3月14日(水)、約一年ぶりとなる新作EP『FUCKING GOOD MILK SHAKE』をリリースしたばかりのJABBA DA FOOTBALL CLUB(通称JBFC)。前作『OFF THE WALL』では軽快でポップなサウンドが中心であったが、Sam is OhmやTSUBAME(TOKYO HEALTH CLUB)、TOSHIKI HAYASHIなど数々のトラックメイカーが参加する今作は、より幅が広く、盛りだくさんな内容になっているのが印象的だ。今回は、バージョンアップしたJBFCが届ける新作EPの魅力を、一曲ずつ紐解きながら余すところなく探る。
そして、「ジャンルにこだわらないラップスタイル」にこだわり続ける理由、ブレずに続けられる原動力とは? 新生となり、勢いの止まらないJBFCの魅力について語ってもらった。
Inteview:JABBA DA FOOTBALL CLUB
——JABBA DA FOOTBALL CLUBの曲はポップなサウンドを思い出させるのが特徴だと思うのですが、今回は様々なトラックメーカーの方が参加しているのもあって、いろんな要素が詰まっている肉厚なEPになっていると感じました。今作には、2000年代前半シーンへのリスペクト、例えばフローやトラックの作り方、マイクリレーなど、そういった要素が与えた影響はありましたか?
NOLOV 前回はそれが顕著に現れた作品だったんですが、今作はどちらかと言えばもう一つ遡っていて、FGが影響受けたであろうNative Tonguesとかの影響の方が大きいというか。でも、マイクリレーの方法とか、やっぱり結局参照してるのはあるのかな。
ROVIN 意識はそこまでしてないよね。
——今作は90年代の影響の方が強いということですね。
NOLOV でも、どうかな。
BAOBAB MC ミックスしてアップデートした感じだね。
——では、そういったことを踏まえて今作について詳しく聞いていきたいと思います。まず、“MONKEYS”のMVについてですが、コンセプトはなんですか?
NOLOV “STAY GOLD LIFE GOES ON”でyudai maruyamaさんに撮ってもらって、自分たちの決意とか、上あがってくぜみたいな気持ちを表現してくれたビデオだったからこそ、逆に自分たちがいつも話してたり、ワイワイしてる感じを伝えたくて。それを伝える感じにしたいって監督のgetto hollywoodさんに相談した結果あのビデオになりました。
——すごく楽しそうな感じですよね。getto hollywoodさんと一緒にやってみてどうでしたか?
ROVIN 楽しかったし、シンプルに俺らがどうみられたら面白いのかっていうのをさらに深く掘り下げてくれたと思うんだよね。
NOLOV 無茶振りの数々があって、撮影しながら仲良くなっていったのが一番大きかったかもね。時間を追うごとに要求とかもハードになってきて、ニヤニヤしながらえげつないリクエストするみたいな(笑)。ほんとにジャバのことを思って作ってくれたと思う。
——では1人ずつ、MVの注目して欲しいポイントをお願いします。
ROVIN 俺はもう、自分が吊られてるシーンかな。吊られんのもさ、縄じゃなくて細い紐なんだよ。これで吊れんのかみたいなやつで(笑)。
NOLOV 俺は虫食ってるシーンだわ。ちゃんと食ったんすよ、意外とちゃんと知られてないんですけど、まじで食ってます。しかも撮影の都合上、二匹食ったんだよね。
ROVIN 一発目はサソリだよね。
NOLOV 二発目はカブトムシ。めちゃめちゃまずかったんですけど、あの体の張り方は伝わってないかもなと思って。
ASHTRAY 俺は、「有酸素運動」かな。
一同 (笑)。
ASHTRAY 胸をドキドキやっているシーンがあるんですよ。それは是非、お客さんにもライブでやってもらいたいですね(笑)。
BAOBAB MC アシュトレイの顔芸に注目して欲しいですね。
MONKEYS – JABBA DA FOOTBALL CLUB
——では、一曲ずつ聴きどころを解説していただきたいです。まずはBAOBAB MCさんから、”MONKEYS”をお願いします。
BAOBAB “MONKEYS”は結構明るいっていうのと、意外とその明るさのなかで細かくマイクまわしやフローだったり、結構いいことしているのが伝われば、一番嬉しいです。
NOLOV でも“MONKEYS”はこだわりが結構ある気がしない? 言葉遊びの面白さが結構入ってるよね。
BAOBAB MC 個人的にはひっかけみたいなの結構入れてますね。読んだら分かるようには書いてるんですけど。
——じゃあ歌詞にも注目ということで。
NOLOV Back to the basicっていう、基本に戻るっていう言葉があるじゃないですか、それを突き詰めてBack to monkeys、猿まで戻っちゃおうっていう。で、そういうノリがリリックには入ってて、猿の話ばかりしてます。例えば、ASHTRAYの「日の光浴びるラップ軍団」は「日光猿軍団」と自分らの「日の目を浴びに行く」みたいな状況をかけてたり。結構細かく「座布団一枚!」みたいなの結構あるんですよ。本当に言葉遊びとしても面白い曲になってて、かつ明るくジャバらしくて、本当に楽しかったよね、作ってて。
——次は、二曲目の“THINK RICH, LOOK GOOD feat. Kick a Show”を、NOLOVさんお願いします。
NOLOV これはSam is OhmっていうKick a Showのプロデューサーと一緒に曲が作りたくて。Ohmくんのトラックは、今までみたいに騒ぐラップだとかっこよくノれなくて、だからすごい大人っぽい感じというか、ちょっとエロさも入るようなラップができたのかなと思います。クラブで鳴らしたくなる曲になったかな。
——Kick a Showさんと4人のMCがうまくマッチして、世界観が昇華されてる感じがしました。客演にあわせてワードチョイスを変えたりなどはしますか?
NOLOV 本当に頭からつるっと一緒に作ったんですよ。Ohmくんのスタジオに通って、ずっと話しながら作っていくみたいな。Kick a Showのフックの歌詞も一緒に作りました。だからどっちかに合わせるというより一緒に作ったという感覚なので、結果的には自分たちのワードチョイスも変わってるんだと思います。
——三曲目“MESSI COOL”をROVINさん、お願いします。
ROVIN テーマ一発って所もあるんだけど、飯の話。基本俺ら飯食うの好きで、ライブ終わっていかに美味い飯を食うかっていうのがあったりして。最初、TSUBAMEさんのビートをもらった時に、かっこいいビートに負けないようにハードなテーマにしてたんだけど、録って見たらちょっと違って。いろいろ話した結果、一番好きな「飯」じゃね?って
——そのトラックと内容のギャップみたいのがかっこいい感じになってるんですよね?
ROVIN 他の曲って割と各々の実験的なことをしていると思っていて、今までにないラップやちょっと挑戦的なアプローチとか。でもこれに関しては、ビートも相まって、もうラップ全開みたいな。
——フックもラップですよね?
ROVIN そう。畳み掛けるっていう意識ではあったかな。めっちゃかっこいいラップとテーマのバランスを楽しんでもらいたい。
——では“LUCKY PUPIL RADIO”をNOLOVさん、お願いします。
NOLOV ラジオDJのマシューまさるバロンさんって人がいて、マシューさんが司会をやっている『流派-R』に出演した時に仲良くなって、「ジャバ超最高!できることがあればなんでもするよ!」って言っていただいたので即有言実行してもらいました(笑)。タイトルは、ウータンクランのメンバーっぽい名前がつけれるサイトを活用してChildish Gambino方式でつけました。
——“MIDNIGHT GOOD GOOD MOOD feat. KEMMY”は、ASHTRAYさんどうですか?
ASHTRAY <ファイト・クラブ・ツアー>の来場者特典にデモが入っていたんですけど、このタイミングでもう一回ちゃんとやろうって話になり、デモをブラッシュアップしました。とび跳ねる感じじゃないサビを作りたいって、4人で話しながら作ってきたので、結構いいサビができましたね。そこはやっぱり嬉しいな。
——ではNOLOVさん、最後に“月にタッチ”をお願いします。
NOLOV 僕、Tempalay(テンパレイ)めちゃくちゃ聴いてて、超好きなんですけど。共演がつづいてる時期に綾斗(テンパレイVo/Gt)から「革命前夜でラップしてや!」って雑談の中で言われて。ラッキー! 本当にやっちゃお! って。でもやるんだったら曲を再構成したほうが面白いなと思ったので、一緒に住んでたオマケクラブのレーベルメイトでもあるTOSHIKI HAYASHI(%C)に「これでビート作って!」って無茶振りして(笑)。あーでもない、こーでもないと話しながら一緒に作りました。結果として、ジャバ史上一番かっこいい曲が出来たと思っています。
そんで今、これができたことはシーンにもひとつ、提示できたと思える曲です。現行の国内バンドの曲をサンプリングしてるグループっていないんじゃね!?って。しかも超かっこいい!
——確かにいないですね。
NOLOV 海外のバンドではなく、国内の同世代でガンガンやってるやつらで。意味のあるクロスオーバーを作れると思いました。そういう意味では“月にタッチ”は今回のEPの中で、群を抜いているんじゃないかなって思います。まだどういう風な反応をもらえるかわかんないですが、シーン的には大事件だろ! これ! と思ってます。ジャバだから出来たことだと自負してます。
——でも他に本当にないですよね、こういう曲。現行の日本のバンドをサンプリングするとかって。
NOLOV まだ“革命前夜”のリリースから1年経ってないのにサンプリングして曲にする。このスピード感ってヒップホップだからできることだよなって思います。マジでこれで当たって欲しいっていう感じです。
——最後の曲にしたのも意味が込められているんですか?
NOLOV サブスクや配信の普及によって、単曲でしか聴かれないって言われてるけど、なんだかんだEPもアルバムも頭から聞く人っていますよね。少なくとも僕はそうだし。だから流れが大事かなって思い。意味というより流れ的に最後になった感じです。
——3月14日(水)公開のミュージックビデオはどういう風になっているのですか?
NOLOV めちゃめちゃいい。美女とTempalayと俺らっていう。オマージュも盛りだくさんでいいビデオになってます。
月にタッチ – JABBA DA FOOTBALL CLUB [Prod.TOSHIKI HAYASHI(%C) Contains sample of Tempalay’s “革命前夜”]
——これで曲については以上になります。今回のリリースに合わせて改名をされていると思うのですが、変化は何かありましたか?
NOLOV 僕たち、どうやら世間から遊びでラップやってたと思われていたらしくて(笑)ジャバ・ザ・ハット・フットボール・クラブ(JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB)というふざけた名前でノリでやってる悪ふざけグループと。でもアー写やロゴ(ティスト写真)を変えたぐらいから「こいつら、ちゃんと音楽やるんだね」みたいな空気は出たっぽくって、周りの見方が変わった気がします。
——「ジャンルにこだわらないラップスタイル」にこだわるというところがかっこいいと思うのですが、そこからブレずにいける原動力は?
ROVIN 俺らがたまたまかっこいいと思えるものがそっちの方向、というのがまずあるのかな。まずは自分らがかっこいいと思うものをやり続けることが大事なのかなと。
BAOBAB MC 多ジャンルに見えるけど、自分たちの中で一貫してかっこいいものという線引きはしてるので。
NOLOV 僕らは人との関わりが作品に影響を与えることが多くて、今作もそうなんですけど。自分たちのやりたいなと思うものが、周りのかっこいいなと思う人たちの作品や活動・ライブを見て、その人たちと話していく中で形作られていってるような感覚なのかな。それでもブレないのは、やりたいことを一番に考えてつくっているからかなーって思います。
——周りから影響を受けるけど、それが自分たちらしさに変わっていくということですね。
NOLOV それが今回一番顕著に現れてると思います。曲からアー写からビデオから何から何まで、そういう感じで作れて。ほんと全部感謝最高大好きって感じ。
BAOBAB MC 自分たちの想像を出力するにあたってみんなの力をいただいたところがあるよね。
NOLOV 自分らもがんばったけど、周りの人たちがすごく気持ち出して協力してくれて。ジャバ好きだ!って言ってくれた人ばかりだったから。それが一番大きいです。そんな感じします。
RELEASE INFORMATION
『FUCKING GOOD MILK SHAKE』
2018.03.14 (水)
JABBA DA FOOTBALL CLUB
OMKCD-0014
OMAKE CLUB
¥1,000(+tax)
EVENT INFORMATION
<JABBA DA FOOTBALL CLUB ONE MAN TOUR“Oh? Then, Where is Cheese”>
2018.06.24(日)
名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL
OPEN 17:30/START 18:00
¥3,000(1ドリンク別)
2018.07.01(日)
心斎橋 CONPASS
OPEN 17:30/START 18:00
¥3,000(1ドリンク別)
2018.07.06(金)
渋谷 WWW
OPEN 19:00/START 19:30
¥3,000(1ドリンク別)