ベッドルームからブロードウェイへ、東京へ、大阪へ、宇宙へ、そして伝説へ…。NYの宅録アストロガールことコンピューター・マジック=ダニエル・ジョンソン(通称、ダンジーちゃん)が、昨年11月の初来日公演の記憶も新しい中、早くも2度目の来日を果たします。
元オープニング・セレモニーのスタッフだったという事実もうなずけるオシャンティーなルックスとは裏腹に、キューブリックや『スター・ウォーズ』などを愛する生粋のSFオタクというギャップに日本中の文化系男子(もちろん女のコも)がメロメロになったわけですが、CM最大の魅力はそのチープなシンセ・サウンドを生かした自由で夢見心地なサウンドスケープ。肩ひじ張らない浮遊感たっぷりのヴォーカルも最高ですが、日本独自盤としてリリースされた『サイエンティフィック・エクスペリエンス』(12年)でも証明されていたように、時代のトレンドや空気感をつかまえるのが実にうまい。オリエンタル風味を取り入れたのも、フェニックスよりずっと早かったよ!
というわけで、ダンジーちゃん再来日まであと少し。USツアーを終えたばかりの彼女をキャッチし、気になる1stアルバムの進捗状況から、ザ・ストロークスやSF映画のこと、ファッションのこと、さらには前回来日時のエピソードまで、たっぷりと語ってもらいました。
Interview:Danielle Johnson(Computer magic)
Computer Magic – The End of Time
ストロークスが出てきたのと同じ街に住んでいるなんて、
すっごく興奮する
――以前、その日の気分で好きなアーティストが変わると語っていましたが、今日は誰に夢中ですか?
最近はずっとフランク・ザッパばっかり聴いてるの。『アポストロフィ(’)』(74年)とかね。それからナイル・ロジャースもよく聴いていて、彼とファレル(・ウィリアムス)がコラボしたダフト・パンクの新曲(“Get Lucky”)も大好き!
――さて、昨年11月には初来日も果たし、この1~2年でガラリと生活や環境が変わったんじゃないかと思うのですが、もっともエキサイティングだった出来事は何ですか?
ちょっと前までUSツアーに出ていたんだけど、ボストン、デトロイト、ニューオーリンズ、カンザスシティ、ミネアポリス……いろんな街でプレイしたわ。それと、オースティンの<SXSW>っていうフェスティバルでも演奏したんだけど、それがすごく楽しかったな。
――本格的な音楽活動としてはコンピューター・マジックが最初だとお聞きしましたが、子どもの頃からピアノなどの楽器を習っていたのでしょうか? また、人生で初めて作ったオリジナル曲は何ですか?
これといって特別な音楽のレッスンは受けたことがなくて、小学生の時にクラリネットを吹いていたぐらいなのよね(笑)。それも年月が経ってからはぜんぶ忘れちゃったし、今作っている音楽はほとんど耳コピみたいにして書いてるの。
――「コンピューター・マジック」という名義で活動し、インターネットの恩恵も大いに受けている世代かとは思うのですが、カセットやヴァイナルでも多数の作品をリリースしていますよね。あえてアナログな媒体にこだわる理由は何でしょう?
個人的に音楽はアナログなフォーマットのほうがずっと音が良いと思う。デジタルよりもあたたかみも感じられるし、耳にもやさしいと思うな。それに、フィジカルな形で音楽やアートワークを所有するのは素敵なことよね。
――日本オリジナル盤として『サイエンティフィック・エクスペリエンス』がリリースされましたが、そろそろフル・アルバムが待ち切れません…。年内にはリリースできそうですか? それとも、EPの方があなたにとっても都合が良い?
アルバムは今年の終わりまでには出せると思う。私もリリースまで待ちきれないの(笑)! その前にEPを出してしまおうかとも思っていたんだけど、私だってこれ以上リリースまで待ちたくないし、とにかくフル・アルバムを出してしまうのが一番だと思って、リリースを決めたばかりよ。
――コラボレーションしてみたいアーティストや人物はいますか?
えっと、すぐに思いつくのはレディオヘッドにタイラー・ザ・クリエイター、ダフト・パンク、ミューズ、テーム・インパラ、ツイン・シャドウ…かな。一緒に音楽をやりたいと思えるアーティストや、才能ある人々はすごくたくさんいるの。
――ステレオガム(米音楽情報Webサイト)が企画した『Stereogum Presents… STROKED: A Tribute To Is This It』では“Take It Or Leave It”のカヴァーを披露していましたよね。NYで暮らすあなたにとって、ストロークスとはどんな存在ですか? また、彼らの最新作『カムダウン・マシン』はどうでした?
NYに住むことが出来るなんて最高よ。私はNYの北部出身なんだけど、今住んでいるところからそんなに遠くない場所に住んでいたの。音楽がすぐそばにある街に住むことには、何か特別なものを感じるわ。ストロークスが出てきたのと同じ街に住んでいるなんて、すっごく興奮する。子どもの時は彼らの曲をよく聴いていたし、新しいレコードも大好き。
――あなたがSFオタクだというのもファンにはお馴染みとなりましたが、いちばん好きなSF映画やサントラ、キャラクター、ゲーム、小説などを教えてください。
SF映画で好きなのはたくさんあるわ。『2001年宇宙の旅』(68年)とかね。スタンリー・キューブリック監督が大好きなの。『ブレードランナー』(82年)も私のフェイバリットだし、フィリップ・K・ディックの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(69年)も好きよ。私がずーっと好きなSFのキャラクターは、たぶんバーバレラ(ジェーン・フォンダ演じる映画『バーバレラ』(68年)の主人公)と、ハン・ソロ(ハリソン・フォードが演じる『スター・ウォーズ』のキャラクター)かな。
――今やコンピュータひとつで架空のオーケストラを作ることも可能ですが、もし予算制限ナシで創作活動ができるとしたら、どんなことをやってみたいですか?
ワオ、難しい質問ね! うーん、そうだなあ…。いつかコンピューター・マジックの長編映画を作ってみたいのと、それのサウンド・トラックをすべて自分の曲にしたいな。すっごく楽しそう。可能性は無限だしね! でも、今から20年後の世界はどうなっているんだろう? って考えたりもするわ。どこかのスタジオにテレポーテーションして、誰かと一緒に音楽がやれたら素敵よね。
――オープニング・セレモニーでアルバイトをしていたことがあるんですよね? とても素敵なファッション・センスをお持ちですが、ファッションのお手本は誰? そしてNYでお気に入りのショップを教えてください。
私のファッションは古い映画から影響を受けているの。たとえば、ジャケットとかスニーカーが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)や『ブレックファスト・クラブ』(86年)で使われているようなものだったりね。NYでお気に入りのお店なら、やっぱりOAKとかオープニング・セレモニーかな。それからヴィンテージ・ショップも大好き! ブルックリンのNorth 6th Streetにある「10ft Single By Stella Dallas」っていうお店によく行っているんだけど、NYでいちばんと言ってもいいぐらいお気に入りね。
――初来日の際は原宿でライヴを行いましたが、日本人…特に女のコのファッションをどう思いましたか?
日本のファッションは大好きよ! 日本で自分の服を全部揃えられたらなあ…って思うわ。東京でプラットフォーム・シューズを一足買ったんだけど、こういうのはNYでは絶対見つけられないわね。すごく気に入ってるの!
――そういえば、前回の来日時にファンからライトセーバーのお箸を貰ったそうですね。赤・青・緑の3色がコンプリートできたそうですが、どんなシチュエーションで使い分けてるの?
寿司を食べるときに使ってるんだけど、その時の気分によって使い分けてるかな。
――前回はスケジュールの都合でやり残したことが多いそうですが、今回の来日で行ってみたい場所、やってみたいことは? 大阪にも初めて行かれるんですよね。
もっと色々と探検してみたいな。カラオケは絶対にハズせないし、東京ディズニーランドにも行ってみたい! もちろん、ぜんぶ達成できる時間があるかどうかはわからないけど(笑)。大阪に行くのは本当に待ちきれないの。まだ一度も訪れたことがないしね。日本を訪れるのはこれで2回目になるんだけど、とっても興奮しているわ。
――前回のライヴ会場だったVACANTはもともとアパレル&雑貨のお店で、今回の東京公演が行われるWWWは元・映画館なんですよ。前回とは違ったバンド編成、パフォーマンスや新曲にも期待して良いですか?
新しいコスチュームに、新しい映像、それから新曲ね。楽しみにしてて!
――フェイスブックには「I’m not good at writing biographies(バイオを書くのは得意じゃない)」と書かれていますけど、今回の来日公演に行くべきかどうか迷っている読者に、メッセージをください!
日本に戻るのが本当に待ちきれないわ。私がこれまで行った中でも大好きな場所の一つだし、ファンのみんなも最高。前回訪れたときは、自分たちがすごく歓迎されているのを感じた。大阪と東京のライヴは絶対に楽しいものになるわよ! ライトセーバーを使ったアクションもやるかもね。
Interview&text by Kohl Ueno
Event Information
Tugboat Records presents Computer Magic Live in JAPAN 2013 2013.05.27(月)@大阪CONPASS OPEN 18:00/START 18:30 ADV¥4,000/DOOR¥4,500(共にドリンク代別) Act:Computer Magic、Homecomings、Sugar’s Campaign DJ:MAYUMIKILLER ローチケ(Lコード :52625) 2013.05.29(水)@渋谷WWW ※Computer Magic のライヴ開始時間は両日公演ともに19:30過ぎを予定。 |
Release Information
Now on sale! Artist:Computer Magic(コンピューター・マジック) Title:Scientific Experience(サイエンティフィック・エクスペリエンス) Tugboat/P-VINE PCD-22360 ¥2,310 (tax incl.) Track List |