――今回セルフ・プロデュースは考えなかった? また今回もまたDave Fridmann(デイヴ・フリッドマン)と組んだのはなぜですか?

ベン 前の2作のアルバムでもデイヴには関わってもらっているけど、もっとミキシング的な役割だったんだよね。今回はプロデューサーとして僕たちの作ったものに意見をしてもらったりはしたけど、このアルバムにはセルフ・プロデュース的な側面もあるんだ。自分のサウンドを自分で手がけているという自負もあったしね。アレンジなんかも自分たちでやったし。第3者に入ってもらってよかったのは、僕たちのような当事者よりも作品から距離を置いて、俯瞰的な視点で見て(聴いて)もらえたことだね。そうして客観的な意見をもらうことができたんだ。

――本作の厚く緻密な曲はどう構築したのですか? 今回のあなたたちのソングライティングのプロセスを教えて下さい。

ベン 今までとは結構変わったかな。今回はインプロヴィゼーションを多用して、あまり自分たちをコントロールしないようにしたんだ。今までは結構コントロールしていた感があるけど。今回は偶然の産物を大切にしたから、最終的にもいっぱい入ったよ。僕たちにとってはよりエキサイティングなプロセスになったね。今までは楽しい実験とソングライティングを分けていたけど、それを一体化させたような感じかな。その方が面白かったよ。

――先行シングル“エイリアン・デイズ”は「頭の中に住みついたエイリアンに支配されている感じ」を表現した曲とのことですが、本作『MGMT』を通して表現したかったことは何ですか?

アンドリュー あの歌は頭の中に住み着いたエイリアンよりも、僕たちの多くに共通している感情を歌ったものなんだ。実際に起こっていることなのに現実味がない気がすることだったり、旅をしているときに味わうよそ者的な感覚とか。色んな解釈の仕方があると思うけどね・・・。もしアルバム全体にテーマがあるとしたら、その時その時を実感を持って生きることかな。現実逃避主義じゃないんだ。いいことも悪いことも、現実として受け入れるってことだね。

MGMT “エイリアン・デイズ