〈WACK〉所属の12人組アイドルグループ・GANG PARADE(以下:ギャンパレ)が、8月28日(水)にメジャー 6thシングル『Peace☆超パニック / 一夏』をリリースする。
恋に悩む乙女心を真夏のように熱く──そして、ほんの少し(?)の情緒不安定さもエッセンスに加えながらの“Peace☆超パニック”。まるで残暑のように引きずる過去と、そこから抜け出さんとする想いを歌った“一夏”」(読み:いつか)。今年の「夏ソング」も豊作でしかない。
そんな対極な表題曲を両A面に掲げた新作について、メンバーのココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キャ・ノン、チャンベイビーの6名に詳しく話を訊いた。
INTERVIEW
GANG PARADE
──2024年もすでに折り返しを迎えていますが、上半期を振り返って、特に印象的だった活動を教えてください。
ココ・パーティン・ココ(以下:ココ):春ツアー<AVANTGARDE PARADE TOUR>開催や、メジャー5thシングル『パショギラ / 躍動 / ROCKを止めるな!!』リリースなど、上半期も色濃い活動をさせていただきました。なかでも、メンバー全員にとって一大イベントだったのは、1月末の東京・日比谷公園大音楽堂での<天晴れ!真冬の大ギャンパレ音楽祭 in 日比谷野音>なんじゃないかな。
チャンベイビー(以下:ベビ):うんうん! 私個人としては、3月に企画の一環で東京マラソンに出場したのもよく覚えてる。ギャンパレの活動で長時間走った経験なんてなかったのに、まさかのフルマラソンを完走することになって。しかも3月には、イギリス・ロンドンでの<WACK in the U.K. Vol.2>にグループでも参加させていただいたり、本当に色々あった1カ月だったよね。
──そこから『ギャンパレツアー総選挙』や<FANCLUB TOUR ASOVIVA>などが開催され、今回の最新シングル『Peace☆超パニック / 一夏』に続く流れとなるわけですね。まずは”Peace☆超パニック”の方を聴きましたが、ロック、メタル、ラップと、サウンドがキャッチーに入れ替わるのもそうですが……歌詞がものすごい情報量の楽曲で(笑)。
キャ・ノン(以下:ノン):そうですよね(笑)。“Peace☆超パニック”の主人公は情緒がすごく不安定な女の子で、そのぶん感情が聴き手に絵として見えてきやすくて。こういう「映像化できる歌」が個人的に大好きなのもあって、メンバーの歌声になったらもっと楽しい楽曲になるんだろうなと、仮歌の時点からワクワクしていました。
月ノウサギ(以下:月ノ):この女の子、たぶん高校生で17歳くらいだよね?
──お相手の男子は、彼氏なのでしょうか?
ベビ:単純に「好きな人」なのかなって。
ナルハワールド(以下:ナルハ):私も楽曲全体を通して「振り向いてほしい!」というメッセージを見出しました、まだお付き合いする前だと思います!
──歌詞がとてもかわいらしいですよね。たとえば、この世の終わりのようなシャウトやデスボイスで《空腹絶頂 響く腹鳴り》と強く訴えながらも、次の瞬間には《ハートのストローでスムージー登場》と、なぜか食べ物でなくドリンクの方を注文していたり。
ナルハ:あはははっ、たしかに。かわいすぎる(笑)。
月ノ:普通はシャウトしない歌詞だよね。そのフレーズ、ナルハが歌うのも解釈一致だったし、私はデモの段階からそうなると思ってた。
──同感です。私もまた作家の方との「解釈一致」を感じてしまいました。
月ノ:やっぱりそうですよね!? 直前までほかのメンバーがシャウトを頑張っているところに、ナルハがスルッと入ってくるのが気持ちよくて。
ナルハ:このフレーズはもともと歌いたい部分だったので、任せてもらえてうれしかったし、すごくお気に入りです!
テラシマユウカ(以下:ユユ):それこそ、今回はブロックごとに歌唱担当がメロディとシャウトで明確に振り分けられていて、これまで以上にメンバーカラーが伝わりやすい楽曲になった自信があります。私自身はメロディ担当なものの、最初にデモ音源を聴いたときは「シャ、シャウト(焦)」という気持ちになって……。
月ノ:過去の楽曲でも、叫ぶ方向性でのシャウトはあったけど、ここまでキャッチーかつ歌詞が付いているのは初挑戦だったよね。それもあって、シャウト隊は作曲のMEG(MEGMETAL)さんにかなりのディレクションを入れていただきました。
それと個人的に、レコーディングブースで一人、ただ叫ぶとなると緊張してしまって。ライブでアドレナリンが出ている状態ならまだしも、環境の違いってすごく大きいんです。でも、MEGMETALさんから「大丈夫!できてるよ!」と、歌う前からたくさん褒めていただけて、素直に安心しました。
──具体的に、どのようなディレクションがあったのでしょうか。
月ノ:これはドク(ユイ・ガ・ドクソン)の話なのですが、そもそもシャウトでの声の出し方をイチから教えていただいた、みたいなものでしたね。
──根本の部分から教わるほど、ハイレベルな楽曲だったのですね。続いては、もう一方の表題曲“一夏”について聞かせてください。
月ノ:夏のイメージとして、よく暑さや楽しさが挙げられるじゃないですか。一方で“一夏”は、夏の終わりや残暑を感じさせるサウンドになっているところがすごくお気に入りなんです。ギャンパレがまだ歌ったことのないテイストだったので、すごく新鮮でした。
──こちらは情景描写こそ具体的ながら、かなり抽象的な想いを歌っている印象でしたが、メンバーのみなさんはどのような解釈をしましたか?
ココ:えっと、メンバーで……。
ノン:(笑)
ナルハ:んふふっ(笑)
──まだ「メンバーで」としか言っていないのに、周囲から笑いをこらえる声が……?
ココ:そうですね、これは、歌舞伎町で……。
ユユ:ほんのひと夏だけ、ホストに狂ってしまい……それでも、ホストの沼から抜け出した女の子の歌です!
──なぜそのような解釈に(笑)。
ココ:というのも“一夏”は、マイカ(キャン・GP・マイカ)が振り付け担当だったのですが、彼女はかなりのポンコツメンバーで。今回の振り作りでも、歌詞が難しいと嘆いていたんです。そこで私たちもサポートしようと張り切ったはいいものの、いざ歌詞と向き合うと「むずくね?」となってしまい。結果、自分たちなりに歌詞を紐解く会を緊急開催することに。たしか、7月の<実録 遊び場陣取り大合戦 2024 〜It’s a Wonderful Life〜>上映会で、空き時間に話し合ったんだよね。
月ノ:そうそう。ふざけ半分で始まったし、各々の勝手な解釈しか出てこなかったけど。それでもこの会議のおかげか、マイカの振り付けが無事に出来上がったんですよね。
ノン:ただ、この歌詞を「ホストに狂った女の子」のエピソードとして読み込むと、すごく納得のいく筋書きになっているんです! 時間軸としては、過去の回想シーンと現在が混ざっていて、ホストにハマっていた時期の思い出が蘇ってくるシーンもあったり。
ユユ:途中で一回だけ「もしかしたら抜け出せないかも」のモードに入る瞬間、あったよね。そうはいっても夏の終わりが近づいて、気持ちも気候も徐々に冷えていくにつれて、離れていくんですよね……歌舞伎町から。
──歌舞伎町から(笑)。
ココ:歌詞に《ネオン》なんて言葉が登場して、都会を思わせる部分も……。
──あの区画のランドマークである、いわゆるトー横近くの「I LOVE 歌舞伎町」や、「歌舞伎町一番街」のネオンアーチを想起させるわけですね。ところで、今回のように歌詞解釈に悩んだ場合、作家陣やディレクターに質問するのではなく、メンバー同士で解決をする方が多いのでしょうか。
月ノ:言われてみれば、作家さんに自発的に質問しにいくことは多くはないかも。むしろ“一夏”は、私たちが考えたキーワードから歌詞を膨らませていただいたんですよね。実は制作当初、歌詞抜きのデモトラックだけが送られてきて、それを聴いて浮かんだ「夏に関する言葉」を全員が思い思いに書き出していって。みんな、どんな言葉にしたの?
ユユ:私は「ネオン」。
ココ:いま思い出したけど、たしか「一夏の過ち」だった。
月ノ:えっ、それもう“一夏“のまんまじゃん!
ココ:「私の言葉、使われなかったか〜」なんて少し不貞腐れていたけど、広義としてはもはや歌詞そのものだね(笑)。
──仰る通りですね。MVも素敵な仕上がりでした。
ベビ:映像の色味もすごく綺麗だったよね。
ユユ:監督さんが台湾映画をイメージして、レトロな色使いにしてくださって。
──メリーゴーランドに乗りながら、まさかの花火を振り回すシーンも最高でした。
ベビ:うれしいです! ロケ地の風がそこそこ強かったのと、メリーゴーランド自体の回転もあって、メンバーに火の粉が当たりまくって大変でしたけど(笑)。
月ノ:私はちょっとだけ、カメラマンさんを燃やしちゃった。
全員:(爆笑)
ベビ:噂によると、あのメリーゴーランドは座面に立ったり、花火をしたりと、もう何をしても許されるらしいですよ。
GANG PARADE「一夏(いつか)」Music Video
──もはや治外法権ですね。カップリングは、ヤママチミキさん×ユメノユアさんによる“トーナリティ”。おふたりとも今回はご不在となるのですが、こちらもみなさんの歌詞解釈が気になります。
ノン:「ミキ(ヤママチミキ)ユア(ユメノユア)」がこの場にいないから、もう言いたい放題なのですが……(笑)。
ユユ:ちょうどこの間、私、ココ、ノンの3人で解釈合戦をすでにしているんですよ。
──なんと!
ユユ:たとえばの話、こうしたジャズっぽいボカロ曲には、どうしてか男女のしっとりしたアニメMVがセットな印象がないですか?
──よくわかりますね。
ユユ:これをミキユアに置き換えた場合、ふたりは今年でギャンパレの活動歴がともに10周年。普段こそからっとした性格で、お互いに戦友のように見えるけど……実は、百合を隠しているんじゃないかと! もちろん、この楽曲に限って。あくまで私たちの妄想ですよ(笑)。
ココ:むしろ、私たち3人は聴く前から「百合設定の曲だよね」なんてはしゃぎまくってたけどね。でもまさか、ここまでしっくりくるとは……。
月ノ:大丈夫? これ、本当に怒られるよ?(笑)
全員:(爆笑)
──このインタビューだけは、おふたりの目に触れないことを祈るばかりです。
ユユ:あくまで個人の感想で、解釈は人それぞれですから!
──その部分、強調しておきましょう!
──最後に、2024年下半期に向けての意気込みをお願いします。
月ノ:上半期はライブハウスツアーや対バン企画を中心に、客席と近い距離でのライブをたくさん組んでいただいたので、下半期は11月30日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催するホール公演<TO BE BORN>に焦点を当てて、大人数でのパフォーマンスの完成度を意識したステージを作り上げていきたいです。
──もしあれば、その先の展望もぜひ。
月ノ:もっとたくさんのフェスに出演したい! 初見の方にギャンパレが刺さる瞬間って、ステージから眺めていて本当によくわかるんですよ。最初はポカンとしていても、最後には手を挙げてくれたり。その一瞬が本当にたまらなくて。なので、フェスのステージをもっと経験していきたいな。
──特に出演したいフェスは?
ユユ:Fear, and Loathing in Las Vegasさん主催の<MEGAVEGAS>ですかね。今年初めてお招きいただいたのですが、おそらく私たちのことを初めて観る方が過去最多だったこともあり、本番前から緊張しかなくて。ただ、ギャンパレのライブを観るのが初めてだった方が多かったぶん、その日からファンになってくださった方も多くいらして、ライブで魅せきったときの反響をしっかりと実感できたんです。なので、来年ぜひもう一度、あのステージに!
ナルハ:私はすごく個人的な話になっちゃうんですけど……甘いものが大好きなので、来年はスイーツ作りに挑戦してみたいな。
ベビ:かわいい〜! あ、来年はナルハも東京マラソンで走る? 宣言したら、たぶん実現されちゃいそうだけど……(笑)。
Text by 一条 皓太
Photo by Maho Korogi