デトロイトアンダーグラウンドムファサ、FIT SIEGEL。
自身のレーベル〈Fit Sound〉からMarcellus Pittman、Walt J、Marcus Mixxといったレジェンド達の作品をリリース、現行シーンにおいてはDJ Sotofett、Madteo、Todd Modes等アンダーグランドシーンで活躍するユニークなアーティストと交流をはかり、サブレーベル〈Est. 83′ Records〉ではEspecially GoodやStallone The Reducer等アーティストの作品を発表し、ダンスミュージックのルーツを追求している。
そんな彼がジ・異常クルーの召喚により待望の再来日。
迎えるはYoshinori Hayashiを筆頭に、Gold 43、DJ水道水。来日記念にメールインタビューを行った。
INTERVIEW:FIT SIEGEL
──こんにちはAaron(FIT SIEGEL)。今回は貴重な機会を設けてくれてありがとうございます。まず初めに、あなたにとって音楽との出会いはどのようなものであったか聞いてもいいですか?
まず、Yoshinori Hayashiが僕を日本に招待してくれたことに感謝したい。日本のリスナーは、初期から僕の音楽、レコードレーベル、その他関わってきた音楽をサポートしてくれでいる。とても感謝しているよ。
音楽に関しては、プラスチックで出来たフィッシャープライスのターンテーブルで母のレコードを再生していたことをはっきりと覚えている。母はさまざまなレコードを積み重ねていたな。Earth, Wind & Fire、Steely Dan、The Velvet Undergroundなど、さまざまなレコードがあったんだ。これらのレコードは今でも持っているよ。
僕は若い頃、ピアノを習っていた。ベースが弾きたかったんだけど、当時の僕には楽器が大きすぎたからピアノにしたんだ 結局、短いスケールのFender Musicmasterベースを手に入れ、レッスンを受けるようになった(そのベースは今でも持っていたいくらい気に入っていたよ)。どの楽器も名人級とは言えないけど、おかげで良い耳を持つことができた。12歳から15歳まではパンク・バンドでベースを弾いていた。その地域のあらゆる年代のクラブで演奏していたね。薄暗い場所へ親が送ってくれて、タバコを吸ったり、コーヒーを飲んだり、他の子のバンドを聴いたり、女の子と知り合ったりしていたな。今思えば、アンダーグラウンドのダンスミュージックシーンに参加するという意味では、今とあまり変わらないね。ただ、フリークスや音楽好きが集まって、汗臭い暗い空間で自分たちの音楽をやっていただけなんだよ。
──DJとしての活動をスタートしたきっかけは?
大学時代、19歳の時に初めてラジオ番組を持ったんだ。午前3時から5時までで、好きなものを何でもかけるフリーフォーム・スタイルだった。Brian EnoからThe Stoogesまで。アンビエントの長尺のレコードをかけて、床で寝てしまったのを覚えている。数年後、クラブで働きながら、どのようにイベントが行われているかを見て、最終的には自分でパーティーを開くようになった。誰にもお金を払いたくないから、自分がオープニングDJをする。
──特に影響を受けたDJはいますか?
音楽で言えば、Mike Banks(DJではないけど)が一番影響を受けたかな。彼は僕に自分のサウンドを見つけるように促してくれたんだ。DJに関しては、リスクを恐れず、観客が聴きたいと思うものではなく、自分が感じたものをプレイするDJに刺激を受けている。Marcellus Pittman、Scott Zacharias、Carlos Souffront、James Pennington、Traxx、Shake、DJ Dez、Claude Young、Bill Converse、DJ Sotofettといった人たちだ。 僕は幸運にも彼らの多くと仕事をすることができ、彼らの多くを私の友人と呼ぶことができる。上に挙げた人たちはみんな多才で、同じセットの中でジャンルを超えてプレイすることができるんだ。
──音楽を選ぶときに気をつけていることは何ですか?
ファンキーでシンプルであること。ベースラインが良いこと。生々しさ、即効性。ジャンルは問わない。
──あなたの好きなレコードを5枚教えてください。
こういうのは苦手なんだけど、最近気に入ったものをいくつか紹介しよう。Skatebardの新譜に収録されているDJ Sotofettのリミックス、Omar-Sの新譜に収録されている“Whale Sex”、Bill Converseの新譜、TraxxがやっているDirty Blendsシリーズ、あとBeau WanzerとStallone the Reducerが作るものはどれも素敵だと思う。
──レーベル・マネージメントを始めたきっかけは?
デトロイトの全レーベルのディストリビューション・カンパニーを始めた頃、自分が聴いているダンスミュージックの中で、ちょっと変わっていると思うものが世に出る出口が欲しかったんだ。また、あまり知られていない、もう一度聴く価値のある作品のリイシューもあった。それが〈FIT Sound〉なんだ。 もうひとつのレーベル〈Est. 83.〉というレーベルがあり、こちらはより奇妙でフリーキーなものを扱っている。これらのレコードもクラブでかけるようにみんなに勧めているよ。
──リリースのプロジェクトは、すべてお一人でされているのですか?
一時期はそうだった。ディストリビューションとレーベルを一人で運営していたよ。編集、アートワーク、レコードの箱詰めと発送、会計管理など。一緒に働いてくれる人ができたのはずっと後になってからなんだけど、もっと早く見つけていればよかったと思う。今思えば、一人でやるのはお勧めできないね。ある程度の規模になったら、チームを組むことが大切だ。
──レーベルを運営する上で、意識しているコンセプトはありますか?
コンセプトは「量より質」だ。このレーベルからリリースされたすべてのレコードに誇りを持っているよ。
──多くのアーティストとコラボレーションすることは、あなたにとってどの様な影響を与えていますか?
コラボレーションの素晴らしいところは、最終的に、どちらも自分一人では作れなかったようなものができることだ。そういう意味では、とてもユニークなことだと思う。コラボレーションでは、一緒に仕事をする相手と信頼関係を築くことが必要なんだ。相手が何かを変えたがっても怒らないし、その逆も然り。エゴを捨てなければ、うまくいかないんだ。
──トラック制作の際に意識していることはありますか?
ベースラインやメロディーを先に考えることが多いのだけれど、機材をいじっているうちに面白いものが出てきて、それをベースにすることもある。DJがどうプレイするかということも考えているよ。結局のところ、これはクラブでプレイされる音楽で、DJの仕事を難しくしたくはないんだ。ミックスインとミックスアウトをするために、トラックの中のいくつかの場所を意識的にしている。その辺はBanksから教わったんだ。全体的にシンプルにすることを心がけているよ。僕の場合、ベストなトラックは4つか5つの音で構成されている。最高のミュージシャンが最悪のトラックを作ることはよくあるけど、それは多くのことを詰め込もうとしすぎるから。色々と多すぎるんだ。だから、僕はシンプルにすることを心がけている。
──最後に、今回の来日公演ではどのような曲をプレイする予定ですか?
70年代のもの、80年代のもの、90年代のもの、2000年代のもの、そして真新しいもの。
Provided by ジ・異常クルー
Edited by Koichiro Funatsu
INFORMATION
ジ・異常
2022.12.29(土)
OPEN 21:00
ENTRANCE ¥3,000
CUBE(東京都港区麻布台3-4-11)
FIT SIEGEL(Fit Sound)
Yoshinori Hayashi(Smalltown Supersound/Going Good)
GOLD 43
DJ Tap water
デトロイトアンダーグラウンドムファサ、FIT SIEGELが待望の再来日!
迎えるは勿論?
ジ・異常クルーだ!
Yoshinori Hayashiを筆頭に、Gold 43、DJ水道水から成るジ・異常クルー。
ツール性、音圧に関して劣等な隅カルト盤をドタドタとプレイする彼らの様子は極めて不快であるが、ある種のトラウマとして癖になる断続性を秘めている。
鬼畜盤の蒐集で人生を棒に振ったワンウェイ廃人達が最低最悪のワンナイトをメイクする。
Light In Harlem Special
2022.12.30(金)
OPEN 23:00
KYOTO MUSE(〒600-8006 京都府京都市下京区立売中之町102-3)
ENTRANCE ¥3,000(1D付)/U23 ¥2,500(1D付)
-DJ-
FIT Siegel(FIT SOUND/FXHE/Detroit)
SJ Tequilla(Shot of T/Berlin)
Yoshinori Hayashi(Smalltown Sound/Going Good/Tokyo)
Masafumi Onishi(Troop Music Works/Kobe)
Kotsu(CYK)
Lomax(NC4K)
Chanaz(PAL.Sounds)
flyer design:Kotsu