INTERVIEW

SOIL&"PIMP"SESSIONS 社長

Text by 池田スカオ
Photo by Kazma Kobayashi

     

全国各地で多岐多様に繰り広げられている音楽フェスティバル。その土地出身や所縁のアーティストがキュレーターを務めたり、土地土地の音楽好きの有志が発起したり、各地自治体や行政、歓楽施設や観光スポットが集客やPRを狙い運営したりと、その成り立ちや形態、また内容やコンセプトも様々だ。また、それらは町おこしやインバウンドにも一役買っていたりもする。

そんな中、来る7月6日(土)、7日(日)に福井市中央公園特設会場にて行われる<ONE PARK FESTIVAL>は福井県初の大型野外音楽フェス。そして今回がその第一回となる。駅から徒歩5分の街のど真ん中の公園にて行われる文字通り都市型の同フェス。その利便性はもちろん、空き時間には町の散策も楽しめ、ここにくれば北陸の産業や伝統工芸、名物や名産、グルメや銘酒も存分に味わえ、まさに福井の縮図が感じられるフェスだ。また、出演ラインナップも他のフェスに比べて独特。著名/これからを含め、出演者たちは多彩な音楽性なれど、みな独自のグルーヴを擁した者ばかり。その高い演奏スキルと音楽センスを用い、初見/初体験関わらず躍らせ、ノらせ、楽しませることには定評のあるアーティストが居並んでいる。

<ONE PARK FESTIVAL>をSOILの社長が徹底ガイド |福井初の駅前大型野外音楽フェスティバルの魅力とは? interview-one-park-festival-soil-2-1

そんな<ONE PARK FESTIVAL>の発起人の一人に名を連ねているのが福井出身のSOIL&”PIMP”SESSIONS(以降、SOIL)のアジテーターである「社長」。同フェスはまさにSOILの音楽の如く、前知識や言葉がなくてもその深い音楽性と高い楽曲センスにより老若男女/既知未知を含め幅広い人が楽しめ一つになれるフェスと言える。

そんな<ONE PARK FESTIVAL>の発起や魅力を社長にガイドしてもらおう。

 

Interview:SOIL&”PIMP”SESSIONS 社長

 

今の福井の若者は面白いことをやっているな、という実感。

──今回の<ONE PARK FESTIVAL>は福井出身の社長も発起人の一人とお伺いしました。このようなフェスは福井では初だったりするんですか?

地元の人間が主導する、この規模の野外フェスとしては初の試みとなります。これまでも野外フェスは幾つか行われてきましたが、ここまでの規模のものはなかったし。大きな野外フェスで<sea of green>がありますが、各県を渡り歩いた末、福井に辿り着いたという、県外のオーガナイザーの方が福井を気に入ってくださったものです。一方、屋内フェスになるとFM福井さんが13年前から行っている(<BEAT PHOENIX>)もありますが、音楽フェスで屋外で都市型となると今回が初になります。

──実施場所や出演アーティストのラインナップ的にも、かなりコンセプチュアルに映ります。ちなみに「やろう!!」と思い立ったキッカケは何だったんですか?

地元の友達のDJらと「この場所(福井市中央公園)で音楽フェスなんてやったら気持ちいいだろうね」「いつかはやりたいよね……」的な会話が発端でした。

──では最初から会場である中央公園で演ることありきだったと。

場所ありきでした。「ここで何かやりたい!」「音楽フェスをやりたい!!」「僕も地元で何かやりたい!!!」。この3者の思惑(おもわく)からでした。

──やはり社長も福井への地元愛が……。

今でこそすっかり東京暮らしが長くなってはいますが、自分は常に福井出身だし、軸足は常に福井にある自負を持って生きてますから。そんな中ここ数年、外から見た福井の音楽シーンの面白さや町のポテンシャルも発見し出して。「今の福井の子たちも面白いことをやってるな……」と感じることもちょいちょいあって。「そろそろそのようなイベントを行うタイミングかな」と。

<ONE PARK FESTIVAL>をSOILの社長が徹底ガイド |福井初の駅前大型野外音楽フェスティバルの魅力とは? interview-one-park-festival-soil-1

──機は熟したと。

自分も長く東京で活動し色々と経験も積んできて、国内外での人脈も出来だして、「今だったら自分がここに参画すれば面白いキュレーションになれるんじゃないかな……」との考えもありましたし。まずは地元の友達たちの熱い想いをどこかで形にしたいな…とは個人的には思ってました。

──そこからその行動に移すタイミングは?

2年ぐらい前になるのかな? 当初は3人で、「こんなこと出来たら面白いね~」なんて雑談レベルでしたが、僕が福井でのライヴの際にステージから、「フェスやりますから!!」と宣言しちゃったんです。そうすることで引っ込みをつかなくさせて鼓舞していきました。そこから友達が実行委員を組織してくれたり、行政にも色々と協力要請をお願いしたり……。

──この立地で、しかも白昼にやるには意外なアーティストさんも多く若干そこに啓蒙的な意識も伺えました。

その辺りはこのフェスの座組にも関係していて。このフェスの言い出しっぺの2人が元々DJだったこともあり、当初はダンスミュージックを軸としたフェスにしようというのがまずありました。ダンスミュージックといっても多岐に渡りますが、まずはDJやダンスミュージックに影響を受けている、またはダンスを喚起させるグルーヴ感を演奏できるバンドを中心にラインナップを考えました。

参加して若い子たちには是非音楽の持つ力みたいなものを現体験して欲しい

 

──先ほど社長が「感じている」とおっしゃっていた、「今の福井の音楽シーンの面白さ」をもう少し詳しく。

自分は地元では割とDJの友達が多いんです。そのDJたちがどんなDJを県外や国内外から呼んでいるか?そこにどんなお客さんがついているか?等ですね。なかなかマニアックなDJを呼んでくるし、成功させてるんです。

──そうらしいですね。あのリッチー・ホウティン(テクノ系のアーティスト)がよく福井を訪れてプレイしているとの話を知り、失礼ですが意外に感じました。

確かにリッチーもここ福井でのキーパーソンではあります。彼は「ENTER.SAKE」という日本酒のブランドを展開していて。その中の供給元の一つが福井の黒龍酒造だったり。また、結婚式の招待状に使われた越前和紙は、僕の友達のDJで今回の運営委員長が手配をしてあげたり。でも、これこそ福井の潜在的なモノづくりの実力だと自分は感じていて。

──失礼ですがどれも存じなかったです。

ですよね。こんな感じで、あまり国内では取り上げらないが故にけっこう埋もれがちで。なので、直接海外に流れていってしまっているケースが福井の産業ではけっこうあるんです。そんなこんなに面白くて海外からのお客さんも多くいる、そんな現実が増えつつある。いわゆる点で盛り上がっている状況というか。これはもうそろそろその線をつないでいったら、とてつもなく面白い絵が描けるんじゃないかなって。そんなタイミングも感じていたんです。

<ONE PARK FESTIVAL>をSOILの社長が徹底ガイド |福井初の駅前大型野外音楽フェスティバルの魅力とは? interview-one-park-festival-soil-2

──福井ではクラブシーンもけっこう盛んだったりするんですね?

そうなんです。僕からすると、「なんでそんなマニアックなDJに800人も入るんだ!?」って感じのものがポツポツあって。今回出演していただくアーティストさんやDJたちもけっこうマメに(DJやライブをしに)福井には来て下さってるし。

──街にキチンとそのような素地があることを聞き安心しました。失礼な話、けっこうマニアックな方々も出るし、それをこの規模で、しかも街のど真ん中でやっても大丈夫なのか!?との不安もあったもので(笑)。

(笑)。大丈夫ですよ。これまでも色々な方から「マニアックなラインナップだね」と言われてきてますから(笑)。でもお声かけしたアーティストさんたちにしても、芯を持ちつつもふり幅は考えました。マスにアピールできる方はもちろん、啓蒙の意味合いもあったので。

──まさにそのようなラインナップですよね。何か各アーティストさんに声かけする際の基準ってあったんですか?

まずは「自分たちの実力とプレイでお客さんを巻き込むことが出来るグルーヴ感やスキルを持っているアーティスト」がありました。なので出演していただく各人、かなり高い演奏力と独自のグルーヴ感を擁した方々ばかりで。そういった生の演奏を体感することによって特に若い子たちは音楽の持つ力みたいなものの原体験になったらいいなという想いもありましたし。

──確かに、どのアーティストさんも特に前知識なく、楽しめる方々ばかりの印象があります。例え知らないアーティストでも身を委ねたり、体感すれば楽しめる音楽性の方々ばかりですもんね。

そこなんです!で、後で調べて知ったり、掘って欲しい面もあって。「実はあの時に出ていた〇〇と〇〇はこんな共通項があって、こんな繋がりがあったんだ!!」的な後々の発見もあるでしょうから。そこまで行けたらいいなとの希望的観測も含めてのラインナップだったりもします。

──まさに一過性ではなく、その後もしっかりとインフルエンスしていきそうな方々です。ちなみに行政との深い関わりや協力もあっての実現だとお聞きしています。

その辺りは完全に地元の発起人等に任せちゃったんで、僕からは彼らから聞いた範囲になっちゃいますが。みなさんめちゃめちゃ協力的だそうです。あの土地自体、市の持ち物なので。市の協力があったからこそ開催できたところはあります。行政のみなさんの方も、どこか「待ってました!!」があったようで。凄く協力的だし応援していただいてます。

──その行政の方々の「待ってました!!」感ってなんか分かる気がします。

それもですが、僕個人としては今、新幹線が福井まで伸びる予定がある中、「隣の金沢に勝てるものって何だろう……?」と考えるわけです。今、「福井」と聞いてパッと浮かぶのはきっと永平寺、東尋坊、恐竜、カニ、ちょっと知識のある方になると鯖江の眼鏡、それぐらいでしょう。今は恐竜一人勝ちですが(笑)。そこで「福井に行こう!!」となった際に、もっと福井に来る目的や意義を挙げられるポイントを沢山作りたくて。そんな中、やはり「福井にはこんなフェスもあるしね」と言ってもらえる所まで育てたいんです。

──では、ゆくゆくは街の年中行事の一つにまでこのフェスを昇華させたいと?

ですね。これを一回目に、これからそこまでなれたら本望です。

 

出演権を懸けたオーディションで今の福井の若い子のセンスや感覚の凄さを目の当たりにした

 

──ちなみに何かお手本にしたフェスってあったりするんですか?社長はこれまで国内外様々なフェスに何度も出演してきたわけですが。

よく実行委員たちと話していたのは、僕らもSOILで呼ばれ、出させてもらったイギリスの<ケルバーン・ガーデン・パーティー>という小さな町のフェスのような感じが理想でした。ここもわりとダンスミュージックよりのフェスなんですが、イギリス国内外の人気バンドも出れば、DJがずっとテクノを流しているステージもあったり。かと思えば地元の合唱団や地元のお父さんのアマチュアバンドがライヴをするステージもあったり。その音楽のクオリティの高さや集まってくる幅広い層、それから街のお祭りや手作りさや温かさが共存しているフェスで。「あんなフェスがいいよね」的な話はしました。<ケルバーン・ガーデン・パーティー>自体、地元の名家の敷地でやっていると思うんですが、そこはステージバックにお城があって。それもアートにペイントされているんです。

──<ONE PARK FESTIVAL>も<ケルバーン・ガーデン・パーティー>同様、地元福井で活動しているアーティストもフックアップされ、同じステージに立ちますもんね?

そうなんです。オーディションを行って。そこでも福井の若いミュージシャンたちの底知れぬポテンシャルを感じました。今の福井の若い子のセンスや感覚って凄いところまで来ていたことを目の当たりにして。優勝は「ヘンデカゴン」というジャム系のインストバンドと、特別賞として水咲加奈さんというピアノの弾き語りのシンガーソングライターの女性が出場権を獲得したんですが、他最終エントリーに残ったアーティストたちも、生バンドのヒップホップグループ、MPCを叩くビートメイカー、ロックバンドという幅広さ。各位全く違った音楽性ながらどれも面白くて。

──フェスに出演する2組についてもう少し詳しく教えて下さい。

hendecagon(ヘンデカゴン)はテクノとワールドミュージックとジャズが融合した感じのグループで。それこそ人力のグルーヴとその音楽性で惹き込むタイプです。もう海外でも通用するレベル。ライブオーディション当日も「踊って!」的なMC一切なしでオーディエンスを最も躍らせてましたから。もう今回のコンセプト通り。一方の水咲加奈さんの歌声は素晴らしい。今、彼女は福井の各地のイベントで引っ張りダコなんですが、「これが今の福井を代表する歌声なのか!!」と、もう一枠特別に用意し、ステージに立ってもらうことにしました。そして、他の3バンドも、同日に福井駅前で開催される「ホームタウンフェス」という音楽祭のステージに出場するんです。こちらはフリーのライブで。

──では、この日は福井駅前周辺で音が楽しめるわけですね。ちなみにこんなに駅近の公演でやるフェスもあまり類を見ません。

“駅から5分歩いただけでメインステージが楽しめる”。それも売りの一つですから(笑)。加えて場内は自分のスタイルで楽しめるのも魅力で。あと出入りも自由なんで、空き時間等は是非街も散策してもらいたいです。近くにもご飯が美味しいお店が沢山あるので、そこで音漏れでも聴きながら食事をするのもありかも。

 

もうとにかく会場中をウロウロとしてもらい、逆に様々な発見をしてもらいたい

 

──公園内ではどのようなことが楽しめるのでしょう?

ライブステージやそれを立ったり座ったり、寝っ転がったりと自由に観れるエリアはもちろんですが、福井の名物、名産がずらりと並びます。越前そばを始め福井の名店と呼ばれる店が集うフードコートやキッチンカーもあって。あと、福井を中心に北陸全体の伝統的な工芸品、漆や陶器、刃物、和紙のマーケット。それからバーエリアもあり、そこでは20数蔵にも及ぶ、福井のほぼ全ての日本酒の酒蔵さんが一同に介します。もうヘロヘロになること必至でしょう(笑)。他にも子供も楽しめるエリアもあるので、親子で来られても楽しめますし、もうとにかく会場中をウロウロとしてもらい、逆に様々な発見をしてもらいたいです。

<ONE PARK FESTIVAL>をSOILの社長が徹底ガイド |福井初の駅前大型野外音楽フェスティバルの魅力とは? interview-one-park-festival-soil-1-1

──そんな中、今回はハーレーもブースを出します。そこでは人気のバイク展示はもちろん。免許がなくても運転体験できるマシンでエンジンの鼓動を体感できたり、地元福井で人気のDJがプレイし、大人から子どもまで楽しめるアクティビティも設置されると聞いてます。

地元福井で活躍するDJがスピンしますので、是非ここでも楽しんで欲しいです。あと、グラフィティアーティストのESOWさんがそれらに合わせて、20年ぶりにスプレーでグラフィティのライブペインティングをする催しも予定しています。

──あと、眠るのさえもったいないぐらい音楽を浴びたいなんて方はどのようにしたら良いでしょう?

周辺のクラブで朝まで遊ぶのもありだと思います。クラブ・Casaでは国内外の著名なDJで朝まで遊べるし、こちらはこちらで“えっ!?”と驚く海外のDJもアサインしてますから。

──最後に「こんだけ説明したんだからフェスに来いよ!!」的なアジテーションメッセージをお願いします(笑)。

そんなキツくは言えないけど……(笑)。来てくれたら嬉しいです。距離感的にも足を延ばすには各地からちょうどいいでしょうし。ここからまた新たな福井の音楽カルチャーが育まれていくので、その第一回を是非みなさんに体感してもらいたいです。待ってます!!

<ONE PARK FESTIVAL>をSOILの社長が徹底ガイド |福井初の駅前大型野外音楽フェスティバルの魅力とは? interview-one-park-festival-soil-3

Text by 池田スカオ
Photo by Kazma Kobayashi

<ONE PARK FESTIVAL>をSOILの社長が徹底ガイド |福井初の駅前大型野外音楽フェスティバルの魅力とは? onepark_festival

2019年7月6日(土)、7日(日)

福井市中央公園


一般販売:共通券 ¥13,800/土日各一日券 ¥7,800/
当日券:土日各一日券 ¥7,800


LINEUP:7月6日(土)


青葉市子、WONK、ELLI ARAKAWA、Ovall、Gai Sunya from yahyel、
クレイジーケンバンド、Captain Vinyl、Cornelius、水曜日のカンパネラ、
SPECIAL OTHERS、D.A.N.、Blu-Swing、maco marets

LINEUP:

7月7日(日)



Attractions、ウルフルズ、クラムボン、SIRUP、Sunaga t experience、Cero、SOIL&”PIMP”SESSIONS、Sauce81、never young beach、FNCY、Hendecagon、
水咲加奈、YonYon、Licaxxx



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