小林うてな×Julia Shortreed×ermhoi＝Black Boboi | 個々が集う音楽コミュニティー〈BINDIVIDUAL〉発のグループへインタビュー

——1人としても3人としても、今自分が作りたい音楽を作れてると思いますか？

全員　作れてます！

ermhoi　個人的には決まったジャンルを選べないでずっと音楽をやっている中で、３人で今作ってるから自分の世界も広がるような気がしてます。３人だからこそ自分は違うジャンルに手出せるなとか。

Julia Shortreed　私は今まで自分の曲に対して暗過ぎたり聞きづらかったりするのかと悩んでたこともあったんですが、3人で聞きやすいものを作るから、そこは合わせないように単体は自分が信じるものをとことん追求しようっていう気持ちになれました。聞きやすい音楽の中でも一番かっこいいと思えるものを3人で作ってて、新しいキャパを広げるというか。これからの3人の音楽にも自分の音楽にも活かすこともできるし、すごいありがたいなと思って。いろんなことを試して実行するってことはいいことなんですよね。

——集まったこと自体がすごいことだと思います。最初はびっくりしました。

Julia Shortreed　最初はふざけて「No Thank you raw」みたいなバンド名考えたりしてました（笑）。「引き寄せの法則が流行ってたから、逆にわたしたちは引き寄せない法則で行こうっていう。全然楽器もやってない人も交えてやろ～とか言ってたら、その二ヶ月後にうてなからレーベルの話をもらって……私にとって最強の2人とできるから本当に嬉しい。

——立ち上げの段階でこの2人に声をかけることは決めていたんですか？

小林うてな　今後手を取る仲間が増えたらと思っていますが、最初に2人と一緒にやりたい！って思ったんです。一緒にできたら本当に嬉しいなあって思ってました。制作の仕方はとにかく面白いから３人でやっていく音楽も続けていきつつ、今後他の人が増えたら面白いなあと思ってます！

Julia Shortreed　そうだね。増えれば増えるほどパターンが増えて面白い！

小林うてな　沢山の人がいてそれぞれのリフがあって、でも一つの音楽になってっていうのにすごい憧れがあって。そういうことができたら面白そうだなあ～。

ermhoi　すごく威力があるみたいな。リコーダーじゃないけど、やっと世界救えるかもみたいなね（笑）。

Julia Shortreed　泣きの１音で。“We are the World”みたいにね。

全員　笑

小林うてな　普通のレーベルみたいに「CD作って売ろう！」「レコード屋さんに置こう！」というよりも、「個人が手を取り合って環境をつくる」っていう思想を軸にしてるんです。一緒にいる人たちがいい気持ちで前向きに音楽を創造できて、音楽を作るのは楽しいんだ！っていう純粋な気持ちを呼び戻すような。環境って自分たちで作れるものだと思うので、その環境を大事にしつつ間口は広く、仲良く手を取り合いながらやっていきたいと思うばかりでございます。

ermhoi　自分で曲を作ってると商業的な部分にもとらわれががちで、ほんとにいい曲ができてるのかな……とか、ぶれちゃいがちなところを前向きな気持ちのしてくれるものがあるのは大切なことだなって。自由なマインドを守れる。

——1人だといろんな面で不安がありそうですよね。

ermhoi　自分が信じてやってることしかやらないし、結局自分から出るものだけなんですけど、これまでは自分がやりきったと思っててもそれを分かち合える人がほとんどいませんでした。

Julia Shortreed　ひとりよがりなのかな？って思っちゃうこともあるよね。３人で「これいいじゃん」ってなってる時点で間違いないという気持ちになれる。歌うのも作るのも出すのも1人。やりたいことはやれてるし、聞いてくれてありがとうって気持ちではあるけど、精神的に不安になる日もあるよね。それを確かめ合える場所があって、理解し合える友達兼同士がいるっていうのは最高です。

小林うてな　「いいじゃん」って言ってもらえるだけで「あ、いいんだ！」ってなれる。信頼してるともっとこうした方がいいっていうアイデアも素直に受け入れられるしね。すごく救われた感じがする。

——こういうコミュニティーってあるようでなかった気がします。

小林うてな　そうなんです！　ありそうでなかったぞっていうこの形が今必要だと考えてはじめているので、いい方向にいくといいなと思ってます。

ermhoi　ミュージシャン同士が繫ってサポートし合ったりする環境はあったとしても、曲を作りましょうとか活動していきましょうとか、何かを生み出す方向につながるコミュニティーってないんですよね。

——まずはそのきっかけとしてレーベルとしてやっていくことで、いろんなことの幅が広がりそうですしね。

小林うてな　そう、いろんなことをやりたいなっていうビジョンもあって、だんだん実現していけたらなと思ってます。レーベル運営が初の試みなので、私もほんとちんぷんかんぷんなので迷惑かけてばっかりですけど。こういうコンテンツをやっていきたいねっていう案も出てきてるので、みんなで模索しながら実現していきたいなと思います！

——楽しみにしてます！　それぞれ個人的な目標はありますか？

小林うてな　近々、３人ともソロの音源を配信する予定です。アルバムに関しては、それぞれ別のレーベルから出す可能性もありますね。確実にここから出さなきゃいけないっていう組織ではなくて、個々が一番いいチャンスをつかんでいくっていうところを大事にしたいです。1人1人が活躍することで、〈BINDIVIDUAL〉が大きくなって。そういうコミュニティーでありたいです。

text by mine