“ああ、俺は、この人たちのおかげでライヴがやれているんだな…”と、
改めて感じさせてもらえた

――では、ここからは昨年夏に発売した『Now Album』の話に移りたいんですけど。今振り返って、あのアルバムはいかがでしたか?

今、ようやく聴き返している感じですね。作った直後はなかなか聴き返せなかったところもあって。今、ようやく普通に聴けるようになりましたね。リスナーとして、“いいやん、これ!!” って思いますよ(笑)。

――今作の制作途中で、ベース&ボーカルのMukkyさんが突発性難聴になったりして、それらを乗り越えての作品なので、これまでよりも感慨深いものがあるのでは?

ああ、あの時は大変でしたね。実はまだ乗り越えてないんですよ。一生付き合っていかなくてはならない病気みたいで。アイツがボーカルの曲もあるんで、未だ音が取りにくくて歌えない時もありますからね。だけどそれが故に、みんなでフォローし合ったり、工夫して他の見せ方でカバーする等、色々と模索しながら進めてきましたから。

――じゃあ、このアクシデントがあったからこそ、逆に開花したものもあったと。

ありましたよ。だけど、アクシデントは無いに越したことはない(笑)。

――確かに(笑)。で、それを抱えながら全都道府県58カ所にも及ぶツアーを敢行したわけですが。今、振り返り、あのツアーはいかがでした?

47全都道府県でライヴが出来たのが非常に嬉しかったですね。しかも、6〜7か所を除いて全てチケットもソールドアウトしたし。予想を遥かに上回る人たちが来てくれて。あれは嬉しかったな。

――分かります。普段なかなか行けないところに久々に行った際に、待ってくれていた人が居た際の心強さや歓びみたいなものですよね?

ですね。俺、“それまで人の為に音楽をやろう!!”と思ったことってなくて、常に自分の為に音楽をやってきたんです。だけどあの光景には、“ああ、俺は、この人たちのおかげでライヴがやれているんだな…”と、改めて感じさせてくれる力がありましたね。

――“俺らは、ここにいるお客さんたちに支えられてるんだ!!”みたいな?

そうそう。バンドを演ってなかったら絶対に訪れることがないだろうって土地でも、キチンとみんな観に来てくれる。あれはホンマ心強かった。おかげさまで俺、全県に友達が1人づつは居るようになりましたから。こういったことはバンドを演ってないと味わえない歓びや繋がりだろうし。それから俺ら基本、どこの会場でも例え前売りが完売しても、あえて当日券を出すようにしてるんです。そうすれば会社帰りに俺らのライヴに駆けつけることも出来るじゃないですか。“これ終わったら、HEY-SMITHのライヴが待っているゾ!!”みたいな、ちょっとした楽しみやご褒美でもあったら仕事も頑張れるんじゃないかなって。そんな些細な元気の源になれたら嬉しいですね。

――ツアー中、何か思い出深いエピソードがあったら教えて下さい。

うーん、色々あったけど、やっぱりライヴ後のアフターの方がエピソードは多いかな(笑)。

――それは例えば?

お姉ちゃん系以外だと…(笑)。ライヴ後の打ち上げで、二次会にはよくセッションバーに行ったんですよ。そこで対バンだった方々と一緒にセッションをする、それが面白かったですね。みんなベロベロだったんですけど、そんな時こそ普段ステージでは見れない素顔や意外なフェイバットやバックボーン、ルーツも知れたりして。よりその人のことが深く知れたり、好きになったりしましたから。

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――音楽で繋がり合う、みたいな。

まさにそんな感じ。適当に誰かが始めた曲に合わせてみんなが思い思いに音を乗せていくことが多かったんですけど。昔好んで聴いていたり、コピーしていた曲や、みんなが合わせられるような曲もあれば、誰かが適当なコードを弾き出して、そこからジャムが始まったり。中には、そこで新曲が生まれたバンドもいましたから(笑)。