INTERVIEW

Opus Inn

Text by TAISHI IWAMI
Photo by 井崎竜太朗

     

神戸出身の堀内美潮(Vocal)と永田誠(Guitar)のよる二人組、Opus Innが3rd EP『Time Stand Still』をリリースした。直訳すれば“時間は止まる”。1作目が『Time Gone By』、2作目が『Time Rolls On』ときて、そのタイトルが差す先には何があるのか。

あらためて彼らの結成時から今までのことを辿っていくなかで、エレクトロやトラップやグライムといった音楽の台頭や進化と自分たちの関係性や、作品で描きたかった世界観、そしこれからのあるべき表現の姿など、実に興味深い話が展開された時間となった。そして6月21日には大阪、6月25日には東京で、同じレーベルに所属するsankaraとのダブルリリースパーティも開催される。そこでおこなわれる特別な仕掛けとは?

Interview:Opus Inn

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――堀内さんは神戸出身で、Opus Innを結成する以前はOrca Shoreというバンドに在籍し地元を拠点に活動されていました。そこから永田さんとOpus Innを結成するまでの経緯について、聞かせていただけますか?

堀内 Orca Shoreが“方向性の違い”みたいな理由で継続が難しくなったので、また新しいバンドをやろうと思いつつ、気がつけば永田と一緒にDTMで曲作りをしてました。それでレコードを出すとかデビューするとか、そういうことは特に考えてなかったんですけど、一緒にやっていくうちに、いい感じになってきたので、本格的にOpus Innとして動き出したんです。

――永田さんは、Opus Innを結成するまではどのような音楽活動をされていたのですか?堀内さんのいたOrca Shoreは同じ兵庫のthe fin.らとも親交のある、いわゆる“インディー・シーン”のバンドで、Opus Innも大きく言えばその流れを汲んだ現代的なポップだと思うのですが、その脈をどうたどっても永田さんには当たらなくて。

永田 はい、そうだと思います。僕は歌ものポップスというか、それこそ真逆と言ってもいいくらいのシーンにいましたから。堀内とは同じシェアハウスにいたことで仲良くなったんです。お互いバンドを抜けたタイミングが同じくらいで、だったら一緒に曲を作ってみようって、最初はそんなノリで始まって今に至ります。

――当時はどんな音楽が好きだったんですか?

永田 もともとはBon JoviとかMr.Bigとか、“ザ・ロック”みたいなものが好きでした。でもそこはOpus Innの音楽とはまったく結び付いてないですね。ずっと好きなアーティスで今自分がやっていることへの影響がもっとも大きいのはBill Evansです。神戸ってジャズ喫茶が多くて、僕にとってジャズは自然と手が届くところにありました。そのなかでもっとも響いたのがBill Evansだったんです。

――Opus Innではどんな音楽を目指そうと思ったのでしょう。

永田 Opus Innが動き出したのが2017年。その前からエレクトロやトラップが日本でもきていたり、UKだとグライムがメインストリームに出てきたり、あとはアメリカを中心の流行っている海外のポップ・ミュージックが面白かったりしたので、いろいろ調べていました。そういう時代の流れみたいなものを追って、そこで何が起きているのか考えることが好きなんです。だから、Opus Innを始めるにあたっても、広く音楽シーン全体をみたときの流れは意識してました。

――国内だと“yahyel以降”とよく言われていたと思うんですけど。そこはどうでしょう?

永田 意識してなかったと言ったら嘘ですし、友達からはカナダのバンドですけど「Rhyeみたいだね」って言われたことも、僕としてはしっくりきたところもありました。国内のバンドにせよ海外のバンドにせよ、そういったアトモスフェリックな要素の強い音楽が、ここ日本でもよく聴かれるようになっている状況は、自分たちが活動していくうえで、ひとつ背中を押してくれる要素でしたし、あとは単純に“カッコいいな”って。

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――そして2018年にEP『Time Gone By』をリリース。おっしゃったようなアトモスフェリックなエレクトロニックに通じる、シンプルで静かな音の持つ雰囲気とAORなどの70年代レトロポップな雰囲気が絶妙にブレンドされたサウンドが印象的でした。

永田 “風景の見える音”が僕らの特徴だと思ってるんです。その第一歩じゃないですけど、Opus Innとしての色をしっかり出せたのが『Time Gone By』。次に出した『Time Rolls On』はそこからより立体的な、まさに“風景”が描けたサウンドになりました。そして今回の『Time Stand Still』は、そこからもうひとつ進んで、昼や夜、今や昔といった“時間”を感じ取ることができる作品になったんじゃないかと。あくまで自己評価ですけど。

――明らかにアップデートしているとは思います。DTMの向こう側になる可能性が広がっていくようなイメージ。かたや永田さんが生で弾くギターの音は減ってますよね。『Time Gone By』の段階では、打ち込みサウンドと永田さんのギターが溶け合う瞬間や、冷たいエレクロニックの質感を情熱的なギターソロのギャップなどが、“色”として評価されていたと思うんですが、そこを薄めることに抵抗はなかったのですか?

永田 はい、まったくないです。反抗的な意味ではなく、それはあくまで人からの評価。すごく嬉しいんですけど、自分がやりたいことはギターを前面に出すことではなかったんです。自分たちが綺麗だと思う、色や風景や時間を音で描き出すためにどうすればいいか。そこに集中しています。

――またOpus Innは音楽やヴィジュアルのイメージへのこだわりも強く感じられます。「Still」のミュージック・ビデオはセレクトショップ・STUDIOUSの衣装タイアップを受け、6月21日の大阪、6月25日の東京での『Time Stand Still』リリースパーティでは、同ショップとのコラボアイテムの受注もあるそうですね。音楽とファッションの繋がりやその見せ方については、どう考えていますか?

堀内 自分はもちろん音楽が好きで、ファッションも好きなのですが、周りにたまたまアパレル関係の人や、グラフィックを作ったりできる人が多く、Opus Innはそういう人に支えられているな、とつくづく思います。ヴィジュアル面に関しては、今まで観てきたアートや映画とかからの影響が大きいですね。永田ともカッコいいと思うものが言わずとも共有できている部分も大きいと思います。

Opus Inn – Still [Official Video]

――Opus Innの曲のなかでもっともサウンドや展開の輪郭がはっきりとしています。

永田 意識的にそうしました。そういうわかりやすい展開でしっかり聴かせる曲に挑戦してみたい気持ちはずっとあったんです。

――AAAMYYYさんをフィーチャーした「Lost Youth」の感触はいかがですか?

堀内 とにかくAAAMYYYがすごいなと。その声が入っただけで、一気に曲の世界観がより広く伝わるような印象になるんです。

Opus Inn – Lost Youth((feat. AAAMYYY)[Official Video]

――「Feel You」はermhoiさんが参加しています。

堀内 これは映画『チワワちゃん』の劇中歌なんですけど、この曲を作るまでermhoiさんとは接点がなかったんです。でも、音源は聴いてましたし、彼女が今やってるBlack Boboiも、すごいですよね。とても日本人がやってるとは思えないし、それ以上のものもある。鳴った瞬間に世界を向いてる人って、なかなかいないじゃないですか。僕らとの曲でもそのすごさは感じてもらえると思います。

――『Time Gone By』から『Time Rolls On』、『Time Stand Still』ときて、ジャケットもすべて永井博さんが手掛けられ、見せ方も統一されていました。内容的にも初期三部作という位置づけでいいのでしょうか?

永田 そこまで狙っていたわけではないんですけど、そうなったと思います。

堀内 そうですね、“Timeシリーズ”(笑)はこれで終わりですね。

――これからのOpus Innはどうなっていきますか。

永田 この先は難しいですよね。それこそ“Z世代”じゃないですけど、ジャンルでどうこうなるとか、そういう話じゃないと思うんです。ほんとうに先のことがまったくわからない。だからこそ、バンドとして個人として強くなければいけないし、そうであれば引っ掛かってもらえる時代なると思います。聴いてもらいたい人たちがいるからこそ、やりたいことを真摯に突き詰めていって、Opus Innにしかできないことをやりたいと思っていますし、そこに対してネガティヴな気持ちはありません。

――6月21日には大阪で、6月25日には東京でリリースパーティがあります。

永田 sankaraとのダブルリリースパーティなので、その日のためだけに一緒に作った曲も披露します。同じレーベルのメンバーなので、特別な想いがありますし、そこでとことんこだわるためのやりとりもしやすいから、今回は徹底的に話し合いました。コラボ以上のコラボ、それくらいのことをやろうと思っています。

堀内 これまでにクラブやライヴハウスやフェスなど、いろんなところで場所でライヴをすることができました。例えばクラブだと一晩の流れのなかで、自分たちがその場の空気に乗れたらすごくいい反応がもらえる。逆にそこで対応力がなければこっちを向いてすらもらえない。ライヴハウスはちゃんと僕らの音源を聴いてきてくださった方も多いですし、僕らのことを知らない人も、いいライヴをしたらCDやグッズを買ってくれる。まだまだかもしれないですけど、短い間に経験できたことが実るライヴにするために準備してるので、よろしくお願いします。

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INFORMATION

Opus Inn 『Time Stand Still』

2019年6月5日(水) 発売

Rure Records
¥1,600+tax
▼TRACKLIST
1.Good Bye
2.Still
3.Lost Youth (feat. AAAMYYY)
4.Too Late
5.Feel You (feat. ermhoi) *映画「チワワちゃん」挿入歌
6.Whatever

Rure Records Presents “Opus Inn & sankara W Release Party ”Supported by COCKTAIL ROOM

会場:CONPASS大阪
日時:2019年6月21日(金) OPEN 19:00 START:19:30
出演者:Opus Inn / sankara
DJ : ALIIIII / ANDY / DJ Shinya / mine / oNoCHaN / unnui / Yut
チケット代:前売り¥3,000(+ドリンク代別)、当日¥3,500(+ドリンク代別)
https://www.yumebanchi.jp

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Rure Records Presents “Opus Inn & sankara W Release Party ”with Special Guest Supported by WALL&WALL

会場:WALL&WALL
日時:2019年6月25日(火) OPEN 19:00
出演者 : Opus Inn / sankara
Featuring Guest : BlueVintage/AAAMYYY/ermhoi /Ando Kohei /Ayatake Ezaki
DJ : YonYon / Masi Takahashi
チケット代:前売り¥2,000(+ドリンク代別)、当日¥3,000(+ドリンク代別)
https://t.livepocket.jp/e/opusinn_sankara_release_party

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