「Festival Life」の編集長であり、世界中の音楽フェスを毎年のように渡り歩いている津田昌太朗。昨年は日本国内のフェスを網羅した著書『フェス旅 日本全国音楽フェスガイド』を刊行、より広い層へとフェス文化を発信した。またQeticでは <FUJI ROCK FESTIVAL>や<LIVE AZUMA>の開催時に各フェスの魅力を訊くインタビューを敢行し、アジア諸国をはじめとした世界各国のフェスとの比較から多角的にシーンの現状について語ってもらってきた。
今回は津田に2024年のフェスシーンを振り返ってもらうと共に、数年前から愛用しているというフランスのブーツスニーカーブランド・Palladiumの新作防水ブーツ『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』を履いてもらった。撥水性のあるアッパー生地の内側に透湿機能を備え、なめらかなキャンバス風素材を採用したことによってスタイリッシュな仕上がりにもなっている一足。実際に手に取り、装着し、街中を歩いてもらいながら、あらゆるシチュエーションに馴染む魅力とフェスでの活用方法を教えてもらった。
INTERVIEW
津田昌太朗 × Palladium
2024年の音楽フェスを回って
──まずは津田さんの視点から、2024年の音楽フェス事情について伺いたいです。
2023年は「コロナ禍からの復活」というトピックがあったんですけど、2024年はそれすら言われなくなり、コロナ禍以前のシーンが完全に戻ってきた印象です。その上で、日本国内では各地域でローカルの個性を活かしたフェスが様々な形で盛り上がっています。例えば、昨年参加したものでいうと、別府で開催された<いい湯だな!>というフェスは、温泉とフェスを組み合わせた回遊型のイベントで、音楽やお笑いのライブに加え、「音楽の街」を打ち出したトークセッションなども行われていました。他にも耳の聞こえない方に向けた手話解説付きのステージを設置するなど、ソーシャルグッドな取り組みも積極的に行っていました。日本のローカルなフェスがそういった形で独自のカラーを出していくのは面白いと思います。
──世界の音楽フェスではそういった取り組みは行われているのでしょうか?
世界のフェスや一部のアーティストの単独公演では見かけるようになりましたね。欧米のフェス会場は過酷な環境も多いですが、身体の不自由な方に対するアクセスビリティは相対的に高いように感じます。2024年に参加したドイツの<Rock Am Ring>は老舗のロックフェスで、会場内も全身真っ黒のHR/HM好きが多く集う熱いフェスなんですが、車椅子の来場者の方も多く、スペースも十分に確保されていました。ライブ前方で車椅子も持ち上げて一緒に盛り上がっている姿も見かけたりもしました。
その点、アジアのフェスのアクセシビリティはまだまだ発展途上。日本はノウハウもあるから快適だし、ヨーロッパは歴史も長いから色んな人を呼ぼうっていう意識もあるけど、そういったものも含めて、アジアはフェス文化が一気に花開いている印象があります。
──その中でも印象的だった音楽フェスはありますか?
2024年はモンゴルの<PLAYTIME FESTIVAL>や韓国の<Busan International Rock Festival>、Hypebeastが主催している台湾の<HYPEFEST>、それにタイの<SUMMER SONIC Bangkok>とアジアのフェスを回りました。
中でも面白かったのは韓国の<WONDERLIVET>。AKB48やCreepy Nuts、さらにはsumikaといった日本のロックフェスの常連が何組も出場しているJ-POPのフェスなんです。韓国の若者の間ではアニメの影響でJ-POPがトレンドになっていて、初開催ながらその人気の受け皿としてとても賑わっていました。YOASOBIやずっと真夜中でいいのに。のアジア進出の成功もあり、一つの文化としてブームになっているのがフェスのラインナップにも反映されているのを感じました。
「ファッションスナップを撮影していて最も面白いのは日本のフェス」
──様々な国を訪れる津田さんから見て、音楽フェスを訪れる来場者の雰囲気の違いを感じることはありますか?
日本のフェスに来るお客さんはフェスのジャンルや開催場所によって全然違って面白いんです。ほとんどの国の人は普段着の延長線上でフェスに行くんですけど、日本では野外なら濡れないようにしますし、備品や足元などの準備は世界一だと思います。さらに、本格的な装備が必要な<FUJI ROCK FESTIVAL>からライトな服装でも過ごせる<SUMMER SONIC>まで、国内でも濃淡がありますよね。個人的に、ファッションスナップを撮影していて最も面白いのは日本のフェスです。
──むしろ、海外はあまり準備をせずに会場へ向かう来場者もいるんですか?
雨の準備などをせずに参加する人も多いですね。使い捨てのカッパが配られることも多く、あまりエコだとは思えないようなシーンに出くわすことも多いです。防水機能があったり頑丈な装備で来た方がエコな上に快適だと思うんですけど、ドロドロになるまで使って捨てたてしまうなんて光景も見かけます。
──やはり音楽フェスには装備を揃えて臨むことが重要でしょうか?
どうせ音楽を楽しむなら快適に過ごせた方がいいじゃないですか。あとこれは持論なんですが、フェスを楽しむには靴が重要なんです。フェスでの持ち物や格好について色々と質問いただくことも多いのですが、基本的には「身を守れる装備だったら好きなものを着ていきましょう」と答えているんです。ただ、絶対に靴だけはちゃんとしたものを履いていく様に発信しています。
──なぜ靴が重要なんですか?
フェスの前に張り切って新しい靴にする人もいるのですが、当日は会場内をたくさん歩くため、履き慣れた靴の方が絶対に良いんです。ステージを移動するにもご飯の屋台に行くにも、相当歩く必要があります。 雨が降る可能性があれば中まで水が浸透しない靴を履いた方が良いですしね、靴の中が濡れてからのライブは集中できません……。
街履きからそのままフェスへ
Palladiumの『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』
──その観点も盛り込みながら、本日履いていただいたPalladiumの『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』についても伺いたいです。まず、第一印象はいかがでしたか?
これまでにもPalladiumの防水ブーツは履いていて、色んなフェスの会場で使っていたんです。その頃の印象と比べると、格段に歩きやすくなっていますね。
──疲れを軽減するためにインソールが改良されたそうですね。
以前より軽くなっていますし、デザインも遊び心がある。特にハイカットはジッパーがアウトサイドに付いているので、着脱が楽ですね。それに『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』はハイカットとローカットでそれぞれ差し色が入っていたり、バリエーションも豊かですよね。
キャンプ型のフェスを想定したとして、普段履いてない重さの靴を履いていくと疲れるんですよ。その点、Palladiumなら街履きからそのままフェスに向かうことができるんじゃないかと。出社する時に使っている靴のままフェスに行くのが理想なんですよね、『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』にはそういうポテンシャルがあると思っています。
──また『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』は防水性も備えています。
さっき試してみたんですけど、水をバンバン弾いてました。日本では夏だけじゃなくて、梅雨のシーズンにもフェスが開催されるようになったんですよ。気候変動の影響もあってとんでもない量の雨が降ることもあります。そういうときはハイカットのブーツなどは役に立つと思います。
また、実際に使うことを想定すると、ソールが頑丈なのは嬉しいですね。フロアの前に行ってガンガン楽しみたい人からすると、足を踏まれてしまったりして負傷しないためにも靴の頑丈さは必須になります。普段より人との距離が近い環境だからこそ活きてくる要素だと思います。
──どんな音楽フェスで『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』を履きたいですか?
先ほど挙げた<いい湯だな!>でも雨の場面がありましたし、都市型フェスでもある程度は雨の対策をする必要があるんですよね。そういう時に『PAMPA HI SEEKER 2 LITE+ WP+』があれば便利だし、もちろん<FUJI ROCK FESTIVAL>や<RISING SUN ROCK FESTIVAL>みたいなアウトドア系のフェスでも合います。イギリスの<Glastonbury>は環境的に長靴が必須のフェスなんですけど、もう一足ライトに履けるものとして使ってみたいですね。それに、Palladiumは飛行機のタイヤメーカーから発展したブランドじゃないですか。日本ではあまりないけど、海外では飛行場を舞台にしたフェスもあるんですよ。そういうフェスに履いて行っても映えそうです。