長女のキティー、次女のデイジー、長男のルイスの3兄弟からなるロンドン出身のキティー・デイジー&ルイス。彼らが、<フジロック>出演以来5年振りとなる待望の初の単独ツアーで来日を果たしました! プロデューサーに元ザ・クラッシュのミック・ジョーンズを迎えた最新アルバムを引っさげたツアーは完売。梅田シャングリラ、渋谷CLUB QUATTO、そして<ARABAKI ROCK FEST.15>にて大勢のファンを魅了しました。今回、久々の来日公演で多忙を極めていた彼らですが、その合間を縫い、大阪公演が行われる直前にインタビューに答えてくれました。
Interview:キティー・デイジー&ルイス
――先日、USツアーを終えたばかりだと思いますが、USツアーはいかがでしたか?なにか新しい発見や出逢いなどありましたか?
ルイス 今回アメリカでの初めてのワンマンツアーだったんだ。特にアメリカは毎回ライブをやるたびに実績を上げていかなきゃいけない、またそれが求められる場所なんだけど、反響はとても良かったよ。ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルスとかの主要都市も廻れて、どこもとても良いライブができたし、とても良い反響だったから、また近いうちにアメリカに行って今度はどんな反響があるのか知りたいよね。
キティー 1ヵ月ツアーをしたんだけど、いろんなところに行けて良かったわ。アメリカって大きいから、街によって雰囲気や趣が違ったりするでしょ? 観光とかでは普通行けないような街にも行くことができたから楽しかったわ。
デイジー そうそう、アメリカってちょっとドライブしただけで建物や食べ物、人も全然違ったりするからね。
――久しぶりの日本来日ですね。なにかこれはしたい、行きたいなど予定は立てていますか? もし日本やトウキョウに対して、興味を持っていることや物があれば教えてください。
デイジー 新幹線に乗るのがとっても楽しみ! あさって、大阪から東京に行く時にも乗るし、今回、何回か乗る機会があるからワクワクしてるの(笑)。
ルイス 食べ物も美味しいし、良いレコードショップもいっぱいあるし、周りの人は僕らをいろんな所に連れてってくれて、皆、親切で優しいし……。前回の来日も本当に最高だったから、今回も楽しみなんだ。
――トウキョウはどうですか? 何か印象に残っていることとか、どこか行きたい所とかありますか?
ルイス トウキョウは最高だよ!
デイジー 前回、クールな路地を見つけたんだけど、そこに行ってみたいな。
ルイス&キティー ああ、あそこね! 良かったよね〜!!
ルイス どの場所にあるかはわからないんだけど、近代的なビルがそびえ立っている中にひっそりとある古い路地で、小さなバーが並んでるイイ感じの路地なんだ。
デイジー あそこは絶対にいきたい!
ルイス 確かシブヤにあるんじゃなかったかな?
デイジー ああ、そう、確かシブヤだった気がする。その路地を見つけてすぐにバーに入ったから、場所はよく覚えてないけど(笑)。
――オフィシャル・インタビューにて「アナログ機材が一種の『マジック』を引き出してくれる」という発言がありましたが、今後の楽曲制作のなかで使ってみたい、チャレンジしたい機材や楽器などはありますか?
ルイス ニュー・アルバムでは、いろんな新しい機材を取り入れているんだけど、まだ使っていないドラムマシーンとかあって……。もっと時間があったら使いこなせたかもしれないんだけど、次のアルバムで曲に合うようだったら使ってみたいと思ってるんだ。僕らはアルバムを作るたびに毎回新しいものを導入しているから、次のアルバムもきっとクレイジーなものが使われることになるよ(笑)。
デイジー バンドをやっていると色々な楽器や機材を見つけたりするんだけど、わざわざ探しているわけではないの。ふとした時にクールな楽器や機材との出会いがあるのよね。だから次のアルバムでは何が使われるか、私達も楽しみだわ。
――新作のプロデューサーに、ミック・ジョーンズが参加したことでよりアイディアが広がったとインタビューで話をしていましたね。今後、また新たなアイディアを膨らませるために、もし誰でも指名できるとしたらどのアーティストをプロデューサーとして一緒に組みたいですか?
ルイス うーん、誰ってハッキリ言うのは難しいね。ミックは、プロデューサーを頼む以前からよく知っていて、レコーディングする前も僕らの家に来てリハーサルを何ヶ月もしてくれたし……。プロデューサーっていうのは、まず人柄がわからないとね。せっかくお願いしても、いざ一緒にやってみたら嫌なヤツで僕らと合わないかもしれないし、みんなとウマがあって、仲良くできる人っていうのが大事だよ。だから、たとえそのプロデューサーの作品が好きでも、実際会ってみなきゃわからないよね。まず会って、食事をして、お酒を飲んで、お互いわかるようになってからじゃないと頼めないよ。
――“Baby Bye Bye”も”No Action”も「恋人を抹殺する」テーマでMVを制作しています。今回、続けてストーリー性のあるMVを制作してみた理由は? ストーリーは誰が考えているのですか?
キティー “Baby Bye Bye”のMVは、監督のトム・コールズと打ち合わせをした時に、トムが出した最初のアイディアに私達が納得しなくって、その時ちょっと酔っぱらっていたルイスがふと、「誰かが死んじゃうってのはどう?」って言い出したの(笑)。それで、トムがそのアイディアからストーリーを作ってくれて……。私たちは歌詞に沿った内容の退屈なMVにはしたくなくて、ショートフィルムのような見て楽しめるものを作りたかったの。だから曲の内容には必ずしも関係していないけれど、撮影していても楽しかったわ。”No Action”も同じ監督で、同じような流れで制作が進んでいったの。
――今後、トライしたいMVのテーマなどはありますか?
ルイス 僕たちはいつも、レコーディングやミキシング、あとアルバムジャケットのアートワークをどうするかとか、そういったことで忙しいから、MVについて考えるのはどうしても最後になっちゃうんだ。「どうしよう」「どうする?」って言っていたかと思えば、1週間後にはMVが完成していることが多くて、どういうものを作りたいか考えるのは難しいよね。何よりもまず曲ができなきゃ思いつかないし……。でも、とにかくストーリー性があるもので、ショートフィルムのような作品をこれからも作りたいと思ってるよ。まぁ、必ずしも誰かが殺される必要はないけどね(笑)。
――皆さんがいま最も注目している音楽のシーンや音楽ツールなどはありますか?
キティー ニューアルバムでも取り入れているんだけど、スカやカリプソといったサウンドは3人ともハマっているわ。ロンドンっていう街は、(歴史的に西インド諸島からの移民が多いため)カリビアンカルチャーの影響を音楽に限らず、食べ物やいろんなところに受けていて、そういった環境で育ったから、スカやカリプソ、レゲエといったサウンドはずっと聞き馴染みがあるの。
――これからのキティー・デイジー&ルイスについて、それぞれご自身でどんな未来を想像していますか?
ルイス 僕達は何ものでもない僕達自身、キティー・デイジー&ルイスであり続けたい。いつも自然体で、流れにまかせながらね。
キティー そう、音楽を演奏し続けながら世界中をまわれたら、それがベスト。
デイジー 実際、今こうして日本にいるんだから、最高よ。
関連記事:キティー・デイジー&ルイス、<フジロック’15>出演について語る
富士祭電子瓦版 TALKING ABOUT FUJI ROCK:キティー・デイジー&ルイス