欧、もといアイスランドの音楽は、やはり日本人の琴線に触れるようだ。ビョーク、シガー・ロス、ムーム、カラシ…以上はほんの氷山の一角だが、何かと共通点の多い国同士だからだろうか、アイスランドからやってきたアーティスト/バンドを、日本の音楽ファンはいつも温かく迎え入れている。2010年にアイスランド・ケフラヴィークで結成されたこのオブ・モンスターズ・アンド・メンも、きっと末永く愛される存在となるに違いない。

オブ・モンスターズ・アンド・メンは、どこかビョークの面影を漂わせる紅一点のシンガー・ソングライター=ナンナ・ブリンディース・ヒルマルスドッティル(ヴォーカル&ギター)と、どっしりとした体格でジェントルな歌声を聞かせるラグナル“ラッギ”ソウルハッキソン(ヴォーカル&ギター)、男女2人のリード・シンガーを擁する5人組フォーク・ロック・バンド。「アイスランドのアーケード・ファイア」との異名もとる彼らは、そのストーリー性の高い詩世界やドリーミーなサウンド、そして瞬時にオーディエンスを巻き込んでいく多幸感たっぷりのライヴ・パフォーマンスが話題を呼び、すでに欧米のフェスティバルに引っ張りだこ。アメリカではメジャー大手〈ユニバーサル〉とサインし、デビュー・アルバム『マイ・ヘッド・イズ・アン・アニマル』(12年)は母国アイスランドをはじめ世界中でチャート上位を記録するなど、その注目度はマムフォード・アンド・サンズと同等かそれ以上かもしれない。また、<MTVビデオ・ミュージック・アワード2012>にもノミネートされた代表曲“リトル・トークス”は、一発で耳に残るキャッチーな「Hey!」の掛け声と共に、昨年のインディー・ロック・アンセムともなった。

『マイ・ヘッド・イズ・アン・アニマル』の国内盤リリース直後…という絶好のタイミングで実現した1月の原宿アストロホール公演は、一夜限りということもありチケットは即完プレミア状態。筆者も会場に足を運んだが、とにかく素晴らしかった。多数詰めかけた外国人客のハイテンションに感化されたのか、ラッギが「一緒に歌おう!」と促すまでもなくフロアは終始シンガロングとコール&レスポンスの嵐。ヤー・ヤー・ヤーズのカヴァーなんかも飛び出しつつ、次から次へと名曲のオンパレード。「音楽は国境を越える」とはよく言ったものだが、この日ばかりは全面同意せざるを得なかった。そして、早くも今夏の<フジロック・フェスティバル>に出演が決定。個人的には、2006年のホワイトステージであのブロークン・ソーシャル・シーンが築いた伝説を超えるんじゃないかとさえ思っている。アストロホール公演の前日に行った、メンバー3名とのほっこりトークをお楽しみください。

Interview:Of Monsters and Men
Ragnar “Raggi” Þórhallsson(G/Vo)/Kristján Páll Kristjánsson(B)/Arnar Rósenkranz Hilmarsson(D)

祝<フジロック’13>出演決定! オブ・モンスターズ・アンド・メン、初来日時の貴重なインタビューをお届け!! music130228_ofmonsters_61

悲しい歌詞とハッピーなサウンドが綺麗なコントラストになるんだよ。
それが僕らの音楽の特徴だと思う

――アイスランドと日本は島国、火山、温泉、捕鯨国…etcといった多くの共通点がありますけど、日本の第一印象はいかがですか?

ラグナル“ラッギ”ソウルハッキソン(以下、ラッギ)すごく大きな都市なのに、みんな静かだよね。道端で喋ってる自分たちが一番うるさいんじゃないかとヒヤヒヤするよ(笑)。でも、たしかに気候とかもアイスランドと似ているし、共通点があると思う。想像以上にテクノロジーが発展していることも実感したな。アイスランドで売ってるカメラはもっと安っぽいしね(笑)。

――オブ・モンスターズ・アンド・メンはもともと、ナンナのソロ・プロジェクトであるSongbirdのメンバーとして集められたんですよね?

ラッギ:そうだね。まずアンナのソロ・プロジェクトに僕が最初のメンバーとして加わって、その後にアルナル、ブリニヤル(・レイフソン)、アルニ(・グズヨンソン)、最後にキディが合流して今のオブ・モンスターズ・アンド・メンの原型ができあがったんだ。

クリスチャン・パウッキ・クリスチャンソン(以下、キディ)僕が入ったことによって、バンドがもっと良くなったんだよ(笑)。

――不思議な名前の由来について教えていただきたいのですが、本来は「Of」の前に入るキーワードがあったのでしょうか。

ラッギ:コレといった特定のキーワードはないんだ。たとえば「ストーリー」・オブ・モンスターズ・アンド・メンみたいな言葉を入れても良いし、いろんな解釈の余地を残している。

アルナル・ロウゼンクランツ・ヒルマルソン(以下、アルナル)僕らのストーリーは、「アドベンチャー」だよ。そのアドベンチャーは、今後も自分たちが活動していくことで続いていく。いま、日本にいるっていうのも大きなチャプターのひとつだしね。僕たちが日本に来れば、日本の人々=モンスターに出会えるんだ(笑)。

――ちなみに、誰のアイディアでこの名前に決まったんですか?

ラッギ:(頭を指しながら)ここ。

――ラッギの頭にはいつも何かのストーリーが入ってそうですね。

キディ:うん、物語を考えるのは大好きさ。

――Songbirdの話に戻りますが、 フェイスブックの公式ページには「We used to be birds but now we’re monsters.」と書いてありますね。Songbird時代はもっとアコースティック寄りで静かなサウンドだったのですか?

ラッギ:そうそう。当時はアコースティックを主体にしたサウンドだったんだけど、アイスランドのバーとかで演奏すると、客の喋り声やBGMがとにかく騒がしいんだよ(笑)。だから意識的にラウドな曲を増やしていって、もっともっと外にもアピールしていきたいと思ったから、ドラマ―を加えたんだ。

――ナンナはボン・イヴェールの大ファンで多大な影響を受けているそうですが、ではみなさんがもっともインスパイアされるアーティスト/バンドは誰ですか?

ラッギ:僕はナンナと似てるかなー。ファイスト、シガー・ロス、ドーターなんかも彼女に教えてもらった気がする

アルナル:レディオヘッドは長いこと聴いてるよ。あとはアーケード・ファイアとか…。特にジャンルは問わないし、気分によってピンキリかもね。

アルナル:僕もなんでも聴く。メンバーが聴いている音楽はなるべく積極的に聴くようにしているよ。

――北欧の音楽は日本にもファンが多いのですが、オブ・モンスターズ・アンド・メンのサウンドは、カナダのブロークン・ソーシャル・シーンやスターズといったバンドにも通じるハートフルな人間味を感じます。実際、彼らのような男女混合・大所帯バンドからの影響は強いんじゃないでしょうか?

アルナル:たしかにアーケード・ファイアもメンバー多いもんね。特に意識はしてないんだけど、ずっと聴いてきているバンドだから無意識に影響を受けているのかも。

ラッギ:ステージ上にたくさんのメンバーがいるっていうのは、見ている側も楽しいと思うんだ。とにかくライヴを楽しくしたい! というのが自分たちの目指すところでもあるからさ。

キディ:サーカスみたいにね(笑)。

アルナル:僕らはレコーディングでたくさんの楽器を重ねて録音しているから、それをライヴで再現するならやっぱりメンバーも多い方が良いしね。

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――デビュー・アルバム『マイ・ヘッド・イズ・アン・アニマル』の収録曲はラッギとナンナによる作詞が大半ですが、すべてこのアルバムのための書きおろしですか? 各メンバーの過去曲から持ち寄ったものもあるのですか?

ラッギ:いや、歌詞は基本的にこのアルバムのためだけに書いたよ。

――さっきもアーケード・ファイアの名前が挙がりましたけど、大ヒットした“Little Talks”における「Hey!」の掛け声は、彼らの代表曲“No Cars Go”を思わせたりもしました。アーケード・ファイアの1stアルバムは“死”にインスパイアされた『フューネラル(葬式)』というタイトルやテーマがありましたけども、“Little Talks”も死別してしまった夫婦のストーリーが描かれていますよね。“死”をテーマにしていながら、これほど多幸感に溢れたアンセムとなったのは何故

ラッギ:わからないけど、なぜかそうなったんだよ。

キディ:ハッハッハッ(笑)!

ラッギ:まず、この曲に限らず全部がそうなんだけど、僕たちは椅子に座って「じゃあ“Little Talks”って曲を書いて、ここに『Hey!』って掛け声を入れようか」なん打ち合わせをするようなバンドじゃない。最初に小さなアイディアから始まって、直感に従っていくと、自然に楽曲ができあがっていく。そうやってどんどん曲作りを進めていくんだけど、“Little Talks”もナンナがアコギで作ったメロディの断片を元に、みんながジャムって色々な音を足していった感じ。あくまでスポンテイニアス(自然発生的)なものなんだ。

キディ:このバンドにはものすごくポジティヴなエネルギーがある。そのパワーをそのまま音に込めているから、自然とハッピーな雰囲気が出てくると思うんだよね。で、サウンドに関してはそうなんだけど、歌詞を書く時にはまた別のムードがあるんだ。だから歌詞の内容がドラマティックな内容だったりすると、悲しい歌詞とハッピーなサウンドが綺麗なコントラストになるんだよ。それが僕らの音楽の特徴だと思う。

アルナル:ハッピー&ドラマティックだね!

――あなたたちは男女のデュエットという形式もとっていますが、歌われる詩世界は人間と人間以外の「何か」との対話だったりして、子どもの頃に読んだ童話を想起させたりします。北欧といえば北欧神話も有名ですが、歌詞はどういったところからインスピレーションを受けるのでしょう?

ラッギ:以前はインターネットで掲載されているストーリーや友人との会話、それから自分の身に起きた体験とかにインスパイアされて書いていたんだけど、ここ最近はもっとリアリティが増してきたかな。歌詞はナンナとの対話から出てくることもあるし、だから自然と対話形式が多くなってくるんじゃないかと思うよ。

――そしてアルバムはいきなりビルボード・チャートで初登場6位を記録しましたし、世界中のフェスティバルにも出演するなど、この1~2年はバンドにとって大きなターニング・ポイントだったんじゃないかと思います。何か特別なエピソードがあれば教えてください。

ラッギ:ジェイ・レノ(アメリカの大物司会者/コメディアン)のトーク番組に出演したことかな。自分たちが子どもの頃に見ていたトークショーに出たっていうのは、やっぱり大きいことだったね。

キディ:ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)にも会った。(銃を構えるポーズをして)彼は普段もこんな感じだったよ(笑)。

アルナル:あと、マット・デイモンにも会った! 一緒に写真も撮ってもらったんだ。

ラッギ:世界中の素晴らしいフェスティバルやショーに呼んでもらえて光栄だよ。バンドが忙しくなったことで、学業からは長いこと離れてしまっているけどね。

――そういった貴重な経験は、作曲のインスピレーションになりそうですね。

ラッギ:もちろん、世界中を旅しているからね。旅先では色んなことにインスパイアされるし、そこから得たアイディアをまとめて、次回作に活かせたら良いなと思ってる。

キディ:アイスランドの家にこもって曲を書いている時と今じゃ、まったく環境が違うからね。

――さて、今回の東京公演はソールド・アウトとなりましたが、早くも<FUJI ROCK FESTIVAL’13>への出演も決定しましたね! よく「日本のオーディエンスはおとなしい」と言われるのですが、オブ・モンスターズ・アンド・メンのステージを最大限楽しむコツを教えてください。

ラッギ:一緒に歌うこと。これに尽きるね。

アルナル:両手をめいっぱい叩きながらね!

キディ:ちょっと踊ったりしてもいいかも。でも、みんな好き勝手に踊ったり手を叩いたりするもんじゃないのかな?

――どちらかと言うと、バンドに促されてやっとやる感じですかね(苦笑)。

アルナル:きっと、音楽をしっかりと聴いているんだろうね。

ラッギ:それなら僕たちがリードするよ!

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質問作成・文/Kohei Ueno
インタビュー/Qetic編集部
写真:古溪 一道

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Event Information

FUJI ROCK FESTIVAL’13
2013.07.26(金)、27(土)、28(日)@新潟県 湯沢町 苗場スキー場
OPEN 09:00/START 11:00/CLOSE 23:00
LINE UP:
[twocol_one]NINE INCH NAILS
BJORK
The xx
BASSEKOU KOUYATE & NGONI BA
CJ RAMONE
COHEED AND CAMBRIA
DAUGHTER
DEATH GRIPS
DJ SHADOW
FEED ME
FLYING LOTUS
FOALS
FUN.
THE HOT 8 BRASS BAND[/twocol_one]
[twocol_one_last]HURTS
JACK BEATS(DJ SET)
JULIO BASHMORE
KILLSWITCH ENGAGE
KYTE
MAYA JANE COLES
MODESELEKTOR
OF MONSTERS AND MEN
PORTER ROBINSON
ROCKET FROM THE CRYPT
TAME IMPALA
TOM ODELL
TORO Y MOI
YO LA TENGO[/twocol_one_last]


Release Information

Now on sale!
Artist:Of Monsters And Men(オブ・モンスターズ・アンド・メン)
Title:My Head Is An Animal(マイ・ヘッド・イズ・アン・アニマル)
Pachinko Records
UICU-1230
¥2,300(tax incl.)

Track List
01. ダーティ・ポーズ
02. キング・アンド・ライオンハート
03. マウンテン・サウンド
04. スロー・アンド・ステディ
05. フロム・フィナー
06. リトル・トークス
07. シックス・ウィークス
08. ラヴ・ラヴ・ラヴ
09. ユア・ボーンズ
10. スルーム
11. レイクハウス
12. イエロー・ライト
13. ナム・ベアーズ(日本盤ボーナス・トラック)
14. リトル・トークス(パッション・ピット・リミックス)(日本盤ボーナス・トラック)
15. リトル・トークス(ボンベイ・バイシクル・クラブ・リミックス)(日本盤ボーナス・トラック)