2022年7月29日(金)〜31(日)にかけて開催された<FUJI ROCK FESTIVAL ’22(以下、フジロック)>。Qeticでは、<フジロック>現地にて、出演したアーティストのインタビューを実施。今回は、31日に出演したブラック・カントリー・ニュー・ロードBlack Country, New Road|以下、BCNR)のインタビューをお届けする。

今年<フジロック>で初来日を果たしたBCNRは、1月にメイン・ボーカルのアイザック・ウッド(Isaac Wood)がバンドからの脱退を発表。そして、発表されていたライブでは新曲のみを披露するとアナウンスした。その姿勢に驚いたファンも多いだろう。

また、バンドメンバーでバイオリニストのジョージア・エラリー(Georgia Ellery)は、テイラー・スカイ(Taylor Skye)とともにジョックストラップ(Jockstrap)としても活動。9月9日にはデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』を〈Rough Trade〉からリリースし好評を得るなど、注目を集めている。

BCNRはWHITE STAGEに登場。アナウンスされていた通り、披露された曲はすべて新曲。これらの楽曲が形を変え、いつかアルバムに発表されることを楽しみにしながら、耳を傾けていたオーディエンスも少なくないはず。マイペースな出立ちのバンドだが、ドラマチックな楽曲を演奏していくアンサンブルの魅力は十分に伝わったはずだ。

ライブの直前、インタビューに応えてくれたのはサックス/フルート/ボーカルのルイス・エヴァンス(Lewis Evans)、ギターのルーク・マーク(Luke Mark)、ベース/ボーカルのタイラー・ハイド(Tyler Hyde)、キーボード/ボーカルのメイ・カーショウ(May Kershaw)、ドラムのチャーリー・ウェイン(Charlie Wayne)の5名。彼らのキャラクターが伝われば幸いだ。

INTERVIEW@FUJI ROCK:
Lewis Evans、Luke Mark、Tyler Hyde、May Kershaw、Charlie Wayne
from Black Country, New Road

いまを楽しむアンサンブル──Black Country, New Road、フジロック現地インタビュー interview2209-blackcountrynewroad-fujirock-5
左から、メイ・カーショウ、タイラー・ハイド、ルイス・エヴァンス、チャーリー・ウェイン、ルーク・マーク

──今回の<フジロック>がバンドの初来日ですね。

ルーク・マーク(以下、ルーク) 最高だよ。

タイラー・ハイド(以下、タイラー) クールで美しいね。

──今回の滞在で、どこか行かれたりするんですか?

メイ・カーショウ(以下、メイ) 渋谷に滞在してるから、今夜はまた渋谷に。

ルーク つぎの火曜日はタイラーの誕生日なんだ。

タイラー だから月曜日の夜に遊ぶかな。カラオケ行ったりとか、まだやったことのないことをするの。

──カラオケの十八番は?

チャーリー・ウェイン(以下、チャーリー) ケイト・ブッシュ(Kate Bush)の“Wuthering Heights”。彼女そのままの声で歌うよ。

タイラー すごい上手いんだよね。

──すごく聴きたいです(笑)。今回のツアーはヨーロッパ、UKを回って日本、これからアメリカでライブをしますよね。ツアーで印象的なエピソードがあれば教えてください。

ルイス・エヴァンス(以下、ルイス) リトアニアの元刑務所でライブをしたんだ。すごい場所だったよね。クレイジーだった。

タイラー 『ストレンジャー・シングス』の最新エピソードを撮影した場所なんだよね。

ルイス ロンドンのいろんな場所で開催された<Visions Festival>では、古い教会でライブをしたんだ。結構フェスには出てるんだけど、草原とか芝生でやるともうどこでやってるかわかんないんだよね。だから、ロンドンのフェスはすごい良かったよ。

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──雰囲気が合いそうですね! ツアーで世界を回るにあたり、バンドなりの楽しみ方はありますか?

ルイス 飛行機が怖くて、基本的にツアーは好きじゃないんだ。つらいよ。

ルーク だから、みんなでゲームをやったりするよね。

タイラー スクラブル(※ボードゲーム)とか。

ルーク 飛行機でスクラブルをしてるとき、ルイスは怖いから席にしがみついてるんだ。ルイスに「うるさい!」って言われたり、めちゃくちゃ怖いよ(笑)。

──これからライブが控えてると思うんですけども、今回はほぼ全て新曲をすると事前にアナウンスをされていますよね。

ルーク 今年1月に発表をしたとき、夏まではフェスティバルの出演がもう決まってたんだ。それで、決まっている分は新曲だけやるという話にまとまった。今年いっぱいずっと新曲をやるとは決めてないけど、とりあえず夏いっぱいくらいまではそういう予定かな。

──アルバムのデラックス版にはライブ音源がたくさん入ってますよね。バンドとライブはどういう関係なのでしょう?

ルーク 作曲はするんだけど、書いてるときはいまいち感触が湧かない。それで、ライブでやってはじめて良いか悪いか分かるんだよね(笑)。自分や他人がどう思うかを気にしないで、自分たちがライブでやってみて気持ち良いか。その感覚を大事にしてるよ。

──デビュー作でUnsplashの写真を使ったり、ユニークなアートワークがバンドの象徴でもありますよね。次の作品はどういうアートワークになるのか、アイデアなど教えてください。

チャーリー 最近は友人のローズがアートワークやポスターをやってくれてるんだ。まだアルバムの内容は決まってないけどね。もう少し先になりそうかな。

タイラー 彼女の作品とバンドの芸術性がすごく合ってると思う。それが具体的になぜかは説明できないけど、彼女にやってほしいと思ってる。

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──ありがとうございます。つぎに、この箱から質問を引いてもらえますか? 一つの質問に、みなさん答えてください。最初の質問は「最も大きな影響を与えたのは?」です。

ルイス ヤン・ヘンドリックスというアーティストで……。

チャーリー 待って、誰!?

一同 (笑)

ルイス フルートの即興演奏者なんだ。11〜12歳のとき、即興の演奏を3ヶ月間教えてもらったんだ。しかも、演奏しないでね。即興のセオリーをみっちり教わったんだ。

ルーク ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)って言おうと思ったけど…..J・マスキス(J Mascis)かな。10歳の頃にギターをやってたけど、一回やめたんだ。でもJ・マスキスを見たら、もう一回やりたくなったんだよ。それで昨日、彼のライブを観たよ。まだその辺にいるかな……。見た目も最高だよね。

タイラー 髪が風になびいて、最高だったね。私は……最近はあまり影響とか覚えてないけど、5〜6歳の頃にアヴリル・ラヴィーン(Avril Lavigne)のライブをお母さんと観に行ったとき「すごい、私はこれになりたい」と思った。

メイ いまはジョアンナ・ニューサム(Joanna Newsom)ばかり聴いてるかな。

チャーリー 僕もめっちゃ聴いてる。

メイ ハープを弾くんだよね。

チャーリー 僕はモーリン・タッカー(Maureen Tucker)かな。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)のドラマー。

メイ そうなんだ!

チャーリー 技術じゃなくて、バイブスでやってるんだ。とてもピュアだよね。いまやったらクールかどうかはわからないけど、僕がやったらマネになっちゃうからな。

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──では、つぎの質問は「子供の頃の夢は?」です。

ルイス プロサッカー選手。

ルーク 獣医さん。

一同 (笑)

タイラー プロサッカー選手か、今の仕事かな。

メイ ニュースキャスターになりたかったな。

チャーリー 僕はアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)。

一同 (笑)

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──最後の質問は「お酒で失敗した経験は?」。

タイラー ルイスはさっき吐いてたよね(笑)。

メイ この前のインタビューに参加してたとき、吐いてまた戻ってきた(笑)。汗かいてたし、涙が出てた。

──昨日は結構飲んだんですか?

チャーリー そんなことないよね!?

タイラー ルイスだけだよ(笑)。

ルイス ちょっと二日酔いだった。でも、別にそんなに飲んでないんだよ(笑)。チャーリーがゼリーを持ってきたんだけど、それがちょっと厳しかった(笑)。

チャーリー 僕のお酒の失敗は……フェス続きのとき、<Primavera Sound>に16時間滞在してたんだけど、6時間しか記憶がない(笑)。その後スイスに行って、すごく美しいフェスティバルだったんだけど、死ぬほど辛かった。

ルイス それと、僕のお父さんの話なんだけどさ……。

一同 (笑)

ルイス ジンのボトルを一気飲みしてたんだ。

メイ なんで?(笑)

ルイス わからない。暑くて喉が渇いてたからかな。本当に暑い一日だったからね。そのあと……。

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Photo by 横山マサト
Interview, Text by 船津晃一朗

ライブレポはこちらから

INFORMATION

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Ants From Up There

2022年2月4日(金)
Black Country, New Road
label: NINJA TUNE/BEAT RECORDS

国内盤CD BRC685 ¥2,200(+tax)
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/歌詞対訳・解説書封入
日本限定カラー盤2LP(帯付き/クリスタル・クリア・ローズ)/ZEN278JP
デラックス輸入盤2CD/ZENCD278X
輸入盤2LP (ブラック)/ZEN278
限定輸入盤2LP(ブルー・マーブル)/ZEN278X
デラックス輸入盤4LP(ブラック)/ZEN278BX
カセット/ZENCAS278

Tracklist
01. Intro
02. Chaos Space Marine
03. Concorde
04. Bread Song
05. Good Will Hunting
06. Haldern
07. Mark’s Theme
08. The Place Where He Inserted the Blade
09. Snow Globes
10. Basketball Shoes
+ Bonus Track(国内盤のみ)

Disc 2(Deluxe Editionのみ)
01. Mark’s Theme (Live from the Queen Elizabeth Hall)
02. Instrumental (Live from the Queen Elizabeth Hall)
03. Athens, France (Live from the Queen Elizabeth Hall)
04. Science Fair (Live from the Queen Elizabeth Hall)
05. Sunglasses (Live from the Queen Elizabeth Hall)
06. Track X (Live from the Queen Elizabeth Hall)
07. Opus (Live from the Queen Elizabeth Hall)
08. Bread Song (Live from the Queen Elizabeth Hall)
09. Basketball Shoes (Live from the Queen Elizabeth Hall)

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FUJI ROCK FESTIVAL ’22

2022年7月29日(金)30日(土)31日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場