帯電話も無くなるんじゃないですか?手にチップ埋め込んで。

ねお やだー。

アベラ SF映画とかでね、よく見るものですからね。『アイアンマン』とか。

きいた かっこいいですよね。

アベラ 今は画面にタッチの時代じゃないですか?それが空間にタッチの時代になっていきそうじゃないですか。だから今、急に僕らがその時代にタイムスリップしてみたら街行く景色、爆笑しそうですよね。今、ギリギリ、ワイヤレスのイヤホンつけて「あ、もしもし」とか言ってる時点で結構見た目が危ないのに、もうこれ(イヤホン)も付いてない、単なる空間で「うん、ちょっと待って」とか言ってる時代になるのかも。

ねお・きいた ははは。

アベラ チップとか埋め込んだらもしかしたら自分だけに見えてて、空間で共有することもなくなったり。

きいた それって人と話さなくなりそうで怖いですね。

アベラ それは感じる?

きいた すごく感じますね。コミュニケーションの能力がなくなってくるなと。

アベラ 10歳以上年が離れてる世代なので話さないのが当たり前なのかな?って思ってたけど、そこに恐怖は感じたりするんですね。

ねお みんなでご飯食べてる時も携帯電話を見る方がすごく多いなと思うので、「話そうよ」と思っちゃう。

きいた 僕、実家でご飯食べる時、テレビ禁止だったんです、会話をするために。そういうので会話を大事にしてたので。

アベラ 素晴らしい。

きいた 携帯電話一つで会話ができちゃうのが、僕はあんまり好きじゃない。

ねお 一緒にいる人が携帯電話ばかり見ているとさみしくなりますね。ごはん食べてるときも携帯電話見てばかりいると「こっち見て!」って心の中で叫んじゃう。

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――じゃあ皆さんはどんな未来が理想ですか?

きいた 僕は人間同士が話さないような未来にしたくないですね。人間味が強くあってほしいです。ちゃんと人の心を大切にしたり、命を大切にしたり会話を大切にしたり、そういうことを大事にした上で未来を作ってほしい。

――今ある仕事がAIに取って代わるという話題もリアリティがありますもんね。

アベラ 僕、クリスマスにGoogleアシスタントに「淋しい」って話しかけたんです。そしたらクリスマスソング送ってくれて。今はね、プログラムされた返答しかできないですけど、これ、一瞬ですよ、「あ、僕、寂しくない」と思っちゃったんですよ。

きいた 本当に?

アベラ その瞬間に怖くなりました。AIが歌を送ってくれて満たされちゃったんですよ。人として大事な孤独っていうものが満たされちゃったんですよ。で、それと同じでAIがどんどん人の代わり、俳優さんとかもしかしたら全部、CG処理されて素材だけ撮っといたら、お芝居は画面の中でやれるようになるとか、それこそきいたくんが今言ってた、人として大事なことと真逆な未来をあえて話してますけど。ね?そういうことが起きた時に「え?」って、自分でも怖くなる。

きいた 人間いらなくなっちゃいますね。

アベラ SNSの中でAIねおちゃん、AIきいたくんみたいなのが勝手に始め出して……。

ねお 怖い怖い。

アベラ 生身の二人は唯一無二の存在なので、そういう未来は阻止したいですね。人間臭い部分をちゃんと持った、人間としての、ダメなとこ、料理できないとかね?それも含め魅力じゃないですか?それがあるから人間としてのファンがフォローしたくなる、自分が共感する部分も、ダメな部分もあるんだ、ねおちゃんも。きいたくんもちょっとくしゃっと笑う時もあるんだとか。でもAIにはそれはできないでほしい。

ねお うん、できないでほしい。

アベラ やっぱ生身のきいたくんがいい、ねおちゃんがいい、こんなの嘘や、人間であってほしい。まさに“未来に抗え”………今、映画のキャッチコピーを言わせてもらいましたけど(笑)、そういう気持ちは確かにあります。

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Text 石角友香/Photo 小笠原孝一

BABEL LABEL が描く3篇の未来の物語
『LAPSE(ラプス)』
2019年2月16日よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開

映画『LAPSE ラプス』予告編

志真健太郎 監督・脚本 『SIN』
出演:栁俊太郎、内田慈、比嘉梨乃、 平岡亮、林田麻里、手塚とおる

アベラヒデノブ 監督・脚本 『失敗人間ヒトシジュニア』

出演:アベラヒデノブ、中村ゆりか、清水くるみ、ねお、信江勇、根岸拓哉、深水元基

HAVIT ART STUDIO監督・脚本 『リンデン・バウム・ダンス』

出演:SUMIRE、小川あん

 

主題歌:SALU『LIGHTS』

監督:志真健太郎、アベラヒデノブ、HAVIT ART STUDIO
撮影:石塚将巳/佐藤匡/大橋尚広 照明:水瀬貴寛 美術:遠藤信弥 録音:吉方淳二 音楽:岩本裕司/河合里美 助監督:滑川将人  衣装:安本侑史 ヘアメイク:白銀一太/細野裕之/中島彩花 

プロデューサー:山田久人、藤井道人
製作:BABEL LABEL 
配給:アークエンタテインメント

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