現在、ディズニー・チャンネルで放送されている人気アニメーション・シリーズ『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』が、6月12日(日)にファイナル・エピソードを迎えます。それを記念し、ディズニー・チャンネルでは11日(土)、12日(日)にファイナルエピソード直前までの全エピソード39話を改めて事前に一挙放送します。『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』は、本国アメリカで2012年に放送を開始したテレビアニメーション・シリーズ。ディッパーとメイベルという二人の姉弟が、夏休みの間に向かったオレゴン州のグラビティフォールズという場所で、毎日のように巻き起こる奇怪な事件に遭遇するエピソードを、ユニークな視点で描いた作品です。
「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」
愛らしいキャラクター設定と、ユーモア溢れる展開。一方でカートゥーン(子ども向けのアニメーション作品を指す)ではあまり見られないミステリアスなスパイスも感じられ、独自の雰囲気を持った作品として大きな人気を博しています。日本でも2012年に放送開始し、マニアックなファンも多く存在するこの作品。製作総指揮を担当したのは、クリエイター、アレックス・ハーシュ。彼は制作だけでなく、俳優、声優まで幅広く手掛け、かつミステリーやSFなどの映画やサブカルチャーなどにも非常に深い造詣もあり、この作品にもそのカラーが深く反映されていることがうかがえます。
日本の文化にも非常に興味を持ち、3月には初来日も果たしたアレックス。今回は、その来日時に彼がインタビューにて語った『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』制作にまつわる経緯やエピソードと共に、作品に込めた思いなどをお送りします。
Interview:Alex Hirsch
――『グラビティフォールズ』というタイトルは、どのような意図で付けられたのでしょうか?
ちょっとこれは説明が少し難しいな。何故かってこれは、英語の駄洒落だからね。英語では滝の名前には、例えば「ナイアガラの滝」とかのように、フォールズ(滝)って言葉が2番目に付く。そしてグラビティ(重力)というのは、物体を落下させる力のこと。物体をフォール(落下)させる力だね。だからこれはある意味、英語の駄洒落なんだ。重力の名前が付いた滝、グラビティフォールがあるってこと。
――なるほど、ちょっと解釈が難しいかもしれませんね。
それと、グラビティ(重力)って言葉の持つ雰囲気も掛けているんだ。「サイエンス」って感じだし、何というか…ミステリアスで目に見えない力を表す言葉だ。だから、ミステリーを扱った番組にふさわしいと思ったんだよ。
――確かにその雰囲気は感じられますね。作品を作る上でこだわったのは、どのようなところなのでしょうか?
そうだな、僕と一緒に仕事をしている人に聞いてもらえば、誰もが言うと思うけど…僕はあらゆることにこだわるんだよ。時には“うるさいボス”になり得る(笑)。
――そうでしたか(笑)。キャラクターのかわいらしさを見ていると、大らかな雰囲気にも感じられましたが……。
でもテレビ番組を作る中で一番重要なことは、キャラクターのパーソナリティだと思う。ディッパーとメイベルは僕と僕の双子の姉に基づいているから、彼らが互いのことを大切に思っているし、いい友であり仲良しなんだ、と視聴者に思ってほしいんだ。その意味で僕が一番こだわったのは、キャラクターたちが互いのことを大好きだってことを伝わるようにした点だね。それがこのシリーズの根底にあることが伝わるように心掛けたんだよ。
――なるほど。例えばオープニングのイメージなどには、「子ども向け」に留まらない凝った映像があちこちに見られ、非常に印象深く感じました。それは特に意図的に、意識されたのでしょうか?
うん、この質問はすごくよくされるね。まず僕の考えでは、あらゆる年齢層に対して本当に最高のものを作るには、何よりもまず僕自身が楽しめるものを作ろう、ということを心掛けているんだ。なぜならば、僕は時には子どもっぽくなれるからね(笑)。くだらないことや、ふざけたことが大好きなんだ。
でも同時に僕は大人だから、怖い思いをするのも好きだし、サプライズも好き、ミステリーも好き。つまり僕は半分子どもで半分大人だから、僕が好きと思えるものなら、それは子どもも大人も楽しめるものだと信じている。あらゆる人にとって何かしら盛り込まれているようなものを作るというのが、僕らの狙い。だから番組を見た人たちに、実際にそう捉えてもらえるのはとても嬉しいよ。
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