渋谷駅周辺の大規模な再開発や、スクランブル交差点の大型ビジョンにZeebra氏のメッセージが映し出されて始まった風営法の規制緩和を追い風に、渋谷の街が今、大きく変わりつつあります。そのキーマンのひとりと言えるのが、今年の4月から渋谷区観光協会の理事長に就任した金山淳吾さん。
「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」をスローガンに様々な施策を展開する金山さんが語るのは、ビジターとローカルが垣根を越えることで生まれる新たな観光の可能性。そもそも、渋谷は観光地なのか?という疑問や、「シェアリングエコノミーのセレクトショップ」というアイディア、東京オリンピックでは新たな観光資源として「土管」が登場!?などなど、金山さんならではのユニークな発想と視点でみる、「渋谷の観光におけるシェアリングエコノミーの可能性」や、「シェアサービスが変える未来」についてお話しいただきました。
“人”と“体験”が生む新しい渋谷の遊びかた「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」とは?渋谷区観光協会理事長・金山淳吾さんにインタビュー
――金山さんは今年4月の理事長就任後、「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」をスローガンに様々な試みをされています。観光面から見ると、渋谷はどんな特徴のある街だと感じていますか?
4月に渋谷区観光協会に入った際に、僕自身改めて渋谷を知ることから始めたのですが、まずは「そもそも渋谷は観光地なのか?」ということを考えましたね。一般的な観光地は「気持ちのいい温泉がある」「山、川、海の観光資源がある」というイメージですが、渋谷にそれらがあるわけではないですから。でも一方で、渋谷区は新しいカルチャーの発信地です。渋谷駅前や原宿、表参道、代官山とそれぞれに特色があり、人が沢山いて、独自のポップ・カルチャーやファッションが生まれ、カラオケボックスや雑貨屋、クラブ、ライヴハウス、そして深夜まで営業している飲食店も沢山あります。そう考えた時、「渋谷の観光資源は場所や歴史だけでなく、この街にいる人と、人々が作り出す遊び方やトレンドなんじゃないか」と思い当たったんです。そこから「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」(=渋谷の多様性を遊ぼう!)が生まれました。近年では、渋谷や日本発のアイディアが海外に受け入れられることも増えていますよね。たとえばリオオリンピックでもよく見られた、写真を撮る際に手でハートを作ったり、顔を小さく見せたりするようなポーズも、恐らくは日本のティーンエイジャーが生み出した文化です。「100万通りの遊びが生み出せる、今でも多様な遊び方を生み出している街」だからこそ、“体験”“人”に焦点を当てようと思ったんですよ。
――渋谷区観光協会のHPでは、スクランブル交差点の様子がリアルタイム配信されていますね。これも“人”というキーワードに繋がっていそうです。
スクランブル交差点は世界的にも有名な場所ですが、24時間ずっと人が往来していて、そこには渋谷に帰ってきた人と、来た人が混在しています。そこで、その人たちが「何をして帰ってきたんだろう?」「何をしに来たんだろう?」という、“映っている風景の外側にあるもの”までを感じてもらいたいと思って用意しました。これからハロウィンシーズンなどには、面白い景色が見られるかもしれません。4月のイベント用にスタートさせた「PLAY! DIVERSITY SHIBUYA」のスマホアプリでも、通常の検索や参照では得られない情報と、いかに出会えるかを大切にしています。街中にパブリックビーコンを置いて、街に来た人にプッシュ通知で情報が送信される仕組みを使うことで、「○メートル先でお祭りをやっているよ」「○メートル先に新しいクレープ屋さんが出来たよ」という情報に出会えたら、もともとは目指していなかったものにも興味を広げてもらえると思ったんですよ。