どんぐりずがいよいよ存在感を強めてきた。2022年はMondo Grossoの“B.S.M.F. feat. どんぐりず“、BIMとの“Anchovy feat. どんぐりず”など人気アーティストの作品に参加し、90年代初期のUKダンスミュージックを鮮やかに取り込んだ『4EP3』も発表した。

さらに<POPYOURS>、<FFKT>、<森、道、市場>などさまざまなフェスにも出演。ライブパフォーマンスの評価も高い。

そんなどんぐりずがNAGAN SERVERと共作で新曲“a little question – Shōtaro Aoyama Remix”を発表した。ヒップホップとクラブミュージック。ポップとアンダーグラウンド。さまざまなジャンル、年代、価値観のクロスオーバーポイントである二人に話を聞いた。

INTWERVIEW:
どんぐりず

桐生からクロスオーバーし続ける──どんぐりず、インタビュー interview220725_dongurizu_01-1440x960
森、チョモ(L→R)

NAGAN SERVERさんはクールでカッコいい先輩。かつ……

━━新曲はNAGAN SERVERさんとの共作“a little question – Shōtaro Aoyama Remix”ですが、オリジナルは未発表なんですか?

チョモ オリジナルは俺のトラックなんですけど、青山さんのリミックスがカッコ良すぎたので、こちらを先に出すことにしました。

 オリジナルもめっちゃかっこいいです。ミニマルでディープな感じ。

チョモ そもそもの経緯は順を追って説明すると、まず俺らがNAGAN SERVERさんの大ファンなんです。俺らはNAGANさんが群馬の高崎でライブをやった時も客として観に行ってて。だから『4EP1』のリリースパーティーの時に出演をお願いしたんです。そしたら快諾してくれて。

 そこからめっちゃ仲良くなったんです。NAGANさんはリリースパーティーの次の週には桐生に遊びに来てた。

━━人間的にもすごくあった。

チョモ 森との……。

 ふざけが……。

チョモ 止まらないとまらないんですよ。それがめちゃくちゃ面白い。

━━チョモさんは加わらない?

 加わるっすよ。でも俺とNAGANさんが早すぎる。

チョモ そう(笑)。だから二人のやりとりをリスナーとして聞くって居場所を見つけました。

━━NAGAN SERVERさんというとクールでカッコいい人というイメージがあったんですが……。

チョモ そこは間違ってないです。クールでカッコいい人。かつ……。

 ふざけてる(笑)。マジでヤベー人なんです。後輩としてついていきたい人。めちゃくちゃカッコいい。俺は自分が相当ふざけた人間だと思ってますけど、NAGANさんと会って「こんなふざける人いるんだ」ってなりましたもん。尊敬しまくってます。

チョモ 森はNAGANさんを先輩として慕ってますね。同じような感じで、俺は青山さんからめっちゃ勉強させてもらってます。

 それすごい感じる。NAGANさんはラッパーだから、俺にストリートのいろんなことを教えてくれるんです。「こういうことはしないほうがいい」とか。あと人間的に近いところがあるから、俺の個性を踏まえてかわいがってくれてる。俺、洋服が好きなんですけど、いろんな関わりを作ってくれたり。今回、青山さんにリミックスをお願いすることになったのもNAGANさんのアイデアなんです。

チョモ その後NAGANさん、青山さんと四人で飲んで、三日後くらいにあのリミックスのほぼほぼ完成形が送られてきました。びっくりしましたね。

━━チョモさんはトラックメイカーとして青山さんからどんなことを教わったんですか?

チョモ 音楽との向き合い方ですね。何の為に音楽をやっているかというか。俺は今自分が好きな音楽を好きなように作ってる。けど、青山さんは自分の為だけに音楽をやり続けることには限界があると話してたんです。自分の好きだけを追求し続ける事というか。だから敢えて音楽をやる目的を外に向けることで大分気が楽になるって。

━━しかもあのクオリティのリミックスをすぐ送ってきてくれると、言葉の説得力も増しますね。

チョモ 間違いないです。

━━タイトルやテーマはどのように決まったんですか?

チョモ 俺が作ったオリジナルのビートの上で、二人がフリースタイルしてる中で出てきたんじゃなかったっけ?

 そう。NAGANさんが着てきたシャツに小さいクエスチョンマークがついてたんですよ。そこきっかけに二人でフリースタイルしてたら、NAGANさんから“a little question”って言葉が出てきた。あとはノリですね。言うことも決めてない。録りもほぼ一発。

━━“a little question – Shōtaro Aoyama Remix”はどんぐりずにとって大きな意味のある一曲になったようですね。MVには青山さん、SIRUP、高岩遼(SANABAGUN.)、斎藤雄哉(yonawo)も出演されてるとか。

 はい。NAGANさんが連れてきてくれました。かなりヤバいですよ。あとダンスが凄い。かなり見たことないタイプだと思います。めちゃくちゃオリジナル。てか、このMV見るとNAGANさんのイメージ変わると思います(笑)。

チョモ とにかく明るいです。楽しそうな映像になってるんで。

 曲は激クールだけどMVはチョケてる。おもしろい違和感になってると思います。

NAGAN SERVER × どんぐりず – “a little question” Prod. Shōtaro Aoyama Remix

最近レイヴっぽい音がきてるし、先にやっとこうってノリはあったっすね

━━共演といえば、Campanellaさんとの2マンはいかがでしたか?

チョモ めちゃめちゃ最高でしたね……。

 夢。一個叶った。高校の頃から大好きで。

━━若かりしお二人がCampanellaさんと一緒に撮った写真を見ました。

チョモ あれはCampanellaさんが地元のクラブに来た時に初めてライブを見に行って「一緒に写真撮ってください!」ってお願いしたやつですね。

 5〜6年前? たぶん『PEASTA』が出たすぐ後くらい。俺はMVで知って「この人(地元に)来るんだ」って。RAMZAさんもその時に知って。「やべーシーンだな」って思ったんです。その頃位から深くヒップホップにハマった。それくらいCAMPYさんが好き。

━━『PEASTA』もめちゃかっこいいアルバムですよね。

 クッソいい。スルメ。ずっと好きです。

チョモ この間のライブも自分の出番が終わった後、客席からCAMPYさんのライブを見てたんですけど、ぶち上がりすぎてめっちゃアンコールしてたところをお客さんに撮られてて、かなり恥ずかったです(笑)。

━━『4EP3』もめちゃ好きでした。“Oto mafia”はロニ・サイズ(Roni Size)を思い出しました。でもお二人がやるとノスタルジーじゃなくフレッシュなのが面白かったです。

チョモ あの曲はまさにロニ・サイズとか90年代のドラムンベース、しかもちょっとジャングルっぽい感じをやりたいよね、と森と話しながら作りました。そうなると『4EP1』より早い四つ打ちが欲しくなって“Funky Grandma”も作ったり。

━━“Funky Grandma”もUKっぽいですよね。しかも森さんのラップパートがない。

チョモ 歌うことを想定しないで作りました。

 俺、この曲好きなんですよ。超飛び道具。最近レイヴっぽい音がきてるし、さらに流行りそうじゃないですか。なんで先にやっとこうってノリはあったっすね。あと『4EP3』はデカい音っていうのがポイントなんですよね。

チョモ それっ! 全体的にラップの曲を作るってイメージじゃなく、クラブでDJが流れの中でスポット的に選曲できるラップというか。

 俺も今回はラップしようとしてないです。ループ感が大事で、そこに合う言葉を選んだ感じ。“Bomboclap”は特にそういうイメージ。

チョモ うん。(DJプレイに)溶け込んでいく感じ。でも一曲の中にストーリーがある。スローになったり、ビートだけになったり。

━━“Bomboclap”のパーカッシヴなラップはCampanellaさんっぽいなと思いました。

 確かにRAMZAさんや名古屋のFree Babyronia、shobbieconzの作る音ってめっちゃクラブっぽい。だから俺、超好きなんですよね。でも“Bomboclap”のラップに関しては、かなりUKガラージから引っ張ってるっす。

━━通常、曲作りはトラック先行なんですか?

チョモ そうですね。ただ俺一人の中から出てきたものということではなく、「こんな感じのやりたいね」みたいな話を森とよくしてるんです。そこからお互いにリファレンスを見つけてイメージを共有してから具体的にトラックを作っていきます。

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“Anchovy”のサビの高さが一番声を出しやすい

━━今年はMondo GrossoやBIMさんとも共作しましたね。

チョモ 声をかけて頂いてありがたいとしか言いようがないです。

━━それぞれどのように制作していったんですか?

 Mondo Grossoとの“B.S.M.F.“はすぐトラックが送られてきました。「むっず」って(笑)。展開ヤバくて。

━━かなり複雑な曲ですよね。大沢伸一さんから歌割りの指定などはありましたか?

 全然。勝手にやってって。かなりこねくりまわしました。何回かやりとりして完成した感じ。

━━チョモさんはトラックメイカーとして“B.S.M.F.”のトラックをどのように感じましたか?

チョモ 音がデカい。

 デカい会場で鳴らすことを想定してる感じだったよな。

━━いまのどんぐりずのムードにぴったりですね。

チョモ はい。すごくいい経験でした。

━━ 一方、BIMさんとの“Anchovy”はチョモさんのトラックですね。

チョモ 作った時期は“Anchovy”のほうが先なんです。

 最初、俺にDMくれて。

━━もともと知り合いだったんですか?

チョモ いや自分はただのファンでした(笑)。

━━こちらもかなり変わった曲ですが、制作はどのように進めたんですか?

 まず俺らがBIMくんの地元に遊びに行ったんですよ。一緒に酒飲んで、めちゃくちゃくだらない話をいっぱいして。あと好きな音楽を聴かせあったり。

チョモ お互いを知る時間って感じでしたね。BIMくんが溝の口のご飯屋さんに連れて行ってくれて、BIMくんも俺らの地元(桐生)に来てくれたので、お返しに美味しいお店を紹介したり。レコーディングは俺らのスタジオで、3人でわちゃわちゃやりながら作りました。

━━“Anchovy”はチョモさんのパートがものすごく高くてびっくりしたんですが、ライブでもあのラインを安定して歌っていてさらに驚きました。

チョモ はじめはもっと普通の感じだったんですけど、作ってるうちにあの感じのボーカルでやりたくなって。実は俺、あの高さが一番出しやすいってことに気づきました(笑)。

━━最後に<FUJI ROCK FESTIVAL’22>への意気込みを。

 かなり気合い入ってる。

チョモ 今年は5月位からめちゃくちゃ沢山ライブやフェスに出演したんです。正直怒涛のスケジュールでした。それが<フジロック>で一区切りつく。俺ら的には2022年の第一幕終了という感じだよね。

 そう。だからやばい位楽しみにしてます。

チョモ ここ一ヶ月位はフジロックのことしか考えてないです。練習も凄いしてる。俺らの出番は7月30日の深夜一発目のRED MARQUEEなんで、終わったら残りは泥のように遊び尽くすつもりです。

Text:宮崎敬太
Photo:横山マサト

どんぐりず
ラッパー森、トラックメイカー・プロデューサーのチョモからなる⼆⼈組ユニット。⾳源、映像、アートワークに⾄るまでセルフプロデュースを⼀貫。ウィットにあふれるグルーヴとディープなサウンドで中毒者を続出させている。

HPTwitterInstagramラジオ番組「どんぐりbomb」

NAGAN SERVER
ヒップホップとジャズにルーツを持ち、ラッパー/ウッドベーシストという異⾊の肩書き/キャリアを持つ⾳楽家(ナガンサーバー)。これまでに3枚のオリジナル・アルバムをリリースしているほか、精⼒的にライブ活動を展開。2019年には『FUJI ROCK FESTIVAL』やGEZAN主催の『全感覚祭』に出演するなど、シーンやジャンルを横断し活動。2020年はコロナ禍以降も⼤型配信ライブ「BLOCK.FESTIVAL」への参加で注⽬を集め、困難な状況でもその歩みを⽌めることなく前進し続けている。他、イタリアを代表するカーブランドFIATのWeb CMに楽曲提供&出演。FRED PERRYが企画する「ブリティッシュ・サブカルチャー」で特集、adidas Originalsが発信する「TOKYO CREATORʼS INSPIRATION Vol. 1」 に取り上げられている。
21年7⽉ 安藤康平 a.k.a. MELRAW(Sax)、熊代崇⼈(Ba)、中村海⽃(Dr)と共にエクスペリメンタル・ヒップホップバンドDUENDE(デュエンデ)を結成。22年3⽉に開催されたBillboard Live Osaka プレミアム公演で成功を収めた。

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RELEASE
INFORMATION

a little question – Shōtaro Aoyama Remix

2022年7月13日(水)
NAGAN SERVER × どんぐりず
Label : Rure records

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EVENT
INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL’22

出演:2022年7月30日(土)
会場:新潟・苗場スキー場

どんぐりずのステージに客演でNAGAN SERVERも出演!

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DONGURIZU NEXT TOUR

2022年11月19日(土)東京・渋谷WWW X
OPEN 17:00 / START 18:00
問い合わせ:クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669(月・水・木 12:00~16:00)

2022年11月23日(水・祝)大阪・味園ユニバース
OPEN 17:00 / START 18:00
問い合わせ:YUMEBANCHI(大阪) 06-6341-3525(平日12:00~17:00)

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