YOHEI それ格好いいね。

伊藤 それでもドラムセットは独学でやってきていたから、上京してジャズ・ドラマーの小山太郎氏に弟子入りしたんだよね。最初は「俺なんかができる訳がないだろう。」そういう先入観があったけど、23歳の頃に初めてジャズ・クラブに足を運んで、その時に見たのがピアノのスガダイローさん。「別にジャズだから綺麗じゃなきゃいけないとか、難しいイメージを持つことはないんだな。」って衝撃を受けたし、「これはちゃんと練習しないとできない音楽だな……。」とも思って本格的に練習を始めたね。 

PiRO 僕はバンドブームが終わりを迎えようとしていた頃。それでもバンドをやっている人が多くて、僕の周りはV系好きが沢山いたから、中学の文化祭ではX JAPANなどのコピーが多かった。友達の兄貴がYOSHIKIさんに憧れてクリスタル・ドラム、ツーバス・フォータム・ツーフロアのセットを持っていて、それを見た瞬間「バンドやろうぜ!」ってなりましたね。ビジュアルの格好良さもあったけど、幼少期に和太鼓やマーチングをやっていたのでパフォーマンスに魅力も感じていた。それからバンドを組んで、中学2年の文化祭で人生初ステージを全校生徒の前で披露しました。

音楽がより楽しめる!ドラマーにドラムの“ド”の字を聞いてみた piro2

YOHEI 俺も文化祭が初ステージ。出身が滋賀県なんだけど、文化祭は滋賀会館っていう立派なホールで開催される。幕が開いたら全校生徒が800人位いて……緊張で吐きそうだったよ。

伊藤 夢があるよね。800人っていうとLIQUIDROOMくらいのキャパだよ。

YOHEI そこで達成感みたいなものを感じて、バンドしてドラムで生きていきたいって気持ちになったんだよね。

山本 僕は5年前にガンをやっていて、乗り越えられたのは支えてくれる人の力も大きかったんですけど、音楽の力は凄いなと改めて実感したんです。自分がこれからの人生で何をすべきかと考えて、それが「音楽への感謝と貢献」というところに行き着き、そこで自分にできる事はドラムだった。そこから再スタートしているので、自分のエゴが出ちゃう事もありますけど、「音楽に対して何ができるのか?」そういう演奏を常に考えています。

音楽がより楽しめる!ドラマーにドラムの“ド”の字を聞いてみた yamamoto1

伊藤 音楽の根本的な考え方だよね……色々なパターンがあるから正解なんてないかもしれないんだけどね。例えば中村達也さんの音を使いたいから、達也さんのエゴイスティックな部分を録りたいから、達也さんに声がかかるっていう例もある。そこにある音楽に、音楽的に相応しい演奏をする事が最も大事なんだけど、そこでさらに、「これが俺だ!」そういう表現やサウンドが、ちょっとしたスパイスとして出せたら最高なのかなって。そうすると、「拓ちゃんだからこういう音になるよね。」ってなるんだと思う。やり過ぎも良くないし、それが自然にできるのが最も美しいと感じるよ。

PiRO 他の楽器と比べると、ドラムって感情を素直に表現できる楽器ですよね。ライブでは思いもよらず感情が音に出る時があるから大好きです。逆に元気なかったりするとそのまま音に出ちゃう。

伊藤 他の楽器みたいに厳密なメロディや音程がないし、ドレミファみたいに正確なピッチの音程を作って正解という楽器じゃないからね。下手すれば騒音にもなりえるし、繊細なタッチで綺麗に鳴らす事もできる。

YOHEI お客さんありきだけど、踊らせるも踊らせないもドラム。お客さんを高ぶらせるのもドラム次第だったりするしね。もちろんフロントマンによって聴き方も変わるだろうけど、体を揺らせられるのはドラムのビート。だけどここ何年かは逆にフラットな気持ちでやった方がいいのかなって思うようになってきた。自分の感情だけを押し付けるのは違うし、自分の感情でアップテンポになってくると、お客さんもついて来る事ができない。だからこそ冷静にリズムをキープしている。

音楽がより楽しめる!ドラマーにドラムの“ド”の字を聞いてみた 4_shot2

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