遼 ライブの話なんですけど、みんないろんな楽器をするじゃないですか。どこまでやるんですか?
キティー もう気分次第って感じ。子どもの頃から家には楽器がいっぱいあったから、興味を持ったものをとりあえず弾いてみる感じだった。ギターを弾けないうちはまずウクレレ、弾けるようになったらギター、その流れでベースもみたいな。私たちは学校で習うとかは無かったからね。学ぶとかじゃなくて、興味を持ったらとりあえずやってみるのが早いと私は思ってる。あとはいっしょにやるのが楽しかったっていうのは大きい。そういう意味では、こういう兄弟だったっていうのはすごいラッキーだったよね。
アリサ 音を楽しんでたんですね。
ルイス 本当に家族でジャムセッション状態。
アリサ すごい楽しそう……。
ルイス そこで「何か音を出さなきゃ」って頑張ったのが良かったのかもしれない。父親も何か教えてくれたって感じじゃなかったし、もちろん「教えて」って頼んだことはあるけど。バンジョーはあるけど、バンジョーをウクレレみたいに弾いちゃってもOK、ギターは弦があと2つ多いだけね、みたいな。
遼 そういう環境の中でみんないろいろやってたことで、今ではライブで楽器を入れ替わったりできるようになったと。
ルイス 僕らはそもそもプロを目指してたわけじゃなくて。パブとか日曜の午後に行くと演奏してるじゃない? そういうところで「お前もやる?」みたいに声をかけてくれて。それでやってみて、評価されるようになって、会場でもライブさせてもらえるようになった。自分たちでも気がついたらこうなってた感じなんだ。でもまだ勉強中だと思ってる。こういう新しい弾き方があるのかって思ったりするし、まあ……終わりがないよね。
遼 日本のバンドだと「コレはコレ」みたいなのがあるし、素晴らしいなと。
アリサ 「こうやって演奏するのが正解」っていうのが日本にはあるイメージ。
ルイス 僕らは逆に自分たちのやりたいやり方でやってくれる人にお願いしてるんだ。どこかへ行ってやるにしても、僕らのやり方で迎えてくれるところじゃなかったら行ってもしょうがないじゃんって思うし、相手も僕らのありのままを受け入れてくれるところばかりだったので、それは幸運だったなと思う。
遼 僕もけっこういろんなことをやりたい人なので、ライブ中にスティック奪ったり、ギターを奪ったり……。だから昨日のライブを観てて、「ああ……正解だったんだ」って思った。
ルイス その方が面白いでしょ? やる楽器が変わると音もガラっと変わるし。
デイジー 同じ場所にずっと座ってワンセット終わるなんて考えられないわ。
遼&アリサ おおー!
デイジー いろいろやりたいわ。
ルイス リハの時からそうなんだ。ドラムのところに座ったり、ピアノのところに座ったりして一曲やるんだけど、それで音が決まらなくても次に他の楽器をやりたくなっちゃう。だからエンジニアは大変だよね。
アリサ その度にPAさんは変えたりしてるんですか?
キティー そうね、大変なのよ。マイクのセッティングとかもそれぞれ違うので。あんまり変わらないで済むようには心掛けてるんだけど。
ルイス でも……演奏は今の感じが一番良いかなって思ってる。
キティー 音楽の感じも違う要素をどんどん入れていってるので、何にでも対応出来るシンプルなセッティングがいいのかなとは思ってるわ。
アリサ セットリストを考える時はどんなことを意識して作るんですか?
キティー 今は新作のツアー中なので新しい曲はやりたいし、でもお客さんは昔の曲も聴きたいとかあると思うので、そういうことは意識する。
アリサ お客さんが一番楽しくなるような曲順で考えてるってことですよね。
デイジー 楽器とかはとにかくあるもので何とかしないといけないし。あとは流れを大事にするわ。
ルイス いつも変えちゃうしね、どんどん。昨日は最後の方にタンタンとセッションする曲を新しく入れたし(エディ・“タンタン”ソートン:ビートルズやローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ボブ・マーリーらと共演経験のあるジャマイカを代表するトランぺッター)。あれはいつか入れたいと思ってたので、せっかくなら今回と思って入れたんだ。
遼 素敵でした。(タンタンとは)どこで出会ったんですか?
ルイス アイランド・レコードで父親が働いてて、タンタンはそこでセッションの仕事をよくやってたんだよ。2ndアルバムの時にトロンボーン・プレイヤーが実は欲しかったんだけど、あるパーティーでタンタンと会った時に父親の話になって。そこから彼にトランペットをお願いすることになったんだ。すごい光栄なことだよね。彼は伝説のプレーヤーだから。
キティー 昨日は“スペシャルゲスト”って紹介したけど、実はバンドの一員みたいなものなの。
一同 ハハハー!
キティー でもスペシャルゲストって紹介した方がみんなも盛り上がるしね。
ルイス 今日は君たちのレコードとかCDは持ってる?
遼 もちろん持って来たよ。僕らもロックンロールやジャズやヒップホップやいろんな音楽をやるし、ぜひ聴いてください。
デイジー ぜひロンドンに来てね。
アリサ 行きたーい!
遼 ライブやりたいよね。
ルイス 連絡取れるようにしようよ、ロンドンに来た時はいろいろ案内するから。その代わり、東京を案内してね。
遼 OK、もちろん。
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text by ラスカル(NaNo.works)
photo by YOU ISHII