トラックメイカー、シンガー、ラップ、映像ディレクター、イラストレーターといった多数の肩書きを持つidomがわたしたちの前に現れたのはちょうどコロナ禍が本格化した2020年の春頃だった。イタリアのデザイナー事務所への就職が決まっていたが、新型コロナウィルスの影響で渡伊を断念し音楽制作を始めたとのことだったが、それから現在まで、3作連続で大型タイアップに起用されるなど、若手アーティストの中では異例の勢いで注目を集め、ついには月9ドラマ『競争の番人』の主題歌を任せられるほどの存在となった。

ミステリアスな雰囲気を纏う彼は一体どのような人物なのだろうか。これまでの足取りを辿るように、キャリアを遡ったところから現在、そして今後のヴィジョンまで、idomにたっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW:idom

ベールに包まれたidomに初インタビュー|月9ドラマ『競争の番人』主題歌を経て描く未来 interview220905_idom-06

しんどかったときに、前を向く方法として音楽があった

──コロナ禍が始まって決まっていた就職を断念するところからidomさんは音楽活動をスタートしています。改めてそのキャリアの始まりについて、そのときの心境も含めて教えてください。

不安がずっとつきまとっていたというか、周りと比べたりもしてしまって。元々やりたかったことがあって、その道で進もうと思っていたことが目の前で無くなってしまって、先が見えない状況だったんです。そもそも海外に目を向けていたので、国内で何かをする準備もできていなかったんで、この先どうしようという不安はずっとありました。

当時は、何かするにも難しいし、動くのも難しい時期で「ちょっと休む期間かな」と自分で区切りをつけていたんですけど、そこで身近な人の不幸だったりいろいろあって、心境に変化がありました。しんどかったのはしんどかったんですけど、ここで前を向く方法は何か考えたとき、今までの人生で経験したことのない、やろうとも思っていなかったことをゼロからスタートしてみて、そこに対する熱量とかに持っていけたら意外としんどいことを忘れる時間が作れるんじゃないかと思ったんです。たまたま知り合いで音楽をやっている人だったり、音楽が好きな友達も多かったので、ちょっと話のネタになるかなという感じで音楽を選びました。

最初のきっかけは知り合いの音楽をやってる方が、僕が落ち込んでいるときに「やってみたら?」と勧めてくれたタイミングで。その場でDAWのソフトを買って(笑)。その日に何か作ってみようって、お互い何かとりあえず作って聴かせ合ってみよう、夜中に始めて朝方に聴かせ合ってみようよって話になって。それでできたのがYouTubeの1本目の曲なんです。彼は一個上の先輩だったんですけど、完成して朝聴かせたら「お前才能あるぞ!」って言ってくれて。それで、どうせだったらみんなが観れる形でどこかのプラットフォームにUPしようとなったときに、動画は元々作ったりもしていたのでYouTubeにアップしてみたんです。

idom – neoki

──音楽活動をするイメージは全くなかったんですね。やりたい気持ちが元々あったわけでもなく?

考えた事もなかったですね。その場のノリというか、新しい趣味のような感じで。その時期っていわゆる自粛期間中でみんな家にこもっていたから昼間から音楽が好きな友達と連絡を取り合っていて。「ちょっと新しいの作ってみたんだよね」ってすぐに送れるような状態だったから、そこでみんなと話して「いいじゃん!」みたいな、遊びの感覚に近くて、音楽やりたいっていうよりも本当に話のネタでしたね、最初は。

──音楽が遊びじゃなくなった瞬間は明確にありましたか?

うーん、一番最初に「ん?」って思ったのは、SNS上に載せて反応がパッと見えたときで。最初に載せたものがTwitterで拡散されて、1日でフォロワーが100人くらい増えたことがあって、「次の曲も楽しみにしています」とかコメントしてくれている人もいて。自分の友達とか身内の中だけじゃなくて、全然知らない人とも繋がれるツールなんだと思ったらそれが楽しくなりました。プロとしてやるというより、ネット上にいるいろんな人と繋がれることに楽しさを感じてから、集中してやってみようかなと思うようになりました。

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──制作の環境は徐々に整えていったんですか?

僕は思い切ってポンポン買っちゃうタイプなんです、「やってみっか、とりあえず買おう」って感じで。でも全然安いもので最小限必要なものって感じで、テーブルの上に収まる程度のものしか揃えていないんですけど。それでも全然やれているので、今っぽいっと言えば今っぽいのかなと思ったりもします。

──近年はベッドルームから発信しているミュージシャンも少なくないですよね。誰か参考にしたアーティストはいますか?

いや、誰かを参考にしたりすることはほとんど無かったですね。当時は何もしていなかったんでお金も無かったし、できる範囲で必要最低限の機材を揃えて。あとは、まず知識が足りないからとりあえず知見を深めようというのが先でした。

──たくさんある肩書きの通り、動画やデザイン、音楽とクリエイティブな領域でたくさんできることがあるidomさんにとって、創作はどのような位置付けですか?

とりあえず暇があったらどれかやっています。何種類かある中でこれに行き詰まったら違うことをやってっていうサイクルが回っていて、自分の一部というか、それをやっていないと落ち着かないのかもしれないです。

──制作のルーティーンはある程度決まっているんですね。

最近は音楽ばっかりやっているんですけど、ルーティーンというか、起きる時間からやることは決まっていて。ここまでは今日中にやって、あとは次の日にやろうって分配するような形で、割と時間を決めてやっていますね。

──自分でオンオフの切り替えをしっかり管理できるのはすごいと思います。

でも最近はそうでもないかもしれないです(笑)。ちょっと無茶したりしてますね。でもそれも楽しんでやっています。

──YouTubeなどにたくさん曲のカヴァー動画を投稿していますが、これはスキルを習得する学習的な側面もありますか?

普段自分がリスナーとして聴いていたときと違う聴き方ができるという意味でカヴァーはだいぶ勉強にはなっています。「ああ、ここの音はこうやってバランスとってたんやな」とか、ちゃんと聴き込めば聴き込むほどわかってくるのでそれはすごく勉強になりましたね。

──幼少期によく聴いていた音楽などあれば教えてください。

もっぱら洋楽ばっかり。特にR&Bとポップス、あとロックを小さい頃から母親が聴かせてくれていて。当時CDのプレイヤーでウチのおかんがよく僕にイヤホン貸して、曲を流してくれてたんです。自分でよく聴いたのはR&Bでしたね。僕が小学生くらいのときに自分でディグリ始めて。

──ちなみに最初に買ったCDは?

最初に買ったのはアヴリル・アヴィーン(Avril Lavigne)ですね。

──音楽が好きな自覚はそのとき生まれたんですか?

好きというか、親の影響も強かったのであんまり周りと趣味が合わないのもあって、「自分の好きなものだけ聴いていればいいか」と小さい頃から思っていました。あと小学校3年生くらいのときにNe-Yoに出会ったんです、ゲームの中で。グラセフ(『グランド・セフト・オート』)…たぶんリバティーシティかな。

出たばかりの時期に近所のお兄ちゃんが持っていて、「これ18禁だから親父に言うなよ」とか言われたりしながらやっていて。そこで初めて聴いたNe-Yoがめちゃくちゃかっこよかったんです。帰って調べてみたら「あ、この人だ」ってわかって。YouTubeで探したりもしていたから、その関連動画を辿って他のR&Bアーティストも聴くようになったので、そこが最初だった気がします。親に隠れてコソッと聴いていましたね。

──そのお話は現在のidomさんの楽曲の持つグルーヴ感にも繋がっている気がします。

なんていうか、ブラック・ミュージックのグルーヴ感のようなものが小さい頃からすごい好きだったので、親しみがあるんですよね。

──今でもidomさんの中心にあるのはブラック・ミュージックのグルーヴですか?

そこが音楽を好きになったきっかけだから根幹にはあるのかもしれないですね。日本にもたくさんそういうグルーヴを出しているアーティストさんはいるんですけど、僕もそういうグルーヴをしっかり出せるようなアーティストになれれば良いなという想いがあります。

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趣味から使命感へ

──ちなみに今は岡山県に住んでいるんですよね?

今7年目ですね。だいぶ慣れて、というか地域の方たちともすごく良い関係で、だいぶ根付いてる感じです。

──音楽を作るにもやりやすい環境ですか?

だいぶやりやすいですね、田舎なので街自体が静かで。

──大きい音を出しても問題ないんですか?

基本一軒家しかないような地域で、僕が今いるのも一軒家というか、古民家を自分と仲間たちで改築した場所なんです。

──すごい。制作環境として作ったんですか?

いや当時は全くそういうことを考えていなかったので、なんとなく自分たちで一つ遊び場を作りたいよねって話になってできた場所で。そこが今、一応作業場というか仕事場になっている感じです。

──ここからはこれまでの楽曲についても伺っていきたいと思います。“Awake”は新章開幕といった印象を受けました。この曲に特別な想いはありましたか?

“Awake”のタイミングで、音楽に対して踏み切っていこうという決意が固まったというか、趣味の延長だった音楽をちゃんと作品として残していこうというスタンスになったんです。一年経ったタイミングで“二人”という曲を出して、そこまでは自分の中の実体験だったり、心情を曲に出したりしてきたんですけど、“Awake”では自分がこれから進むべき道を示したいと思って。最初の1年は見つけてもらう年にしたくって、“Awake”を出した去年は気づいてもらう年にしたかったというか。見つけたけど「ふーん」くらいだった人を「こいつなんや?」と驚かせたかった。“Awake”では僕の今まで見せていなかった世界観をしっかり表現したかったんです。

idom – Awake

──音楽を通して社会に対して何か伝えたいという使命感のようなものを感じました。

1年目は自分の音楽を初めて聴く人がライトに聴ける曲を作っていた印象なんですが、“Awake”は自分の人生観だったり、「なぜ自分は音楽をやるのか」という自分に対しての問いかけにもなっていて、使命感というか、自分が持っているヴィジョンはこういうものですってオーディエンスに見せるべきかなと思って作ったんです。

──それから“Freedom”“Moment”とアグレッシブな曲、そしてシネマティックさの際立った曲をリリースしました。新曲の“GLOW”にもシネマティックさは引き継がれている気がしますが、こういったサウンドに映画やドラマの影響はありますか?

映画は一時期めちゃくちゃ観ていて、週に10本くらい観ている状態が1年間続いた時期もありました。観ていたのは海外のものがほとんどで、そういうサウンドの感覚はそこで備わったのかもしれないです。あと僕は神戸の高校に通っていたんですけど近くにインターナショナル・スクールがあったから外国人の友達も多くて……神戸自体が外国人の多い街だから、そういう子たちと遊んでいると自然とそういう音楽が流れているし、週末になったら教会に行ってみんなで遊んだりボランティアしたり、火曜日になったら誰かの家に集まって映画観ながらお菓子食べて、という感じで。そういう経験がシネマティックな音楽が身近になるきっかけになっていたかもしれないです。

──そのときに海外のブラック・ミュージックやカルチャーをたくさん吸収したんですね。

そうですね。僕の知り合いや友達が割と自由でリベラルな感じの子ばかりだったので「遊びにおいでよ」って気軽に言ってくれて。それがすごく良くて、どういうスタイルでもOKみたいな。ゴスペルの映像なんかも一緒に観たりしていたので、そのときの影響は大きいかもしれないです。

──なるほど。話を戻すと、その後EP『i’s』に収録された“帰り路”はすごく内省的な楽曲になっていてまた驚かされました。

“帰り路”は実のところ“Awake”より全然前に作っていた曲で、然るべきときに出したくて温めていた曲なんです。それこそまだこんな風に活動していない時期に、自分の仲間や友達と会っているとき、僕は音楽を始めたばかりでしたけど周りのみんなはちゃんと働いているということに葛藤もあった中で、僕が大事な仲間に対して何か贈りたいと思って作った曲だったんです。そういう意味では内側の部分を表現したものではあるんですけど、飾っていないというか等身大な表現ができたのが良かったのかなと思います。そういう曲を出すタイミングをずっと見計らっていたのもあって、あのタイミングで出したかったんです。

──“Awake”以降の壮大さやアグレッシブさを感じる曲からのギャップもありグッと惹きつけられます。TikTokでも“帰り路”はたくさん使われていますね。そういった反応を見ていかがですか?

自分の思っていた以上の反応が返ってきて良かったです。“Awake”、“Freedom”、“Moment”の並びはライトに聴くのはなかなか難しいけど、音楽が好きな人からしたら面白く聴ける曲に仕上げたつもりで、ただこの3曲で「idomってアーティスト面白いよな」とは思うかもしれないけど、プレイリストに入れるとなると何のジャンルに当て嵌めていいかがわかりにくい雰囲気があった。そこで“帰り路”のようにみんなが言葉を聴きやすい曲を持ってこれたのは、気になっていたところから曲でグッと引き込めることができたかもしれないなと思いました。みんなの反応が見れて良かったです。

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月9ドラマ『競争の番人』主題歌の経験

──そして新曲“GLOW”が月9の主題歌に決定という流れですが、驚きましたか?

そうですね、「え、マジか」みたいな(笑)。

──ドラマに合わせて曲を書く形でしたか?

今回に関してはドラマに原作もあったんですけど、原作も読んで。ドラマと原作ではストーリーの作り方やキャラクターの描き方が違っていたので、そこの噛み合わせについてもちゃんと把握できるようにしました。ドラマの制作側からのリクエストとしてもドラマやそのキャラクターたちとマッチするように作って欲しいというリクエストがあったんでかなり読み込みました。

──リリックの書き方はこれまでとかなり違っているように感じました。

変えましたね。今までは自分自身に対して書いていたり、自分の心情だけを描いていて、独りよがりな歌詞に持っていきがちだったんですけど、今回は主人公のキャラクター性や、ドラマの軸にあるチーム感のような、いろんなメンバーがいるチームで戦っているという部分を表現して欲しいという要望もあったので、僕だけの目線じゃないものがそこで入ってきて。だからどうこの主人公に感情移入したらいいのかで迷いがありました。

──過去の暗い部分も見方を変えたら強さに変わるというメッセージはドラマを見ていてすごくマッチしているなと思いました。

内容をかなり読み込んで、キャラクターに対して制作側がどういうコンセプトを持っているのかを大事にして、それこそドラマに「弱くても戦う」というテーマがあったので、そこは僕もしっかり出していきたいと思っていました。公正取引委員会のキャラクターたちも年上だし、主人公も30代だし、30代の人やそれ以上の人が見て元気や勇気が出るものとなると、あまり若者のフレッシュさというよりは挫折を何度も経験した人だからこそ出てくる強さというものを描かなきゃなと。僕はまだ20代なんですが、その中でもコロナのことを始めいろんな今までの経験した失敗や挫折を思い返して。それを乗り越えようとした過程を描こうと思ったところで、はじめてキャラクターとの親和性が自分の中で生まれました。

──サウンド面では強度のある歌モノポップスに仕上がっています。これまでと違った側面が見えた印象ですが、そういった意識はありましたか?

今回の楽曲に関して言うと、普段僕がやっているスタイルとは違った部分の戦いもあって。ドラマの監督からリクエストもいただきながら詰めていきました。

──監督とのやりとりは多かったんですか?

めちゃくちゃさせていただきました。3週間で15曲くらい書いて、僕もちょっと迷走したりもしちゃって(笑)。やっぱりドラマの映像と合わさったときにどれだけリンクするのかと、力強さのような部分が残る楽曲で、なおかつボーカルが立つ曲調を求めてくださっていたので、そういう意味で今回の構成は意識しつつ……あと公正取引委員会の持つイメージともマッチするようなサウンドになっていると思います。

──“GLOW”の制作は今後どのように影響してきそうですか?

今回の制作は結構ハードでしたし、自分の持っていない世界観を合わせつつ作らなきゃいけないというあまりやったことがないことでもあったので、そこを乗り越えられたことは一つ自信になりました。より一層自分自身のスタイルを作り込んでいきたいとも思うようになったので、ちゃんと自分のスタイルを確立していく上でとても良い経験になったと思います。今まで自分が出した曲の中で“GLOW”は一番ジャンルでいうとJ-POPに寄ったものになったので、今後こういったJ-POP的なスタイルも一つの選択肢に思えるようになった気がします。

──J-POP的なスタイルをやる上で葛藤はなかったですか?

子どものころから好きだったR&Bはベースにしたいなとは思っているので、そこは残せるように意識しました。一方で日本人にとって耳心地がいいサウンドを作る難しさもわかって、それをすごく考えながら作った作品になりました。

──この先、具体的にこういう楽曲を作っていきたい、こんなスタイルで音楽を続けていきたいというイメージはありますか?

僕はDAW上で、DTM!という感じで現状制作していってるので、もうちょっと楽器のスキルも身につけた上で、元々のスタートがベッドルーム・アーティストというところだから、自分の家でしっかり作り込めるスタイルは持っておきたいです。それを軸に、プラスで別のプロデューサーともコライトしたりするのが僕にとってはバランスが良い気がしているので、その二刀流の形でちゃんとやっていきたいですね。それこそビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)とお兄さん(フィニアス)がいっしょに部屋でやっていたり、ラウヴ(Lauv)やリッチ・ブライアン(Rich Brian)がやっているような、自分の部屋の中でちゃんと作れる環境は音楽を続けていく上で精神的に必要なのかなと思っています。ジャンル的に言えばアンビエントとR&B、ポップス、それにオルタナが少し混ざったようなものが一番やっていて楽しいのでそこは大事にしたいですね。

──idomさんのボーカルは“GLOW”でより存在感が増していますが、ボーカルのトレーニングだったりはもともとしていたりしたんですか? それともカラオケが好きだったとか?

全然やっていなかったですね。カラオケにもほとんど行っていなくて、自分が歌いたい曲が入っていないことも多かったですし。あんまりこんなこと言うと良くないかもしれないですけど、昔から人前で歌うのが恥ずかしかったんです(笑)。

──ちなみに今の状況は音楽活動をはじめたとき想像していましたか?

いやタイアップとかまでは全く想像していなかったです。自分が想像もしていなかったところにいる感じはあって、もうちょっとニッチな、アングラなところでやっていくかと思ったんですけど、こうしてたくさんの人に聴いてもらえる場所に来ることは自分では予測できなかったですね。

──今後ライブなど人前で歌う機会も増えていくと思います。ライブについて何か考えていることはありますか?

さっき話したカヴァーもそうなんですけど、現状は練習して学んでいっている感じですね。ライブってなるとどうなのかな?っていう不安はまだあります。ずっとネットでやっていた人間で、今はテレビとかから僕の声だけが出ている状態なので、自分のリスナーというかオーディエンスがどういう人たちなのかをまだ見たことがないから、実際に僕が自分の身体といっしょに歌ったときにみんながどう反応するのかはすごく楽しみですね。それを経たら僕の曲作りのスタイルもちょっとずつ変わっていくのかもなとも思っています。

僕の今までのやり方的にも、できないところからというか、本当に始めたばかりの状態からYouTubeに載せているから、idomくんてこういう風にいろいろやっていて、こういう風に成長しているんやっていうのがYouTubeを観れば順を追ってわかるようになっているので、ライブに関しても「idomくんの初めてのライブこうだったね」ってみんなが言えるような形でもいいと思っていて。もちろん完璧を目指すけど、不完全な状態が美しいというか、僕のスタイルかなって。その不安定さも含めて成長していく姿をオーディエンスの皆さんにいっしょに楽しんでもらえたらいいなと思っていますね。

──TikiTokでバズっていましたが、それでもidomさんはあまり無理せずにSNSと付き合っている印象があります。

SNS上で何か発信するのってやっぱり難しいなと思いますね。出来すぎているものを演じ切れない部分があって、頑張ってそういうものが好きな人のために演じようと思うこともあるんですけど、最終的に自分になってしまうんです。SNSに向き合いすぎるとそこに対してのストレスが生じてしまうから、自分との良い距離感を保つためにもあまり演じ過ぎないように意識していますね。

──俯瞰して見ることができているんですね。

そこに執着しすぎると危ないと思っていて。やっぱり僕が一番大事にしなきゃいけないのは曲とそれを聴いてくれる人だと思っているから、SNSはその接点として大事にしているけど、あんまりここでカッコつけ過ぎないようにしよう、カッコつけるのは曲でやろうと思ってます。

──今後描いているヴィジョンはありますか?

現段階でいうと、まだまだ楽曲制作に対して未熟なので、まずはスキルだったりを身につけていくことに集中しているんですけど、もともと始めた当初思っていたのは音楽以外の部分でも音楽を盛り上げたいなとす。デザインや映像、そこでいかに音楽をより良く見せられるかも考えていきたいと思います。今は音楽に集中していますが、そういうもともと自分の持っているアイデンティティやアート性の部分も徐々にしっかり出していけたらいいなと思っていますね。

──これからもっと別の側面も見せていくということですね。

それこそライブをやったりこうしてテレビで使っていただいたりすることでもっとみんなの前に出ていく機会が増えていけば、より活動の幅も広がるんじゃないかなっていうのは今後の考えとしてありますね。

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idom『GLOW』(フジテレビ月9ドラマ「競争の番人」主題歌)

Text:Daiki Takaku
Photo:Maho Korogi

PROFILE

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idom(イドム)

兵庫県神戸市生まれ岡山県在住。1998年3月18日生まれ。
大学時代、デザインを専攻し2020年4月からイタリアのデザイナー事務所に就職予定であった。
しかし、新型コロナウィルスの影響で渡伊を断念。そんな挫折を味わったコロナ自粛をきっかけに、以前から興味があった楽曲制作に初めて挑戦。
楽曲制作・ボーカル・ラップのみならず、映像制作、イラスト制作等もマルチにこなす、まさしく新世代型のマルチクリエイター。
その非常に高い完成度とクリエイティブセンスに早くも大きな注目が集まり、音楽活動を始め約1年という早さで「Awake」「Moment」がソニー XperiaのCMソングに、「Freedom」がTikTokのCMソングに起用される。
そして、その勢いは止まることなく7月11日(月)から放送スタートとなるフジテレビ月9ドラマ「競争の番人」の主題歌を担当する事が決定!

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INFORMATION

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初回生産限定盤
ベールに包まれたidomに初インタビュー|月9ドラマ『競争の番人』主題歌を経て描く未来 interview220905_idom-09
通常盤

GLOW

2022年9月7日(水)EP発売
idom
■初回生産限定盤:CD+Blu-ray (SECL-2790~2791) ¥1,800(tax incl.)

<Blu-ray収録内容>
・「GLOW」MUSIC VIDEO
・「GLOW」Behind The Scenes

■通常盤:CD(SECL-2792) ¥1,400(tax incl.)
<収録曲>
GLOW
i.d.m.
Savior
HELLO
GLOW -Instrumental-

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