chay×Crystal Kay対談ドラマ『あなたには渡さない』主題歌「あなたの知らない私たち」で見せた化学反応を紐解く！

Interview ｜ 2018.12.10 Mon

現在お茶の間を賑わしている、愛人が本妻に「ご主人をいただきにまいりました」と挑戦状を叩きつけ幕を開ける愛憎ドラマ『あなたには渡さない』。その世界観をより紅く濃厚に彩る昭和レトロでエキゾッチックな主題歌“あなたの知らない私たち”。

いったい誰が歌っているのかと思えば、chayがフィーチャリングにCrystal Kayを迎えた曲だった。chayと言えば、ピュアなラブソングのイメージが強い。

また、海外にR&Bをルーツに持つCrystal Kayも、ここまで和のテイストが強い曲にチャレンジするのは初めてではないだろうか。そんな意外なアーティスト同士のコラボであるにも関わらず、このゾクゾクするようなスリルと色気はなんだ。

今回は、二人に曲の印象やレコーディング秘話、振り付けの細かいミュージック・ビデオでの苦労話などついて聞くことで、そこに生まれた化学反応の秘密を紐解いていった。

Interview：chay×Crystal Kay

——お二人はもともと繋がりがあったんですか？

chay　Crystal Kayさんは、私がデビューする前からずっとファンだった憧れのアーティストなんです。デビューしてからは、フェスや歌番組の収録などでご一緒する機会が何度かあって、少しご挨拶したことはあるんですけど、こうして一緒に組んで、音楽やパフォーマンスについて話したのは初めてです。

——実際にコラボしてみて、どんな印象を持ちましたか？

chay　歌もダンスも、さすがだと思いました。でも、レコーディングの時も、ミュージック・ビデオやジャケ写を撮影した時も、とにかくバタバタしていて、仕事の話以外はほとんどしてなくて。だから、こういう作品が出来上がったあとの取材や空き時間を通じて、お互いのパーソナルな部分も見えてきて、今まさに距離が縮まってきている感じ。さっきも、お互いにお酒が好きだってわかって、「今度飲みに行こうね」って話してました。

Crystal Kay　うん。打ち解けてきてる感じ、あるよね。

——今回コラボされた“あなたの知らない私たち”は、ジャジーで昭和レトロな異国情緒漂う曲で、ドロドロした二人の女の戦いを描いた歌詞も印象的な曲。chayさんは、オーセンティックなソウルやポップスを歌うイメージはありますけど、今回のようなムードの曲は初めてですよね？

chay　初めてですね。今回はドラマ『あなたには渡さない』の主題歌ということでお話をいただいて、ドラマのテーマを聞いたら、今まで歌ったり書いたりしてきたピュアなラブソングやハッピーな曲の世界観とは真逆で、びっくりしましたけど、やり甲斐はあると感じてたんです。

——昭和の昼ドラのような愛憎劇の現代版と言うか。

chay　そのドラマの一部である主題歌にチャレンジできる。これはいろんな方の力を借りて、ドラマのストーリーをバックアップしていけるような、素敵な曲にしたいと思いました。

——Crystal Kayさんも、R&Bを軸に、ノスタルジックなテイストから、その時代ごとの色が出た新しいサウンドまで、さまざまなタイプの曲を歌われてきましたが、こういう曲はなかったんじゃないですか？

Crystal Kay　なかったですね。でも、すごくいい曲がきたなと、思いました。ダークなんだけど力強い女性の曲、なおかつキャッチーで一度聴いたら頭から離れない。

——簡単な曲じゃないですし、お二人とも初めて歌うタイプの曲でもあった。苦労はしませんでしたか？

Crystal Kay 二人の女性の対決。歌詞もダイレクトで曲の世界観がはっきりできあがっていて、そこにちゃんと違うタイプの女性が二人いるから、私は引き寄せられるように悪女に。

chay　そして私はしたたかなほうに。その二人がバチバチするなかにある色気を楽しんでいただければ。

——曲の世界観がはっきりしている。なりきる、ということですか？

Crystal Kay　そうですね。自分で書くと自分の想い出とか体験に戻っていくような感じはあるんですけど、ここまで物語とかキャラクターっぽいものはなかなかないですからね。そこがすごく面白かったです。

chay　簡単ではないけど方向性ははっきりしているという意味では、やりやすかったです。

——技術的な変化はありましたか？

chay　そうですね。大人の女性同士が戦うさまを描いたドラマであり曲だから、キーもあえて下げました。いつもは明るい曲が多いので声も張り気味に歌うんですけど、今回は張るところは張りつつ、Aメロとかは、声の抜け感を大切に弱めに歌ったり、ブレッシーと言うか、吐息交じりで妖艶な感じが出るように歌ったりとか。

Crystal Kay　私は、そうだな……。うん、歌謡曲っぽさと歌詞の良さを活かすために、真っすぐ歌いましたね。こねくり回すとか、フェイクを入れるとか、そういうことは感じ完全に切るようなイメージで。

chay　Crystal Kayさんがどう歌うのかは、当然すごく興味がありました。そこで、いつもとは違うCrystal Kayさんが見られて、ほんとうに良かったです。

——言葉とメロディーが相俟ったときの力において、お二人の新しい一面を衝撃的なレベルで感じることができました。

Crystal Kay　ほんとですか？　それならよかった！　いろいろ初めてだったから、少し不安もあったので。

——ミュージック・ビデオも、ドラマと曲の世界観にぴったりですね。

chay　ビデオはほんとうに大変でした。もう大人だから泣かなかったけど、泣きそうなくらい（笑）。Crystal Kayさんは踊りも完璧なんですけど、私はぜんぜん踊れないしそもそも苦手。なのに、振り付けを当日教わって覚えて撮影することになったんです。とにかくみんなに迷惑かけないように、必死に見よう見まねで。

Crystal Kay　踊ったことなくてあれは、ほんと大変だよね。サビごとに振りが違うし、情報量が多いから。でも、ちゃんとできてたよ。ダンスがあるとないとでは、ビデオの印象もずいぶん変わっちゃうから、やってよかったと思います。

chay　できてたならよかった。確かに、私には難しいダンスだったんですけど、キメのところでは、そんな私でもすぐできた簡単な振りもあるので、女性同士とか男女でも、カラオケとかでやってみてもらえたら嬉しいですね。

——そうやって、自分だけで作詞作曲していたら手を出さないかもしれない、新しいことにチャレンジすることで、芽生えてくる気持ちもあると思うんですけど、どうでしょう。

Crystal Kay　特にミュージック・ビデオにそれを感じましたね。レトロで妖しい感じと、モノクロと赤いカーテンの色彩感。ちょっとフィンガーウェーブの悪い女。むんむんな感じを演じたくなっちゃう。日本って、雑誌とかでもそうなんですけど、海外みたいな感じのテーマ性の強い特集が、あまりないような気がするんです。今回みたいに、悪い女とかある時代の女になりきる、みたいな。こういうのは見ていても楽しいし、もっとやっていきたいです。

chay 上目使いから視線を外したり、上から目線で見てみたり、普段はしないからこそ楽しかったし、私ももっとやっていきたい。