――<グラストンベリー>に出ることになったときはどんな心地がしましたか。ちなみに今は<コーチェラ>への出演が控えていますね。
<グラストンベリー>にはじめて出たのは2年前だった。恐ろしかったわ。「人がたくさん!」って感じ(笑)。パフォーマーじゃなければ超ビビッていたと思う(笑)。それでもステージに飛び出せばどうってことなく感じるから不思議。来週の<コーチェラ>もすごく楽しみにしてる。
――自分がパフォーマーだという意識は強く持っている?
抗議活動とか、自分を表現するとか、そういう意味ではよくわからない。私は5歳からビヨンセを歌っているわけじゃないから(笑)、ステージに立って観客に向けて歌うことが楽勝ってわけじゃない。だんだん慣れてきたけどね。
――ステージ上ではどういう風に振舞おうと考えているんですか。今日はすごく堂々として見えましたが。
ただ馬鹿だと思われないように頑張っている(笑)。「歩いて、ここで少し踊って、ほらもっとハッピーに。」なんて頭のなかで実況中継している感じで、時々「あー!」ってなるの(笑)。自信満々に見せかけて、内心は自分の行動に対して超自意識過剰。あくまで自然に振舞おうとしているだけよ。
――今日はバンドに対して積極的に指示も出すなど、バンドをコントロールしている感じも伝わってきましたが。
私の曲を演奏しているんだから、ミスっちゃだめ(笑)。
Låpsley – Brownlow
――次のアデルと呼ばれることもありますが、それがプレッシャーになることはありますか。
アデルとは別物だと思うんだけど。どうしてそう呼ばれるようになったのかな(笑)。私はライターが自分の将来について書くことを丸呑みにするような性格ではないの。誰が次の誰なのかなんてわからない。誰かのポジションを別の人が埋めるものだとも思わないし。
――アデルよりも、ディスクロージャーのゲストにエイミー・ワインハウスが入ったら、という感じでしょうか。
ははは、デビューの頃のディスクロージャーね。最近のはあんまりぱっとしなかった(笑)。
――ディスクロージャーもグライムスも初期の作品が好きだと言っていますが、表現においてピュアネスがもっとも大切だと考えていますか?
そうだね。たいていのアーティストにとってファースト・アルバムがベストだと思う。みんな業界に入ると変わってしまうのよ。デヴィッド・ボウイは例外だけど。でも、結局それも好みの問題よね。グライムスの新作が好きだっていう人もいるし。
――今後長くキャリアを続けていくうえで、自分のリアルで純粋な姿を保つために大切なものは何だと思いますか。
常に自分に正直であること。だけど純粋っていう言葉もどうなのかな。自分が純粋だと言い切ることもできない。業界が嘘で溢れているから自分が純粋な存在に思えるだけなのかも。ジャズ・ミュージシャンが純粋だとしたら、私はそうじゃないとも言えるし。
――そういう意味で、自分の音楽はこれからも変わらず自分でプロデュースしていこうと思う?
ええ。これは自分のためにしていることだから。曲を書くのが好きだし、プロデュースも面白いと思って関わっている。制作から学ぶことは尽きないわ。次々に新しいプラグインやソフトウェアが発表されて、変化し続けているし。
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