──小川さんはデザインをしていく中で、ご自身の原体験とも言うべきアニメから再発見するものはありましたか。

小川 言ってみれば、昔のアニメじゃないですか。デザインするにあたって画を選んでいく中で、すごく洗練されているということに気付いたんですよ。昔のアニメなのに、フォルムとか色使いとか、もちろん子どもの頃はそんな目線で見ていなくて。ただ単純に面白かったんですけど、大人になってデザインに携わってみると、そこに驚きがあったんですよね。古臭さがないというか。

──Tシャツのモチーフとなる画はどうやって選んだんですか。

小川 全話DVDを観させていただいて、そこから選びました。さすがに「いかす」とかの台詞は時代を感じましたけど(笑)、画に関しては現代でも全然通用するというか。『ガッチャマン』の飛行機のフォルムは特にかっこよかったですね。例えば、モーターショーに出展されている車を見ても、あまり未来を感じないなと思いませんか? ガッチャマンの飛行機の方が、未来感がありますよね。

【特別対談】フジロック×GAN-BAN×タツノコプロの強力コラボ! 『ガッチャマン』と『マッハGo Go Go』が今年の苗場を熱くする interview140501_tatsunoko_sub2-1

──そうなんですよね。昭和に作られたものが未だに更新できないって、まさに強みだと思います。

小川 そうなんですよ。40年前の作品なのに、このクオリティですから。

豊間根 一方で、画のデータが存在しないということには時代を感じましたね(笑)。

小川 当時はセル画だから、データがあるわけないんですよね。作業をしていると、仕事なのかプライベートなのか分からなくなるんです。ヘッドフォンをしながらアニメを観ているわけですから(笑)。『ガッチャマン』と『マッハGo Go Go』に関しては、ここ最近では僕が日本で一番観ているかもしれませんよ。

松田 キャラクターの雰囲気をしっかりと残していただいているので、必ず当時観てくださっていた方にも伝わると思いますよ。郷愁感を覚えるデザインにしていただいたので、すごく有り難いですね。

小川 タツノコさんはレスが早くて、本当に助かりました。コラボレーションンアイテムは海外とやりとりするケースが多いんですが、レスに時間が掛かる場合がほとんどなんです。フェスの物販アイテムはフェスに間に合わなかったら何の意味もないので、納期が遅れるとか発売が押すとかの事情は通用しない世界ですからね。

松田 豊間根さんに最初、釘を刺されましたからね(笑)。

豊間根 (笑)。ご存知のように<フジロック>とGAN-BANのコラボグッズは、必ずオフィシャルのリリースにあわせて発売していくので、どうしてもそこはお願いせざるを得ないというか。

小川 「いつまでに画を完成させろ」と、デザイナーを追い詰めなければいけないわけですよ(苦笑)。

【特別対談】フジロック×GAN-BAN×タツノコプロの強力コラボ! 『ガッチャマン』と『マッハGo Go Go』が今年の苗場を熱くする interview140501_tatsunoko_sub71

──コラボレーションは今や珍しいことではなくなりましたが、濫りにしてしまうことで、その価値が薄れてしまうというか。そこで、相手とコンセプトの選定がすごく慎重になってくると思うんです。この対談からは相思相愛の雰囲気を感じるのですが、改めて、今回のコラボレーションを経て思うこととしては、どんなことが挙げられるでしょうか。

小川 やっぱり感慨深いですね。小さい頃に観ていたアニメを商品化するということは形に残りますから。僕らはフェスの現場にいるので、それを着ている人たちの姿を目の当たりにできる。本当に幸せな仕事だと思いますよ。

松田 僕もそうですよ。タツノコのアニメで育っていますし、次の世代に残したいという気持ちでこの会社に入社したようなものですから。

豊間根 <フジロック>は今年18回目の開催を迎えますが、もちろん世代交代は必要ですし、残す、伝えていくということはフェスの使命だと思うんです。そのための新しい試みとして、タツノコさんとコラボレートすることで、キャラクター自体を若い子たちに伝えていきたいですね。それは今回、僕らの新しい役割かもしれません。なので、できるだけ長く続けていきたいと思っています。

松田 ウチは52年間アニメ一筋なので、アニメを作り続けているということは世代ごとに観ていただけている作品があるということなんですよ。なので、一緒にまたタッグを組ませていただきながら、新しいターゲットにトライすることができると思いますし、長くお付き合いできれば嬉しいですね。

次ページ:<フジロック>の中で実際に着てくださる皆さんを見たときに、リアルに色々と感じることがあるんでしょうね