chelmicoでも知られる鈴木真海子が2021年にリリースしたファースト・ソロ・アルバム『ms』は、鈴木真海子と神奈川拠点の「ご近所録音チーム」ことピスタチオスタジオPistachio Studio)のryo takahashiと二人三脚で制作が進められた。ryo takahashiは制作ディレクターと大半の楽曲のプロデュースを務めており、本作の録音は彼の自宅で行われた。

本作には、ryo takahashi宅で行われたセッションの空気感や宅録ならではのふしぎな魅力が詰まっている。そして、それを遠目に見守ってきたピスタチオスタジオのゆるやかなムードがただよっている。ピスタチオスタジオならではのコミュニケーションと、そのなかで形成されてきた共通認識が、この作品に特別な質感をもたらしたという。

MC、プロデューサー、ビートメイカー、DJ、ゲーム配信者らが所属するピスタチオスタジオはじぶんたちがどのような存在なのか、GitHubというソースコードを管理するアプリケーションを使い、1万3000字にわたってたっぷりと解説している(そこには詳しいメンバー紹介もあるので、ぜひともそちらを参照しながら、この記事を読んでほしい)。そのなかで、コロナ禍の音楽活動に関して「大人しくしている」というスタンスを取ったとはっきりと述べている。

それではいま、ピスタチオスタジオはなにをしているのか。近況報告が聞きたい。ということで今回、ピスタチオスタジオのbasho(CBS)、ryo takahashi、tajima hal、Quojama、TOSHIKI HAYASHI(%C)、鈴木真海子に話を伺った。

この取材はとある真夏日に、ryo takahashi宅で行われた。弱冷房に文句を言い合いながら、ああだったかこうだったかと記憶を確認しあったその記録をここに公開。ryo takahashi宅を歩きまわるハチさんの撮り下ろし写真とともにお楽しみください。

INTERVIEW:Pistachio Studio

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左から鈴木真海子、ryo takahashi(with ハチ)、basho、tajima hal、TOSHIKI HAYASHI(%C)、Quojama

──まず、近況報告も兼ねて、自己紹介をお願いします。

ryo takahashi(以下、ryo) ryo takahashiです。最近はchelmicoと鈴木真海子関連の仕事で、特にディレクションワークが多いです。ピスタチオスタジオやCBSとしては曲を作ったりミックス・マスタリングなどをしていますが、最近はお休みいただいております。

Quojama Quojamaと申します。ピスタチオスタジオではCBSの曲を作ったりしてます。

鈴木真海子(以下、真海子)  真海子です。chelmicoをやってます。ソロもやってます。最近はバナナマンに会えて嬉しかったです。

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basho bashoです。ピスタチオスタジオのCBSのラップをしていますが、最近はアルバムを出す出す詐欺をしたまま、少しずつみんなと作っています。で、<PISTACHIO mtg>(ピスタチオスタジオが主催するイベント)でハヤシ君やタジマさんと一緒にDJをやってます。

%C TOSHIKI HAYASHI(%C)です。最近は<PISTACHIO mtg>でDJやったり、(一緒に回っていた)chelmicoのツアーも終わって、自由に楽しく生きてます。

tajima hal(以下、tanjima) tajima halです。主にCBSにたまーにトラック提供みたいなやったりで、最近は横浜を拠点にゆっくり活動してます。

──最近、ピスタチオスタジオでの活動として、プレイリストを発表してますよね? あれがスタートしたのはコロナ禍に入ってからですか?

Quojama はじめたのは俺ですね。

ryo もともとプレイリスト文化が好きで、自分で個人でプレイリストいっぱい作ってたのもあって、公開する流れになったんだっけ。

Quojama そう。テーマに沿って継続的にプレイリストを公開してるレーベルやミュージシャンってあまり多くなかったから。

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ryo あと、ニューリリースみたいなのをプレイリストにするレーベルは結構あるけど、そういうの関係なく、ふつうに聴く音楽をまとめたプレイリストがあるのがいいなって。

──プレイリストにはすてきなジャケットもしっかりあって。

Quojama あれも俺が作ってます。たとえば真海子のプレイリストだったら、絵を紙に描いてもらってそれをトレースしたりとか。その時々で変わる。

──毎回雰囲気があって、プレイリストを選ぶのも楽しいです。あと、%CさんはVlogを始めましたよね。

%C YouTubeの登録者数を増やしたいなと思って(笑)。bashoさんになんかないですかって聞いたら「Vlogが良いんじゃない?」って。

──定期的に更新されてますよね。

%C コツコツやるのは得意なんです。タイトルのフォントはどうしようとか、相談しながらやってます。

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──プレイリストやVlogなど、コロナに入ってからいろいろな活動をスタートされてますが、ピスタチオとしての活動指針に変化はありましたか?

ryo ピスタチオスタジオのスタンスが結構出たと思ってます。個人としてはそれぞれやってるけど、CBSはもうコロナ怪しい期間はライブしませんと決めたりとか。だからそれにかまけてアルバムもだらだら出してないけど……。

真海子 いつ出るんですか?

basho 10月頭……9月末くらい?

──今回はどこかのレーベルと一緒に出すんですか?

Quojama 迷ってて。制作は自分たちでやった。自分たちで流通やるのは厳しいので、それをやってくれるところがあればいいかなって。CDはおまけ程度で。

ryo あとはディストリビューションをどうしようか迷うくらいかな。ストリーミングは出す。

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──ストリーミングの話が出ましたが、tajimaさんが活躍しているビートシーン発の音楽はコロナ禍でよく家で聴かれるようになったという話がありますよね。tajimaさんはそういった実感はありましたか?

tajima 俺は感じてないですね。聴かれているという実感より、家でやることがないからビートを作り始める感覚は増えたかなって。

──%Cさんはどうですか?

%C マンハッタンレコードから自分の曲のインストだけでミックスを出して欲しいという話はありました。2020年の末くらいだったかな。

ryo 楽曲制作は増えたよね。ビートアルバムとか。

%C うん。でも最近はインストじゃない、誰かと曲を作る機会が多くなりましたね。

──最近ですと、SKRYUさんとか。

%C そうですね。ラッパーとやった方が楽しい。結局プレイリストに入らないと聴かれなかったりもしますし。

──ちなみに、tajimaさん主宰のレーベル〈Hermit City Recordings〉はいつからやられてるんですか?

tajima あれは2015、16年かな。1年に1作は何か出そうかなって思ってて。レーベル自体は自分の周りの人たちの作品を出したくて始めた感じなんですよ。

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ryo 最近誰出してんの?

tajima 結構出してる。YotaroやALTO、カノくん(Doctor Kano)とか。みんな友達っすね。

──みなさん、国内外から注目を集めるビートメイカーの方々ですよね。tajimaさんは去年、サード・アルバム『Minor Sights』をドイツのレーベル〈SICHTEXOT〉からリリースしていたりと、日々ビートミュージックの国境を越える広がりを強く感じています。ちなみに、ビートメイカーの方が渋谷のROOMで平日に開催されてた<Trane.>というイベントに遊びに行っていたというお話をよくお伺いします。そのとき出演していたのは、いまSolfaでビートメイカーのイベントを主催してる一人でもあるEMARLEさんやILLSUGIさんだったり、YAGIさん、BUGSEEDさん、DJ SAGARAXXさん、MONK T.さんたちだったと。みなさんも遊びに行ってましたか?

tajima 遊びに行ってた。それが2012年とかで、俺は21、22歳のころかな。毎回すごいたくさん人がいて。俺は別に運営とかではなかったけど、面白いって話を聞いて、単純に2ヶ月にいっぺんは遊びに行くみたいな。イベントには1〜2回は出たかな。bashoさんとも何回か行ったりしたし。

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ryo 俺もある。

tajima いわゆるビートライブの一番走りみたいなやつ。それまでビートメイカーがマシンライブや機材を持ってくるとかはあっただろうけど、ビートメイカーが自分のビートでライブするみたいなことは数少なかった。だからその走りのようなイベントだったかな。なかでもYAGIさんとILLSUGIの2人かな。海外でそういうのやってる人がいるから、俺らもやってみようみたいな感じでやり始めた。

ryo RBMA(Red Bull Music Academy)とかの流れかな。RBMAにはILLSUGIも参加してたよね。

tajima そこで会った人たちが多いんじゃないですか。

ryo あのときってポッドキャストが出始めた時期でさ……cosmopolyphonicっていうのがあって。あの番組でビートメイカーの存在を超知った。

basho ビートメイカーのイベントは青山蜂の方でもやってたよね。

tajima cosmopolyphonicはそっちでやってた。

ryo (渋谷の)seco barとかでもあったね。

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──tajimaさんがビートライブを始めたのもそのくらいの頃ですか?

tajima そのくらいです。最初はabletonとオーディオインターフェイスを持ってきて、そこにいま使ってるSP404を接続してとか……いろんなの試したりしてましたね。海外のYouTube番組だったりに出演したのも、<Trane.>に来てた人の繋がりでやったみたいな感じですね。

──%Cさんはビートライブもやられてましたか?

%C やってましたよ。<Trane.>も出てたし。そのときはもっとインストっぽかったりしてたかもしれないです。

ryo そのときから作り方は結構変わってるよね。むかしは作ったビートの上にラップが乗るって流れだったかもしれないけど、今はラッパーと一から一緒に作るような形に変わったんじゃないかなって。

──ryoさんもBATICAでビートライブをやってましたよね。「最初で最後」くらいにおっしゃってましたが。

ryo 最初で最後かもしれないね。

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tajima あの名義は? ジャスコテック。

ryo それはDJのとき。ジャスコテックってジャンルがあんのよ。Vaporwaveの流れの一つで、スーパーの生鮮食品売り場で流れそうなフュージョンとかAORとか、そういうものの雰囲気というか、その総称というか。そういう曲を作ったり、DJで何回かやったりしたな。でも一般的なDJイベントとは趣旨がだいぶ違う。ひとりのDJが終わった後に拍手が起きたりね。呼び込み君を置いてライブやる、とか。面白かったです。

──マジで色んなことやってますね(笑)。ほかにピスタチオスタジオでビートライブする人はいるんですか?

tajima ライブはしてないけど、CBSのオリジナルメンバーのsuppleって人がCBSのすべてのトラックを作ってて。ビートライブはやらないけど、いまも変わらずビート作ってる。

──今回のCBSのアルバムにsuppleさんの曲は……。

basho 入ってる。やっぱ良いビート作るんですよ。でもなかなかアナログな人だからね。音源をパラでくれって言ってもパラでくれなかったり、やり方はずっと変わらない人で。でももう、かれこれ6〜7年会ってない。Takaya(CBSのMC)の結婚式で一回会った。いまは福岡にいる。

ryo ピスタチオスタジオの大元だよね。

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──みなさん、ビートも作りながら、そのビートがCBSに流れたり、流れなかったりして……。でも、もうほぼ形はできているんですよね。

tajima アルバムはもう95パーセントは出来てますよ。

──ディアンジェロ(D’Angelo)と同じこと言ってないですか?

一同 (笑)

ryo もうやる気だけの問題かな(笑)。

basho もう大枠が出来てるからね。

ryo あとは聴きすぎちゃってて、っていうのもある。でも出さないと、次も出せないから……。

basho みんななにかを言い出しちゃってるのを、ちゃんとryoくんが「いったんここまで」って。

──それをryoさんが管理していると。

ryo そういうのも俺だし、止めてるのも俺。怠けてんのも俺(笑)。

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──Quojamaさんが執筆されていた1万3000字のピスタチオスタジオのプロフィールに「インディペンデントでやり続けること」がありましたが、これは今日お話をお伺いしてる限り、ブレていないですよね。

ryo 1万3000字のプロフィールっていいね(笑)。そう……でも、やってるって感覚もないから、別に終わりようがないというか。ピスタチオスタジオの中心はCBSだけど、「このジャンルが」とか「この人が」っていうのはないから。結局、空気感でイベントやっても揃う。よく聴くと全然違うことをやってるけど、なんとなく揃っちゃったりするのかなって。

──なるほどです。1万3000字のプロフィールの中では「インディペンデントであること」に加えて、「音楽で食ってけるのはまだまだわからないし難しい」って話があるのですが、ryoさんはいま、音楽をお仕事にされていて。

ryo 恥ずかしながら(笑)。仕事は去年の4月くらいに辞めたかな。普通に朝9時から夜6時まで働いて、そっから飯食って夜中まで仕事する生活をしてたけど、音楽の仕事も同じくらいお金が入るようになってきたから、昼の仕事はもう抜いちゃおうと思って抜いた。それでいまはchelmicoの制作ディレクターであり、鈴木真海子の制作とその他全般的なディレクションもやってる。あとはほかのアーティストへの楽曲提供とか、企業の広告を手がけることもある。それにそうだ、ドラムもやってるし、真海子のバンドのバンドマスターもやってる。

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── 一つ一つ内容を伺っていくと、chelmicoの制作ディレクターは主に何をされてるんですか?

ryo たとえばchelmicoで「トラックメーカーはこの人とやりたい」ってなったとき、制作ディレクターとしてchelmicoが言ってることと作曲してる人の話をすり合わせる、いわば翻訳作業みたいな仕事がある。それが一番大事かもしれない。そのほかにもレコーディングに向けてデータを作ったりはするけど、主にやってるのは「これってこういうことなんじゃない?」っていう翻訳をする作業。

──chelmicoの2人と考えていった青写真を具体的な形に落とし込んでいく上で、ryoさんが入って、ほかのアーティストとすりあわせていくという形ですね。ライブもですか?

ryo 制作ディレクターとしてだから、ライブは入ってないんだよね。たまに問題解決策を提案するくらいかな。

真海子 でも、制作とかライブのときに、アイデアをすごい出してくれる。だからすごいアーティスト性があると思う。

──どんなアイデアがありましたか?

真海子 わたしのライブだったら、家具置くとか、デザインの演出とかかな。chelmicoの制作とかだったら「ここでオートチューンかけてみる?」とかもそう。

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──このインタビューをやる上でも、ryoさんはすごくアイデアを出してくれたんです。しれっとアイデアをくれるんですよね。ちなみに今朝、ryoさんはしれっと「chelmicoのgokigen、どう?」(chelmicoの4thアルバム『gokigen』の発売を記念したご機嫌なトーク&ライブ番組)のジングル(?)のデータをツイートしてましたよね。

ryo 音源とかあの感覚で出したいよね。『ms』とかも最初、bandcampとかSoundCloudとかでいいよねって。さすがにダメだったけど(笑)。

──『ms』の制作風景はHPにも書いてあったと思うんですけど、さらっともう一度おさらいさせてください(各メンバーのコメントはこちら)。『ms』はいつごろから制作されたんでしたっけ?

真海子 うーん、『ms』は去年……去年出したんだよね。

一同 (笑)

ryo 去年の3月とかから作り始めて、そのときは5〜6曲くらいのEPにしようって。で、レイチェルがおやすみに入って、chelmicoも休みそうだしアルバム出しちゃうかって話になった。それで、ここで録音をはじめた。

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──制作していく上で暗黙のルール的なものがあったという話をお伺いしました。その共通認識はどういったものだったんですか?

ryo たぶん、それは質感だと思う。作り出す前から、二人で無言で曲を投げ込むトークルームがあって。別に反応もしない。そこでずっとやりとりをしてた。それでなんとなく、こういう質感が好きだねっていうのは二人でずっとすり合わせてた。それから、ある程度の認識ができていったんだと思う。綺麗な曲が作りたいとかではなく、なにかちょっとゆがんでいたりとか。

──bandcampで出てるような、どこか外れてるような不思議な宅録の音ですよね。ピスタチオスタジオのプレイリストに入っている、誰が作ったのかもよくわからないような再発モノとか。

ryo そうそう。そういうのがやっぱ好きだなって。変なミックスの曲とかあるよね。そういうのがやりたかった。

──具体的なリファレンスってあったりしました?

ryo あったはあったけど「この曲を作りたいから、こうしていこう」とかではなかった。プレイリストでこういう雰囲気のもの作りたいねっていうのはあって。適当にそのプレイリストに入りそうな曲を俺が投げて、真海子が書いたりとか。真海子がメロディを書いた曲に対して、この曲をプレイリストに入れるならこういう曲かなってはめたりして。

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──プレイリストの雰囲気がその質感の参考になっていったと。それに加え、本作を制作する上でryoさんが制作予算の見積出しをしていたと伺ったのですが、その辺も逆算して考えたりとかしたんですか?

ryo そもそも、『ms』はピスタチオスタジオの規模で作りたくて。予算を抑えたということではなくて、二人でやればこれくらいで作れるっていうことだった。でも、それをメジャーレーベルに提案するとなると、結構インパクトのある低予算だと思う。それを提案しただけなんだけど。

──宅録でやることが前提だったんですね。スタジオに入るのと宅録だと、もちろん環境が変わってくるのですが、何か印象に残ったエピソードなどはありましたか?

真海子 赤ちゃん片手にレコーディングをしたのはよかったです!

──えぇ〜! ryoさんの赤ちゃんですか!?

ryo 去年の2月に生まれたばかりだったから。

真海子 なかなかない経験。

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──去年リリースされたCleo SolというSSWの『Mother』という素晴らしいアルバムがあるのですが、アルバム制作の60%は赤ちゃんを抱いた状態で歌われたそうですよ。

真海子 へぇ〜! まだそんな泣かないから、片手に寝かせながら、カチャカチャパソコンやって。

ryo 子供を見ながらやってた。結構サクサク進んだよね。

真海子 早かった。

ryo リファレンスっていうリファレンスがないから、お互いにこれが正解っていうイメージがない。

──どこで完成って決めたんですか?

ryo 曲数を最初に決めたの。

──CBSの話を聞いていると、それはすごい良い決め方かもしれないですね。

ryo アルバムにすることを決めたとき、「じゃあ何曲からアルバムですか?」って。

真海子 最初、EP段階の時に作ったのは6曲くらいだったっけ。

ryo そう。それが9曲になった。

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basho 1曲目にできたのは?

ryo 一曲目は“Lazy river”だよ。

basho 最後にできた曲は?

ryo “mani”かもしれない。

──ちょっと陽気な曲で作り終えて。それで曲数が埋まったから、終わりですという感じで。それからリリースまではすぐだったってことですか?

ryo そうそう。

真海子 6月ぐらいにできて、8月にリリースして。

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ryo メジャーのスピード感でのリリース。ここまでに入稿しないといけないからここで仕上げるみたいな感じ。ピスタチオスタジオだと完成してどうしようってなるからね。

──今回のエンジニアもほぼryoさんですか?

ryo そう。マスタリング納期が決まってるからそれに合わせてミックス終わらせるみたいな。マスタリングはFlugel Masteringの山崎 翼さん。

真海子 chelmicoの『gokigen』もそう。

──リリース後はライブもやられて。数年前にあったototoyさんのインタビューで、真海子さんが「いつかBlue Note出まーす!」とおっしゃってて。Blue Noteではないですが、すごくいい雰囲気のビルボードでライブされてましたよね?

真海子 やば! そうですね……(笑)。東京と大阪のビルボードでやりました。嬉しかったですし、しかもバンドっていうのが楽しかったです。chelmicoと別物だから違う楽しみ方で……緊張しました。

basho 俺さ、あのビルボードの時からダイエット始めたんだよね。

一同 (爆笑)

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──あのビルボードって1年前ですよね? それから……?

basho マイナス25kg。

真海子 すごい〜〜!

──bashoさんを何がそんな風に駆り立てたんですか?

basho 昔っからよくイベントに来てくれてるお客さんにたまたまあって。その人に「CBSのbasho、太り過ぎじゃない〜?」って言われて。

一同 (爆笑)

basho それで、がーんってなって、それからダイエットした。結構ショックだった。

ryo すごいシンプルな理由だね。痩せてよかったよ。

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basho 痩せた方が良くない?

真海子 まぁ好みじゃない? 自分が痩せたいなら痩せていいと思うけど。

ryo bashoはいま褒めて欲しかったんだよ。

真海子 あ、そっか。かっこいいよ、いつだって。

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basho ありがとう。そういえばさ、あのリズムマシーン(TR-66)を買った経緯は?

ryo 何かの曲をやるためというより「こういう音好きって」ってことで。こういう機材でって話してたら、「え、買おうかな」って。

真海子 何かと使えるかもしれないと思って。

──アナログマシンは雰囲気ありますよね。

ryo ね。あの時代のマシンは家具っぽいし。

basho カッコいいよね、あれ。電子レンジみたいで。

真海子 可愛い(笑)。“山芍薬”で使ったんだっけ?

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ryo ううん。“どっかの土曜日”で使った。“山芍薬”は阿知波さん(shinobu achiha)の持ってるアプリに入ってるリズムマシン。

basho アプリ?(笑)

──アプリまで使ってるんですね! で、昨年12月には追加公演が恵比寿ガーデンホールで開催されて。

真海子 クリスマスのときだ。

ryo ポール・マッカートニーの“Wonderful Christmastime”をやったんだよね。

──『ms』とも相性抜群そうな曲ですね。9月14日にはまたライブがありますが、どんな感じで考えているんですか?

真海子 ちょっとずつアレンジしたりとか、カバー曲も変わったりとか。あとバンドメンバーに1人、サポートを入れたりしようかなって。ドラム、キーボード、ギター、ベース、私。今回そこにパーカッションを入れようと思っていて、思い出野郎Aチームからゲンちゃん(松下源)にポコポコしてもらおうと思って。この間、yonawoとツーマンしたときには思い出野郎Aチームからマコイチ(高橋一)を召喚しました。

ryo 真海子バンドの沼ちゃん(沼澤成毅)は思い出野郎のサポートですね。ちなみに11月にはCBS&Chicken is Niceと鈴木真海子が出るイベントもあります。

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──それでは最後に今後の予定を教えてください。

ryo CBSはそろそろ発売日が出せるんじゃないですか?

真海子 出してくれよ〜!

ryo 宣言しちゃいましょ。僕はソロのEP出そうと思ってます。チューリッヒのお仕事をしたんだけど、それが20分の音楽になってる。それを形にしたいなって。

──リリースが待ち遠しいです。真海子さんはどうですか?

真海子 また良い感じのところでライブをやりたいですね。あと適当にさ、海外の小さいバーとかでやりたくない?

ryo マジでそういうのやりたいね、小さいところで。

真海子 そう。車回してさ。

ryo カッコいい。海外ツアー。

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──すごく楽しそうですね! tajimaさんはどうですか?

tajima 特にないかな。なんかまあ、自分次第。自分が頑張れば出るし、今んところ頑張れてないんで。とりあえず、無理せず続けようと。

──ありがとうございます。%Cさんはどうですか?

%C アルバムを3年前くらいから作ってるんですけど、いまだに完成してなくて。たぶんあと1年くらいかかるかも……。

ryo 何曲目標で何%できているの?

%C 70〜80%はできてる。

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──楽しみです。小山さんはどうですか?

Quojama 夏休みの課題は、メインのHPを作り替えることです。

──気になっていたのですが、サイトに表示されてる「Theme: “Ice Climber!”​」ってどういうことなんですか?

Quojama アイスクライマーっていうファミコンのゲームの色合いを使っているっていうだけっていう。

ryo シーズンごとにガラッと変えてるんだよね。

──深読みしちゃって、アイスクライマーのキャラクター二人の関係性がなにかに関係あるの?って思ってました。次のテーマが楽しみです。bashoさんはいかがですか?

basho CBSのアルバムをまず出して…..。あと、客演のお誘いとかもあります。

──作詞業もやってませんでしたか?

basho ESME MORIに誘ってもらったヒプノシスマイクの曲があったけど、それはあの一曲だけ。ほかで、ソロは3曲ぐらいは作りたいかな。

ryo まとめると、それぞれがそれぞれのペースで勝手なことやっていきます。

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Photo by 横山マサト
Interview, Text by 船津晃一朗

INFORMATION

ピスタチオスタジオ、インタビュー|basho(CBS)、ryo takahashi、tajima hal、Quojama、%C、鈴木真海子が語るクルーの現在地 interview220913-pistachiostudio

2022.09.09(金)
鈴木真海子

配信はこちらから鈴木真海子

鈴木真海子

9/14 ワンマンライブ
https://www.ex-theater.com/contents/schedule/1349/

tajima hal

9/17 solfa 14TH ANNIVERSARY -DAY2-
http://www.nakameguro-solfa.com/schedule/solfa-14th-anniversary-day2-supported-by-open1xtable-beats/

TOSHIKI HAYASHI(%C)

9/18 Music Bar BOUNCE
https://www.instagram.com/p/Ch16TqPPavz/?hl=ja

CBS、TOSHIKI HAYASHI(%C)

10/15 THA EBISU by パブリック娘。@ Time Out Cafe & Diner

CBS & Chicken is Nice、鈴木真海子

11/13 クラフトロックフェス
https://craftrock.jp/cir2022/

ピスタチオスタジオ