パンクバンドだから演奏が下手だったり、
作品やライヴの音が悪くてもいいという考えを俺は許さない
――で、そのツアーファイナルとなったなんばHatchですが。今回それがライヴDVD『Your Freedom
』になりました。内容的には、終始ステージもフロアも、みんなが楽しそうな表情をしていたのが印象深かったです。
こんなに自己中心的なことをやってきといて、こんなにも多くの人に認めてもらえるなんて、そんな幸せなことはないですからね。これまで自分らのペースで、自分らの為にしかやってこなかったのに、それがここまで…。そりゃ、笑顔にもなりますよ。ホンマ嬉しかったし、楽しかったですから
――ステージからの光景的にはいかがでした?
壮観でしたね。過去、何度かHatchにも立ったことはあったんですけど。その時よりも遥かに素晴らしい景色で。とは言え、無我夢中でやっていたんで、あまり内容や喋ったことも覚えてないんですけど(笑)。今回のDVDを見直して、“ああ、俺、こんなことしゃべっとったんや…”等、改めて発見することも多くて。
――なんでも当日はオールスタンディングながら、キッズが思いっ切り楽しめるように、あえて柵等を取っ払ったとか。
そうなんですよ。俺も以前はかなりのライヴキッズだったんで、分かるんですよね、あの柵のうっとうしさが。自由に楽しみたいのに、あれのおかげで楽しみ方が制限させられる。で、Hatchの人に交渉したら、取ってもいいOKが出たんです。「その代わり、何かあったらお前らが責任とれよ」の条件付きで(笑)。
――そのおかげで生まれた、フロアでの超巨大なサークルモッシュも圧巻でした。
ああいった光景って、今回みたいな大きな会場ではなかなか見れませんからね。例え大きな場所だろうが、コンサート会場になって欲しくなかったし。「大きなライヴハウス」、まさにそれが実現できたかなと。
――今回のDVDは、とにかく音が良いですね。臨場感や奥行きが凄くあって。レンジもかなりワイドだし。
でしょ。正直、音にはかなりこだわりました。音にキチンと輪郭があって、ハッキリしていると思いますよ。普段あのクラスでのライヴ録音だと、けっしてこうはならないですから。たいがいもっとモコモコしたくぐもった音になっちゃう。だけど今回はライヴハウスで出しているような音にキチンとなっていますから。
――ということは、音の良さにはかなり意識的に臨んだと。
もちろん! 俺らライヴでは専属のPAさんと一緒に回っていて、出音にはかなりこだわってるし、リハーサル等も毎度入念ですからね。他のバンドには無い音作りや流れ、音の出し方やその音色には、かなりこだわってますよ。ライヴも序盤と終盤では、段々と出音を変えてもらったりしてるし。俺、「パンクバンドだから演奏が下手だったり、作品やライヴの音が悪くてもいい」というバンドってアンチなんです。世の中、悪い音質の作品が多過ぎる。今、CDが売れないから、制作費をケチって、結局そんなに満足のいくものが作れないままリリースしたり。それでクオリティが低くて、それを聴いたみんなの耳も自然と悪くなっちゃう。だから俺たちは、“ちゃんとした音質というのはこういうもんなんや!!”というのを提示したくて。なので今回もライヴ録音は、ライヴの際のミキサーさんにお願いして、それをスタジオに持ち帰ってミックスしたり作業したりは、レコーディングの際のミキサーさんにお願いし分けたんです。おかげさまでお金が凄くかかったけど、納得のいくものが出来ました。
――それから映像の臨場感も半端ないですね。
INNI VISIONに撮ってもらいました。オシャレでしょ(笑)。けっこうミーティングを重ねて一緒にセッティングしていった感じなんですけど、彼らとも昔からの友達なので、色々とアイデアを出し合ったり、構図や意図を共有し合って撮ってもらいました。彼らは俺らの音楽を全て知っているんで、抑え所や魅せるポイントも熟知しているんですよね。しかも、そこを編集ではキチンとフィーチャーしているし。ホンマ音にも映像にもこだわったんで、是非みなさん買って下さい。