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Interview : 分解系

ットレーベル、この言葉を最近良く耳にするけれど実際にはどんなレーベルがあってアーティストがいるのかなど分からないことだらけ。というのも、ネットレーベルと一言にいっても世界中にはネット上で活動するアーティストやレーベルは無数にあり、その全てを追って把握することはもはや無謀といえる。

今回Qeticでは、そんなネットレーベルについてやアーティストについてを知るキッカケとして今、注目の<分解系>を主宰する二人に話を聞いてみた。この<分解系>は、国内ネットレーベルで人気の<Maltine Records>や<bump foot>、<ALTEMA Records>などと並び話題を呼んでいるネットレーベルのひとつ。実際にレーベルとしての形態になってからまだ1年。<分解系>を立ち上げる前からネット上で活動していたアーティストのGo-qualiaと、若くしてディレクター/VJとしてシーンで活躍するYakoの二人によって「ネット上にある良い音楽をひとつの場に集めてみたい」という興味と、「離散しがちなネット上の各コミュニティを繋ぎ合わせて、対流させてみたい」そういった想いから、そして何より二人の「たまたま」というタイミングが重なって作られたのがこの<分解系>だ。本業を別に持ちつつも、頻繁に音源のリリースや国内ネットレーベルを集めたコンピ・アルバムのリリース、そして池尻大橋にオープンしたソーシャルTV局<2.5D> で月に1回のイベントを実施するなどアグレッシブかつとにかく興味深い活動を行う彼らは、それでもあくまでもマイペース。インタビュー中も、独特な雰囲気とセンスを放ちつつも、彼らの音楽的ルーツに関してや、その他のネットレーベルについてやこの活動においての表現方法、そしてなぜ<分解系>なのか? などなど熱心に語ってくれた。

8月24日には、レギュラーである<2.5D>でのイベント×USTREAM配信ライブと、9月にはどうやら<分解系>がたくらむイベント(秋葉原mograで開催されているイベント<OUT OF DOTS>の大型版!?)も開催する予定だとか。とにもかくにも、今回この特集で<分解系>に出会ってもらい、彼らが展開する音やその周りのネットレーベルについてなど新たな発見をして欲しい。

Interview : 分解系(Yako/Go-qualia)

「○○系」って言葉があまり好きじゃなくて、それを敢えて使ってみた。何かに属しているようで属していない、そんな名称にしたいと思ったんです。

――まず、ずばり分解系とは?

Yako: 分解系は基本、僕(Yako)とGo-qualiaさん(以下:Go-quさん)の2人でやっているネットレーベルなのですが、元々Go-quさんがネットレーベル周りでの活動をしていて、僕はどちらかというとGo-quさんの音が凄い好きでユーザーだったんです。Myspaceにアップされてたオリジナルの音源を聴いていて、「もっとこういうオリジナルな音源を世に広めましょうよ!」 っていう個人的なファンの願いをGo-quさんに話したのがキッカケで。僕も<分解系>を立ち上げる前から<OUT OF DOTS>っていうイベントを秋葉原のmograでやっていて。今ライブを観たい! というラインナップを集めてやっている個人的な趣味を企画にしていたというか。で、その中で一番呼びたかったのがGo-quさんだったんですよ。ネット上で知り合うキッカケが一度会ったので、すかさずその日中に「東京に来ませんか?ライブしませんか?」 って連絡したんです。僕がUSTREAMでライブをやっていてGo-quさんが観ていることにも気づいて、アピールしようと実際にGo-quさんの曲をかけたりして。Twitter上でファーストコンタクトをして、それが今から1年ちょっと前ですね。

Go-qualia: その時に仲間とたまたまそのUSTREAMを観てて、自分の曲がかかることなかったからビックリして(笑)。本当にたまたまでしたから、タイミングが。ちゃんとオファーをもらったのは、それが始めてだったので、そんなキッカケで実際にこうなったのがビックリしてますね。

――なるほど、じゃあ二人で意識して「ネットレーベルを立ち上げよう!」 って意気込んでというよりは、流れの中でカタチになっていったんですね。

Go-qualia: <分解系>自体は、自分がMyspaceで音源をあげている時に、何かのレーベルとかに所属してないのに所属している風な名称にしたいなっていう遊び心で。それで「○○系」っていう言葉があんまり好きじゃなくて。でも俺自身ひねくれているから敢えてその言葉を皮肉で使ってみようかなって(笑)。自分がサンプリングをすごく使ってたんで、その中の素材で「分解」っていうのを前に見た覚えがあって、それで「分解」って言葉を選んでくっつけて<分解系>って。しかも、さも前からあるかのように自分の名前の後に所属目のように置いて、それで<分解系>って検索してみた時に自分の名前が出てきて、あ、まだ誰も使ってないと思って決めたんですよ。

Yako: 全然、Go-quさんと知り合っていない時にMyspaceで音源聴いて「Go-qualia(分解系)」って載っているから、この<分解系>って何だろう?? でも調べても全然何も出てこなくて(笑)。

――その発想は面白いですね! 嫌いな言葉「○○系」を敢えて使うところや、どこかに属しているようで属していない、でも当たり前のように見せるっていうのが逆に人を惑わせてしまう。ひねくれていますね(笑)。

Go-qualia: 音楽を作っていて自分を全面にプレゼンするような感じでやるよりは、そういう風に濁した方がやり易かったし。宣伝ライクなものとかすごく嫌いだし、告知らしい告知もあまりしてなかったですしね。

Yako: ネット遊びですよね(笑)。
<分解系>って名前を観て、Go-quさんの作風自体が「分解、再構築」、フィールド・レコ-ディングだったり、サンプリングだったりとか。アニメもそうだし、映画もそうだし、世の中にある全てを分解、再構築するっていう、そのものの上に成り立っていると思うんで。Go-quさんの場合はもう作風にそのまま出ている感じでしたね。だから最初に一緒にやる時にレーベル名を決めましょっうってなった時も、Go-quさんから<分解系>でってすんなり決まりましたよ。

Go-qualia: ネットレーベルというモノについては割と前からチェックしていて、海外のレーベルで色々と検索するとエレクトロニカとかでスウェーデンや、北欧、ロシアとかが多くて。アメリカやイギリスみたいな英語圏じゃないからまず言語が全然分からなかったんですけど、ある程度アーティストの概要は分かるように努力して音を聴きましたね。フリーで音源を落とせて、ライブラリ化してハードディスクにどんどんストックしていくっていう、楽しみ方。それで自分がやるんだったらこういう風にやっていきたいと思ってましたね。図書館にたくさん良い本があるように、ネット上にも良い音楽がいっぱいあるっていう。

Yako: 僕の方は海外のネットレーベルを掘ることはあまりなくてネットレーベルも日本のものから入ったので。あと現場でVJをやっていたので、クラブでDJさんやいつも現場にいるメンツと活動していることが多くて。だから実際にネットレーベルの<Maltine Records(マルチネ・レコーズ)>)やimoutoidなどのアーティストを知った時はかなり衝撃的でしたよ。エレクトロニック・ミュージックっていう自分の中の概念を壊されたような感覚に陥って。
サウンド・クラウドもそうだし、Twitterも今そうですけど誰でも持てるソーシャルサイトでどうしても一過性のコンテンツになりがちなので。それをギュッと集める場所、ネットレーベルがあるっていうのは凄い良いなって思いました。

――レーベルのサイト上で<クリエイティブ・コモンズ>というライセンスを敢えて置くのは、やっぱり表現の場として権利関係や色んな規制がかかった時にやり易くなるものですか? ネット上での表現方法として「自由な表現の形」という意味でひとつのアピールでもあるんですか?

Go-qualia: <クリエイティブ・コモンズ>は商標をつけるのと同じ感じですね。法的な拘束がある訳でなく、要は「ステートメントの一つ」として自分が作った作品に対してその人がどういう風に届けて、やりたいかっていう意志表示でしかないんです。でもこれをつけることで作品が近くなるというか、敷居を低くみせられるってのはありますね。やっぱり海外のサイトやネットレーベルの中で、右も左も分からない時にその<クリエイティブ・コモンズ>のマークがあるとやっぱり安心感がありますからね。

Yako: 一個のルールが見えやすいんですよね。つけてないレーベルも、もちろん一杯ありますけどね。うちの場合は<クリエイティブ・コモンズ>っていう選択肢を取って意思表示をした方が良いねって話になって。あと「改変出来る」っていうことでもあって、リミックスとか二次創作が出来るっていう事じゃないですか。そういう表記の上でやりたいなって。
実際、<Maltine Records>さんは微妙に<クリエイティブ・コモンズ>の表記が違うんですよ。<分解系>の場合<クリエイティブ・コモンズ>での表記は「継承して下さい」って意味で。要は、「うちの音源を使って出している素材をリミックスした場合は、うちで貼ってる<クリエイティブ・コモンズ>のマークを同じ様に継承して付けないといけませんよ」っていうことで。簡単に言えばそのルールを継承してよってことなんですけどね。とは言え、そこまで強制しているものでもないひとつの表記ですけどね。

安室奈美恵からアンダーワールド、その後はテクノや四つ打ちを聴きあさった――。<分解系>主宰の二人の音楽的ルーツはここ!

――<クリエイティブ・コモンズ>の表記っていうのは各ネットレーベルの意思表示みたいな感じなんですね~。話は変わりますが、そもそも、お二人がルーツとして聴き始めた音楽はどんなものなんですか? やっぱりエレクトロニカ?

Yako: 僕はエレクトロニカというかテクノや四つ打ちで入りましたね。中学の頃とかすごいミーハーですけど、アンダーワールドの“REZ”が一番はじめのキッカケで。僕の家って全然音楽一家じゃなくて、興味もなかったし、まず家にCDプレーヤーがまなかったんですよ! でも中学時代って友達とかでの会話は音楽が多くて輪に入れなくて。それである時にCDプレイヤーを親に買ってもらって安室奈美恵のCDを2年遅れで買ったりしたら、それを友達に笑われたりしましたね。当時、スピードが流行っていて友達もみんな持ってるから自分も、じゃあ買うかって。それでレコード屋に行った時に店内でアンダーワールドの “REZ”がかかっていて、ちょうど彼らのライブアルバム『エブリシング、エブリシング』(00)が出る時だったからすぐに購入しましたね。そこが入口になってどんどんテクノを聴き漁って、オービタルやケミカル・ブラザーズとか分かり易いところから、さらに<WARP>系に飛んで掘りまくって、だから僕の場合はエレクトロニカに関しての入口は<WARP>かもしれないですね。

Go-qualia: そうだな自分の場合は‥どこからがルーツなのかなあ‥。兄貴がメタル狂で(笑)、だから最初は洋楽が音楽の入口だったかな。当時は、ビルボード系のチャートに、ガンズ&ローゼズとかがランクインしているのが「イカシテル!」 って空気だったんですよね。そこからオルタナティブ系、アンダーグラウンドなシーンが来て、「なんだこれは!?」 って。で、ニルヴァーナとかシアトル系みたいな地域性の強いシーンのものを聴いて、「これがどうやらカッコイイぞ」って中学生なりに思ったりして。ここぐらいから本当にアングラ系の音を聴きだまして、ソニックユースとかノイズ系のものとか。逆にその辺のルーツとなるものを掘り始めて、『ノー・ニューヨーク』(78)やアート・リンゼイにいったり、でも難解すぎると今度は戸惑うんですけどね(笑)。それでテクノが出始めて、あまりシーンに手垢がついてないような頃。エイフェックス・ツインの『アンビエント・ワークス』が出た位か出る前か‥。ブライアン・イーノみたいなものやアンビエント系もそうだし、ルーツっていうとここら辺ですかね。

――面白いですね。オルタナ・ブームが去った後、突如レイヴ・シーンを知らなきゃいけない時代の流れで、当時のガバなどのシーンに自分の行き場を見つけたりはしなかった?

Go-qualia: ゴアトランスとか、そっちには全然行かなかったですね。僕は完全にリスニング思考に向かったんで。でもやっぱりニルヴァーナが一番大きかったのかな。曲がいいだけじゃない、こんなコード進行で、メロディで、このアンビエンスで‥他のアーティストとの違いを知って衝撃を受けた。カート・コバーンがウィリアム・バロウズって詩人の朗読をバックに、ギターでノイズ鳴らしているだけの音楽的には全然良くないんだけどそういうのを中学の時に延々と聴いたりしてましたね。でもルーツを廻るとなるとブルースも入ってきちゃいますけどね。

Yako: ブルースとかロックとか自分は友達の家とかで聴いたりしてましたね。クリームなんかはライブ盤が凄く好きで。原曲が残らないくらい長くなってたりするのが好きで。5分の曲を15分とか20分とかやってて、延々ドラム・ソロをずっとやってたり、あれが堪らなく良かったんですよね~。

Go-qualia: それってある意味テクノの、ロングミックス的なものに近い(笑)。

Yako: そうなんですよ、やっぱりそういうのが好きなんですよ。プログレッシヴなものが流行ってた中で、ミニマルとかテックハウスが始めたのは僕が20歳過ぎの時だったけど、自分はとにかくクラブで四つ打ち系で踊るのが凄く好きだったので。あとは、<COCOON RECORDINGS>のアーティストとか好きで良く聴いてたりしますしね。高校の時は、Go-quさんがさっき聴かなかったって言ってた系統のゴアとかサイケとか、自分は結構聴いてましたね。

☆インタビューまだまだ続く!次ページへ

Qetic編集部

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