電子音響のパイオニア、フランク・ブレットシュナイダーに迫る

ーー現在はベルリンを拠点に活動されていると思いますが、ベルリンまたドイツの音楽やアートの状況に関して、フランクさんが感じられる事を教えて下さい。

ベルリンでの生活は充実しています。ほとんど毎日、多くの洗練されたアートや音楽イベントに触れる事が出来るというのは大変素晴らしいです。数えきれない程のギャラリーや会場が、その規模／知名度も様々にベルリンには存在します。

ーーライブに関して、世界各国をまわられていると思いますが、印象に残った国やイベント、また共演者などあったら教えて下さい。

今年8月の話ですが、南アメリカ（チリ／ウルグアイ／アルゼンチン／ブラジル）を人生で初めて訪れ、感銘を受けました。どの会場もチケットがソールドアウトとなり、オーディエンスは温かく熱心でした。他に感銘を受けた事と言えば、私が最近ライブを行う機会に恵まれたブダペストの4DSOUNDという新しい場所です。素晴らしいサウンドシステムがありこのシステムのお陰で無理なく音をどの方向にも移動させる事が出来、音質を損なう事無く、拡大／縮小させる事が可能です。アーティストに関しては、5月にモントリオールの＜Elektrasフェスティバル＞で観たDUB-Russell（首藤陽太郎／NOEL-KIT）と吉田恭之を非常に楽しみました。加え、ベルリンのUrban Spaceで行われた友人のRetina.Itのライブですね。

ーー日本の電子音楽にはどういった印象を持っていますか？

私は日本の電子音楽に精通しているとは言えないのですが、知っている少々の名前を挙げますと、半野喜弘、テツイノウエ、ツジコノリコ、砂原良徳といったアーティスト。ヨーロッパに在住していて、繋がりのある何人かの日本人アーティストを挙げますと、池田亮司、Kyoka、Midori Hirano、Ueno Masaaki、Masayoshi Fujitaといったアーティストです。そして密に連絡を取り合った事のある数名を挙げますと、sawako、Sakana Hosmi、Iioka Tohruといったアーティスト達です。私は細川俊夫やMiki Yui等の日本の現代音楽にも感銘を受けているのですが、とりわけ東京のNHK電子音楽スタジオで制作された、シリーズ全部で8枚に及ぶコンピレーション『音の始源を求めて』は、初期の日本の電子音楽に関しての深い見識を与えてくれました。

ーー今後の予定やプランなどをお聞かせ下さい。

日本から戻りましたら、ハンブルグとベルリンにてライブを行います。それと、〈LINE〉より11月13日（金）に新しいアルバムをリリースします。来年に関してなのですが、〈Raster-Noton〉20周年記念という事で、多くのイベント／展示会／リリース等の予定があり、とても活動的な年になりそうです。

ーー今回日本を訪れる際に、何か楽しみにしている事はありますか？

毎回日本を訪れる度に、人々、文化、国に充実感を与えられています。何度か来日していますが、いつも日本にまた戻れたら良いなと感じさせられます。建築、芸術、音楽、街路の雰囲気、料理、等が好きなのですが、常に何か新しい体験するべきモノがありますよね。

ーー最後に、日本の電子音楽リスナーにメッセージをお願いします。

また来日する事が出来て嬉しいです。オープンマインドであり、丁寧に音楽を聞き、親切である日本のオーディエンスは素晴らしいと思います。会えるのを楽しみにしています！