Interview:DJ MAAR
――先ほど、さっそく会場を拝見したんですが、めちゃめちゃお洒落だし、いいスペースですね!
めちゃめちゃいい会場です! また原宿って立地も最高ですよね。オレは裏原カルチャーだったり、面白いストリート・カルチャーが原宿から発信されるのを思いっきり体験していた世代だから、原宿には特別な思い入れがあって。裏原カルチャーのようなものはもう一昔前の話になったけど、それでもいま原宿はすごく面白いと思う。マスなものもニッチなものもぐちゃぐちゃに入り乱れているというか。原宿は前から渋谷よりもファッションの街って感じだったけど、もはやいま渋谷は音楽の街じゃないし、むしろ原宿のほうが音楽の街になってきているのかもしれないって感じもする。最近、新しいクラブもできたしね。
――もってこいな場所だと。
うん。本当にそう。いま原宿が俄然面白いなって思っている。竹下通りを歩けば昔ながらの竹の子族みたいな人たちもいれば、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)のフォロワーみたいな人たちもいるし、パンクスもいるし、外人も多いし、少し路地に入ればスケーターもいたり・・・もう、ぐちゃぐちゃじゃないですか。もし今回の話が原宿じゃない場所だったら、断っていたかもしれない。最初にオファーが来た時、オレが先生なんて世も末だと思ったんだけど、原宿だったら無理なくやれるかもしれないって思った。
――なるほど。そんな最高の立地で開催される今回の講座ですけれど、そもそもどういう経緯でやることになったんですか?
これはいつも言ってることなんだけど、今ってテクノロジーが進化して誰でも気軽に、しかも簡単にDJができるようになりましたよね。それ自体は良い部分も悪い部分もある。シーンの底上げには繋がったかもしれないけれど、DJはそんなに簡単でインスタントなものじゃないという気持ちもある。プロフェッショナルっていうのは誰でも気軽にできるものではないから。僕たちはこれまでの活動の中で誰でもDJができるってことを示してきたし、それはそれで達成できたとも思っている。だけどその弊害もあるなって感じていて。それがまさにプロフェッショナルであるかどうかってことで。
――つまり?
ただミックスが出来れば良いってものではないという部分。とんでもない選曲やミックスの仕方で、でもただかわいいからってだけで仕事をもらえている人もいたりするし。すごく乱暴な言い方かもしれないけれど、オレはそこには未来を感じないから。でも自分たちがそういう状況を作ってしまったことに加担したという反省もあるので、だったら自分がやれる範囲で、自分が経験してきたことを次の世代に伝えていくということをちゃんとやりたいなって考えはじめて。機材の使い方やミックスの基本なんてものは、YouTubeを探せばすぐに出てくるし、そういう教科書を読めば載っているようなことは、今回、オレがやっても意味がないなって。その曲をなぜその時間帯に落とすのかとか、なぜいまその曲がかっこいいと感じるのかとか、そういう部分こそが重要だし、そういうことを語っていきたいですね。それは経験でしか語れないところだと思うし。