ファット・ホワイト・ファミリー(Fat White Family)やゴート・ガール(Goat Girl)といった面々とともにサウス・ロンドンのシーンを牽引する怒れる若者たち、シェイム(Shame)が<FUJI ROCK FESTIVAL'19(以下、フジロック)>にて2度目の来日を果たした。

2018年にUSの名門〈デッド・オーシャンズ〉よりリリースした1stアルバム『Songs of Praise』(賛美歌)は、荒々しくもエモーショナルなポスト・パンク・サウンドと政治的なアプローチでも話題となり、若干20歳前後という若さにも関わらず、世界を股にかけるツアーバンドの域まで駆け上がった。
UKロックの復権が囁かれる昨今、彼ら無くしてそのシーンを語ることはできないというほどの重要バンドの地位をほしいままにした彼らだが、そのライブパフォーマンスは言うなれば「暴動」。

<フジロック>のステージでも臆することなく、上裸姿で叫び、飛び跳ね、暴れ回る。そんな圧倒的なステージを前に、白昼のRED MARQUEEに駆けつけたオーディエンスはまるでプレミアリーグ試合後のフーリガンのような様相を呈していた。

演奏を終え、出発を1時間後に控えているにも関わらず、終始ハイテンションなままインタビューに応じてくれた彼ら。各国に共通する若者の政治への無関心の問題から、日本で得たインスピレーションまでを等身大の言葉で語ってくれた。

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Interview:SHAME

──2回目の来日でしたが、初めての<フジロック>出演はどうでしたか?

ショーン・コイル・スミス(Gt. 以下、ショーン) こんな遠い場所にきて、あんなたくさんの人々が聞いて楽しんでくれて、すごく嬉しかったよ。

──<フジロック>は知っていましたか?

チャーリー・スティーン(Vo. 以下、チャーリー) 全てのバンドが出たいフェスということでずっと知っていたよ。

──世界一クリーンと呼ばれているフェスです。

ショーン 場所として、とても美しかったね。

──昨日から来ているんですか?

チャーリー 昨日着いたんだけど、明日には帰っちゃうんだ。

──このあとは遊べるんですか?

ショーン いや、明日の夜にUKでショーがあるから、いまからあと1時間で帰る必要があるんだ。残りたいんだけど、また戻ってこれることを楽しみにしているよ。

──短いですが、<フジロック>の空気をたくさん吸って帰ってください。

チャーリー そうだね、イギリスより全然空気がいいんだ。

Shame – Dust on Trial

──去年、初めて来日してから2回目の日本だとは思いますが、日本にきて特別なインスピレーションを受けたことがありますか?

エディ・グリーン(Gt. 以下、エディ) やっぱりみんなの姿勢というか、このフェスに来ている人たちは、本当に音楽を楽しみにきているマインドを持っていて、すごく素晴らしいと思ったね。

ジョシュ・ファイアンティ(Ba. 以下、ジョシュ) もう1つ、日本のみんなは服装がすごくかっこいい。

エディ 全てが良い意味で奇妙なんだ。自分が行ったことのあるどの場所とも違うのが素晴らしいと思う。あと、マナーが素晴らしい。

ショーン それに、景色が美しいね。

──前回の来日で行った場所はありますか?

チャーリー・フォーブス(Dr. 以下、フォーブス) BIG LOVE RECORDSだね。

チャーリー あと、のんべい横丁やカラオケ、一蘭のラーメンを食べたよ。

──これはゴールデンコースですね(笑)。

チャーリー あと、庭園や代々木公園にも行った。結構たくさん動いたよ。時差ボケが逆に良くて、すごく朝早くに目が覚めて、色んな所に行くことができたんだ。

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──ここからアルバムの話をします。去年、アルバムをリリースしたタイミングが、イギリスの選挙前で、政治的なメッセージを新しいアプローチで若い子たちに発信したという印象があります。日本でもこの間、選挙があったんですが、無関心な若者が多かったんですね。

ジョシュ イギリスもそうだよ。

──日本でも若い子たちが政治に興味をもてるように、いろんなアーティストや私たちも働きかけているんですが、実際そういう風にメッセージを伝えている側として、何かオーディエンスからのフィードバックを受け取ったものはありますか?

チャーリー イギリスの政治自体は全然良くないけど、ここ5年でより多くの若者たちが関心を持つようになったし、 TwitterやFacebookといったSNSでもよく聞かれるよ。アイドルズ(IDLES)のように、バンドもそういう活動をしているんだ。イギリスでは、音楽と政治はすごく繋がりが強い。ザ・クラッシュ(THE CLASH)とかもそうだし。だから、手応えや感触はすごく伝わっているよ。

Shame – One Rizla (Official Video)

──前回のアルバムリリースした時から比べると、今後バンドのポジションも変わるだろうし、人気になればなるほど、楽曲のメッセージ性は受け取る側に影響を与えることがすごく強くなると思うんですが、これからもメッセージを伝えていきたいと思っていますか?

チャーリー でも、やっぱり曲っていうのは自然にできているから、特に政治的なメッセージを立てようとは思わないし、政治的である必要はないと思っている。

フォーブス 特にこの2年間、ツアーでUKを離れていたので、逆に繋がりを感じなくなってきたというか、2年の間で自分たちが気づかない間に、イギリスで大きな変化が起こっていたりするので、そこに特化したものであるということは多分ないと思う。

──シェイムとして活動していく中で、この2年でツアーやこれまでと違う活動もあったと思いますが、この期間を経て、今後どういう構想やプランでやっていきたいですか?

チャーリー 今年、アメリカに2回行ったんだけど、2ndアルバムの制作にフォーカスを置いていて、いいアルバムを作るということだけに集中しているよ。メッセージ性とかはまだ考えてないんだ。

ジョシュ あとは、もっと筋肉をつけて見た目をよくするつもりだよ(笑)。

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シャイム(Shame)
ロンドンの若き5人組シェイム。2015年からファット・ホワイト・ファミリーとともにサウス・ロンドンを拠点に活動し、最も注目すべきバンドとして海外メディアで話題となり、ウォーペイント(Warpaint)やスレイヴス(Slaves)のサポートに抜擢される。更にはピッチフォーク・フェスティバルなど海外フェスに多数出演、デビュー前にも関わらず英シンガーソングライター、ビリー・ブラッグ(Billy Bragg)に招待されグラストンベリーにも出演を果たした。スロウダイヴ(Slowdive)やミツキ(Mitski)などが所属する〈Dead Oceans〉と契約し2018年1月にデビュー・アルバム『Songs of Praise』をリリース。11月には初来日公演を開催した。

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Photo by Kazuma Kobayashi
Text by Qetic編集部

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Songs of Praise

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Shame
HSE-6578
Dead Oceans/Hostess
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※ボーナス・トラック5曲、歌詞対訳、ライナーノーツ(今井スミ)付
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