フレンチ・ミリタリーをルーツに持ちながら、70年にわたって機能的なシューズを開発し続けてきたブランドPALLADIUM。80年代のニューヨークでは、ゲイ・カルチャーを中心に同ブランドのブラックスニーカーが愛用された。グランジ〜オルタナティヴ・ロックの旋風が吹き荒れた90年代になると、カウンターカルチャームーブメントが、クリエイティブな雰囲気を作り出し、保守的な体制や規制に対する反動が続き、パラディウムブーツは、創業時から続く強いミリタリー調の外観で、我が道を行くアウトサイダーや「自由」を愛する人々の足元を支えることに。
 
現在は「CITY EXPLORING – 都市探検-」をテーマに掲げているPALLADIUMのブーツを履いて、小雨降る渋谷の街を探検してくれたのは5人組ロックバンドLuby SparksのNatsuki(Ba, Vo)とErika(Vo)。2016年に結成されたLuby Sparksは、80〜90年代のUKインディ〜USオルタナティヴ・ロックのエッセンスを抽出しながら、現在進行形のサウンドへと昇華し着実にファンベースを広げてきたバンド。昨年の春、新ボーカリストとしてErikaが加入してからは、コクトー・ツインズやスロウダイヴらに通ずる耽美な世界観をさらに追求し、コアな音楽ファンを唸らせている。ファッションやアートワークにも並々ならぬこだわりを持つ2人は、PALLADIUMをどう履きこなしたのだろうか。

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PALLADIUM×Luby Sparks
「自由」を愛する人の足元を支えた靴とカルチャーの繋がり

──お二人は、ファッションにどんなこだわりがありますか?
 
Natsuki 実は僕、今年の3月から下北沢の『MUD』という古着屋で働いているんです。もともと原宿にあって、好きで通っていた『BUD』というお店のスタッフさんが、独立して新たに始めたお店なんですけど。めちゃめちゃ音楽好きの方で、行くといつも音楽の話で盛り上がってたんですよ。そこで働いているうちに、徐々に古着の知識も身に付いてきています。
 
着るものに関しては、最近はもう開き直っているというか。バンドもやっているし、どうせ派手だし(笑)、どんな格好してもいいかな、と。「え、これいつ着るかな……?」というようなキラキラで派手なシャツでも、ステージ衣装ならいいかなって。で、結局それを普段も着ているっていう。

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──もともとファッションに興味はあった?
 
Natsuki 中学の頃からずっと好きでしたね。最初に衝撃を受けたのは、Peaceというイギリスのバンドのファッション。めちゃくちゃ細い黒スキニーに革靴を合わせ、白い靴下がちょっと覗いてて。で、上はワケわかんない柄のシャツに、豹柄のコートとか羽織っていて(笑)。高校生の頃に彼らのアー写やMVを見て「カッコよすぎるな」と思っていました。それからはずっとスキニーを履くようになりましたね。
 
同世代だとSwim DeepやTemplesも好きです。「柄on柄」でゴチャゴチャしてるし、多分そこらへんの古着屋でテキトーに買ってきているのでしょうけど、その感じもいいんですよ。あと、エディ・スリマンも超好きで。彼がイヴ・サンローランにいた時に、ちょうど僕は高校生だったんですけど、コレクションとか毎回見ていましたね。全く無名のバンドマンがランウェイを歩いているのもカッコよくて、けどサンローランなんて買えるワケがないからブランド古着屋へ行って。エディ本人も古着ばっかり着てるし、「これ全部古着屋で揃うだろ」って(笑)。

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──Natsukiさんにとっては、その頃から音楽とファッションは切り離せないものだったのですね?
 
Natsuki 逆に、そこを切り離して考えている人が理解できなくて。絶対一緒だと思う。エディのコレクションを見ても、シーズンによって60年代風だったり70年代風だったり。「これは明らかにヴェルヴェッツだな」「これカート・コバーンだろ」とか。その混ぜ方も、絶妙なバランスなんですよ。だから僕も、ジザメリの当時のアー写とか参考にして取り入れたりしていますね。
 
──ガチの60年代だったり70年代だったりするのではなく、周回するたびにその時々の要素をブレンドして新しい着こなしになっているんですよね。
 
Natsuki そうなんですよ。だからきっと何年か経って、00年代風や10年代風なんていうのも出てくるのでしょうね。

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──Erikaさんはどうですか?
 
Erika うちは、母親が大学を卒業してデザイナーをやっていたり、父親がグッズ制作をやっていたりしたので、家には常に服が揃っていたんです。ヴィンテージの服や、バンドのTシャツなんかもあって、ステージ衣装として母が持っていたドレスを着ることもあるし、自分のファッションは両親の影響が強いですね。
 
中高の頃はCrystal Castlesが好きだったんですけど、アリス・グラスがヴィンテージのドレスにスニーカーとか合わせているのがすごく可愛くて。髪型とかもしょっちゅう変わるしタイツとかも変な色で(笑)、そういうところにすごく影響を受けていると思います。

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──今はどんなところで服を買っているんですか?
 
Erika 古着屋で買うこともあるし、ネットで買うこともあります。自分の中にコンセプトがあるんですよ。例えば90年代とか80年代の映画とかに出てきそうなファッションというか。私、ホラー映画がめっちゃ好きなんですけど、必ずゴスキャラが出てくるのでその服装を真似したり(笑)。『ザ・クラフト』(1996年)というティーン・ムーヴィーがあって、それに出てくる女の子が全員ゴスなんです。それを参考に、スタッツのチョーカーを買ったり、ヒラヒラのついた黒いコルセットを買ったりしていましたね。

──お二人とも、ステージ衣装と私服ってほとんど変わらないですよね。
 
Natsuki 変わらないですね。ただ、例えばThe KVBとライブに出ることが決まったら、その日はメンバー全員黒っぽい服にするとか、そうやってちょっとだけ合わせたりすることはあります。
 
Erika 基本は私服も衣装も変わらないですね。なんでだろう、あまり切り替えたくない。「さあ、今から着替えてライブやらなきゃ」みたいな気持ちになりたくないのかもしれない。

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──ちなみに、靴はどんなものを選んでいますか
 
Natsuki 僕もErikaもDr.Martensばっかりですね(笑)。僕のお気に入りは「MARY JANE」っていう、女の子がよく履くモデルなんですけど、ストラップになっててすごく可愛いんですよ。Luby Sparksの“The Short Lived Girl”という曲にも登場するくらい好きです(笑)。後は「10 Holes」のような、ホールが多くて長いやつを愛用しています。
 
Erika Dr.Martens以外だと、DEMONIAのブーツも好きで履いています。厚底の大きいタイプが昔から好きで、T.U.K.という、昔からイギリスにあるパンク系のブランドもよく履いていました。

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──CONVERSEのスニーカーとかはあまり履かない?
 
Erika たまに履くけどボロッボロにしてますね(笑)。
 
Natsuki 僕もそう。基本あとは革靴とかブーツばっかりですね。

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──今回、お二人にはPALLADIUMのブーツを履いてもらいました。いかがでしたか?
 
Erika 私は「PAMPA HI ORIGINALE/HIカットE/ブラック」を履いてみたのですけど、素材感はスニーカーっぽいのですが、軍でも使用されていたというだけあってフォルムは結構ゴツイし、色も黒だったので違和感なく自分の服に合わせられました。しかも、見た目と違ってすごく軽いのに驚きましたね。中のクッション性も高くて、長く履いてて疲れないのも嬉しいです。

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Natsuki 僕は「PAMPA PUDDLE LITE WP+E/HIカットE/ブラック」を履いてみたんですけど、いつも履いているスキニーにピッタリ合いました。スキニーは丈にもこだわりがあって、微妙にくるぶしが見えるくらいでブーツを履くと、ブーツがすごく綺麗に見えるんですよ。PALLADIUMの丸いロゴも、ホールも上の方までしっかり見えるし。厚底で、しかも防水なのでいつでもどこでも履けますね。

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──例えば<フジロック>のような、野外フェスにはどうでしょう?
 
Natsuki 最高じゃないですか(笑)。軍にも採用されていたくらいだから、アウトドア用に申し分ないし、しかもすごく洗練されたデザインだから野外の音楽フェスにはピッタリだと思います。

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──ところで、ErikaさんがLuby Sparksに加入して1年ちょっと経ちましたが、バンドはどんなふうに変わりましたか?
 
Natsuki たぶんErikaが加入してからの方が、Luby Sparksとしてのサウンドが確立されてきたと思うし、世間的にも今のLuby Sparksの方が定着していると思うので、むしろここから始まったかなという感じがありますね。
 
──Erikaさんという「アイコン」が加わったことで、Luby Sparksの音楽やファッション、アートワークなどの統一感が、より強くなりましたよね。
 
Natsuki そもそも自分がやりたかったことも含め、「これがLuby Sparksです」と言えるものがようやくできてきたかなと感じています。もちろん、ファーストの頃からずっと変わらない部分というのもあって。アルバムやEPを出すたびにコンセプトやテーマをどんどん変えていって、それでも変わらない部分がLuby Sparksのオリジナリティとなっていけばいいなと思っています。まだまだ模索中ですけど。

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──「Luby Sparksとは何か?」を知るためにも、作品を作り続ける必要があるというか。
 
Natsuki そうですね。ちょうどこの間、新曲のレコーディングがあったんですよ。それはファーストとも、前回のEP『Lost in Sadness』とも全然違う感じを狙ってみました。そうやって日々曲を作り続けながら、美しい流れで発表していけたらいいなと思っています。
 
──では最後に、改めて2人にとってファッションとは何かを教えてください。
 
Natsuki ファッションは音楽と同じです。「音楽がファッションに付随している」でも「ファッションに音楽が付随している」でもなく、完全に同等。絶対に切っても切れないし、絶対に同列にあるべきものですね。
 
僕は音楽を聴くとき、それを演奏している人の服を必ず見ちゃうし、アー写があればそこに含まれている意味を見つけようとする。表現する人にとっては、その人から出てくるすべての要素が等価値にあると思っています。
 
Erika うん、私もそう思う。ファッションはLuby Sparksの一部であり、作品の一部ですね。

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履きやすく、機能的でありながら「美しさ」と「無骨さ」も兼ね備え、タウンユースでもアウトドアでも楽しめる。そんなPALLADIUMのブーツは、フットワークが軽く、ファッションへのこだわりも強いミュージシャンの足元を、これからも支え続けることだろう。

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Photo by Kodai Kobayashi
Text by Takanori Kuroda

PALLADIUM

PALLADIUM

PALLADIUMはフレンチミリタリーをオリジンに1947年以来、機能的なシューズを開発。
現在は「CITY EXPLORING – 都市探検 -」を追求。

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PAMPA HI ORIJINALE


パンパハイ オリジナーレ 
Unisex ¥9,180(税込) 

40年代後半に、「砂漠で゙も快適で耐久性に優れたシューズを」というフランス軍のリクエストに応えて誕生したパンパを復刻したキャンバスキャンバスモデル。

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PAMPA PUDDLE LITE WP +

パンパ パドルライト ウォータープルーフ プラス
Unisex ¥14,904(税込)
パラディウムを代表する人気モデル。アッパーの縫い目にテープ処理を施した軽量レインブーツで、アウトドアやフェスでも活躍。

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Luby Sparks

2016年3月結成。2017年7月には、UK|Derbyshireでのフェス「Indietracks Festival 2017」に日本のバンドとして唯一出演。2018年1月24日、Max Bloom (Yuck|ex.Cajun Dance Party)と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2018年11月07日、4曲入りの新作「(I’m)Lost in Sadness」をリリースしている。2019年1月17日に韓国のバンドSay Sue Meを招き、初の自主企画ライブ「Thursday I don’t care about you」を渋谷WWWにて開催した。これまでにThe Vaccines(UK)、Yuck(UK)、The Pains of Being Pure at Heart(US)など、海外アーティストの来日公演のフロント・アクトも数多く務めている。

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パラディウムのオフィシャルストア

S-Rush(エスラッシュ)原宿店
東京都渋谷区神宮前3-24-1
インザストリームビル 1F・B1F
TEL 03-6455-4125
営業時間 11:00~20:00
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