2000年の休止から2014年復活を遂げるまで
——そして3年半続いた<HONEY DIP>は2000年いっぱいで終演し、後続的イベントにYellowで<Fowl>を開催していましたが、これはどういった理由からなのでしょうか?
Yellowでは不定期のイベントをやっていて、HOUSEのイメージが強いこの箱で、自分の帯のイベントをやってみたいと思っていたらチャンスが来たので、このタイミングをうまくつかみたかったという想いからはじめました。だけど、当時の自分の考えは甘くてYellowに移ってからは集客が減りましたし、イメージ通りには行かなかったですね。それでも、ロニー・ジョーダンや、ファーサイドなどの外タレも呼びましたし、結果としてはよかったですし、そこで学ぶこともありました。今考えてみてもあのまま<HONEY DIP>を続けて行くのは難しかったと思いますし、正解はわからないですが、良い時期にスパッと辞めたことで、<HONEY DIP>はブランドとして確立されて、今もこうして続いているんだと思っています。
——そして2005年からは、<HONEY DIP mini(以下、mini)>としてハーレムで開催をしていましたよね。
<mini>は、<HONEY DIP>とはまた違った感じでしたね(笑)。「3Fでゆるくやらないか?」と声をかけてもらってYANATAKEと一緒にはじめました。その時の自分は、ゆるさやラウンジ感があるものをも求めていたし、メインだと難しいようなものでも<mini>だと遊び感覚で選曲やプレイを試すことができました。3ヵ月くらい続けたら形もできて、ハーレムでやることでまた仲間も集まりましたし、新しい世代も入ってきてくれました。結果として<mini>は5年半やりましたが、責任感というより遊び心があって、居心地も良かったので長く続けられたのかもしれませんね。
——そして一時期の休止期間を経て2014年に<HONEY DIP>は復活しましたが、なぜこのタイミング、そしてビルボードで開催をしたのでしょうか?
90年代の<HONEY DIP>に遊びに来ていた人は落ち着いてきて、その時のメインターゲットはもうクラブには行かないだろうという風に感じていました。そんな時に、2013年のビルボードで、モータウンの55周年イベントなど、ジャックダニエルのフリーイベントを2回ほど企画させてもらい、次に新しく興行としてイベントをしようという話になりました。そこでビルボードのターゲット層とのすり合わせを考えていた時に、<HONE DIP>だろうな、と頭に浮かんできて開催にいたりました。
<HONEY DIP>2014年の模様
——復活は1回目からチケットがソールドアウト。復活を待っていた人は多かったですよね。
はじめてのビルボード開催でしたが、オリジナルメンバーに馴染みのあるメンツ。Sugar Soul、Zeebra、Mummy-Dを呼んだら間違いはないだろうと思って、選曲もカチッと90年代をメインにして開催しました。2ヵ月前の発表でしたが2週間でチケットは完売して、2回目の開催も2週間で完売しました。
——選曲はカチッと90年代とおっしゃっていましたが、<HONEY DIP>復活の間までの数年でHASEBEさんの音楽観やプレイスタイルに変化はありましたか?
今の自分は、現行のHIP-HOPはかけませんし、ブレイクビーツ寄りですね。後はインディポップ感が強いものや、自分でリエディットを作ってかけています。だけど<HONEY DIP>で求められているのは、「あの頃の自分」なので、その時の自分をひとつのプレイスタイルとして確立していますし、それで応えていきます。<HONEY DIP>という90年代のイベントを絶頂期でスパッと辞めたことはブランドとして、そして自分のプレイスタイルとしても武器となっています。ビルボードではクラブには行かなくなってしまった90’sスタイルが好きな人が集まってくれたら、その場で求められていることにしっかりと応えるプレイをして、集まったみんなを楽しませます。
——クラブから足が離れていた世代と、ビルボードの開催はうまくフィックスしたんですね。
そうですね。それと今年は<GREEN ROOM>など、フェスの出演も増やしています。今後も<GREEN ROOM CAMP>や<GO OUT CAMP>も決まっていますが、この層は自分のターゲットにも近いものがあります。子供と一緒に来ることができますし、大人だけで楽しんでくる人もいる。そこでは今の自分が持っているプレイスタイルもだしたりします。今後は<HONEY DIP>の野外フェスを開催したら面白いイベントになりそうですね。
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