FUJI ROCK FESTIVAL 2019>、3日目のRED MARQUEEの深夜帯<SUNDAY SESSION>に登場した音楽家/プロデューサー/DJ、ウィル・ホランド、またの名をQuantic

ソロ名義では5年ぶりアルバム『Atlantic Oscillations』をリリース。世界各地のグルーヴを研究している彼の最新作はニューヨーク州のブルックリンにある彼の新たなレコーディング・スタジオ「Selva」にて制作され、レジデントで参加してる隔月開催のイベント<Good Room>でそのリアクションを反映しながら磨かれていった作品だ。Abletonでブループリントを描いた後に、ライブミュージシャンたちと録音できることに気づいたといい、エレクトロニック・サウンドとオーケストラを融合させてウィルらしい芸術性を反映させている。

<フジロック>のステージには、貴重なソロ・ライブ・セットで出演、90分間飽きることのないダンス・ミュージック・ジャーニーを魅せてくれたQuanticに、会場で出演直前インタビューを行った。

フジロック現地interview|Quanticにとってミニマリズム、オーガニック・サウンド、人間性とは? music190820-quantic

Interviwe:Quantic

──今回ソロ・ライブ・セットで登場されるということで。どのようなセットになるのか楽しみです。

このセットは最近始めたばかりなんだ。<フジロック>も初出演だから、いつも通りのDJではなくて新しいことを試してみたかった。ソロでやってる方が共感を得れるというか、自分の演奏がそのままオーディエンスにリアルタイムで評価されるからね。DJでは人の曲を流すことが多いからどうしても空気感が違ってるのもあって、ソロ・ライブ・セットを試してみたい。今回はほとんど新曲で、そのうち20%くらいしか発表してないんだ。だからオーディエンスの反応が楽しみだよ。反応が良かったらリリースするつもり(笑)。ファンテストだね。

今回のセットはどちらかというと、テクノ寄りになる。最近はミニマリズムにこだわっていて、シンセサイザーの数も少なくしてる。あと、自分のバンドでやってる音楽はかなりロック寄りな要素も取り入れてるよ。

──今回の演奏で反応が良ければ、テクノのリリースもあるかもしれないと。

かもしれないね(笑)。望んだ通りに作っちゃうかもしれない。

──オーガニック・サウンドでダンスミュージックを作っているプロデューサーは数少ないかと思います。なぜその音を意識しているのですか?

いつもエレクトロニック・ミュージックを作ろうとしてるんだけど、制作過程でギターを入れてみたり、フルートを入れてみたりして、気づいたらオーガニックなサウンドになってるんだ。60年代の音楽がすごく好きで、そのオーガニックさ、人間的な要素はすごく意識してる。どんな音楽を作っても人間味を引き出したい。あと、機材(マシン)は私たちのために働いてくれるものであるべきで、私たちが機材のために働くべきではないって思ってる。

──自然な音を作ろうとしてなくても、どんどん自然になって行くと。

母親がシンガーで、父親はバンジョーやギターを演奏していて、プロデュースされたような音楽を聴いたのは10歳ぐらいの時だった。無意識にオーガニックな音楽で育った感覚が残っていて、音楽である以上はより自然に音楽的であった欲しいと感じるようになった。

キューバやコロンビア、ブラジルなどの南米の音楽は昔から高度なポリリズムが主軸になっていて、他のジャンルや他国の音楽には見つけられないものだから、すごく興味深いよ。いろんなキューバのミュージシャンと仕事をしてきたけど……、“Sol Clap”という曲でトランペットを演奏しているミュージシャンがキューバ出身なんだ。キューバのミュージシャンのクオリティはすごく高いよ。

──日本の音楽でお好きなのはありますか?

最近はあまり聴いてないんだけど……、DJ KRUSHには影響受けているよ。あと去年<フジロック>に出演していた民謡クルセイダーズとか。彼らはスカやコロンビア、キューバのリズムを取り入れながら「民謡」をやってるんだよね。

──日本にはちょっと前から来ているんですよね。

美しいよ。先々週くらいから日本に来ていて、香川県の直島に行ったよ。

──直島は芸術が有名で。

いろんな所を観に行ったよ。建築は半端なかったね。

──最後の質問です。<フジロック>でもしDJするなら、絶対掛けたい1曲は?

NickodemusでThe Illustrious Blacksが客演してる“FUNK THAT”かな。

Nickodemus feat. The Illustrious Blacks – FUNK THAT [OFFICAL VIDEO]

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Photo by Kazma Kobayashi
Text by Qetic・船津晃一朗

『Atlantic Oscillations』

フジロック現地interview|Quanticにとってミニマリズム、オーガニック・サウンド、人間性とは? interview-quantic-2

RELEASE:2019.06.21
LABELS:Tru Thoughts

TRACKLISTING
01. Divergence
02. Incendium
03. September Blues
04. You Used To Love Me feat. Denitia
05. Atlantic Oscillations
06. Now Or Never feat. Alice Russell
07. Orquídea feat. Sly5thAve
08. Tierra Mama feat. Nidia Góngora
09. Motivic Retrograde
10. La Reflexión
11. Is It Your Intention
12. Atlantic Oscillations(Disco Dub)[Bonus Track for Japan(BRC-599)]

Quantic

ラテン・グルーヴを取り入れ空前の大ヒット作となったクァンティック・アンド・ヒズ・コンボ・バルバロ、ファンク&ソウルのクアンティック・ソウル・オーケストラといった代表的プロジェクトをはじめ、ジャズ、ダブ、エレクトロニックなど、様々な音楽ジャンルに取り組んでいる音楽家/プロデューサー/DJであるクァンティック。ソロ名義としては5年振りとなる最新アルバム『Atlantic Oscillations』では、コロンビア〜LA〜NYを経てきた彼自身の経験と、その旅の中で磨いた音楽の影響力を見事に融合させている。ニューヨークのブギーや70年代のフィラデルフィアのサウンドやさまざまな音楽体験を経てダンスフロアへと戻ってきたクァンティックは、いま新たな全盛期を迎えようとしている。10年前に『Tradition In Transition』と出会ったときのような新鮮な驚きを覚えるだろう。

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