――狙い通りという印象ですね。作品には非常に個性的なキャラクターも多く登場しますが、どのようにその性格などを設定されたのでしょうか?

確かに。キャラクターをデザインするのは、テレビ番組を作る最も楽しい部分のひとつだからね。僕らはとても才能のあるアーティストをたくさん使っているから、僕がこの番組の中で一番優れたアーティストというわけじゃない。キャラクターのデザインには、大勢の友達や同僚が協力してくれたんだ。

――具体的には、どの様なポリシーがあったのでしょうか?

そうだな……。『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』の“デザイン哲学”のようなものは何かというと、僕らはシンプルなキャラクター、描きやすいキャラクターを好んで採用すること。僕らが特に影響を受けたのは『ザ・マペッツ』(2011年のアメリカ合衆国の人形劇映画。映画『マペット』シリーズの7作目)だと思う。シンプルな丸い目と大きな頭と小さな手と腕。それって即座に人を惹きつける、と思うし、それにこんなかわいいキャラクターが、恐ろしげなモンスターに向かっているのが、また面白いコントラストになるんだ。

――確かにそれが作品のバラエティに富んだキャラクター設定につながっていますね。初期の設定から変わったキャラクターなどはありますか?

もちろんある。このシリーズに登場するどのキャラクターにも、それぞれ一番欲しているものがあると思うんだけど……「メイベルはボーイフレンドを見つけたい」「スタン大叔父さんは大金持ちになりたい」「ディッパーは宇宙の神秘に対して答えをすべて知りたい」。そして番組が進行するにつれて、彼らはそれぞれの欲しているものに近づいたり、遠ざかったりする。そして少しだけ成長していく。

その中でディッパーは、それまでよりも少しだけ人との関係を大切にするようになり始める。スタン大叔父さんは、金儲けだけに執着しているわけではなく、実は家族を大切に思っていることがだんだんと分かってくる。そしてメイベルは何度も失恋を繰り返すうちに、恋というのは焦ってすべきものではなく、自然に恋に落ちるのを待つべきなのかも、と気づき始めていったんだ。

――番組とともに成長した、ということでしょうか。素敵ですね。作品の中にはホラーやスリラー、ミステリーなどの映画作品の影響なども感じられるのですが、アレックスさん自身が影響されたもの、あるいはそれを意図的に入れたものなどはありますか?

もちろん。番組の中にはいろいろと他の作品も盛り込んだんだ。アメリカのものもあるし、日本のポップカルチャーから取られたものさえある。ハロウィンのエピソードでは、日本のアニメーション『千と千尋の神隠し』のカオナシにかなり影響を受けたモンスターが出てくるよ。さらに僕らは、スピルバーグの映画なんかからも影響を受けているんだ。

――カオナシですか!? それは素晴らしい。作品の中には、本当にたくさんの影響を感じます。

そうだね。1980年代、1990年代の映画に出てくるモンスターや…例えば『ジュラシック・パーク』の恐竜とか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムトラベルとか。僕は80年代後半から90年代前半ごろに育ったから、その時代の映画をたくさんこの番組に盛り込もうとした。アニメーターやアーティストというものは、あらゆるジャンルのものからインスピレーションを得ようとするものだと思っているしね。

人気海外アニメ『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』製作者が作品に込めた思いとは interview160531_gravityfalls_2

――今回の来日についてですが、何か事前に日本に来てやりたいと思っていたことはありますか?

まだこれまで日本に来たことがなかったんだけど、多くのアメリカ人がそうであるように、僕の日本に対する知識は、そのほとんどがポップカルチャーやアニメーション、ビデオゲームから来ているんだ。僕は昔からずっとポケモンとスーパーマリオの大ファンだし。だからただ日本に来ることができて、そしておもちゃを買えて……それから僕はスタジオジブリの大ファンでもあるから、あのスタジオのツアーにも参加する予定にしているよ。

――楽しい旅になりそうですね。

まったく! 僕は多少オタクっぽいから、僕が愛してやまないこれらの漫画やゲームの生誕地を見られるってことが、日本に来る一番の楽しみなんだ。それからこの日本に魅了されている者としては、神社を見たり…全く新しい街に身を置いたり、富士山を見たり、こういったことすべてにワクワクしている。ここにいることを本当に嬉しく思っているよ。

――それは本当に良かった。実際に来られて、どうでしたか?

ここに来てまだ数日だけど、もう既に興奮しているよ!この前は結構大きな神社に行ったんだけど、歴史を目のあたりにするだけのことが、とてもエキサイティングなことだった。それからポケモンセンターにも行って、おもちゃをたくさん買ったよ。これをアメリカに持ち帰って、友達たちを羨ましがらせるのがすごく楽しみだよ(笑)。

――良い意味で本当に子どもみたいですね(笑)。アニメーターとして、日本のアニメーションをどのように見られていますか?

僕自身も含めてアメリカのアニメーターたちは、みんな日本のアニメーションやアニメーション作家たちに、多大な敬意を抱いていると思う。多くの鍛錬とデッサン技術がそこにはある。

これはどれもすごく難しいもので、僕らはそれにとてもインスパイアされている。アメリカ人のアニメーターのほとんどは、僕自身を含め、宮崎アニメーションやその他のタイプのアニメーションに、非常にインスパイアされていると思う。そこにある技とイマジネーションといったら! 今、こういう作品が作られた場所にいるというのは、非常に謙虚な気持ちにさせられると同時に、ワクワクさせられる経験なんだよ。

――そうでしたか。では最後に今後、アレックスさんは今後どのようなことに挑戦していきたいと考えていますか?

そうだな……『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』はとても具体的な挑戦だった。子どもの興味を引き、大人の興味も引く子ども番組を作るという挑戦。そして全体で一つの包括的なミステリーを語ること。そしてこの挑戦を終えて、今度は何か別のものを作りたいというのが目下最大の興味だね。今度は新しい映画か、あるいはもう少し大人の観客向けのものがいいかな。

「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」 本編_第1話

PROGRAM INFORMATION

特別編成『グラビティフォールズ完全放送 ゾ・ゾ・ゾ!クライマックス』

ディズニー・チャンネルにて6月11日(土)、12日(日)
START 08:00/END 18:30

※「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」がファイナルを迎えるにあたり、全40話を2日間にわたって一挙放送。1日目はアレックス・ハーシュが作品に隠された謎を解き明かす特別番組も放送。そして2日目の最終話は1時間スペシャルでお届け。

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