――今のあなたを形成している3枚のアルバムを教えてください。
オー・マイ・ガッド……。なんだろう。アルバムをさっと一周してその後は気になった曲を選んで聴くから、アルバムをフルで聴くことってあんまりないんだよね。でも、ジェイムス・ブレイクのファーストはすごく好き。13歳の頃はキングス・オブ・レオンの『Only By The Night』にハマっていた。3枚目はカリブーの『Our Love』かな。
――昔の名作にインスパイアされることは少ない?
うん、あるよ。えっと、なんだっけ……たくさんあるんだけど。ザ・スミスはめちゃくちゃ聴く。ケイト・ブッシュも。
――今後は音楽を通してどんな表現をしていきたいと思いますか?
さあ、日によって変わるから。今の状況を乗り越えたり、人間関係や将来のことについて考えたりするために曲を書く。さっきも言ったとおり、私にとって音楽はセラピーの一種なの。
――僕はあなたの音楽を通じて、イギリスの若者が送っているノーマルな日常というものを垣間見たような気がします。少なくとも、パーティー・ピープルとは程遠い。
それって、マリファナについて歌わないから(笑)? 私自身は吸うけど、そういう曲を書く人って大衆的でフェイクな感じがする。レコードを売ることしか考えてない。レーベルが唾を付けておきたいような連中だから。私はレーベルに売り込むために曲を書いたりしない。シングルを売ってお金を稼ぐためじゃなく、よくわからないことも音楽を通せば理解出来るから、私は音楽をやっているのよ。
――今までに、この人は私のリアルなミュージシャンだったという人はいますか。
最近の人で? たくさんいるよ。グライムスはリアルだし、ザ・エックス・エックスもリアル。うちのレーベル(〈XLレコーディング〉)に所属しているミュージシャンたちはみんなリアルだと思う。だけど、ポップ・ミュージックでいえば、リアルじゃない人を挙げるほうが簡単かも(笑)。
――プロデューサーとして他のミュージシャンの仕事にも関わっていきたいですか。それとも自分の作品に集中していきたいですか。
将来は他のアーティストのプロデュースに関わりたい。
――そのとき、誰か一緒に働きたい人はいますか。
さあ、リアーナかな(笑)。それは夢ね。R&Bが好きだから。
――メジャーシーンに積極的に関わりたいと思いますか?
プロデューサーとしてなら、イエス。自分の作品なら、ノー。
Låpsley – Love is Blind (Official Video)
――少し意地悪な質問かもしれませんが、先ほどのステージに10点満点で点数をつけるなら?
6.5点かな。初めて来る国だし、怖かった。私がしゃべって、しばらく間が空いて「……パチパチパチ」みたいな感じで、沈黙が続く時間もあったから、それで「わー!」って焦っちゃった(笑)。国が変わるとリアクションも変わるから、心の準備をしておかないといけないわね。
――雑談ですが、先ほどパーティー・ピープルの話が出てあなたはそうじゃないと言っていたけど、『トレインスポッティング2』には興味はありますか?
ええ! いつ出るの? 今年? いいね! 小さい頃、両親には「お前は見ちゃダメだ」って言われていたの。
――今のUKのティーンに、あの映画はどう捉えられているんですか。ノスタルジックに映るのか、それともいまだにあれはリアルの一部を切り取っているのか。
現実を描きだしていると思う。イギリス社会にはドラッグ依存や精神病で苦しんでいる人が多いことは、みんな知っている。その話をすることもタブーではなくて、学校にもそういう問題について相談できる人がいるわ。もちろん悲しいことではあるけれど、みんな問題をちゃんと認識しているからこそ議題になるのよ。
――今日のラインアップのなかで、あなたが一番コミットしているアクトを教えてください。そういえば、あなたの世代でトラヴィスを聴く人はいるの?
トラヴィスって「Why Does It Aloways Rain On Me〜♪」の人たち? 有名かどうかも知らなくて、今日教わったの(笑)。今日出るバンドはまだどれも聴いたことがない。聴きたいとは思うんだけど! そういえば、ジョン・グラントは私の両親が好きだったわ。
――今日のライブが終わったらすぐに帰ってしまうんですか。
いいえ、明日出発。
――東京で遊ぶ時間はあった?
原宿と渋谷を散歩したくらいね。もっと時間があればいいのに。
――最後に、今日のステージ、僕はさすがに6.5点よりは高いと思いましたよ。歌の魅力は十分に伝わっていたし。
ここじゃ言葉がわからないからみんながどんな反応をしているかわからないの。でも、それなら良かったわ。
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photo by Kazumichi Kokei
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