映画というのは劇場で観るからこそ映画だと私は思っているので
––––話を映画に戻して流氷に飛び込むシーンはCGなしで実際にやられたそうですが、二階堂さんが考える「リアル」にやる意味、意義を教えてください。
セットやCGでは出せない空気感って芝居はもちろん、スクリーンに出ると思うんです。例えば、あの下がお湯で流氷が氷に見せかけた発砲スチロールでそれにCGをつけていたら、絶対に違うものになっていたと思うんですよ。だから、「リアル」だからこそだせる空気であったり、息づかいは確実にあると思っていますね。その良し悪しはわからないんですけど、自分がやれる限りのことはやりたいです。
©2014「私の男」製作委員会
––––これまでの話を踏まえた上で、二階堂さんの物事の捉え方というのが、良い意味でいわゆる「常識」とはまた別の場所にある気がします。自分の芯をしっかり持つことが難しいこの世の中で、何か心がけていることはありますか?
私の場合は女優という発信できる場所があるからだと思うんです。そういう意味ではすごく幸せだなと感じています。発信する場所が1つあるだけで自分の考えって確立するし、芯を持っていられるのかなと思います。あと、私は周りに助けられている部分も大きいんですよね。両親も自由な人間だったので、「こうしなさい!」って言われない家庭だったんです。それも大きかったのかなと振り返ってみると思います。
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––––その「女優」に対しての二階堂さん自身の位置づけをお聞かせください。
肩書きでしかないと思っています。私はあくまでも制作者でありたいとも思うし、表現者でもありたいんです。正直、自分で自分のことを「女優」と呼ぶのはまだ恥ずかしくて……。「フリーター」っていまだに書いちゃうんですよ(笑)。いまは大学生になったので「学生」と書けるんですけど。
––––最後にあなたの夢をお聞かせください。
私が出演した作品含め、昔の作品にすがらずに日本の映画界全体に新しくて面白いものをどんどん生み出していきたいと思っています。若い子にもっと映画を観てもらうためにはどうすればいいのか考えなければいけないし、twitterを始めたのもそれが理由なんです。浅野さんもおっしゃっていたんですが、映画というのは劇場で観るからこそ映画だと私は思っているので。時代が変わってアプローチの仕方は変わっていくと思うんですけど、更に良い作品を作って世に届けていきたいですね。
text & interview by Taisuke Yamada(Qetic)
photo by 横山マサト
『私の男』
6月14日(土)新宿ピカデリーほか全国公開!
監督:熊切和嘉
原作:「私の男」(桜庭一樹/文春文庫刊)
出演:浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤 竜也
(C)2014「私の男」製作委員会