──例えば、『ガッチャマン』は「Zip!」で『おはよう忍者隊ガッチャマン』として大胆にリメイクされましたよね。
松田 有り難いことにタツノコプロファンの方々は懐が深いようで、例えばAという60年代のアニメをリメイクすると、結構お叱りのメールや電話が届くんです(苦笑)。
一同 爆笑。
栁澤 やはり原作を深く愛してくださっているので……(苦笑)。
栁澤かえ氏
松田 たしかに厳しいお声はあるんですが、他社と比べると少ないのかなという実感があります。「Zip!」の『おはよう忍者隊ガッチャマン』も何件かありましたが、皆さんに受け入れられて楽しく見てくださっているという印象ですね。
──今回のTシャツはどんな反応があるのかソワソワしますね。小川さんに聞きたいのですが、Tシャツを作るにあたっては、まずはキャラクターの選定から始まっていったのですか。
小川 <フジロック>は日本を代表するフェスティバルだと僕は言い続けていて、毎年サッカー日本代表のユニフォームをモチーフにしたTシャツを出しているんですが、あれがまさに分かりやすい例ですね。日本を代表する<フェス>のフジロック、日本を代表するアニメのタツノコプロのコラボ。その記念すべき最初のデザインに関しては、僕の頭の中には『マッハGo Go Go』がありました。海外で『スピードレーサー』という名前ですごく評価されているアニメですし、ハリウッドで実写化もされていますから、海外のお客さんが多い<フジロック>ではインパクトがあるに違いないという判断ですね。もうひとつが、メジャーな存在として認知されている『ガッチャマン』。タツノコさんからは有り難いことに「自由にデザインしていただいて構いませんよ」と嬉しい言葉をいただいたんですが、敢えて最初は定番というかスタンダードなデザインを打ち出したかったんです。
フジロック’14×GAN-BAN マッハGoGoGo Tシャツ VOL.1
フジロック’14×GAN-BAN マッハGoGoGo Tシャツ VOL.2
──たしかに、誰が見てもそれと分かるモチーフを使っていますよね。
小川 『マッハ GoGoGo』の文字は「フジロックにマッハ号に乗って行こうよ!」みたいな感じで、「フジロックGoGoGo」としました。『ガッチャマン』は最も分かりやすいリーダーをモチーフにしています。胸のマークをフジロックのものに変えたり、わざわざ片仮名で出したりしているのは、片仮名タイトル独特のかっこよさを海外の人たちに分かってもらいたいというのが、最初のデザインコンセプトにあったからですね。
豊間根 「どんどん変えてもらって大丈夫です」と言われたのは初めてでしたね(笑)。
フジロック’14×GAN-BAN 科学忍者隊ガッチャマン Tシャツ
──僕も意外でした。厳しいレギュレーションがあっても不思議ではないのに。
松田 決して無いわけじゃないんですよ(笑)。大事なことは「郷に入りては郷に従う」ではないですが、<フジロック>で販売するためのTシャツじゃないですか。ファンのことを一番理解している方が作るデザインがベストだと思うので、そこに対してウチがレギュレーションに則って口を挟むと、段々とつまらないものになっていくというか。良い部分が削がれていくと思うんです。今回のコラボレーションが決まった時点で、その方向性で社内の稟議も通していますから、どんどんやってくださいと。
豊間根 実は、ガッチャマンの鷲のマークを「<フジロック>のロゴに変えてくれ」と仰ったのはタツノコプロさんなんです。
豊間根聡氏
栁澤 ウチのデザイナーがそう言ったんですよね。
小川 ある程度はダメ元で出すんですけど、さすがにガッチャマンのマークはそのままの状態で出しましたからね(笑)。
松田 今回は僕も含めて「どんどん攻めよう」と言っていたので、面白い企画が思い浮かんだら積極的に採用しました。ウチのキャラクターを使って「つまらないよね」という声が挙がるのは一番嫌なので、逆にいうと、そういった部分も含めて小川さんにデザインしていただきました。