2022年7月29日(金)〜31(日)にかけて開催された<FUJI ROCK FESTIVAL ’22(以下、フジロック)>。Qeticでは、<フジロック>現地にて、出演したアーティストのインタビューを実施。今回は、29日に出演した幾何学模様Kikagaku Moyo)のインタビューをお届けする。

結成10周年を迎える幾何学模様は今年1月、無期限の活動休止を発表した。そして5月には最新作『クモヨ島(Kumoyo Island)』をリリースし、アメリカをはじめ、EU/UKを回るファイナルツアーを開催中。EU/UKツアーを終えたのち、出演したのが<フジロック>となる。

幾何学模様が<フジロック>に登場するのは初のこと。ライブ中には幾何学模様としてのラストライブを12月3日にめぐろパーシモンホールで行うことを発表(チケットは即完売)。また、11月28日には恵比寿 ザ・ガーデンホールにて追加公演を行うことが発表されている。

最後の旅路にいる幾何学模様は、これまでの活動をどう振り返るのか。晴天のFIELD OF HEAVENでのライブを終えたGo、Tomoが物腰やわらかく、いくつかの質問に答えてくれた(Tomoは途中参加)。なお、Qeticでは、アルバムリリース時にロングインタビューを実施しているので、こちらもどうぞご一読を

KIKAGAKU MOYO – Monaka(FUJI ROCK 22)

INTERVIEW@FUJI ROCK:
Go、Tomo
from 幾何学模様(Kikagaku Moyo)

──<フジロック>は久しぶりの来日ライブでしたよね。FIELD OF HEAVENはいかがでしたか?

Go とにかく暑くて(笑)。景色がすごくよかったです。山の中でやることはあまりなかったので、すごく気持ちよかったですね。

──幾何学模様はあらゆるフェスに出演されますが、山に囲まれるようなフェスは数少なかったと。

Go スイスにアルプスの上でやるフェスがあるんですよ。規模は小さくて、1日2バンドぐらいしか出ないんです。一週間くらい開催されて、その期間はみんなそこに滞在する。標高は全然違うんですけどね。気温は<フジロック>より全然涼しかったです。

──なるほど。幾何学模様はいろんなフェスに出演されてきたかと存じますが、 とくに印象に残っているエピソードなど教えていただけますか?

Go 大変なことはよくありましたよ。今回も飛行機の遅延で機材が届いてなかったんです。それで急遽機材を手配しました。今回は僕のスネアとドラムのいくつかがなくて。

──大変なことも多いなかで、各地を回る楽しみもあると思うのですが、幾何学模様なりの楽しみ方ってありますか?

Go まあ、仲が良いんですよ。もともと一緒に住んでいたり、シェアハウスしてたりとか、近いところから始まってることもあって、それがそのまま移動しているイメージです。ツアーしてまた家に戻ってくる。でも、5人それぞれが違う景色をずっと観てる。ステージでも横を見ると同じ顔なんだけど、それぞれが見てる景色が全然違う。そういうことですね。

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Go
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Tomo

──素敵です。つぎに、GoさんとTomoさんが主催されているレーベル〈Guruguru Brain〉について、教えていただきたいです。南ドイツ(Minami Deutsch)というバンドがリリースしていたり、シンガポールのアンダーグランドなアーティストのコンピレーション(『Sounds of Lecak Vol. 1』)を発表されたりしていますよね。

Go アジアの音楽というコンセプトでやってます。再発とかじゃなくて、現行のアジアのバンド、音楽を外に出していく。

──その辺の、アンテナの効かせ具合っていうか、どの国がどういう音だとか、なんとなく個性がわかってきたりするんですか?

Tomo 国ごとにいろいろな音楽がありますけど、ずっとコンスタントにディグってるので、そこでいいなと思った音楽を出す。自分の直感を信じてます。

──おふたりにとって、アジアの音楽の魅力はなんですか?

Go ロックや西洋の音楽が入ってきた歴史や文脈は国によって違うし、もちろん文化も違って。それが音楽に個性に出てるバンドもいれば、そうでないバンドもいたりして。

Tomo そのなかで自分たちが思う、オルタナティブな音楽を出しています。〈Guruguru Brain〉でレコードを出すだけじゃなくて、音楽で世界を回る方法を伝えたい。自分たちが繋がったブッキングエージェントだったり、実際ツアーでヨーロッパやアメリカを回るにはどうしたらいいのか。アジアとヨーロッパ、アメリカの音楽業界は違うんですよ。アメリカの業界から見ればヨーロッパやアジアの回り方はわかるけど、アジアからしてみれば分からない。どうやってツアーに行けばいいって、そもそも誰がやっていて、どのくらいのお金かかるのか。自分たちは自分たちでやって、その情報が分かっているので、知恵をシェアしたい。自分たちの知識や経験から、彼らをサポートしたい思いがあるんです。

──実際、幾何学模様さんがアジアに行って、現地のバンドと共演したりもしているんですよね?

Go この間のヨーロッパツアーではMong Tongっていう台湾の兄弟デュオ(落差草原 WWWW(Prairie WWWW)のメンバーでもあるHom YuとJiun Chi兄弟による2人組。11月28日のライブにも登場)をオープニングアクトとして呼んで、1ヶ月回ったりもしました。

Tomo そうすると、今後自分たちでツアーをやったりする、最初のステップが作れるので。

──これまでの活動で得てきた知見を、プッシュしていきたいバンドやアーティストたちに共有してきたということですね。バンドとレーベルの活動は表裏一体で、これからバンド活動はストップするかもしれないけど、シーンへの貢献はこれまでとは少し違う形で行っていくと。とても楽しみにしています。バンドとしては9月からアメリカを回るツアーを控えていて、12月の東京公演がラストショーになると。

Go 自分たちが始めた場所で終わるっていうね。

Tomo バンドは最後まで5人のメンバーで変わらずやってきました。だから1曲1曲「あ、これが最後なんだ」って思いながらライブをする経験をしたことがない。だから、自分たちも実際、どうなるのかわからない。けど、その感情をうまく音にして、良いライブができたらすごい楽しいし、日本でそのライブができるということも特別ですよね。

──ありがとうございます。今後の活動も楽しみにしています。最後に時間が許す限り、この箱に入ってる質問に答えていただけますでしょうか?

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──Goさんへの質問は「子供の頃の夢は?」ですね。

Tomo わはは〜!

Go 一昨日、日本に帰ってきて、実家帰ったときに親に「これ、捨てる? どうするの?」って物のがいくつかあって。そのなかで、中2の頃の文集みたいなのが出てきて、そこに将来の夢が書いてあったんですよ。そこに「海外で生活したい」って書いてあって。「それが夢が現実で終わるかは努力次第」って、自分で書いてたんですよ(笑)。あ、叶ったなと思って。

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──うお〜! すごいですね! Tomoさんへの質問は「DJでプレイしたい曲」。

Go お〜、いいじゃんいいじゃん!

Tomo 僕は偶然、今年からバイナルでDJをやってて。イギリスのインターネットラジオ局、Worldwide FMで番組を持たせてもらってるんですよ。

──ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)主宰のラジオ局ですね。

Tomo です。なので、かけたい曲はいっぱいあるんですよ。

──では、<フジロック>でかけるとしたらどうですか?

Tomo <フジロック>でかけるとしたら、ルパンのテーマ。33回転にして、遅くするんですよ。7インチがあるんですけど、あれを遅くすると、よりヘビーに、音が重くなって、超グルーヴィーになるんですよ。なんとなくルパンかなぁって思いながらも、フュージョンっぽくなって。

Go 「ヅクヅクヅクヅク」ってね。

──聴いてみたいです! DJはラジオ局以外でもやっていたりするんですか?

Tomo 1回、サンフランシスコでライブのオープニングアクトが決まらなかったときに、やったことあります。ツアーに行くとレコ屋がたくさんあるので、シングルだけ集めて。

──日本のクラブなどでも聴いてみたいです。現在は7インチだけでやってるんですか?

Tomo いまは7インチだけですね。楽しいですよ〜。

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Photo by Kazma Kobayashi
Interview, Text by 船津晃一朗

INFORMATION

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KIKAGAKU MOYO PRE-FINAL SHOW(追加公演)

日程:2022年11月28日(月)
時間:開場18:00/開演19:00
会場:恵比寿ザ・ガーデンホール

出演:KIKAGAKU MOYO/幾何学模様
Support Act:Mong Tong(from Taiwan/台湾)
料金:前売 ¥6,000(オールスタンディング/ドリンク代別)

チケットスケジュール:
1次先行予約(抽選):9/15(木)19:00 〜 9/19(月祝)23:59
2次先行予約(抽選):9/23(金)12:00 〜 9/26(月)23:59
一般発売(先着):10/1(土)10:00

チケットリンク(先行・一般共通):
https://eplus.jp/kikagakumoyo-pre-finalshow/公演に関するお問い合わせ:WWW Presents www.info@www-shibuya.jp

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KIKAGAKU MOYO FINAL SHOW(SOLD OUT)

日程:2022年12月3日(土)
時間:開場16:30/開演17:30
会場:めぐろパーシモンホール 大ホール
出演:幾何学模様/Kikagaku Moyo
公演詳細:https://kikagakumoyo.com/finalshow/

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クモヨ島(Kumoyo Island)

幾何学模様(Kikagaku Moyo)
2022.05.25(CD)、2022.05.06(Digital)
GURUGURU BRAIN/Beat Records

国内盤CD BRC702 定価 ¥2,500+税(税込 ¥2,750)
国内盤特典:解説封入

TRACKLIST
01. もなかのなか(Monaka)
02. 青の舞(Dancing Blue)
03. エッフェ(Effe)
04. ぼくの海(Meu Mar)
05. 段ボールの山(Cardboard Pile)
06. ゴムゴム(Gomugomu)
07. 白昼夢の蜃気楼(Daydream Soda)
08. 鬼百合畑(Field of Tiger Lilies)
09. やよい、ゐやおい(Yayoi, Iyayoi)
10. 昼寝のうた(Nap Song)
11. メゾン シルクロード(Maison Silk Road)

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