時代を牽引したミュージシャンは、音楽だけでなくそのファッションスタイルも社会に影響を与えてきた。スタイルに根ざしたアイコニックなアイテムは、音楽性をも表現し、社会に新たなカルチャーを醸成する。

今回、音楽シーンのみならずファッションにおいてもその影響力を発揮するアーティスト、JUBEEにインタビューとスナップを敢行。歴史あるWranglerJOURNAL STANDARD relume別注アイテム「ボア ランチコート」を身に纏い、影響を受けたスタイルについて、そしてそれを昇華して新たな表現をする“今”を切り取る。

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【Wrangler / ラングラー】別注 ボア ランチコート(JOURNAL STANDARD relume)
¥24,200(tax incl.)
Wranglerの定番アウター”ランチコート”をベースにrelumeだけの特別仕様にした別注スペシャルアイテム。
表地は綿100%の14Wコーデュロイ生地を使用し、カラーバリエーションは3色展開。
裏地にはナチュラルボアを採用しており、ランチコートとブリティッシュのムートンコートのデザインを掛け合わせた良いとこ取りしたデザインに。
 
コーデュロイ素材なのでウォーム感がありながら、動き易いライトなディテールで再構築し、身生地端のパイピングで締まりのある顔に仕上がっている。
またウエストに付属されたコードでシルエットを着る人のフォルムに合わせて調整可能。
襟元や袖口まで贅沢に使用されたボアの暖かさと迫力のあるシルエットの見た目に反した軽やかな着心地が特徴だ。
 
Wranglerを代表するサイレントWのポケットステッチを胸元に配置し、ブランドのアイコニックなデザインを強調。
ネームも従来には無い配色で仕上げ、relumeでしか入手できないスペシャルアイテムとなっている。
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コート:【Wrangler / ラングラー】別注 ボア ランチコート(JOURNAL STANDARD relume)
Text:Daiki Takaku
Photo:中村寛史

東京で若者から圧倒的に支持されるヒップホップ集団・CreativeDrugStoreの一員、あるいはダンスミュージックに主眼を置くクルーであるRave Racersの発起人、あるいは奈良のAge Factoryと共に結成したバンド・AFJBのフロントマンのひとりとして、さらにはソロのラッパーとして……様々なフィールドを縦横無尽に駆け抜けるアーティスト、JUBEE。

とりわけ2022年はソロでアルバム『Explode』を、AFJBでもアルバム『AFJB』をリリースし、彼にとって重要な一年になったのは間違いないだろう。音楽においてもファッションにおいても横断的な表現を生み出すことで、今ひときわ輝きを放つ彼に、それらの関係性から直近の活動の詳細まで話を聞くと、たしかな1本の線が浮かび上がってきた。

FEATURE:JUBEE

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“かっこいい大人”との出会いから形成されたスタイル

──今日着てもらったような雰囲気の服を着る機会は少ないですか?

そうですね、最近は少ないですけど、たまにこういう感じの服も着ますね。

──ランチコートはグランジを象徴するアイテムのひとつです。着心地はいかがでしょうか?

グランジ・ファッションは、なんでかわからないんですけど特に通っていないんですよね、でも好きです、単純に。羊の皮のムートンコートは持っていて、めっちゃあったかいんですけどちょっと重くて、これは軽くてさらっと着れますね。

──どういうシチュエーションで着たいですか?

やっぱり大人っぽくいきたいときですかね。ライブとも普段着とも違う、デートとか、少しカチッとしたいときに良いと思います。

──このランチコートにマストで合わせたいものはありますか?

それこそ今日履いてきたジョージ・コックスとか厚底のブーツがいいかな、あとはシルバーのアクセサリーは必須ですね。

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JOURNAL STANDARD relume
【Wrangler / ラングラー】別注 ボア ランチコート
¥24,200(tax incl.)
ブラック
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──JUBEEさんは普段からシルバーアクセをうまくコーディネートに取り入れているイメージもあります。シルバーのアクセサリーはロック寄りのアイテムでしょうか?

それはもう完全にそうで、シルバーはロック寄りのアイテムですね。僕の場合は“ちょこっとお洒落”っていうより、がっつり1点でドンと存在感のあるものが好きなので、そういうのを選んでいる傾向にあるかもしれないです。

──その点で影響を受けた人物はいらっしゃいますか?

清春さんですかね。自分はクロムハーツをつけてないですけど、清春さんはクロムハーツのイメージがあります。Kjさんの影響もありますね。あと西海岸のクレイジー・タウン(Crazy Town)っていうミクスチャーバンドのヴォーカル、シフティ(Seth “Shifty” Binzer/Shifty Shellshock)の雰囲気が好きですね。タトゥーだらけで、タンクトップ着てて、シルバーが似合う男で。シルバーが好きなのはずっと変わらない気がします、なんならもっと増やしたいくらい。ゴールドはつけないんで、シルバーをずっとつけていきたいなって。

Crazy Town – Butterfly (Official Video)

──ファッションと音楽のつながりはどのように捉えていますか?

やっぱりそこはめちゃくちゃ密接だと思いますね。僕もいろんなファッションをやっていたんです。最近はいろんなものを混ぜている若い子が増えた気がしますね、女の子でも男の子でも。クラブとかに行っていると、漫画のキャラみたいな見た目の子が増えたなって感じますね。音楽もそうだし、漫画の影響もあるのかな。ちなみに僕の今の髪型は『NANA』のノブって登場人物がいるんですけど、その髪型にしたいと思ったのがきっかけなんです。髪色を青にしていた時期もあるんですけど、そのとき青にしていた理由はNOFXのボーカルのファット・マイクが青だったからで。だからそのときの髪型はノブ×ファット・マイクでしたね。

──現在進行形でファッションの参考にしている方はいらっしゃるんですか?

最近の人のファッションは全くと言っていいほど見ないですね。一応インスタとかでフワッとトレンドを確認したりはするけど、そこに憧れとかは無くて。でも、憧れている人ではなくて、年代があって。今45、46歳くらいの人たちが20歳くらいのときにしていたファッションというか。チーマーとか渋カジとかの感じ。シルバーつけてて、ロン毛で、ネルシャツを着たり。その世代の人たちってヒップホップもバンドも両方聴いていた世代だと思うんですけど……。わかりやすいものでいうと『JUNK FOOD/ジャンクフード』(1998年)っていう実在したチーマーの「鬼丸」も出演している日本の映画があって、そこに映っている人たちの雰囲気がすごく好きです。アメリカにめっちゃ憧れている感じというか。

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──なるほど。ファッションやデザインに関して自分の好みに気がついた最初のタイミングはいつですか?

最初は小学生ですね。そのときすごく仲が良くて同じマンションに住んでいた友達に6個上くらいのお兄ちゃんがいて、たくさん遊んでくれていたんです。そのお兄ちゃんがお洒落で、ハイカットのダンクとか履いていて「かっけー!」みたいな。あとスリップノット(Slipknot)のバンドTシャツを着ていて、スリップノットは知らないけど家に帰ってパソコンで調べて知ったり、そのとき流行っていたアヴリル・ラヴィーン(Avril Lavigne)のTシャツとかも着ていて。だから一番最初にファッションに興味を持ったきっかけはその近所のお兄ちゃんですね。

──じゃあ同時に音楽にも触れていたんですね。

小5くらいかな、リンプ・ビズキット(Limp Bizkit)のアルバムとアウトキャストの“B.O.B.”っていうドラムンベースっぽい曲も教えてもらったりもして、めっちゃ刺さりましたね。

──今につながっているお話かもしれませんね。

総じて言えるのはTHE MAD CAPSULE MARKETS(以下、MAD)とかもそうなんですけど、ファッションも含めて年上の人から全部教えてもらって形成されているってことですね。年上のイケてるお兄ちゃんがいつも近くにいて、その世代の人じゃないとわからない、雑誌にも載っていないようなことを「こういうの流行ってたよ」って直接教えてもらえたんです。

──そうなんですね。

MADを教えてくれた人は、地元にある自営業のステーキ屋さんでバイトしていたときの店長さんです。僕が20歳くらいのときに40歳くらいで、元々ヴィジュアル系のバンドを90年代にやっていて、バンドを辞めてステーキ屋さんを営んでるぶっ飛んだ人で、ロン毛で今も日サロ行ってますみたいな感じ(笑)。他にもザ・プロディジー(The Prodigy)、Hed PE、ホワイト・ゾンビ(White Zombie)とかはその人から教わりましたね。

その人が言うにはスケボーしながらバンドを聴いてたりした世代らしくて。ファッションでいうとBRONZE AGEとかCHRISTIAN FLETCHERとか、そういう雑誌を読んでも辿り着けなかった領域のことを教えてくれました。その人の友達もみんなカッコよくて、ぶっといシルバーをつけて、ロン毛でメッシュキャップを逆に被っていたりして、かっこいいおじさんばっかりだったんで、その世代への憧れは大きかったです。

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【Wrangler / ラングラー】別注 ボア ランチコート
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ブラウン
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──かっこいい大人との出会いが重要だったんですね。先ほどいろいろなファッションを通ってきたと言っていましたが、現在のスタイルに落ち着くまで試行錯誤してきたんですか?

しましたね。中学2年くらいから裏原に行くようになって。この頃の『Ollie』の付録だったかな、原宿・裏原のマップがついていたんです。小さい冊子なんですけど地図に1~40くらいまでの番号のピンが打ってあって、次のページにその番号のお店が載ってるみたいな。当時は中学生だったんでAPEとかStüssyとか、そういうデザイン的にも派手でわかりやすいものが好きで、NUMBER (N)INEとかも流行っていたんですけどその良さとか、NEIGHBORHOODやSupremeの良さがあんまりわからなくて。

高校生にくらいになってからSWAGGERとかを好きになって、そのときKjさんがバイカー寄りの格好をしていたんで、COOTIE PRODUCTIONS、RADIALL、CRIMIEとか、ああいうハットとレッドウイングのブーツに合わせるような高級感のあるアメカジ系のファッションもやっていて。大学生のときはサファリ系というか、ベッカム系というか、短パンで、無地Tシャツみたいな時期もあり……それが終わって大学3、4年生ではTOMMY HILFIGERのシャカシャカだったりNIKEのスポーツウェアを着たりしていたんで、いろんな変遷がありましたね。

──聴いていた音楽はそういった変遷とリンクしていましたか?

いや、聴いている音楽とファッションはあんまり重なってないかもしれないです。高校生のときはISSUGIさん、BESさん、仙人掌さんだったりがすごく好きで日本語ラップばっかり聴いていました。そのときはオーバーサイズとかではなく、SWAGGERを着て聴いていましたね。大学の時はソウルやファンクを聴きつつ、MADとか90sヒップホップとかをめっちゃ聴いていたんで。

──それが結果的にアメカジやサーフ系など様々なスタイルをミックスした現在のファッションに繋がっているのかもしれませんね。

めちゃくちゃいろんなカルチャーをかじっていたのかもしれないです。いろいろ自分で実験してましたね。

──自分を実験台にしていたんですね。様々な活動の中でマーチャンダイズも精力的に発表している印象です。例えばCreativeDrugStoreではここに意見を出しているなどこだわりのポイントはありますか?

CreativeDrugStoreから出している服について僕はノータッチなんです、何が次に出るかもわからないくらいで。Rave Racersに関してはロゴの感じとか、イメージとしては女の子でもかわいく着やすいものっていうのは意識していますね。Rave Racersは完全にサーフ的なカルチャーを落とし込めたらと思っていて。デザインしているのはGUCCIMAZEさんなんですけど、GUCCIMAZEさんはサーフィンやってるし、サーフィン好きで、僕はサーフィンしないけどサーフ系のブランドのロゴ感とかがめっちゃ好きで、GUCCIMAZEさんとそういった部分で最初に仲良くなったのもあってRave Racersはサーフですね。

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精力的なリリース&ツアー、そしてDragon Ashとの共演

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──ここからは最近の活動についても伺っていきたいと思います。ソロでもバンドでもアルバムをリリースしたりと2022年は大活躍の1年でした。直近でリリースされたAFJBのセルフタイトル・アルバム『AFJB』のリアクションはいかがですか?

なかなかすごいことになっていて。今取材してもらっている時点だとまだアルバムを出してから1ヶ月経っていないですけど、その間に3箇所ツアーを回りました。で、今回のアルバムの最初のライブがツアーじゃなくて<SATANIC PARTY 2022>っていうPIZZA OF DEATHが主催しているイベントだったんですけど、渋谷のSpotify O-EASTで、しかも良い時間帯にやらせてもらったんです。まだ始めて1ヶ月のバンドなのにみんなから期待してもらっているなと。あと実際ツアーを回ってみて、お客さんがAFJBのアルバムを聴き込んでくれているのも感じたし、言えないくらい大暴れしてくれて(笑)。

──最初からかなり大きいステージですよね。緊張などはなかったですか?

CreativeDrugStoreのときの自分も、AFJBのときの自分も、ソロのときの自分も、ステージが大きかろうが小さかろうがそこまで変わらずにやれていますね。(sic)boyのフィーチャリングでもそうですし、嬉しいことにいろんなステージに出させてもらったりたくさん場数を踏んでこれたので、もう緊張はあまりなく、今年は特に普段通りできるようになってきました。

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──それこそつい先日、兼ねてより影響を公言してきたDragon AshとLIVE AZUMAのステージで 共演を果たしました。どのような経緯で実現したんですか?

その日はステージが二つあって、Dragon Ashは大きいスタジアムのステージでやっていて、僕とか(sic)boyやVaVaは割とヒップホップがメインの別のステージでやっていたんです。僕が昼の12時くらいから一番手でライブしていたんですけど、ライブしててパッと右を見たらKjさんが袖から観てくれていて「おおっ」って感じで。自分のライブが終わって、楽屋で飯食ってたら急にフラッとKjさんが現れて「出てよ」って。一応前から面識はあって、その日が3度目だったんで、はじめて会うからド緊張とかではないんですけど、「出てよ」って言われたのはびっくりでしたね。

もうDragon Ashのライブの1時間半前とかだったんで、リハとかも全くなく、「“Fantasista”のセカンド・ヴァースで出てきて」とだけ言われていて。もちろんリリックは身体に入っていたけど、飛んだらやばいなと思って裏で練習しました。Dragon Ashのステージに立たせてもらったことはもちろん自分の中でかなりすごいことなんですけど、それ以外で言うと、あんなデカいステージに立ったことがなくて。お客さんがたしか1万人以上いたんですよ、マジで見たことない景色でした。サマソニやフジロックも出させてもらったんですけど全然それよりデカいステージで、お客さんがバーっと奥までいて。衝撃でしたね。

──そこでJUBEEさんのことを知ったDragon Ashのファンの方もいらっしゃるでしょうね。

それがきっかけでSNSをフォローしてくれた方とかもいらっしゃって。ステージに上がった自分にブーイングのようなこともなく、歓迎してくれて、優しいお客さんでしたね。

──Dragon AshもAFJBはバンドという部分で重なりますよね。改めてAFJBでのアルバム制作に至った流れを教えてください。

Age Factoryにフューチャリングで参加して、そのあと僕のアルバムの方にもボーカルの英介を呼んでいて。その中でやっていて波長が合うので「もっと曲作ろうよ」って感じで話はしていて、だから「アルバムを作ろう」という名目で作っていたワケではなかったんです。kZmをフューチャリングしてる“DENGEKI”って曲が一番最初に出来てすごく良い感じだったんで、「それだったらまとまった形にしない?」っていう流れで。Age Factoryは奈良に住んで活動しているバンドなんで、オンラインでやるよりオフラインで、やっぱり会って制作したかったんで。奈良に3泊くらいの合宿のようなことを3回くらいやって、そこで集中してスタジオとかベースの西口の家とかにみんな集まって曲を作って10曲のアルバムができたような感じですね。

AFJB “DENGEKI feat.kZm”(Official Music Video)

──ソロでの制作との違いは感じましたか?

それはやっぱり全然違っていて。めっちゃじっくり考えたとかではなく、直感的に「こうしよう」「こういう曲を作りたい」にメンバーがパッと反応してくれて、ポンポン進んでいったんで、割と悩まず、10曲行き詰まらずにスッとできちゃったという感じで。ソロだと「これでいいのかな?」って悩んじゃったりもしますし、歌い手も一人だから。

AFJBでは二人ボーカルがいるんで、向こうのパートと僕のパートが分担のような感じにもなる。それにすぐに周りからその場で意見も貰える。やってみて気づいたんですけど、ヒップホップのビートより、バンドのビートの方がメロディが乗せやすい感覚が僕にはあるんですよね。自分のアルバムを作るのも結構時間が掛かったりしていて、こんなすぐにパッとできることは今まで無かったです。AFJBに関しては本当に今までにないスピードでしたね。

──じゃあストレスなく?

全く無いです。これで飯食えるんだったらずっとこれをやりたいくらい(笑)。

──『AFJB』を作る上で何か明確なヴィジョンはあったんですか?

いやそこまで明確なヴィジョンはちゃんと見えていなくて。ただ自分が聴いてきた音楽とAge Factoryが聴いてきた音楽は違うは違うけど、「これかっこいいね」ってなるポイントはいっしょだったんです。「この曲を参考にしたらどう?」って送った曲にもめっちゃ反応してくれるし、好きなポイントが似ているから、明確なヴィジョンをそこまで考えていなくても自然と形になっていきました。最初に“DENGEKI”も含めて3曲くらい骨になる曲が出来て、バラエティに富んだアルバムにしたかったのでそれに「こういうのがあったら面白いよね?」「激しい曲だけじゃくて楽しい曲、チルい曲を入れよう」と面白さを加えていった感じですね。

──たしかにバラエティに富んだアルバムですよね。全体的なバランスは意識しました?

バランスはしっかり考えましたね。でもボツになったのは1曲くらい、11曲作って10曲採用という感じで。お互いのヴァイブスが合うのかわからないけど、できちゃいましたね。

──じゃあAFJBでのライブのリハーサルなどもしっかりできていたんですか?

一応、奈良に2回くらい行って、Age Factoryのホームでもある奈良のNEVERLANDっていうライブハウスを1日借りて、PAさんとかも東京から呼んで調整してからツアーに臨みましたね。

──初ライブからしっかりプレイできましたか?

いや(笑)。最初のO-Eastのときはボロボロでしたね、やっぱり。でもそこが面白くって。ヒップホップだとDJがボタンを押せば100が出るじゃないですか、あとはそこにラップが乗って加点していくイメージなんですけど、バンドって最初はガンとみんなで音を出したとき、たぶん20とか30くらいなんですよ。そこからライブをやっていくうちに演奏が洗練されていって100以上、200、300、400にできると思うんです。だから最初のステージは個人的にはダメダメだったんですけど、逆にここからだなと思えましたね。その違いも楽しいです。

── 一聴した音の分離感がバンド・サウンドとソロでのサウンドでは異なってきますよね。

一気に楽器が鳴っている迫力がバンドにはあって、それが気持ちいいですね。TR-808の気持ち良さとは全く違っていて。同じセットでも何回でも観たくなる感じがバンドの音にはありますね。全然TR-808の低音も良いんですけどね、もしかしたら聴き慣れすぎたというのもあるかもしれないけど、バンドの持っている迫力との違いは大きいですね。

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──ミクスチャーというジャンルをやる上でサウンドにおける引き算には特に意識的なのかなと聴いていて感じました。

音楽ってすごく引き算が大事だと思っていて。僕の場合はラップを乗せるので、ラップが入る余地があるかどうかも気になるし。フックとかドロップの部分はガチャガチャ鳴っていてもいいと思うんですけど、ラップのヴァースでは引き算していきますね。あと曲の全体をみて、僕がソロの方でよくやっているのはフックがあってヴァースで落として、またフックで盛り上げて、ヴァースで落として、そのあとさらにグッと落として、最後盛り上げるという構成はよくやってますね。全体のダイナミクスを意識して、ずっとうるさいだけでは聴けないと思うので。

──AFJBのヴォーカルとして試したことなどはありましたか?

例えば“GOD”の最後で僕はラップしているんですけど、そのラップはロック的なアプローチの乗せ方、言葉を崩してビートと混じるような作り方を意識していて、例えば“A.F.J.B.”の方は言いたいことがしっかりあったので、あえて何を言っているかをわかりやすくしたヒップホップ的な乗せ方をしていて。音としてのラップと言葉としてのラップというか、同じアルバムの中で振れ幅を持たせていますね。

GOD

A.F.J.B.

──“A.F.J.B.”はたしかに言いたいことが詰まっている気がしました。

そういうことを言えるのはヒップホップから来た人だからこそだと思いますね。バンドのシーンにはカルチャー的にあまりないと思うんです。ディスとかの文化もないし、英語詞も多いし、Age Factoryもそうなんですけど抽象的な歌詞も多いので、そこにヒップホップのヒリヒリする感じを持ち込みたかったんです。バンドにこれまでなかった曲だとも思います。

──気が早いかもしれませんが次にやりたい音楽的なアプローチはありますか?

自分の中で今はバンドのモードが高まってきていますね。AFJBで今回出したアルバムは、わかりやすく言えばアニメの曲になりそうな爽やかなイメージの曲が多かったと思うんですけど、次にもしバンドでやるならもっと渋い感じというか、ダブっぽいサウンドを取り入れたりして、玄人めな曲もやってみたいと思ってますね。

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シーンに感じていたフラストレーション

──今回着ていただいたアイテムに紐づけると、例えばカート・コバーンはフェミニズムを支持していたりもします。CreativeDrugStore、Rave Racers、AFJB、そしてソロとたくさんのフィールドで活動している中で、フロアでいろんな人が分け隔てなく踊っている状態は目指しているものですか?

まさにそうで。Rave Racersもそうなんですけど、AFJBのことで話すと、僕がAge Factoryのライブに客演とかで出させてもらっていたときはライブハウスとかでバンドでライブしたことがほとんど無かったし、ライブハウスのお客さんのノリや熱気とか含めて、自分が今まで活動してきたクラブとは全然違って、それがすごく面白かった。だからAFJBでは僕のお客さんをライブハウスに連れて行きたいし、逆にAge Factoryのお客さんをクラブに連れて行きたいっていう気持ちがあって、みんなの新しい遊び場を作りたいと思っています。

AFJBのツアーは半分はライブハウスでデイでやって、半分はクラブでオールナイトでやるようにしているので、そういう新しい発見がお客さんにもあったら嬉しいですね。クラブのお客さんにはガチのモッシュを体験したことがある人も少ないだろうし、そういうことも含めてしっかりシーンとして面白くなればいいな。そこにRave Racersをブッキングしたりもしているので、いろんな音楽に触れてもらいたいですね。

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カーキ
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──シーンごとに壁があって分かれているようなムードにフラストレーションを感じていたんですね。

昔はめっちゃあって、それこそRave Racersを始めた理由にもなっています。当時、まだ代官山UnitとかでBIMがリリパをやっていたとき、たぶん4年くらい前とかかな、UnitでBIMがライブしてUniceで<Creative Room>っていうイベントをCreativeDrugStoreでやっていて、メンバー全員DJできるんで、みんなでやっていたんですけど、僕はAFJBのような音楽がずっと好きだったから、普通のヒップホップのDJよりもバンドの音や四つ打ちを流したりしていたんです。そのとき前の方にいたお客さんは割とポカーンとしていて、後ろで見ていた40代くらいの人から終わった後に「めっちゃ良かったよ」って言われたことがあって、それが嫌だったんですよね。こんなに踊れる音なのに若いお客さんに響かないんだなって。

だから自分で自分が好きな曲を流せるイベントをやりたくて、それにCreativeDrugStoreのお客さんが遊びに来てくれたら新しい遊び場になるんじゃないかなと思って。最初は<Rave Racers>っていうイベント名で自分の周りの先輩とかを呼んで中目黒Solfaで2回くらいやって、そこから出てくれた先輩の何人かをお誘いしてクルーを始めたので、フラストレーションから全ては始まっていますね。

──Dragon AshにとってのTMC(Total Music Communication)ではないですが、そういったものを大きい場所でやりたい気持ちはありますか?

やりたいですね、多くはないけど俺がかっこいいと思える人は周りのアーティストにたくさんいるし、そういう人たちをジャンル関係なく一つのイベントで、大きいところでやって、AFJBの第1章終わり! という感じにしたいなと。来年にはやりたいと思っています。

──楽しみです。最後に直近のライブの予定について教えてください。

11月19日にAFJBのツアーファイナル、25日にソロのツアーファイナルを予定しています。あと12月12日に横浜のF.A.DでAFJBのワンマンライブをやります。ツアーの東京公演がオールナイトなので、年齢が理由で来れないという子が多かったんです。自分が思っている以上に未成年の子が聴いてくれていて、16歳の子が声をかけてくれたりもして。AFJBは普段からたくさんライブをしているバンドではないので、関東で未成年の子も来れるライブがやりたくて。オープニングのDJはBAKU(KAIKOO)さんにお願いしています。全部気合い入ってるんで、ぜひ来てほしいですね。

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Starring:JUBEE(TwitterInstagram
Text:Daiki Takaku
Photo:中村寛史
Location:Jazzy Sport Music Shop Tokyo

INFORMATION

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スタイルの“現在と過去”|JUBEE──Wrangler × JOURNAL STANDARD relume interview221118-js-relume_wrangler_jubee-023
スタイルの“現在と過去”|JUBEE──Wrangler × JOURNAL STANDARD relume interview221118-js-relume_wrangler_jubee-024

JOURNAL STANDARD relume
【Wrangler / ラングラー】別注 ボア ランチコート

¥24,200(tax incl.)
カラー:ブラック/ブラウン/カーキ
サイズ:M/L
素材表地:綿100% ボア部分:ポリエステル100% 袖裏:ポリエステル100% 袖中わた:ポリエステル100%

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