――なるほど。ここ数年で、あなたは若くして世界的なDJの仲間入りを果たしてしまったわけですが、あなた自身にとってもここ数年の変化は非常に劇的なものだったんじゃないかと思います。そうした現状に対してどのように感じてますか?
2年前くらいまではまったく無名だったわけだから、本当にクレイジーな変化だったと感じているわ。私は8年DJを続けているけど、もっと長く続けていてもこうした幸運には出会えなかったかもしれない。とてもラッキーなことだと思う。
――あなたの日常にも変化はありました?
わたし自身は何も変わってないわ。でもツアーで世界中を旅するようになったり、はじめて会う人が私のことをすでに知っていたり……、それまでの人生ではなかったことが確実に生じていることは確かね。
――あなた自身にとってはポジティヴなことのほうが多い?
もちろん。プライバシーの部分はちょっと面倒くさいこともあるけどね(笑)。(急に日本語で)デモ、ロンドンノトモダチトカハズットイッショデ、アイカワラズヨクハナシタリ、アソンダリシテイルヨ(笑)。
――日本語、上手ですね(笑)。
ハイ、アリガトウ(笑)。ロンドンの友達は、もともとセレブとかそういうものにまーったく興味がない連中ばかりだから、私が多少有名になったからって、態度が変わったりしないわ。以前と変わらずに接してくれる。それがとても嬉しい。
――なるほど。それでは新しいアルバム『Comfort(コンフォート)』についても教えてください。まずタイトルのコンフォートは、(苦しみ、悲しみ、悩みなどを)やわらげて、元気づけるというような意味ですけれど、このタイトルにはどういう意味を込めたのですか?
世界中を旅して戻ってくると、友達と過ごす時間とか、自宅やスタジオで音楽を聴いたり、作っている時がいちばん幸せな時だなって感じるの。自分の最初のアルバムは、自分にとって最も大切なその瞬間にちなんだタイトルを付けたいと思っていたの。コンフォートにはいろいろな意味があるけど、今回の場合は心地よいとか、安心感を得るとか、そういう意味で使っているわ。聴いてくれる人たちにとっても、このアルバムがそういうものになってくれたらいいなって。
――本作にはトリッキー、キム・アン・フォックスマン(元ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェア)、カリン・パーク、ミス・キトゥンといった個性派たちが参加していますが、ヴォーカリストとして、またメッセンジャーとして彼らを必要とした理由を教えてください。
アーティストとして、かねてからとても尊敬している人たちに参加してもらったの。トリッキーは自分が音楽を聴きはじめた頃から、すごく影響を受けてきたアーティストだから、今回参加してもらえたことをとても光栄に感じているわ。キム・アン・フォックスマン、カリン・パーク、ミス・キトゥンに関しても、みんな実際に会ったことがあって、フレッドシップのある人たちばかり。こうやって自分の知名度が上がったことで、尊敬する人たちと仕事ができるようになったのは、とても嬉しいことね。
――キム・アン・フォックスマン、カリン・パーク、ミス・キトゥンらは、共通して性をテーマにしたメッセージを発信し続けているアーティストでもあると思いますが、そのあたりは意図していた部分ですか?
特に意識したわけではないけれど、昔からフリフリした女の子っぽい服を着ている女の子なんかにはまったく興味が持てなかったの。。キム・アン・フォックスマンやカリン・パーク、ミス・キトゥンといったアーティストたちの考え方はとても自由で発展的だと感じている。つまらないルールに捉われない自由なメッセージを発信しているアーティストと仕事がしたかっただけよ。
――アルバムの方向性、音楽性はどのようなものをイメージしていましたか?
これまでシングルで発表してきた作品がフロアライクなものが多かったので、アルバムでは自分のソングライターとしての側面を見せることができるような、ショウケース的な作品にしたかったの。
――BPMも楽曲のテイストもヴァリエイションに富んでいますね。
そう。125BPMくらいで踊りやすい曲を作るというのは、今回に関してはまったく考えていなかったわ。これまでに自分が影響を受けたり、吸収してきたいろいろなタイプの音楽の要素を集大成的に表現してみたかったの。だからBPMも楽曲のテイストもいろいろ。
――ジャケットのイラストはご自身で描かれたものだそうですね。
うん。本格的に勉強したことはないんだけど、子どもの頃から絵を描くのが好きで、いつもスケッチブックを持って歩いてたの。いまでもよく描くわ。今回、自分のアルバムを作るにあたり、サウンド面もパッケージもできる限り自分自身の手でやりたいと考えていたので、ジャケットも自分でやろうと思ったの。
――最後にQeticで取材するみなさんに訊いている恒例の質問をさせてください。現在のあなたの夢を教えてください?
難しいなあ(笑)。でもいろいろな夢があるわ。音楽だけではなく、アート、ファッション、映画……、いろいろな世界に興味があるし、ゆくゆくはそのどれにも関わっていきたいと思っているの。それを一歩づつ実現していくことがいまの夢かな。それと、とにかくハッピーな人生を送ることね。
text by Naohiro Kato
Event Information
FUJI ROCK FESTIVAL’13
2013.07.26(金)27(土)28(日)@新潟県 湯沢町三国202「苗場スキー場」
Release Information
2013.07.17 on sale! Artist:MAYA JANE COLES(マヤ・ジェーン・コールス) Title:Comfort(コンフォート) KCCD-539 ¥1,890(tax incl.) Track List |