――ヴォーカルのラウが今回は「ヴォーカルに力を入れた」と語っていますが、メロディはこれまでで一番素晴らしいものが揃ったと感じました。

ロブ 俺たちもいいメロディになってると思うよ。ラウはクラシックも聴くから、そこから影響を受けたものもあるんじゃないかな。

――特に、ミドル~スローテンポのメロウなパートが光ってると思いました。ただ、“The Last Garrison”のように、バンドのパブリックイメージと異なる曲をシングルとして選ぶことに不安はありませんでしたか?

ロブ あれは一番最後にできた曲で、本当はアルバムに入る予定じゃなかったんだよ。実は今回、曲をたくさん作りすぎていくつかカットしなきゃいけなかったんだ。でも、個人的にはすごく気に入ってた曲で強い繋がりを感じてたから、どれを1stシングルにするか長いこと話し合いをした結果、「やっぱりこれにしよう」って。

――収録曲はどういう基準で選んだんですか?

ロブ 長くて大変な話し合いが……。

クリス グラフを書いて科学的に決めたんだよ。“ヘヴィ”、“デリケート”、“メロディアス”といった具合に曲を配列して、全ての曲をバランスよく入れられるようにしたんだ。

――じゃあ、これがベストバランスだと。

ロブ (日本語で)はい!

ENTER SHIKARI -“Anaesthetist”

――エンター・シカリのようなバンドがそういう決め方をするとは意外ですね。

ロブ それは良い意味で(笑)?

――もちろん(笑)。皆さんは、これまでにないサウンドでロックシーンに衝撃を与えましたが、今回、逆に特定のジャンルやバンドから影響は受けましたか?

クリス 特定のっていうより、作品を作ってる時ってあらゆるものに対してオープンじゃないといけないと思ってるから、メンバーそれぞれが最近聴いてる曲をDropboxでシェアして、たくさんの音楽を聴くことを心がけたね。

――制作中は他のアーティストの曲を聴かないっていうバンドもいるけど、逆なんですね。

ロブ そうだね。俺たちは吸収しようっていう意識の方が強いかな。常に自分たちの音楽を前進させていこうと思ってるから、そのためには新しい要素が必要なんだよ。だから、他の音楽を取り入れたり影響を受けたりして、新しいものを作るんだ。

――過去と同じ作品は作りたくない?

ロブ 絶対嫌だね! 新しい音楽をリリースするたびに、「1stアルバムみたいな曲が良かったのに」とかコメントを書く人がいるけど、そういう人たちは過去に浸ってくれてればいい。俺たちはプログレッシブに前へと進んで、自分たちの音楽を前進させたいんだよ。

次ページ:「最近ハマっているのは卵!」