今回は、近年大きな盛り上がりを見せているインディ・ポップシーンの中でも最注目株のLUCKY TAPESが登場です。

7月6日(水)にリリースされたセカンド・アルバム『Cigarette&Alcohol』は、彼らを取り巻く“シティ・ポップ”“渋谷系”などの狭小的な形容では収まらないほどのスケール感と、多種多様な音楽からのインスピレーションを綿密に織り込んだ良質なポップスが詰め込まれた作品となっています。また、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>をはじめ多数のフェスへの出演も決定。大多数のオーディエンスへ向けたパフォーマンスからの学びは、最新アルバムへも反映されているそうです。

今回は、高橋 海(Vo,Key)、高橋健介(Gt)、田口恵人(Ba)の3名に、それぞれ3曲ずつ「自分のルーツ」といえる曲を挙げてもらい、自身やバンドのバックグラウンド、最新作にもつながるポイントを語ってもらいました。

Interview:LUCKY TAPES

【インタビュー】LUCKY TAPESのルーツとなった楽曲プレイリスト interview160720_luckytapes_2

——最新作『Cigarette&Alcohol』は、ひとことで言うと前作よりストレートにポップスの普遍性を感じさせる1枚に仕上がっていますね。

 前作を作っているときは海外インディーズをよく聴いていたこともあって、「ちょっとひねくれてるほうがカッコいい」っていう気持ちがあったんですけど、ここ数ヶ月で王道と呼ばれる音楽の中にあるアレンジのカッコ良さを再発見したんです。メンバーそれぞれのルーツを反映させれば、しっかりと深みのあるポップスになると確信したので、今作は思い切ってポップスに振り切りました。

——楽曲のスケールも増し、よりカラフルかつグルーブも骨太になった印象です。

健介 ギターでサウンドのバリエーションを出すことを意識したんですけど、そこがスケールの大きさに繋がっていればうれしいです。「もっと変態なのない?」って言われながらやっているうちにエフェクターが5個くらい増えました(笑)。

田口 ベース・ラインは、90年代に流行ったジャパニーズ・ポップスを参考にしつつ、自分のルーツであるブラック・ミュージックの要素を殺さずにアプローチするにはどうしたらいいかなって考えながら作りました。

——さらに今回、アレンジに美濃隆章氏(toe)、サポートは、ドラムにmabanua氏、ストリングス・アレンジに徳澤青弦氏、そしてトランペットには類家心平氏など、玄人好みの方々が脇を固めていますね。

 アルバムを作るにあたり僕らにとって理想の音が、今回アレンジをお願いした美濃さんが携わったChara×韻シストの“I don’t know”っていう曲だったんです。デモを録った段階で手応えは感じていたので、これはいっそご本人にお願いしてみようってことで聴いてもらったら気に入ってくださって。サポート陣は、美濃さんが「この人合うかも」っていう感じで紹介してくださいました。思いっきりポップなことができたのは、サポート陣あってのものだなと思いますね。

——インディ・ポップがムーブメントとなっている今、LUCKY TAPESはその筆頭ともとれるポジションにいますが、フェス出演本数にもそれがあらわれているのではないでしょうか?

 いや、まだまだもっと出たいです! 毎週フェスがいい(笑)。

健介 うん、毎週フェスがいい(笑)。やっぱり楽しいですよね、解放感があって。お客さんからもそれが伝わってくるし。野外フェスのほうがみんな踊ってくれるような気がしますね。

 音作りも、フェスみたいに大きな空間で聴かせることを意識したところはありますね。お客さんから「野外でもっと聴きたい」っていう声をいただいたので。そこに応えることに抵抗がなくなりました。

——数々のフェスへの出演が決定していますが、<フジロック>ではレッド・マーキー初日1発目という大役。それぞれ、意気込みを教えてください。

田口 あまり気を負わず、ベストアクトを取るつもりで。最近ライブで緊張することもなくなってきたんですけど、いい意味で緊張感を持って挑みたいですね。

 うん、初日1発目からベストアクトを取るつもりで挑みたいです。なんなら「LUCKY TAPES観たから、もう満足!」くらいのものにしたいです。

健介 お、いいっすね(笑)。数あるステージのなかでLUCKY TAPESのステージを観てくれた人が一番いいスタートを切れるようなステージにしたいですね。

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