ミッツィー 僕のミックスは底なし沼ですね。悪い大人にだまされる結婚詐欺師みたいなCDです。とにかく優しいんですよ。それである日突然、暴力を振るうんですよ。最後は「ごめん、さっきは悪かったな。お前のこと、愛しているから」という流れを繰り返す。相手が最初のお金を出すまでが長いんですよね。キマグレンとかはパーティー感があるけど、D.W.ニコルズ、氣志團、Baseball Bearあたりは少しオラオラ系ですね。

――そうですね、ここで一気に変わりますね。

ミッツィー (((さらうんど)))あたりで冷却期間を置いておくという感じですね。それで、フジファブリックあたりでセンチメンタルな思い出話をするんです。そして“LOVE&PEACE”とか“だいすき”とか何事もなかったかのように(笑)。

――女性に対していやらしい要素が詰まっているなと思いました。性的な意味ではなく。

ミッツィー そう。いやらしいんですよ、すごく。20代〜40代とターゲットを広めに置いたといういやらしさですね。以前にOLポップスという定義がありましたけど、それは古内東子さんとかが歌っている曲なんです。その対義語じゃないけれど、男性ヴォーカルがOLに向けて歌っている曲は何だろうと辿り着いたのが、「オフィスソウル」だった。僕はロックの中にもOL感、オフィス感があるかもしれないと思っていて、氣志團に関していうとギリギリかもしれないけど、優しいだけの男ってちょっと納得いかないし、魅力的じゃないですよね。

――女性としたら、もうちょっとスパイスがほしいのかもしれない。

ミッツィー ラヴァーズロックとして聴いてほしいというか。本当は、もうちょっとエフェクトをかけたいんですけど、そこまでやると怒られちゃうので(笑)。J-POP DJはファンキーモンキーベイビーズを盛り上がる曲としてかけると思うんですけど、実はちょっと落ち着いた雰囲気の中でかかるのがメンバーは好きなんじゃないかなと勝手に思っていて。あとはiTunesのチャートを見たりして、ファンが好きそうなものをしっかりとフィルターを通して、最終的に落とし込んでいきました。

フクタケ 僕も結構せめぎ合いましたよ。最初の選曲候補を50曲ぐらい出した段階でレコード会社の人とディスカッションをしたときに、何がキャッチーかという話になったんです。メジャーでポップなもの、アーティストより楽曲の知名度が高いものというオーダーがあったので、それを入れつつDJミックスとして繋がなくてはいけないので、繋ぎの要になるような曲も欲しかった。DJとしては、埋もれているけれど是非聴いて欲しいという曲もあって、その辺りを色々煮詰めていった結果、34曲になりました。

――なるほど。

【インタビュー】通り魔系に結婚詐欺師系J-POP?! DJミッツィー申し訳×DJフクタケの爆笑J-POP DJ対談! interview140220_jpop_0090-1

フクタケ メジャーな本田美奈子さん、古い世代の方にはゴールデンカップスみたいなグループサウンズの当時売れたグループの曲、それ以外に、脚光を浴びた昭和のグループ、昭和のPerfumeみたいな感じにYouTubeで騒がれたスターボーとかをちゃんと楽曲として聴いてもらいたかったので、意識的に選曲しましたね。

ミッツィー サニートーンズの曲は、さっきのキャッチーな感じですか。「これを入れなかったら僕やらない」みたいな?

フクタケ はい、拗ねるところですね。これは、「怪奇大作戦」っていう円谷プロダクションが製作した子ども向けSF特撮番組のエンディング曲なんですけど、めっちゃジャズなんですよね。そういった子ども番組の中でもグルーヴを意識した曲とか、クラブ目線で聴くと踊れる曲がある。そういうものも個人的には掘り下げているので、今回のミックスに入れたくて、無理矢理ねじ込んだところがありますね。この並びで聴くことで、「これってファンクだったんだ」とか「これってグルーヴで言うと黒っぽいな」というのを見つけてもらえたら面白いと思いますね。

――曲数の話がありましたけど、ミッツィーさんも34曲に合わせていて。

フクタケ 『ヤバ歌謡』の方はこの情報量に対してジャケ写と解説文が付いているので、非常にコストパフォーマンスは高いです。

ミッツィー 僕はジャケットのビジュアルにこだわった。勝地涼さんといういい男を揃えて。ジャケ買いってします?

――もちろんしますよ。これは中身を知らなくても手に取る人がいるんじゃないですか?

ミッツィー 分かっちゃいます? いやらしいくらいに考えていたので、最初からジャケのイメージは決まっていて。僕のわがままを全部聞いていただきました。

――某朝の情報番組のオマージュというか(笑)。

ミッツィー 設定としては、日曜日の昼下がりに彼女に料理を作ってあげる、ちょっと不器用な男の子。その設定を満たす、日差しがやわらかい雰囲気の画が撮れるスタジオを探していただいたんです。現場ではいいショットがたくさん撮れて、やり過ぎると、ブックレットは勝地涼写真集になってしまって、事務所から違うお金を請求される恐れがありました(笑)。初回限定盤として、料理を作っているDVDを付ければよかったですね。

――同じミックスCDという括りでも、見事に対局的な感じになりましたね。

フクタケ パッケージも対極的で、僕は紅白のめでたい感じですね。

ミッツィー 「フクタケさんは赤っすか。じゃあ、俺はグリーンと金で」みたいな。

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