2018年に『WHY NOT』を発表後、神奈川・藤沢からタイに拠点を移したDUSTY HUSKY。拠点となるタイを中心に、東南アジア・中東とまさに世界を股に掛けながらレコードを掘り続け、その旅の記録を抒情的に詠ったサード・アルバム『股旅』を2020年末に〈DLiP RECORDS(以下、DLiP)〉からピクチャーバイナルのみでリリースした。発売するや即完売し話題となると、2021年1月には配信がスタート。今なおその注目度は高まり続けている。

『股旅』には、前作から引き続き〈DLiP〉の屋台骨NAGMATICや福岡のDJ GQはもちろんのこと、DJ LEX、OGRE WAVE、ZASSYCHEE、DJ SHOKI a.k.a. Yakult Dealerにっちょめがプロデューサーとして参加。レーベルメイトのMILES WORD、DJ BUNTAに加え、DUSTY HUSKYの盟友であるJambo Lacquerを客演に迎えている。これまでの作品を通して貫いてきたブーン・バップを踏襲しながらも、本作の主軸はレア・グルーヴにあり、多面的な「旅」をテーマに極彩色の内面世界を描写していく。

アルバムの制作背景には、アルバムタイトルと同名のクルー〈股旅〉がいる。クルーのメンバーはDUSTY HUSKYに加え、アルバムのプロデューサーとして参加しているDJ SHOKI、にっちょめの計3名。2019年から、彼らは常識はずれなテーマのMIX CDを放出してきた。両者のMIXと『股旅』を聴き比べると、MIXに収録されている楽曲はアルバムのサンプリングソースの1つになっており、そのことから彼らの関係性を察することができる。そんな3人に共通するのは生粋のディガーであり、徹底した現場主義者であることだ。

今回アルバムとクルーの関係性を紐解くべく、訪れたのは藤沢某所にある〈DLiP〉の“ヤサ”。ZASSYCHEEがアルバムの関連曲などを織り交ぜたDJで魅せてくれるなか、DUSTY HUSKY、DJ SHOKI、にっちょめへのインタビューを敢行した。

INTERVIEW:股旅
(DUSTY HUSKY × DJ SHOKI × にっちょめ)

共にいる人たちへの郷愁──股旅(DUSTY HUSKY × DJ SHOKI × にっちょめ)、インタビュー interview2106-matatabi-dliprecords-1

股旅のはじまり

──2018年末に中野で居酒屋を梯子しながら、股旅の構想が始まったという話を聞きました。どういう経緯があったんですか?

にっちょめ 言い始めたのはニケ(DUSTY HUSKY)だよね。

DUSTY HUSKY そのとき相談に乗ってもらってたの。いろいろあって、考え込んでいたんだ。それで2人とレコードで遊んでて、なんか一緒に作りたいねって話してた。飲む前も、ちょめ(にっちょめ)の家に行ってブレイクを探したりして。その当時から、この音でアルバムを作りたい、っていう気持ちがあったと思う。だから、アルバム(『股旅』)はその頃から作り始めてた。

にっちょめ 最初は一風変わったMIX CDとか、他と違った面白いことやりたいねって話をしてたのが、うまく絡んで今回のアルバムになっていった。俺らは直前までそれがサード・アルバムになるって知らなかったから。ネットのニュースで知ったもん。

DJ SHOKI 自分はニケに<Honey Drippin>(故・RYUHEI THE MAN、KASHI DA HANDSOME、DA STIMPY、DJ D.A.I.がレジデントDJを務めるイベント)でたまたま会ったとき、俺が持ってるブレイクを使ってなんかやりたいって言ってくれて、その延長として捉えてた。話はそんなうまくは進まなかったけど、ちょめもそのときから一緒にいたから、自然と3人で何かやろうというのが、名前がついて形になったというか。

Don’t Make Such A Fuss! DUSTY HUSKY × YASS Breaks by DJ SHOKI股旅

──アルバムの参考にした作品などはあったんですか?

DUSTY HUSKY やっぱり、アクション・ブロンソン(Action Bronson)の『Rare Chandeliers』はマイフェイバリットだね。ビートというよりは、グルーヴでやりたい。ドラムが奥で鳴ってるというか。ネタっぽいのがいいなと。

にっちょめ 集まったときにはすでにその話もしてたね。……まあ飲みに行ったとき、三軒目でニケが、居酒屋のカウンターにいた二十歳の店員の女の子と人生について口論したりしてたんだけど(笑)。

DJ SHOKI 二十歳の子に好きなことしながら稼ぐのは大変だって。そんなに簡単じゃないからってさ。

DUSTY HUSKY (笑)。マイルス(MILES WORD)もMCバトルで同じようなこと言ってたんだよ。「これで金稼ぐって、大変なんだぜ!」って。しかも負けてたから。

DJ SHOKI ニケもあの日はギャルに負けてた(笑)。

──(笑)。〈股旅〉の名前の由来はなんですか?

にっちょめ それもニケが決めてたよね。

DJ SHOKI 俺は「地べた」を推してた。

DUSTY HUSKY そうだ(笑)。「股旅」って名前をその日近辺になぜかすごい聞いてたんだと思う。いろんなジャンルから股旅が出てきて、どんどん勝手にフィールしちゃったっぽいんだよね。演歌に股旅ものがあったり、映画もあるし、猫の「またたび」みたいにトビな側面もあるし。でも、ノリだったよね。

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共にいる人たちへの郷愁──股旅(DUSTY HUSKY × DJ SHOKI × にっちょめ)、インタビュー interview2106-matatabi-dliprecords-2

──ちなみに、SHOKIさんはなぜ「地べた」推しだったんですか。

DJ SHOKI ニケのアルバムにハンガリー産の音源を使っていて、リリース元がハンガリーの国営レーベル〈Pepita〉なんですよ。俺がそのレーベルにハマりすぎてて、語呂としてそれっぽい単語をあてたんです(笑)。いま畳にみんなで座っているように、広がりたいというか。

DUSTY HUSKY 意味はめっちゃ良かった。みんなフラットに、地べたに座って喋りたい、みたいな。今のことだね。やっぱそっちに変えよう。

「ブートは最高だし、逆に本人に届いて欲しい。愛があるからさ。」

──〈股旅〉の活動として、にっちょめさんが「文字が読めない国のMIX CD」のシリーズをリリースされています。タイの音楽はルークトゥンやモーラムなど、ジャンルを音楽性ではなく歌詞や手法によって分けていたり、旧ソ連はレコードの製造工場によって音がはっきりと違ったりと、様々な特徴があると伺いました。世界中の盤を掘ってて、その国や土地の特色が見えることもあると思うんですけど、印象的な気づきはありましたか?

DJ SHOKI 共産圏とか情勢によっては、歌詞とか取り締まりが厳しいときがあるので、アメリカの音楽をカバーではなくて、そのフレーズのメロディーを弾いたりしてて、ヒップホップ的で面白いです。あとは、プログレ、サイケだとSFや映画が元ネタの作品とかがあって、実際に、現実世界のことを言ったら検閲されるけど、非現実なSFの中で起こっていることとしてそれを語れば、現実に対して言いたいことが言える。抜け穴突いてて、そういう作品を元にしてる曲を聴いて当時のミュージシャンはそういうことを感じていたんだな、とゆう発見がある。今も昔もそういうことをやっている人はいて、繋がると面白い。

DUSTY HUSKY さっきのSHOKIの話じゃないけど、韓国はグルーヴが黒ければ黒いほど、たぶんいろいろ引っかかってる。だから、盤の〇〇に△△を入れてるんだよね。△△を入れてると、リリースができるんだ。だからその文字のレコードを買うと、だいたい黒いグルーヴの曲が入ってる。あと、日本で◇◇◇◇の☆色のラベルにアタリが多いとか。これは勝手に俺らが見つけた法則なんだけど。

──SHOKIさんのMIX CDはロックがテーマの一つですよね。一方で、にっちょめさんのMIXはブレイクなど入り口はあれど、聴けば聴くほどいろんな視点から楽しめるのが醍醐味ですが、ニケさんは自身のスタイルのフックになる主軸があったりするんですか?

DUSTY HUSKY 全体的にだね。ハマればなんでも好き。

──ちなみに、最近は何にハマってるんですか?

DUSTY HUSKY 俺は最近、演歌の7インチかなぁ。タイで7インチにハマって。タイは本当に7インチのラベルが多くて。

にっちょめ 自主盤とかすごいあるんだよ。それに音が超良い。

DUSTY HUSKY 日本より多いんじゃないかって思うくらい多い。タイのレコードのラベルにはビニールが貼ってあって、綺麗なんだ。

にっちょめ 俺はあれ全部剥がしてる。

DUSTY HUSKY 俺は剥がせない。ラベルにあんな綺麗にシールが貼ってあるのって、タイぐらいじゃない? あと、タイは演歌っぽいよね。

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にっちょめ “ソーラン節”のカバーとかあるしね。しかもいろんな人がカバーしてて。あと“リンゴ追分”のカバーとかもある。

DUSTY HUSKY マレーシアにも演歌があるっぽいよね。あと、韓国と旧ソ連も似てる。

にっちょめ 旧ソ連は寒いからか、暗いグルーヴというか。どこか冷たい。

DUSTY HUSKY ちょめの旧ソ連のMIXは、ドープの最上級だよ。

──共産圏や韓国、タイなどの話が出ましたが、アルバムでは中東の音楽も使ってますよね。

DUSTY HUSKY イスラエルの音源を使ってる。そこはタクちゃん(ZASSYCHEE)がタイムリーに追ってる。

ZASSYCHEE その辺の音源は、日本にあんまり入ってこないんだよね。需要がないっぽくて。俺はレコ屋の中古で見つけて、レーベルを調べて掘っていったら、某ネットサイトがすごい在庫を抱えてるっぽいと。たぶん、売れてないから。

DUSTY HUSKY “股旅のテーマ”で使ってるやつとか、タクちゃんが買い占めてるから。

──あの曲はネタをそのまま使っているじゃないですか。一方、7曲目の“บุรี บุรี บุรี”は配信されていなかったり。

DUSTY HUSKY あれはダメだった。デジタルにない。

DJ SHOKI 逆に良かったんじゃない。

DUSTY HUSKY バイナルオンリーっぽいよね。

にっちょめ ブートは最高。

DUSTY HUSKY ブートは最高だし、逆に本人に届いて欲しい。愛があるからさ。

にっちょめ ◉◉◉とか、本人に届いてくれたら本当に嬉しいよね。

A REPORT From D.L.i.P. Page18「DUSTY HUSKY × DJ GQ – GENT CORNER’S CYPHER」

Dusty Husky – Gub to Kub feat. Miles Word【OFFICIAL MUSIC VIDEO -BLAQLIST Version-】

「もともと評価されていなかったもので、自分たちをレペゼンしていく」

──レコードは基本レコ屋でディグされているかと思うのですが、DJとしても<梵>や<BLAQLIST> で共演されているB.D.さんが栃木県那須塩原市にレコ屋「六喩」をオープンしましたよね。

にっちょめ 何回か行ったよ。俺とSHOKIは本当に拾ってもらったみたいな感じ。それを言ったらニケもなんだけど。変なことしかやってなかったのに、B.D.さんとかは面白がってくれて、DJをやらせてくれた。

DJ SHOKI 「六喩」でもB.D.さんらしいセレクトで楽しませてもらいました。

──またDJ SHOKIさん、にっちょめさんのお二人は今日、<Honey Drippin>のTシャツを着用されていますが、<Honey Drippin>は2人にとってどんなパーティーですか?

にっちょめ RYUHEIさんにも拾ってもらったと思う。はじめて<Honey Drippin>に呼んでもらったとき、KASHI DA HANDSOMEさんが俺のDJ終わった瞬間に「DJはにっちょめでした」って紹介してくれたんだけど、おれはDJ中にいただいたテキーラが効きまくって、ブースの横で倒れてて姿が見えなかったらしい。

KASHIさんがイベントの告知に「誰が言ったかオトナの男女のエアポート、飾る日も飾らない日も貴女の笑顔がパスポート!」っていつも書いていて。このTシャツにはそのフレーズが袖に入ってる。2年くらい前に、SHOKIと一緒に出たときにもらったよね。

DJ SHOKI <Honey Drippin>はずっと憧れていて。DJを始めたときはやり方を真似たりしたけど、最近はその姿勢を学ぶことが多い。「あのレコードがカッコいい」と思って、その盤をかけたりすることもあったけど、自分で好きなものを探して、人が価値がないと思ったとしても自分たちで価値をつける。もともと評価されていなかったもので、自分たちをレペゼンしていくというか。そういうことを、〈股旅〉で出来たらなって思う。

にっちょめ それがレア・グルーヴだよね。知らないものを知りたい気持ちもあるし。

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──こじつけですが、「知らないものを知りたい」というのは「旅に出る」ことと、とても近いニュアンスがありますよね。

DUSTY HUSKY レコードのない国には、正直あまり興味を持てないよね。ラオスはすごく好きだけど、レコードがない。ちょっとだけあるけど。ベトナムは政治的な理由で燃やされちゃってるから、あったんだろうけど、壊されちゃってたりする。

にっちょめ ベトナムでレコード見つけたとき、テンション上がってメッセージ送ってきたよね。「カラーバイナルあったわ!」って。

DUSTY HUSKY ベトナムのバイナルは、俺が掘った中では98%がカラーバイナル。たぶん、製造してた当時は、黒インクの方が高かったんだよね。だからちょっと薄いクリアバイナルになってる。一番濃くて日本のワインレッドっぽい赤盤なの。黒は多分一枚も見てない。ベトナムのレコードに黒盤がないなんて、すごくない!? 

ミャンマーにもレコードがないんだけど、ミャンマーはSP盤というか、78回転のものがある。ビニールじゃなくて樹脂で作られてるんだ。レコードを聴くセットも持っていない人が多いんだけど、それはレコードが傷の手当てに使えるから。蛇に噛まれたりしたら、それを塗ったりできる。そのためにみんな一枚持ってる。でも、聴けない。

にっちょめ 日本でも、1950年代とかにはSP盤がある。今のレコードと違って、本当に壊れやすい。扱いが難しいんだよね。

DUSTY HUSKY マジで硬い。だからすぐ割れるし、音も超悪い。

「現場があってなんぼ」

──〈DLiP〉ではほぼ必ずレコードで作品が発表されますが、リリースする上で〈DLiP〉なりの基準などはあるんですか?

DUSTY HUSKY ないかな。でも、個人的にはレコードで出したい。〈DLiP〉で出てないタイトルもあるけど、基本的にレコードで出したい気持ちがある。バイナルでしか聴かないし、自分の作品にしてもバイナルで聴くから。

──レコードにまつわる曲といえば、ニケさんは1stアルバム『DhUuSsTkYy』収録“D.O.D.”でいわゆる「転売ヤー」を批判したり、“ナンチャラ・ストア・デイ”という曲も発表していますよね。

DUSTY HUSKY “ナンチャラ・ストア・デイ”はこういうの出しませんかってメールがきて、その内容が単純にムカついたの。自分に飛んできたメールが、全国のレコ屋に送られてたのかなっていう。それで、地方のレコ屋に行ったときに、その話に共感してくれる人がたくさんいたんだけど。地方のレコ屋の気持ちとかはまったく気にしてないなって。結果そうだったんだろうなとは思うんだけどね。それと、4月13日はマツリ(祀SP)の誕生日なんだ。俺らからしたら、マツリの誕生日なんだよねっていう。

にっちょめ あの曲を発表する前日が<D.D.D.>(〈DLiP〉〈股旅〉主催のイベント)で、そのときのリハで“ナンチャラ・ストア・デイ”をやってたんだけど、リハで満足して本番でやってなかった。

DUSTY HUSKY – ナンチャラ・ストア・デイ(prod by NAGMATIC)

DUSTY HUSKY (笑)。コロナなりたてのころはレコ屋も調子悪くて。そのときに、街レコの良さを改めて感じるようになった。街レコにはよく行くようになったね。(ディスク・)ユニオンにしか行かない時期もあったけど、いまは街レコがヤバい。最近は西のほうによく行く。大阪、鳥取、岡山、京都、奈良とか。西の街レコは本当に良いよ。「Pleased To Meet Me – プリトミ」ってとことか。

──3人は度々、ライブやDJ、レコ屋周りで全国各地に足を運んでいますよね。また〈DLiP〉が主催するイベント<BLAQLIST>には全国各地からゲストを呼んでいますが、<BLAQLIST>で一番重要にしていることはなんですか?

DUSTY HUSKY もうパーティー。とにかく現場。会ったことない人を<BLAQLIST>に呼んだことはないかな。やっぱりフィールしてる人。そこはブレない部分だね。誰を呼んだら人が入るとか、そういう話はまったくない。呼びたい人を呼ぶ。それは絶対。

にっちょめ 現場があってなんぼだよね。〈DLiP〉がいいなと思うのは、みんな現場を一番楽しんでる。MASS-HOLEさんとか、現場をすごく楽しんでるなって人はいいなって思う。

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「リスペクトをちゃんとあらわす意味で《俺ら》なんだ」

──アルバムの冒頭曲は沢木耕太郎の名著『深夜特急』(新潮社)からタイトルを取っているとのことで、とある機会に『深夜特急』を読んで、それから小説に出てくる国々に行きたくなったとお伺いしました。『深夜特急』はにっちょめさん、DJ SHOKIさんも読まれたんですか?

DUSTY HUSKY ちょめはヨーロッパまで行ったんだよね。俺はインドで沢木耕太郎と一緒につぶれた。

にっちょめ 3巻くらいまでが面白い。トルコくらいまでかな。ヨーロッパに行くと微妙かも。

DUSTY HUSKY ドラマもヨーロッパはそんなに面白くなくて。ネパールとインドが面白いね。あと、出だしの香港も超面白い。サイコロで資金が全部なくなって、3ヶ月ずぶずぶになるみたいなさ(笑)。

にっちょめ 6巻のあとがきで井上陽水と沢木耕太郎が対談してるんだけど、いまだにそれ以降、ギャンブルをやっているらしい。それでハマったんだと思う。

DUSTY HUSKY 俺もそれに憧れて、マカオに行くじゃん。サイコロを絶対やりたいと。『深夜特急』に出てくるようなサイコロをイメージして行ったら、めちゃくちゃデカいゲーセンみたいな場所でさ。サイコロがデジタルになってて(笑)。全然勝てない。

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──そのなかでも、先ほどから話に出ているタイには約2年移住されて、とにかくレコ屋に行きまくったそうで。

DUSTY HUSKY タイはもともと行ってたんだけど、最初そこに住もうとは思ってなかった。タイに行き始めた時期は俺にとってうまく回ってない時期だったんだよね。

──世界に出たことで、藤沢はどう見えるようになったのでしょう? ”MoVe”には《セガから目を凝らしちゃ眺める この世界でかいこと確かめにいく》というラインもありますよね。

DUSTY HUSKY 地元がどうとか、街はどうでも良くて、その街に友達がいるから好きというだけなのかも。藤沢のなにが良いかって聞かれたら、海が近いとか、そういうのはあるけど、仲間がいる場所が一番良いっていう。

──“KASHMIR”と”世界の斜道から”で繰り返される《ああもしも俺が明日 だれも知らないうちに出かけたら 広くて遠いアノ国か狭いJAIL うまくやるよ心配しないでくれ》というリリックは、前作の“MA”にて登場しますよね。

DUSTY HUSKY それこそアルバム全体で小説をイメージしたんだ、だから曲が変わっても同じフックが来たりしたら面白いかなって。今はまた地元に居るんだけど、ライブでも何でも地方に行ったら刺激になるし。地元にいる時間が昔より減ったというか。でも、それが出来ない人たちがいる。地元でちゃんと仕事をして、家を空けられない人たちがいる。ほとんどの人がそうだから。そういう奴らをリスペクトしているのが“MoVe”かな。結局、“BED TOWN ANTHEM”にしろ、俺は地元のことを歌ってるけど、《お前よりこの街にいないけど》っていう思いがある。

“MA”は、1人で書いているというか。俺はすごくローカルな人間だし、藤沢をレペゼンするときは自分が一番だってレペゼンするけども、“MoVe”では、気持ちの面では俺ら以外の奴らがいるよ、ということを伝えたかった。タイで書いて録ってきたんだけど《M.V. そうよ俺の街》って1フック目は歌っていて、またタイに行って帰ってきたとき、2フック目は《俺ら》に変えたんだよね。そこは、リスペクトをちゃんとあらわす意味で《俺ら》なんだ。

DUSTY HUSKY – MoVe(prod by DJ SHOKI)

にっちょめ あれを聴いて、気持ちが復活したなって思ったもん。相談してきたときは、本当に思うところがあった。でも、それから動きが変わってきたじゃん。

DJ SHOKI “アトガキ”で《笑えないなら そんな場所にいなければいいだけ》って言ってるじゃん。それはすごく感じる。うまく行ってないんだったら、一度場所を変えてみれば良いんじゃない、というか。結果、それがうまくいってると思う。

DUSTY HUSKY ただ、自分でもそこは冷たいなと思う。(明石家)さんまが自分の娘さんに言ったことがあるらしいんだけど、学校に馴染めないって悩みを聞いたときに、「お前がその場を楽しくすれば良いじゃん」みたいな。さんまの言葉もめちゃくちゃ良いし、俺みたいにその場所にこだわらないで、他に拠点を置いて、自分の居場所を作ればいいという観点もある。自分の笑えない場所で笑いを作ろうとするのもいいし、一方で全然違うところに行ってもいいと思う。

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共にいる人たちへの郷愁──股旅(DUSTY HUSKY × DJ SHOKI × にっちょめ)、インタビュー interview2106-matatabi-dliprecords

取材・文・編集/船津晃一朗、竹田賢治
写真/YOUNG HAMA
取材協力/食堂キミドリ

INFORMATION

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股旅

DUSTY HUSKY
2020.12.19(土)
DLiP RECORDS|DLIP-0065

1.深夜特急
2.YAVVVA
3.KASHMIR
4.世界の斜道から
5.JOYA
6.ザ・シーズン ft.Jambo Lacquer
7.บุรี บุรี บุรี
8.Gub to Kub ft.Miles Word
9.股旅のテーマ
10.Don’t Make Such A Fuss!
11.MoVe
12.アトガキ

Prod by GQ/NAGMATIC/DJ LEX
DJ SHOKI/にっちょめ/OGRE WAVE
ZASSYCHEE and D.husky
Cut by DJ BUNTA

ストリーミングはこちらから

DLiP RECORDS pre. BLAQLIST 13th Anniversary & DUSTY HUSKY「股旅」Release Party

共にいる人たちへの郷愁──股旅(DUSTY HUSKY × DJ SHOKI × にっちょめ)、インタビュー interview2106-matatabi-dliprecords-16

2021.06.12(土)
club asia
OPEN・START/23:00
DOOR ¥3,500(+1D)/with Flyer ¥3,000(+1D)

Special Long Set Live
DUSTY HUSKY & DINARY DELTA FORCE

Special Guest Live
MASS-HOLE|OMSB|JUMANJI

BLAQLIST Live
BLAHRMY|FORTUNE D|丸|DIRTY JOINT

Special Guest DJ
DJ JIN(Rhymester)
KENTA(ZZ Production)
KAZZMATAZZ
MASARU|GQ|HIPHOP MAN
nicchome|SHOKI|PAULOS

BLAQLIST DJ’s
WATAKI|BUNTA|URUMA
R-MAN|LEX|ZASSYCHEE
KILLAH SHARK|RHYME&B
RYU-SEI

Special Dance
YASS × TAA

Movie Premier
“DOBBB2B” by DOBB DEEP

詳細はこちらDLiP RECORDS