ブラック・カントリー・ニュー・ロードBlack Country, New Road|以下、BCNR)が、<FUJI ROCK FESTIVAL ’22>以来となる来日公演を2023年4月4日(火)より開催する。全曲新曲で臨んだホワイトステージから約半年、その間に彼らは世界中を回りながらアンサンブルを磨き続けてきた。昨年の暮れにロンドンで行われたライブの様子を収めたアルバム/映像作品『Live at Bush Hall』では、2022年12月のBCNRが最高密度の重奏を披露している。

では、2023年4月のBCNRはどうだろう? アンセムとなった“Up Song”では《Look at what we did together/BC, NR friends forever》と歌われているが、演奏も含めた彼らの「今」は、一体どんな姿をしているのだろうか?

今回はバンドからギターのルーク・マーク(Luke Mark)、キーボード/ボーカルのメイ・カーショウ(May Kershaw)、ドラムのチャーリー・ウェイン(Charlie Wayne)の3人が登場。リアルタイムでの話題に触れつつ、終始リラックスしたムードで進行していったインタビューの様子をお届けする。

Black Country, New Road – ‘Live at Bush Hall’

Black Country, New Road – ‘Live at Bush Hall’

──長旅おつかれさまです。無事に到着されて良かったです!

チャーリー メイは金曜日(3月31日)に着いていたんだ。僕たちはロンドンからフィンランドを経由してきたよ。数週間前に南アジアに行った時は時差ボケがひどかったけど、今回は全然元気。

──たしかルイスさんは飛行機が苦手でしたよね?

ルーク 詳しいね(笑)。そう、彼は飛行機が嫌いでストレスを感じるみたいだけど、特に文句を言わず、頑張って乗ってるみたいだよ(笑)。

──以前インタビューした時に聞いたお話が印象的だったので。ところで昨日、坂本龍一さんの訃報がありました。チャーリーさんのプレイリストに坂本龍一さんの曲(“A RAIN SONG”)が収録されていたので、まずそのことについてお伺いできますか?

チャーリー とても悲しいニュースだね。彼はパイオニアで、多大な影響を与えた音楽家だよね。素晴らしい功績を残した人だと思う。YMOやソロでの活動を直接知らなくても、彼は様々な音楽に影響を与えてる。闘病生活が長く続いていることを知っていたけど、とてもショッキングだった。昨年末にはフェアウェルコンサート(『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022』)をやっていたよね。

メイ あのコンサートを観たけど、とてもエモーショナルだった。

──話を変えますが、このプレイリストにマインクラフト(Minecraft)の音楽も入っていてますよね。

チャーリー あのサントラが大好きなんだ。信じられないくらい良いんだよ。人生の中でもたぶん一番くらいに良い。12歳の頃にマインクラフトで遊んでた、その時のこと──幸せだった頃を思い出すんだよね。最高の散歩音楽だね、旅行の時に聞いてもいいし。

ルーク 僕も好きだよ! 必要以上に良いんだよね(笑)。

Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-9
Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-6
チャーリー・ウェイン(Charlie Wayne)

──あらためて聴いてみます。日本では3月に卒業、4月に入学することが多いんです。なので日本ではちょうど今が新しい出会いの季節ということで、出会いをテーマにしたお話をお伺いしたいです。ちょうど去年の『Live at Bush Hall』の1公演のコンセプトがプロムでしたが、なぜプロムになったんですか?

メイ 私も含め、バンドの女性陣から「ドレスアップしたい」って話が出たんだよね。それでプロムナイトにすることになって、ルイスとルークが脚本を書いていった。

ルーク そう、それでルークと一緒にライブの台本を書いた。「どうやってドレスアップするのか?」という大枠の元でね(笑)。いつもツアー最後のショーではドレスアップしているから、もしかしたら東京のショーでもそうするかもしれない。

メイ まだルークは衣装を持ってないよね。デニムオンデニムにするんだっけ?

ルーク そうだね。「マーキュリー賞」の授賞式に買おうとしたんだけど見つけられなくて。良いデニムの上下を東京で買おうかな。ネクタイもデニムで(笑)。

Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-8
Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-3
ルーク・マーク(Luke Mark)

──衣装のアイデアが先行していたんですね。ちなみに台本はどういう話だったんですか?

ルーク 台本は結構大雑把で、細かく書いたわけではないんだよね。プロムの他に牧歌的な農民のコミュニティーという設定と、イタリアンレストランを舞台にしたものがあったんだ。ルークと一緒に、大枠を考えた後にタイトルを練ってから話を書き上げたよ。一番初めの農民の物語は、とあるコミュニティに来た謎の人物について「この人、どうしよう?」って戸惑う話。もう一つは呪われたイタリアンレストランで、蛇口を捻ると血が出てきたり、ピザやペパロニが呪われてるというもの(笑)。そして3つ目の物語がプロムで、学校最後の日にイタズラをしようとして──詳細は思い出せないんだけど、何かがおかしな方向に進んでPTAとやりとりしたりするんだ。メンバーが登場人物のキャラになってて、役の名前付きの写真もある。これはInstagramに載ってるよ。

──とても素敵ですね。2022年を締めくくる公演だったと思うんですけども、それまでツアー中心の生活が続いていたと思います。昨年からのツアーを通して出会った、印象的な人やバンド、音楽などあれば教えてもらえますか?

ルーク 何回か偶然、ボニー・ライト・ホースマン(Bonny Light Horseman)というバンドと一緒にライブをやったんだ。スウェーデンの<Way Out West>の日、ちょうど彼らの後に出演した。それで荷物を取りに行く時に彼らのライブを見たんだけど、それがすごく良かった。彼らはステージでお互いすごく近くに立って演奏するんだけど、それがダイナミックで驚いた。その後何回かフェスで一緒になった時にも会ったりして、印象的な出会いだったな。

チャーリー それと<フジロック>で観たジャック・ホワイト(Jack White)かな。ずっとラップしてて、すごい面白かったよ。

メイ 香港のフェスに行った時に作品をおすすめしてもらって、色んなジャンルを包括してるアルバムですごい良かったんだけど、作品名が思い出せなくて……。作品をおすすめしてくれた人とは舞台裏で出会ったんだけど、最初はただその人が持っていたチョコレートをもらえないか、様子を見に行っただけだったけどね(笑)。

一同 (爆笑)

メイ その人は「いいよ! なんかおすすめの作品ある? おすすめするから!」っていう感じで、すごく良い人だったよ(笑)。

Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-10
Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-5
メイ・カーショウ(May Kershaw)

──不思議な出会いですね(笑)。そして、YouTubeではドキュメンタリーの他に、日本語字幕が付いてる“Across The Pond Friend”のビデオが公開されていました。『Live at Bush Hall』の中で皆さんが好きな歌詞はありますか?

ルーク まず、あのビデオは日本限定で公開されてるものなんだ。昨日それについて少し話したんだけど……“Up Song”のMVのことは覚えてる? “Up Song”の日本語字幕付きビデオを日本限定で公開する予定だったんだけど、レーベルが日本以外の全ての国で公開して、それは日本だけ観れない設定になってるんだよね(笑)。

一同 (爆笑)

Black Country, New Road – ‘Across The Pond Friend’(Official Video)

Black Country, New Road – ‘Up Song’(Official Video)

ルーク そんな経緯はあるんだけど……(笑)。《Doing it my way》を《may way(僕はメイのようにやっていたんだ)》と韻を踏む箇所があって、そこが好き(笑)。本当だったら《I did it my way》だったんだけど、それで訴えられたくないから。(「’Across The Pond Friend’(Official Video)」の2:09をチェック!

チャーリー 人が書いたリリックに関しては、その人自身が書いているものだからコメントしづらいかな。でも今回のアルバムだと、様々なメンバーの声だったりリリックだったり、グループとしての表現ができてるから、それはすごくいいと思う。その全体像や体験を楽しめるんじゃないかと思ってるよ。

──それぞれのメンバーが歌詞を書いたりすると思うんですけど、みなさん詩は書かれるんですか?

チャーリー 文章やメモをみんな書き留めてて、昨日も日記を書こうかとか話してたね。次のアルバムではメンバー全員が歌う形を考えてるよ。それがすごい楽しみ。

メイ たのしみ〜! 昨日の朝も色々書いてたよ。

──その一部を紹介してもらえたりしませんか?

メイ ひみつ(笑)。

チャーリ きっと「早くチャーリーたちと会うのが楽しみ」って書いてたんだよね。「彼らはきっと飛行機の中だわ! あと4時間で彼らに会える!」って。

一同 (爆笑)

Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-11
Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-4
Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-14

取材・文/風間一慶
取材・撮影・編集/船津晃一朗

INFORMATION

Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-2

Black Country, New Road Japan Tour 2023

名古屋公演
2023年4月4日(火)
名古屋 CLUB QUATTRO
INFO:名古屋クラブクアトロ 052-264-8211 [http://www.club-quattro.com/]

大阪公演
2023年4月5日(水)
梅田 CLUB QUATTRO
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569 [https://www.smash-jpn.com]

東京公演*SOLDOUT
2023年4月6日(木)
渋谷 O-EAST
INFO:BEATINK[www.beatink.com] E-mail: info@beatink.com

[全公演共通]
OPEN 18:00/START 19:00
前売チケット:¥6,800(税込)
別途1ドリンク代/オールスタンディング
※未就学児童入場不可

詳細はこちら

Black Country, New Road──2023年4月3日、彼らの「今」を訊く interview230404-blackcountrynewroad-1

Live at Bush Hall

label:Ninja Tune/Beat Records
artist:Black Country, New Road
CD release:2023.03.24(金)
LP release:2023.04.28(金)

CDLPTower Records