ライヴのエナジーや生々しさをレコードで再現できたなら、
それは僕たちが求めるすべてだ
――さて、この度日本でもリリースされることになった1stアルバム『マイケル・ア・グラマー』は、『Vitamin Easy』と『Random Vision』の全収録曲に、もともと3作目のEPとして予定されていた『Lunar Sea』の4曲を追加したコンピレーション的な側面も強い作品です。これは所属する〈Melodic Records〉による判断ですか?
〈Melodic records〉は、僕らにとって素晴らしいインスピレーションとなっている。僕らが何となく構想を描いていたアイディアを、ちゃんと具現化してくれるんだ。僕らは自分のヴィジョンに妥協したことも、するつもりも絶対に無いし、彼らとなら何だって実現できると思っているよ。
――『Lunar Sea』サイドの4曲には、これまで以上にキャッチーでフックの効いた楽曲を作ってやろう、という強い意志を感じました。ワールドワイドのデビューが決まったことで、バンドとしてどんな部分が変化/進化しましたか?
意識して「キャッチャーな曲を書こう!」と思ったことは無いよ(笑)。もしキャッチーに聴こえたのなら、僕らのソングライティングが、より多くの人々に届くようなものに成長したってことかもしれないね。『Lunar Sea』は、確実にマイケル・ア・グラマーの二重性を表現していると思う。あのEPには、ジョエルの中から生まれた2つのまったく異なるサウンドが混在しているんだ。
『マイケル・ア・グラマー』
――“You Make Me”などで聞けるフランキーの歌声は、まるでデヴィッド・ボウイが憑依したかのようです。とても素敵なバリトン・ヴォイスをお持ちですが、ヴォーカリストとしてのロールモデルは誰かいるのでしょうか?
ありがとう。彼はいつも貪欲に新しい音楽を聴いているし、側で見ているだけでも彼の歌声がどんどん良くなっているのを実感する。様々なインスピレーションを、自分なりに血肉と化しているんだろうね。
――『Lunar Sea』サイドの歌詞はジョエルのメモ書きが元になっているそうですが、バンド内でソングライティングの役割分担はどのようになっているのでしょう?
『Lunar Sea』という名前は、フランキーのアイディアらしいんだけどね。ジョエルが彼のために歌詞を書くという共同作業のスタンスは、昔から何も変わらないみたい。
――今回、ジュリアン・タードと共に〈Church Road Recording〉にてレコーディングで行われていますが、今まで外部のプロデューサーにオファーしてこなかった理由は? また、ジュリアンとの仕事はいかがでしたか。
たしかに僕らは常にDIYでプロデュースまで行ってきたけど、ジュリアンは素晴らしいサウンド・エンジニアだからね。レコーディングのプロセスは忍耐の連続だったけど、彼が求める以上のモノを作ってやろうという気持ちが揺らぐことは無かった。結果として、『Lunar Sea』ではベスト・テイクを引き出してくれたと思うしね。
LONDON ON THE INSIDE PRESENTS…MICHAEL A GRAMMAR
――デビュー当時からずっと「ライヴ・レコーディング」にこだわり続けていますが、それは何故ですか?
僕たちはスタジオでの作業でも、ライヴ演奏とまったく変わらないエナジーや生々しさを残すようなセッティングをしてるんだよ。これらがレコードで完璧に再現することができたなら、それは僕たちが求めるすべてだ。
――おそらくマイケル・ア・グラマーの真の実力が試されるのは、次のアルバムなのではないかと考えています。今はツアー、ツアー、ツアーで多忙な日々を送っているかと思いますが、次回作の構想はもう頭の中にありますか?
現時点では、メンバーそれぞれが別のプロジェクトに取り組んでいるから、そういう意味でも次回作はまったく違ったアルバムになるだろうね。今はまだノープランだけど、僕らの目指す方向性はきっと、もう少し時が経てばわかると思うよ。
質問作成・文: Kohei UENO
インタビュー協力:P-VINE RECORDS
Michael A Grammar -“Upstairs Downstairs”
Release Information
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