UK発のイケメン・ポップ・ユニット、ハーツ。そのハーツが2ndアルバム『エグザイル~孤高~』で更なる進化を遂げた――。
80年代の香りを漂わせながらも「ポップ」さに徹底的にこだわったサウンドで、2010年に1stアルバム『ハピネス』でデビューしたハーツ。そのサウンドはもちろん、2人の端正なルックス&耽美かつ完璧なビジュアル・イメージもあいまり、一躍人気・実力共に世界的なアーティストの一員となった。
しかし彼らはこれで満足はしなかった。シンセサイザー&ギターのアダムが「当時のトレンドからしたら僕たちのサウンドはとてもユニークだったけど、今ではみんなハーツの音が何か分かっているから、もう同じことはできない。変わる必要があったんだ」と語るよう、彼らは常に前衛的な姿勢で音楽と向き合っていたのである。そのため、前作ではピアノで楽曲制作を行っていたことに対し、今作ではギターで作曲していったという。2ndアルバムに収録されている“エグザイル”や“ザ・ロード”を聴いて分かるよう、確かにディストーション主導型のヘヴィな曲となっている。前作に漂っていた80年代テイストなポップはさらに磨きをかけられ、より攻撃的に、よりメロディアスに仕上がっている。まさしくハーツの第二幕と言えるだろう。
ところで、デビュー後に彼らが来日したタイミングで、ハーツと初詣に行くという企画<ハーツと一緒にハツ詣に行っちゃおう!>をQeticで行ったのをあなたは覚えているだろうか? 「オヤジギャグかよ!」ってちょっと怒られてしまいそうな企画だが、彼らはなんと快諾、むしろ楽しみにしていてくれた。当日はアダムが体調不良のため、セオ一人での参加ではあったが、彼は終始興奮気味であった。今年は<フジロック’13>での出演が決まっている彼らだが、Qeticでもハーツのハーツ(初)フジの様子を追っていければ本望だ。とにもかくも、彼らがどのようなパフォーマンスを魅せてくれるのか楽しみにしていたい。
(text by Misutaka Numata)
Interview:Theo Hutchcraft(HURTS)
ハーツのオフィシャル・インタビューも到着! セオが語る『エグザイル~孤高~』制作裏話とは・・? 早速チェック!!
Hurts – “Miracle”
――アルバム名『エグザイル~孤高~』の由来は?
ここ3年くらいの間に感じたことをそのまま言葉にしたんだ。昔の生活を後に、ツアー三昧の生活に飛び込んでいったからね。実は制作に入る前からタイトルは決めていたんだ。取り掛かりにいい言葉だと思ってね。「EXILE」という言葉からは自由も連想できるし、隔離という意味もあるし…色んなエキサイティングなアイデアが沸いてくる言葉なんだ。
聖書との関係は特にないよ。でも、そういう意図はなかったんだけど、今のところタイトルを聞いた人たちはそれぞれの解釈があるみたいだね。自由についてのアルバムだと思った人もいれば、孤独についてだと思った人もいるし。そうやって幅広い解釈をされているのはなかなか面白いよ。ただ、聖書について何か言及した訳ではないんだ。
――1stシングル“ミラクル”について教えて下さい。
僕たちは希望について曲を書くことが多いけど、これもそういう面があるね。絶望から救われるような希望。前のアルバムの延長線上にあるような感じかな。ストーリーとしては恋愛関係にあったのに酷い目に遭って失恋してしまう話なんだ。
――今作のプロデューサーもJonas Quant(ジョナス・クワント)なのでしょうか。
そうだよ。でも最初の6-7ヶ月間は自分たちだけでアルバムを作っていた。後半になってスウェーデンに行ったんだ。ジョナスはサウンドの大きな要になっているから、今回も彼と組むことが大切だと思ったんだ。彼は僕たちの作風に反対の要素を持ち込んでくれるからね。クリーンなエレクトロニック・サウンドが得意なんだ。アルバムにはギターなんかの生楽器が多用されているけど、それとエレクトロニックなサウンドを巧く組み合わせてくれるからね。
――今作の制作にむけて、ソングライティングの方法に変化はありましたか?
今までと同じだけど、前より自信が出てきたような気がする。楽器の演奏も前より上達したし。今までの経験から色々学んだから、もっと新しいことに挑戦してみようという気になれたんだ。その結果前よりもエキサイティングなものが出来てよかったと思っているよ。
――今作を完成させるにあたり、一番苦労したことは?
ユニークでなおかつ自分たちが進化したと思えるものを作るために自分たちに発破をかけたことかな。
――前作(デビュー作『ハピネス』)ではカイリー・ミノーグの参加も話題となりましたが、今作もゲスト・アーティストを呼んでいますか?
今回は誰も起用しなかったんだ。前回カイリーが参加してくれたのはすてきなことだったし、アルバムの中でもとても大切な存在だったけどね。ただ、前回彼女を起用したのは、女性の声が欲しかったからなんだ。今回はそういうのがなかったからね。前回は曲を書いた時点で女性の声が必要だなと確信したから彼女の参加は必然だったけど、今回はそういう余地がなかったんだ。
――個人的に、前作と今作の一番の違いはなんだと思いますか?
音楽的にはよりヘヴィでダークになったと思うね。今回はもっとライヴ感が強くなっていいて、ワイルドでエネルギッシュなんだ。歌詞的には、基本的にはあまり変わらないけど…前作は主に愛について書いていたけど、今回はもう少し幅広い題材を取り上げていて、内容ももう少し複雑なんだ。ダークでもあるね。前回の穴埋めができたような感じになったのは良かったと思う。
――前作は「UKでその年で最も早く売れたデビュー作」となったが、デビュー作にしてここまで受け入れられた理由は自分自身ではなんだと思うか?
自分たちでは分からないな。難しいよ。ベストを尽くしたのが良かったのかな? ビデオにも力を入れたしね。ビジュアル面も強化できるように。イメージを具体化したことによって、みんながとっつきやすいものになったのかも知れないね。まぁ、やっぱり答えは分からないわけだけど・・・受け入れられるために何年も努力したけど、急にこうなった理由はよく分からないんだ。
――今回はもっと早く受け入れられる確信があるのでは?
うーん、そうでもないよ。また新しくスタートしているような気分だからね。ワクワクしているよ。暫く新曲を出していなかったから、そういう気分になれるのかも知れないね。(今回のアルバムが発売されたら)何が起こるのかは分からないけど、なかなか興味深いものになるんじゃないかな。
――ハーツはメンバー2人のスタイリッシュな着こなしも注目されていますが、あなたが今個人的に一番好きな洋服のブランドは?
うーん、黒い服を作っているところしか見ないからなぁ(笑)。いい黒い服を作っているところだったらどこでも好きだよ。でもファッションはバンドの要素として大切な一部だと思うし、興味も持っているよ。
――今個人的に一番気に入っているアーティストは?
色々あるな。最近は面白い新人がいっぱい出ているからね。みんなからインスピレーションを貰っているよ。中でもラナ・デル・レイなんかはリスペクトしている。音楽以上のものを作れて、ユニークな世界観を持っている人たちが好きだね。バンドだったら・・・ザ・ハートブレイクスが好きだね。個人的にも仲がいいし、一緒にツアーしたこともあるよ。マンチェスターの地元仲間でもあるんだ。
――日本には<サマーソニック>と単独来日と2回来日を果たしていますが、日本滞在の一番の思い出は?
日本ではいい思い出しかないよ! <サマーソニック>は初めての公演だったけどとても楽しかったし、僕たちの音楽があんなに遠くまで届いていることが分かって嬉しかった。単独でショウをやったときも本当に楽しかったね。あの時は日本に1週間いて、東京で結構長い時間を過ごすことができたんだ。お寺とか色々なところに行けたし、素晴らしい人たちとも出会うことができたよ。僕たちの音楽や、僕たちのやりたいことを理解してくれる人がたくさんいるところだと思えたんだ。理解されていると思えるのはすてきな気分だよ。言葉や文化が違っても、僕たちの音楽にある感情を汲み取ってもらえて、影響を与えることができるというのは嬉しいね。
――日本のファンへメッセージを下さい!
とにかくまた早く日本に行きたいね。前回は最高のときを過ごせたから。素晴らしい人たちとの出会いもあったし、コンサートもとてもうまくいったんだ。ただ楽しいだけでない、それ以上のものを与えられればいいなと思っているよ。みんなが大切にできる思い出を作ることが大事だと考えているんだ。何とか今年中にそっちに行けたらいいね。まだ決まっていないし、決まったとしても今年の後半になると思うけど、是非行きたいと思っているよ。そうそう、先週新しいビデオを撮ったんだ。“ミラクル”というものだよ。もうすぐアップされると思うから、楽しみにしていてくれよ!
――最後に<フジロック’13>について一言お願いします!!
前回日本へ行った時とても楽しかったから、今回も本当に楽しみにしてるよ。<フジロック>は初めてだけど、サマーソニックも本当によかったからね。ファンもすごく暖かく迎えてくれたし、また日本のステージに立つのを楽しみにしてる。今回は、前作よりもへヴィな音も増えて曲の幅がぐっと増えたから、内容の濃いステージになるはずだよ。みんなにもいろんな楽しみ方をしてほしいね。
Release Information
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