東京在住のイラストレーターJuno Mizobuchiが個展<Another ordinary day>を半蔵門ANAGRAにて8月23日(水)から9月3日(火)まで開催する。

カラフルで立体的に無常感を描いてきた彼は現実に何をみているのか。メールインタビューに答えていただいた。

Juno Mizobuchi SOLO EXHIBITION”Another ordinary day”

Another ordinary day
いつもどおりの日常
 
自分は世界をどのように見ているのか?
 
目を開けてみているこの世界は、人それぞれ見え方が違います。
というのも、我々は自分の世界だけしか常に見てはいないし、そもそも見ることは出来ません。
 
人々が共通した世界を見るべきだ、とは思っていません。
むしろ、見方がそれぞれ違うということに面白さを感じます。
 
物事をすぐに伝えることができるので、言葉というのは便利です。
ただその過程で省略されてしまう自分のイメージに対して、自ら執着して行くような気持ちがあればいいなと思います。
 
僕は、世界の中に浮遊するイメージを集めて、新たな一つを作るように描いています。
皆さんの見ている世界の理を暴くとまでは言わずとも、感じることができれば幸いです。

インタビュー Juno Mizobuchi|概念と言葉の間をヒトの世界に広げる interview190828-juno-mizobuchi-2

Interview:Juno Mizobuchi

──自己紹介をお願いします。

溝渕珠能です。京都精華大学デザイン学部イラストレーションコースを卒業しました。
香川県で生まれ、大阪で育ち、大学時代は京都ですごしました。卒業後に東京へ移り、出版のインターンを経て作家として活動しています。

──絵を描くようになったきっかけを教えてください。

遡って考えるとすれば、おじいちゃんが絵を描くのが趣味の人で、ものすごくうまい人でした。そういうこともあって、お絵かき教室みたいなのにもずっと通っていました。でも大阪に引っ越してからは辞めて、お受験の流れみたいなのに乗って塾ばっかりになりましたね。そのまま、小中高とお受験な生活を味わい、唐突に高校生の時に画塾へ通い始めました。絵を描くきっかけは何回も訪れたのかな、と思います。

──作風について教えてください。

ヒトそれぞれ世界の見方は違っていますよね。目で見ているものはいっしょなのに、ヒトによって受ける印象が違っているんです。その違いには、果てしなく続く想像力があると思っています。見たものを伝える時には必然的に言葉に置き換える必要があって、頭の中にはいっぱいイメージが詰まっていたのに、その時にほとんど省略されてしまう。

僕はそれをもったいないと感じます。なので、人々が世界の見方について、もっと考えられるような作品を作りたいと思っています。いろいろなヒトの世界に近づくために、色や形、線や空間への配置などの小さな要素を用いて絵を描いています。

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──ご自身のスタイルに影響を与えたと思う人はいますか?

最初に影響を受けたのは会田誠さんです。僕が見てきたもの全てから影響は受けたと思います。あとはお世話になった人達がいっぱいいるのですが、話をする中でその人たちの考えが僕の一部になっていると思います。

──好きなモノ・コトを3つ教えてください。

散歩 ただ歩くだけが好きです。都会は散歩しづらいですね。目的地までのルートがあるとしたら、それを道草しながら歩くのは本当に楽しいです。
常日頃から鴨川を歩きたい、と思いながら生活しています。鴨川は最高級の一本道ではないかと思います。京都は東西南北や碁盤さえ覚えればどんな道でも結局たどり着くので、自由に散歩やサイクリングができて最高でした。

アニメ 最近はあまり見れていないのですが、昔から好きです。同じ作品ばっかり繰り返し見るタイプです。

喫茶店 楽しい会話ができる場所だと思いますし、コーヒーが好きなので。一人では行きません。最近行きつけのお店が潰れてしまいました。喫茶店のない街に住むのは苦痛です。

──どんな音楽を聴いてますか?

基本的に歩きながら聴いています。高めたい時、落ち着きたい時、その日の気分で選んでいます。ただ自然の音が聞こえないので、最近は外では控えてみようかと考えています。

Dance

Ghost in The Shell Soundtrack • Playstation

Curtis Mayfield – Move On Up

──好きな映画は?

すごく小さい時にテレビで見てからずっと好きです。
最初から最後まで名シーンだらけだと思います。
深く考えずに「最高だな。」と常に思いながら見ると楽しめます。

Face/Off(1997) – Original Trailer

──1日の作業時間はどのくらいでしたか? 描いてる時は何を考えていましたか?

ご飯とか散歩している時間以外は作業していたので、10時間もないのではないかと。
自分のことだと思います。昔のことだったり、今のことを考えていました。

──絵はどこで描いていますか?

住んでいる家の一部屋を丸ごとアトリエにしています。
その部屋の真ん中に半分にした卓球台を置いています。
壁も作業できるように板を立てています。

──お気に入りの画材はありますか?

使っているのは、ホルベインの不透明アクリル絵の具です。何度も同じ場所を重ねて塗るのですが、この絵の具は不透明ということもあって画面が砂っぽくならずに塗れる気がします。筆はホルベインのすごく柔らかい毛のものを使っています。硬い筆はしっくりこないのですが、今後使っていこうと思っています。

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──いま、最も興味を持っているモノ・コトは?

釣りがしたいです。ほとんど未経験ですが。迷惑をかけない程度にできるよう勉強しています。今年の禁漁前に、できれば9月中に1回くらいは行きたいです。

──他に挑戦したいアイデア・テーマはありますか?

立体的な表現です。現実世界にあるモノとして、感じられるような作品を作りたいです。ヒトの見る世界がそれぞれ違っていることにも興味がありますし、自分というヒトを用いて、行き着く先を知りたいからです。

──何からインスピレーションを得ていますか?

生活している中で見る風景、人と関わることで生まれる心情の変化などかと思います。普遍的な生活で目に見えるものを客観的に見ることで、違う面が見えてくるものだと思います。 先入観さえなければ、何からでも得ることはできるはずです。

──今、やりたいことはありますか?

釣りです。
山登りやアウトドアを嗜んでいたのですが、釣りをまったくしてこなかったので。
自分で食べ物をとってくることなんてほとんどないですから。その日のご飯にする、みたいなことをしたいです。

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──あなたが世の中を美しいと思う瞬間は?

みんなが人に優しくしたいけど出来ない、みたいなニュアンスは少し愛おしいです。
視覚的には、鮮やかな青空を見上げた瞬間です。

──10年後、どうなっていたいですか?

座って川を眺めていたいです。
穏やかな気持ちで。それが出来る自分であれば、元気にやっていそうなので。

──読んでいる方に一言お願いします。

お読みいただき、ありがとうございました。
質問に答えることが苦手なようです。
ああでもないこうでもないと考えてしまいました。
お会いする機会がありましたら、直接お話ししましょう。
大歓迎です。

INFORMATION

インタビュー Juno Mizobuchi|概念と言葉の間をヒトの世界に広げる interview190828-juno-mizobuchi-1

Juno Mizobuchi SOLO EXHIBITION”Another ordinary day”

2019.08.28(水)〜09.03(火)
ANAGRA
OPEN
WEEKDAY 15:00-22:00
HOLIDAY 14:00-21:00

詳細はこちら

JUNO

1992年香川県生まれ。
2014年京都精華大学デザイン学部
ビジュアルデザイン学科イラストレーションコース卒業。東京在住。

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