NY発のガールズ・フルート・デュオ、Flutronix(フルートロニクス)のショーケースが先日、渋谷の<THE GUINGUETTE BY MOJA>にて行われた。カラフルな提灯風のバルーン照明がステージのまわりを彩る。ショーの間にも食事やお酒を楽しめることもありスタートからアットホームな雰囲気が漂う。Flutronixは、その名の通りフルーティストであるナタリーとアリソンの女性フルーティスト2人によって2008年に結成された。出会いは「my space」、アリソンが作っていた音にナタリーが出逢いコンタクトをとったことがキッカケ。インターネット上での出会いと聞いて、遠く離れたところからデータのやり取りで楽曲作り……と思いきや、実は偶然にももの凄く近くに住んでいることが発覚! 運命的なハプニングによって引寄せられたフルートニスト2人は、すぐに意気投合し、ブルックリンを拠点に活動をはじめた。
ナタリーもアリソンも、クラシックの教育を本格的に受けてきたエリート音楽家。アリソンは、即興演奏〜実験的な音楽作りを独自に学びつつも、Flutronixの結成後に、本気で作曲を学ぶためにニューヨーク大学院へ。卒業後は、ブルックリン・フィルハーモニックに在籍している。そしてナタリーは、ジュリアード音楽院を卒業し、パリに滞在しながら作曲や電子音楽など多岐に渡る音楽を学んでいた。そして現在は、ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルのフルーティストとしても活躍し、日本公演も度々行っている。いわゆるクラシック界のエリート現役音楽家と呼ばれる彼女たち。そんなバックボーンを持つ2人の表現は、Flutronixとしてさらに発揮される。エレクトロニック・サウンドをベースに生のフルートをメロディとしてのせたアップテンポの楽曲から、ボーカル入りのジャジーでアーバンな大人っぽい楽曲まで。ショーケースで魅せてくれた2人のパフォーマンスは、クラシックとかエレクトロニクスとか、そういったジャンルの域を超えたスケープで楽しませてくれるものだった。そしてナタリーとアリソンが出会い、活動拠点とする場所。スタイリッシュでかつ、様々なカルチャー、人種が共存するNY、ブルックリンという街を彷彿とさせるサウンドが広がっていた。
ショーケースの後にショートインタビューを急遽、申し込むも、「全然OKよ!」と快諾してくれた2人のキュートで明るいパーソナリティが、もう絶対に応援しますと宣言させられるほど素敵なお2人! もっともっと自分たちの表現をしていきたい! と話す2人のショートインタビューをどうぞ!
Interview:Flutronix[Allison Loggins-Hul/Nathalie Joachim]
––––とても素敵なショーでした! フルートの生演奏のベースとして作られていたトラックは誰が作っているの? すごくNYっぽいサウンドを感じました。
アリソン・ロギンス-ハル(以下:アリソン)&ナタリー・ヨアヒム(以下:ナタリー) ありがとう! そう、トラックも私たちが全てつくっているのよ。
––––フルーティスト=クラシックを基礎として音楽を作っているイメージがあったので、とても新鮮でした。ちなみに楽曲制作は、ベースのトラックを先に打ち込みで作ってからフルートを乗せるようなプロセスなんでしょうか?
アリソン 曲の作り方はすべて違うわ。最初にエレクトロニックビートを作ってからフルートを乗せることもあるし、フルート吹いてみて乗せようかなっていうことも。あとは歌をつくってみて、そのメロディの上に他のパートをのせて作ることもあるわ。
––––まさに今日、アンコールで歌ってくれた曲は最初にボーカルが入っていたものですね。この曲は日本のショーケースのために作ってくれたニュー・ソングだと説明していましたが、この後にアレンジされてシングルになる予定などあるのですか?
アリソン 今回、ナタリーがコンサートツアーのために先に日本に来ていたの。それで彼女が仙台に行っているときに、わたしも今日のショーの為に何か特別な新曲をかきたいと思って、そのときに思い浮かんだメロディーが今日歌ったボーカル・パートなの。
ナタリー そうよ、アリソンのボーカルをもらって日本でトラックを作ったの。その後にフルートを乗せて……って、その頃にはアリソンはもう飛行機に乗って日本に向かってるところで(笑)、本当にここ数日で完成したものよ。シンプルにしつつも、いつもと少し違うような曲ができるように工夫したわ。
アリソン この曲をこれから作品に入れるかなどはまだハッキリしていないけれど、私たちも次作を考えていて。まさに、こういう方向性にしたい!って思うものと近い楽曲にはなっているわ。この間、日本でもリリースされたアルバム『2.0 (トゥー・ポイント・オー)』みたいなエレクトロニック・ビーツのものじゃなくて、もう少しアコースティックなものを作っていきたいって思ってる。それでいうと、今日プレイした曲は次回アルバムのイントロダクションになるような1曲には間違いないわ。
2.0 (トゥー・ポイント・オー)
––––次のアルバムの構想に入っていると聞いて楽しみです。2人の出会いは「MY SPACE」なですよね? Flutronixは2人の色々な経験や出来事がまざりあって出来ているサウンドだと感じます。それぞれクラシックという分野で活動しながらも、こういったユニークなデュオを活動し続けている、ともて魅力的ですね。2人が大切にしていること、例えば続けていく上でのモチベーションってどんなことでしょうか?
アリソン Flutronixというプロジェクト自体はもうなんていうか、自分たちが一番愛していることを表現してやっているの。例えば、ヒップ・ホップだったり、もちろんクラシック・ミュージックも大好きだし、自分たちが本当にこれだと思える表現を取り入れてやっているわ。
ナタリー そうね! Flutronixは自分たちの人生の一部になっているわ。2人のなかでその関係が出来上がっているから、だからこそ逆にこの活動がなかったら自分たちが今どこにいるのか分からなくなるわ……(笑)。アメリカでは以前にも『flutronix』というアルバムがリリースされていて、そこから今回、日本デビューができた新作『2.0』は、自分たちがどうやってここまで進化してこれたのかも重要なテーマとして作られているの。そして、これからも自分たちがどのようにアーティストとして進化していけるか、音楽として進化していけるかをこのFlutronixでどんどんチャレンジして表現していきたいと思ってるわ!