2019年最注目のアクトであるガス・ダパートン(Gus Dapperton)が、4月19日(金)にデビューアルバム『Where Polly People Go To Read』を〈AWAL〉からリリースする。2016年に自身初の音源を発表して以来、Vogue誌、Nylon誌といったカルチャーメディアから高く評価され、Netflixで放送中の人気ドラマ『13の理由』のサウンドトラックにも起用されるなど、活躍の場をどんどん広げている。またベルリン発のオンラインメディアであるHIGHSNOBIETYでは、“2019年に注目すべき10人のアーティスト”に選ばれており、まさにこれからの音楽シーンを背負って立つシンガーソングライターとして有望視されている存在と言っても過言ではない。

Gus Dapperton – World Class Cinema

そんなカッティング・エッジな世界観を持つ彼には一体どんなルーツがあるのだろうか? メールインタビューでそれを紐解いていくとともに、本作『Where Polly People Go To Read』で気になる点についてもうかがってみた。

Interview:Gus Dapperton

――昨年はあなたにとってどんな年でしたか?

たぶん僕の人生にとってかなり重大な一年だったと思う。ものすごくいろんなところに行ったし、新しいことも色々やって、知らない場所にもたくさん行って、新しいことが色々起こったから、自分の創作活動にとってもすごく刺激的な時間だったし、環境の変化もあって、僕はあらゆることから刺激を受けるから、去年は本当にそういう刺激的な年で、すごく影響が大きかったと思う。

――たくさんの恋愛をしてきてると思いますが、その中で一番の楽しかった思い出と悲しかった思い出を教えていただきたいです。

何だろう……ええと、この前付き合ってた人との関係は、もう全体的にかなり健康に良くなかった。具体的っていうよりあらゆる点で全然ダメだった。何だろう、まるで永遠に続いてるような気がしたし、付き合ってる間本当にずっと良くなかった。で、一番楽しかった思い出は、ガールフレンドのジェスと初めて出会った日かな。その日のことをものすごく鮮明に覚えていて、彼女を初めて見た瞬間に、自分が求めてるのはこの人だったんだと思ったんだ。

――今回のアルバムの中で一番お気に入りの歌詞は?

ええと、どれだろう……ちょっと考えさせてもらいたいけど、“My Favorite Fish”っていうのがすごく好きなんだよね。《You are my favorite fish》ってところも歌っててすごく好きだよ。

Gus Dapperton – My Favorite Fish

というか正直言うと、自分の歌詞は全部好きなんだよね(笑)。ホント全部好きだよ、だって時間をかけて書いたものだし、どれも自分にとっては偽りのないもので、だから“Coax & Botany”の歌詞もすごく好きだし、あとは“Fill Me Up Anthem”の歌詞も気に入ってるし……やっぱりどれも好きだな。それで理由は、それぞれの曲を書いていた時間というのが、自分にとっては重要で、特別な思い出を蘇らせて、すごく意味深いものなんだ。やっぱりどの曲も、それぞれに思い出深いんだ。

Gus Dapperton – Fill Me Up Anthem(Official Video)

――新しいアルバムを3つの言葉で表現すると?

3つか……ええとじゃあまず「多様」。それは、曲ごとに全然違うっていう意味でね。それで次は「未加工」。というのもヴォーカルも楽器も全部、全然加工されてなくて、そのままの音だから。で、最後はたぶん、「ソフト」かな。すごくハードな曲でさえソフトというか。というわけで「ソフト」「未加工」「多様」の3つだね。

――ちなみにソフトというのは意図的にそうしていますか?

いや、それはないよ。ほぼすべての僕の曲は意図せずソフトだと思う。理由は自分でも分からないけどね。無意識にそうやって作ってるんだと思う。強烈に叩きつけるような時でもどっかソフトなんだ。 

――あなたについて聞きたいと思います。昔はどんな子供でしたか? 家にはどんなレコードがあった?

いつも走り回ってて、いつも木に登ってて、いつも着替えてた。あといつもハロウィーンの格好をしてたね。それにいろんなところにすごい勢いでぶつかりまくってたから、いつも目の周りにアザがあった。家にはレコードじゃなくてCDがいっぱいあったけど、ええと50セントの『Get Rich or Die Tryin’』とか、あとビートルズは全部あって、『ホワイト・アルバム』も『マジカル・ミステリー・ツアー』も『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』も、あと何だろう、ジャスティン・ティンバーレイクの『ジャスティファイド』とか、ブリトニー・スピアーズの『ブラックアウト』みたいなタイトルのやつとか。あとはマイケル・ジャクソンの“Billy Jean”が入ってるやつとか。

――いま一番お気に入りのアーティストや楽曲を教えてください。

特にないなあ……友達の音楽が好きなんだ。Orion Sun、Spencer、Elijah Bank$yといったアーティストだね。

――あなたに影響を与えている映画は?

最近で言えば『シェイプ・オブ・ウォーター』はすごく好き。あと『グッド・タイム』もすごく良かった。

『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編

【映画 予告編】 グッド・タイム

——いま、最も興味を持っているモノ・コトは?

僕が興味を持っているのはやっぱり音楽。新しい音楽を作ることと、あと音楽を聴くことも止められない。あとは、自分が大事に思ってる人たちに興味を持ってるよ。

——最近気になったニュースは?

何か、この3年の間くらいで3000人だか4000人だかの子供が移民収容所での性的暴行被害を訴えてるとか読んだんだ。それは本当にひどい話だと思った。

——ファッションメディアにも注目をされていますが、洋服はどこで購入することが多いですか? 好きなブランドは?

決まってないよ。リサイクル・ショップで買ったり、もっと高級なところで買ったり、あと洋服を作ってる友達もいるし、色々だよ。好きなブランドはいくつかあるけど、靴のブランドのカンペールは好きで結構持ってる。他には……やっぱりカンペールでいいや。

——あなたにとってファッションはどんな意味を持っていますか?

たぶん僕は、ファッショナブルだとかファッションについて詳しいと思われてる気がするんだけど、でも実はそうじゃなくて、僕はただ自分が何を着たいかを知っているだけなんだ。着ていて落ち着く服っていうのが自分で分かってるんだよ。つまり買い物上手なんだ。自分が好きなもの、着たいものを買ってるっていうだけだと思う。で、基本的にファッションは視覚的な自己表現のひとつで、音楽は音的に自分を表現できる手段だよね。

——NYへ行ったらここには絶対に行った方がいいというオススメの場所を教えてください。

自分が行く場所を全部バラすのは嫌なんだけど、ええとCafé Bocadoは朝ごはんもランチもおいしい。あとBar Pittiっていうイタリアンもいいよ。

——日本のファンへメッセージをお願いします。

日本でツアーする予定だから、心の準備をしておいて。まだ未定だけど、いずれ行くことになると思うし、僕は日本に行くのをすごく楽しみにしてるんだ。それから、自分らしく、目一杯自己表現して。たとえそれで不都合なことがあったとしてもね。

Gus Dapperton インタビュー| 今最もエッジーなシンガーソングライターの思考回路 interview190415-gusdapperton-2-1

今回のインタビューでわかったことは、自身のアイデンティティに何の引け目も感じる必要はなく、ただありのままの姿を表現することが、彼のようにオリジナルでいられる秘訣だということだ。きっとそんな飾らない姿に惹きつけられる方が多いのだろう。彼らしさが詰まったデビューアルバムもぜひチェックしてみてほしい。

INFORMATION

Gus Dapperton インタビュー| 今最もエッジーなシンガーソングライターの思考回路 interview190415-gusdapperton-3

Where Polly People Go to Read

2019.04.19 Release

Gus Dapperton

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