——そもそもヒップホップというスタイルを目指してたんですか? それとも伝えたいことを伝えるのにラップというスタイルが合っていたんでしょうか。

ヨハン もともとは兄弟で音楽を作ることがただ楽しくて、それだけで始めたんだけど、やっぱり音楽には歌詞があった方が伝わりやすい。でも僕は歌が下手だからラップすることを選んだんだよ。

——ラップのスタイルやリリックの書き方は我流なんですか?

ヨハン そうだね。最初は高校生の頃、リリックを書くためにスヌープ・ドッグの曲なんかを歌ってたんだけど、自分で書くようになると、書けば書くほど上達していったんだ。

アンダッシュ ちなみに僕らは絶対、人のカバーをやらなくて、全部オリジナルでやってるんだ。

——MOVITS!の音楽性には、スウェーデンのグループとは思えないぐらい、レゲエやソカ、ブラックミュージックやスパニッシュなど様々な音楽の要素を強く感じます。

ヨハン 僕はレゲエ/ダンスホールは今いちばんよく聴くジャンルで、ブジュ・バントンやグラディエーターなんかのルーツレゲエも好きだし、もちろん今のものは今のものでスーパーキャットとかも聴くよ。

ヨアキム 今、バンドのスタイルはスウィングジャズをやっているけど、聴く分にはむしろ50~60年代のアメリカのジャズ、(ジョン・)コルトレーンとかをよく聴いてるね。ブルースももちろん好きだし。でも、バンドとしてはヒップホップにいちばん影響を受けてると思う。

【インタビュー】スウェーデン語でラップ!? お祭り野郎=MOVITS!の闇鍋的サウンドの核心に迫る! interview131014_movits-17

——特に今回のアルバムでは、いろんな音楽が渾然一体となっていて、曲によっては西部劇的な世界観も感じたりします。

アンダッシュ 確かに今回のアルバムを作るにあたっては、70年代の西部劇からすごくインスピレーションを受けてるね。あと、エンニオ・モリコーネとかも意識した。それで、僕らはヒップホップのバンドだけど、ヒップホップはひとつの要素として扱っていて、自分たちのオリジナルなサウンドを作っているんだ。

ヨハン でも5パーセントはギャングスタのアイスキューブのエッセンスも入れてる(笑)。

——(笑)。ところでMOVITS!のリリックは母国語のスウェーデン語ですが、そこにこだわる理由はなんですか? 言ってしまえば、英語のほうがインターナショナルにアピールしそうだし、売れそうな気もするんですが。

ヨハン まぁ、スウェーデン語はいちばんよく喋ってる言語だから、それでラップを書くほうがうまく書けるっていうのがメインの理由さ。もちろん英語でラップしたほうがリスナーにはわかりやすいし、自分たちを売るには簡単かもしれない。でも実は信じられないことに、スウェーデン語でしかラップしてないにも関わらず、世界各地でライブができてるんだ。だから今のところはスウェーデン語1本でやっていこうと思ってるんだ。ま、将来的には英語でラップすることもあるかもしれないけどね。

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